結局、銀河連邦警察すら人材不足を来す時代であるため、扶桑軍が士官の人材不足になるのも当然であった。航空分野等では致命傷になりかねないため、下士官層の古参を士官へ昇進させ、幹部に宛てがおうとしたが、元々の主力であった下士官層に士官教育を施すには、多大な手間がかかる。そこで義勇兵による部隊が重宝された。カールスラント空軍を追い出された者たちは義勇兵として太平洋戦争に参加。元々が高練度であったため、機材の違い(戦後米国製)もなんのその。いきなりジェットになり、四苦八苦する扶桑固有の士官や下士官を尻目に、彼らが活躍していた。扶桑の平均飛行時間は数百時間ほどだが、政治が求めたのは、800時間以上が最低ライン。扶桑の人員が不貞腐れたのは、『そんな時間を飛んでるのは、うちにはいねぇよ!!』という叫びでもあった。
結局、魔女出身者を入れてなお、飛行時間が600時間にも届かぬのが当たり前の扶桑は、生き残りの事変経験者を復帰させたり、義勇兵の募集しか、条件を満たせなかった。黒江たちは特別な存在であって、他はむしろ、平時の飛行時間しかなかった。自衛隊出身者の義勇兵があちらこちらで奮戦した結果、彼らに金鵄勲章の対象者が続出。扶桑の金鵄勲章はそれで命脈をつなぐことになった。特に、扶桑固有の人員には、ジェットの負荷に耐えられぬ年齢層も多かったからだ。10代後半の雇用が極めて難しくなったため、雇用体系の見直しの時間を稼ぐことも、異能者への依存の理由であった。社会に生じた『魔女蔑視』の風潮を打破したいが、10代前半~半ばが全盛期の魔女も多いので、異能者の活躍に期待するしかなかった。
「そんなことになってるんだ、この世界」
「そう。だから、こういう仕事もやらなきゃいけなくてね。私とみらいなんて、朝に変身したら、変身を解けない日もあるのよ。おまけに、あなたもだけど、あれこれ知られてると、普段の姿でも気が抜けないのよ。週刊誌にすっぱ抜かれたら、『コト』だし」
新京に降り立った、キュアプレシャス。キュアマジカルに出迎えられ、怪物退治に駆り出される事になった。道中、のぞみAが辿った経緯が伝えられ、大人のぞみの得たものの正体を知らされた。それはAが過酷な戦いの果てに得てしまった『超常性』。もはや常人というべきではない『異能』。
「のぞみの変化の正体は、世界を超えた影響を及ぼせる機械の神との融合。マジンガーZ。あなたも、おじいさんあたりから聞いたことがあるでしょう?あれの進化を遂げた個体が神の領域へ至った後、のぞみと魂レベルで融合したのよ」
ゆいの世代になると、マジンガーZは『祖父の代の古典アニメ』であるので、そういう説明であった。機械神との融合がのぞみAに超常性を与え、その影響が大人のぞみに及んだのだと。それを正式に与えたのが、歴代の1000年女王という、これまたややこしい存在。地球人類の育成に関わった異星人であり、地球史上の女性の偉人の少なからずは1000年女王を兼任していたという事実。さらに、地球の人々の意思が異能の強化を促していることも伝えられる。そして、地球人の誕生そのものが宇宙を生んだ神々の意思だということも。
「私達は集められているのよ、宇宙の外の超空間を支配する存在に立ち向かうために」
「宇宙に外があるの??」
「ええ。宇宙すら、その空間では泡のようなもの。その空間を支配しようとするバケモノが表れて、神々は太古から戦ってきたのだけど、彼らすらあまりに微力で、宇宙自体をいくつも同時に爆発させることで、そいつを足止めした。その時に生まれたのが、私達のいる宇宙空間。億……兆……垓……そんな途方もない時間をかけて、人類を創造した。神々には固定された実体がないけれど、私達はある。それを利点と考えて、自滅を考慮した上で文明をやり直す。そんな考えで繰り返された実験の末の答えが地球人なの」
それぞれの世界での理すらも超える領域で、神々は異能を持つ人々なり、機械文明の結晶たる兵器を生み出す人々を期待した。その到達点の一つと目されるのが『ゲッターエンペラー』である。そして、異能生存体も、そのうちの一つ。
「私達(プリキュア)も……?」
「おそらくは。神々の試みにとって、幾多のプリキュアの可能性も『実験』かもしれない。そして、私達が目指すべき進化は『空間を支配すること』」
「空間を……?」
プレシャスにとっては壮大にすぎるが、プリキュアたちが地球を守るには、今後は必須の技能とも言える空間支配能力。時天空に立ち向かうには、最低で幾千幾万の宇宙全体に支配が及ぶほどのパワーが必要だとも付け加えた。途方もない話である。
「ドリームは少なくとも、その領域に足を踏み入れた故に、他の自分自身にも影響を及ぼしてると思われるのよ。ただ、この世界での日本軍の英雄になったから、プライベートの時間が持てないからって、普段の姿をあまり取らなくなったわ。あれこれがアニメって形でバレてるのよ」
「えぇ~!?」
「あの子なんて、歴代でも高い方の人気だから、アイドル張りのパパラッチぶりで…。ここ数年は素はあまり見てないわ。私も、あれこれバレてるから、プライベートの時間を取るために、変身を保ってるのよ。そのほうが仕事って言い訳を使えるから」
「他の子も」
「状況によるわ。みなみは転生先の都合があるから、時々は素の姿で軍服着たりしてるけど、はるかは主役だから、最近はフローラの姿で働いてるわ。トワもよ」
「メタってるねぇ……」
「スカイたち以降の世代のプリキュアも出始めたけど、結構ランダムなのよね。ここ数年は平行世界を超えて、誰かがプリキュアに目覚めるから」
キュアマジカルは大いに愚痴る。ここ数年は折衝役が主な仕事だが、前世が夭折のシンフォギア装者『セレナ・カデンツァヴナ・イヴ』であったため、その時に姉であった『マリア・カデンツァヴナ・イヴ』からは過保護気味に接せられている。そのため、妹が転生して尚も、戦いに身を置くしかない環境にあることに不満を口にし、のぞみに諌められるなど、姉のシスコンぶりに困っている。また、響と調がプリキュアになったが、響はプリキュアの力を変質させるくらいに、シンフォギアへのこだわりが強かったため、キュアグレースであった過去生に戸惑いが抜けきらないままである。それと対照的に、調はプリキュアの力を早々に使いこなすなど、気質の差も影響する事がある。
「それと、グレースみたいに、心象か何かが原因で、現役時代とは違う形でプリキュアの力を変質させた例もあるから、調査をしてるのよ。それに、変身者が転生した後は、現役時代の妖精と関係無しに、プリキュアの姿になれることがあるから」
キュアハートなど、現役時代の妖精が不在の状態でも変身している上、転生先で高校生なので、不在も多い。それを勘案しての調査だと付け加える。
「うへぇ……そんなことあるんだ」
「貴方が知る限り、今のところ、貴方が一番若いプリキュアになるわ。のぞみは現役時代には93年の生まれで、平成の始め、いないけれど、なぎささんは90年。平成二年だって聞いたことあるわ」
「そうなると、私、2009年くらいだから……。のぞみちゃん、わたしより一回り以上は上だってことなんだなぁ。」
しょげるプレシャス。新京に着くまでの会話で、自分が(この時点では)如何に若輩者であるかを自覚し、その上で、プリキュアオールスターズ全体が巻き込まれつつある『果てしなき戦い』の一端を知る。近年(2020年代)はは非戦闘のプリキュアも輩出しているので、食べ物がモチーフとはいえ、戦闘向けの能力を持つキュアプレシャスは、即戦力を期待されているのである。
「でも、この時代、史実で言えば、戦争の直後くらいだよね。意外に洋服着てる人が多いね」
「この世界の日本は、史実より国力があるし、不相応な戦争もしてない。さらに言えば、大正の頃の自由な空気が継続してるって考えれば、洋服が普及するのは当たり前よ」
「なるほど~。いやね、近所のお年寄りの話だとね」
「貴方の時代には、戦争の時に15歳以下の人たちが話すのが当たり前でしょ?仕事で世話になってる男の人(のび太)曰く、戦争の時代の話は『終わりの時に、16歳以上になってた人達でないと、出来事をハッキリ覚えてないから、差し引いて考えるべきだ』って感じ」
のび太の小学校時代には、明治末期~昭和一桁前期生まれが多く存命していたので、戦時になる前の空気を知る世代が『戦時下になる前の日本』を知っており、その美点も口にしていた。それが遥かに年下のゆいの時代になると、1930年代前半の生まれすら減少しているため、1943年夏以降の戦局の悪化した時期しか記憶にない者も多く、戦争の記憶の精度が低下している。そのため、財団の仕事の一環である『戦争の記憶の伝承と正確な記録』(2010年代後半以降は特に)で苦労が多いとぼやいている。
「大正時代の自由な空気が生きてれば、こんなものよ。もんぺとかの窮屈な空気は切羽詰まった時期に強要されたものだから。それに『贅沢は敵だ』なんて言った連中は、この世界だと失脚してるから、出てくることはないわ」
扶桑の空気感は史実の1920年代半ばの震災復興期のものが続いていると考えて、差支えはない。関東大震災が起きなかったため、東京は大規模な再開発の必要が生じている。ある意味、戦禍で焼き払われる前の市街地のサンプルが取れると、日本の歴史家からは大喜びされているが、扶桑の人間からすれば、『中心地を変えざるを得ない街もあるじゃないか』と不満を示されている。これは史実での『災厄』のために、中心市街地を戦後に移転せざるを得なくなり、旧地名が地図から消えてしまった記録を知ってしまった広島市が特に顕著である。日本の市民団体などの活動も、扶桑の経済・軍事活動に支障をきたすほどの悪影響を及ぼしており、那覇の怪異の封印を解いてしまい、その責任を市民団体が取らなかった事件が記憶に新しい。そのため、1948年を扶桑が迎え、正式に開戦した後は、日本との文化的交流を減らし、軍事的交流を重視している。これでも、一般人の渡航を規制していないだけ、史実の日本帝国よりマシな空気を維持している。これは戦国時代の終わった後に大航海時代を迎えた歴史がある故で、そこの点では、島国根性の強い日本よりも、したたかな外交を展開できることも意味する。
「だから、私達がこんな格好でも、ケチつけられないわけ。史実の戦中だったら、特高にリンチものよ」
と、扶桑は同時期の日本帝国より温和な空気があるため、前線配置の軍人であれば、戦時下でも、華美な格好が世間的に許容される。年頃の娘が軍人を志向するのは、そんな社会的メリットがあったからである。プリキュアを軍で引き取る決定を山本五十六が押し通したのは、その社会的通念を鑑みての判断でもあった。
「直に着くわ。史実で満洲の中心地だったところの名前付いてるけど、気にしないで」
新京は政治的に揉める要素を含んだ名だが、史実で中国の地名になっている『南京』や『洛陽』に改名させるわけにもいかず、結局は中国も(渋々だが)承諾。その代わりに、富裕層の観光などを許し、貿易をするのを条件とするなど、意外に穏当であった。これは核ミサイルをも寄せ付けない装甲を誇る超大和型戦艦を強く恐れたからであった。
かくして、新京に降り立ったキュアプレシャス。2020年代に生きていた彼女が1940年代の地に足を踏み入れるのは、なんとも不思議であったが、彼女はキュアマジカルに連れられ、あれこれの手続きを済ませ、ホテルに泊まった。1940年代と考えれば、超上級の設備のもので、日本の富裕層向けに、TVも置いてある。インターネットはないが、時代を考えれば、当然であった。そこで、身を置くことになる隊の状況などが彼女に説明された。プリキュア全体が、これまた過去の戦争で負けた国の残党と交戦状態にあり、また別の世界では、それらと相打ちに終わり、そのリベンジを目論んでいること、プリキュア全体がその戦いに巻き込まれたことを正式に通告された。プレシャスにとっては、100年近く前の戦争の生き残りが南米や南極で勢力を蓄え、戦後にテロ行為を働き、そこから、彼らにとっての裏切り者たる『仮面ライダー』というヒーローが生まれていったことも説明され、宇宙には銀河連邦警察があることも伝えられた。どこかの次元には、M78星雲に光の巨人の種族がいるかもしれないとも。話のスケールが宇宙どころか、平行世界を飛び越えるレベルになってきている。
「ある意味、悪の組織のほうが話が通じることもあるのよね。公な立場になると」
「たしかに、うちも定食屋だけど、世の中、おかしな人はいるから」
「この世界、第二次世界大戦の年代だと、武士の時代の倫理観を持ってるのがまだいるから、うるさいのよ。そんな時に役に立つのが、軍の階級。士官だって言えば、そういう輩は途端に大人しくなるわ」
扶桑の人間(壮年層以上)には、女子に学問は不要など、室町時代以前の価値観を持つ事があり、そうした輩は『国家に奉職すること』を至上の名誉と考えているので、軍階級を言えば、大抵は引き下がる。士官であれば、尚更だ。プリキュアたちが高い階級を与えられたのは、その手のクレーム対策も兼ねているのである。
「一般人に狼藉を働いてる兵士がいたら、その場でぶちのめしていいわ。その上で警務隊に引き渡すけど。まぁ。私達の格好を見て、喧嘩する馬鹿はいないと思うけど」
と、この日はホテルで休息を取った二人。それ以外の面々はというと。
「おおおおおっ!?食いもんを食ったら、赤ん坊を生みやがった!?」
「うろたえるな!!子供なら、まだ始末しやすい!ねずみ算で増える前に、焼き払ってやる!!」
シャーリーはとっさに、被害を抑えられる輻射波動をワイドで掌から放つ。プリキュア本来の攻撃ではなく、前世の愛機由来のものだが、使い慣れているため、覚醒後は多用している。周囲の被害も抑えられる上、任意で目標にだけ熱エネルギーを当てられるからだ。対生物相手にも効果は絶大。コズミック・イラ歴のサイクロプスと似た原理なので、生物は風船のように弾け飛ぶ。意外にグロテスクな光景だ。
「おおっ……風船みてぇに弾け飛びやがった」
「あまり使いたくないけど、今みてぇな連中には、うってつけだ。銃弾を撃てる環境でもねぇしな」
「あのガキ(ブライアン)は?」
「ガンダム七号機の調整をしてる。ガワの形は流用したが、中身は最新型にしてるからな」
ガンダム七号機。一年戦争の最末期に建造された『RX-78』の純正型では最後の機体であり、戦後に完成していた個体である。元来は一年戦争世代の連邦機特有のセミ・モノコック構造の機体であったが、改修名目で、ムーバブル・フレームの素体に新造した『ガワを被せる』という手法が取られた。無論、フルアーマー用の機構は残したままで。一説によれば、マークⅡやフルアーマーマークⅢの技術的な祖ではないか、とされる。
「素体だけか?」
「フルアーマー込みだが、背中の担ぎ物はヴェスバーに変えさせた。ガンキャノン系列じゃあるまいし」
フルアーマーガンダムは背中にキャノンを持つが、一年戦争の直後のビーム・キャノンなので、大きさに威力が伴っておらず、改修の際に外され、代わりにF91形式のヴェスバーが積まれたという。これは高機動と格闘能力が売りのガンダムタイプに、ガンキャノンのような支援能力を求める必要が無くなった上、V2アサルトバスターに至るまで、背中のキャノンの破損率が高かったからである。
「あれな。砲兵代わりのガンキャノンはまだわかるけどよ、ガンダムにつける必要あるのか?」
「軍の制式採用型のガンダムには、一種のムーヴメントになってるが、破損率も高いんだと。一年戦争の時は実体弾だったけど、被弾の時の誘爆が心配されたんだと」
武装強化に、背中に固定武装をつけることは一年戦争の頃からよく見られるものだが、連邦・ジオン・ティターンズなどの勢力を問わず、破損率も高かった。手持ち式で強力な追加武装が開発されたのも、背中のキャノンの意義を低下させた理由である。ガンダムタイプは高機動も売りの一つだからだ。
「ガンキャノンかぁ。うちの陸軍が欲しがってるってよ」
「火力支援には使えるが、腕が良くないと、白兵戦でカモにされんぞ?Gキャノン(連邦軍の現有で最新の支援機)や量産型ガンキャノンが良い例だ」
「それが悩みだとさ。ガンタンク系はライン残ってないのか?」
「戦後に、過渡期のものだからって、ガンタンクⅡ以外のラインが廃止されたんだそうな。ところが、政権交代で、MS偏重になった煽りで、それも生産縮小。コンバットアーマーは戦闘ヘリコプターの後継扱いだから、戦車の後継じゃねぇし」
扶桑は日本側に軍縮をせっつかれているが、国家総力戦の最中にそれは無謀なので、戦闘車両を減らす代わりに、MSやコンバットアーマーを軽戦車の代わりに使う方策を模索中であった。M粒子などの軍事利用で、21世紀の戦場で流行っている『ドローン兵器』が使えないからで、自立型無人兵器は倫理の問題が取り沙汰されたので、これもご法度に近い。その関係で、ガンキャノンやガンタンクといった支援型MSを欲しているのだが、日本は(ノウハウが自分たちにないからと)ガンキャノンタイプの導入よりも、汎用形のジム系の大量配備を望んでいるという。これは皮肉にも、地球連邦軍の一年戦争後のドクトリンと共通しており、専用タイプの個別配備よりも、汎用性の高い機種を多く造るべしという、軍縮志向の強い政治勢力の推す財政であった。
「議会は、ジム系のゴリ押しでどうにかしろとか宣ってるが、エース機がいると、雑兵じゃ手も足も出ないことになる。人型兵器のある世界じゃ、特にそうだ。大昔の一騎打ち時代の再来みたいだろ?」
「だから、贅を尽くしたエース機が造られるのか」
「それが未来の戦争の一つの形だよ」
地球連邦軍は艦隊戦をバリバリ行う戦と、MSやコンバットアーマー、VFを主役とした機動兵器戦を同時にこなすだけの力を維持しているが、歩兵戦は20世紀末からあまり変化がない。対戦車ミサイルなどが、対人型兵器用のものに変化しただけだ。
「人型兵器使うような事態になると思うか?」
「敵は鉄を食える顎を持つが、鉄よりも頑丈な合金は破壊できない。それに、アポロガイストの出方次第じゃ、組織と一戦見えることにもなりかねない」
「二号ライダーの再改造と修復の手術は?」
「ナノマシンの入れ替えや、変身ベルトの刷新、人口筋肉の新品への取っ替えとかも含むから、ジロー(キカイダー)の助手込みでも、時間がかかるんだそうな。あと数週間で、完全に終わる見通しだそうだが……三号め」
二号ライダーは黒井響一郎にひどく叩きのめされてしまい、再改造による救命措置が取られた。つまりはネオ二号にするわけで、それにはキカイダーの力が必要であった。一号と同等の再改造を二号も受けることになる。ネオと呼ばれる再改造は、キャストオフ機構の追加など、仮面ライダーカブトのいる世界のライダーの影響も受けている他、キャストオフした後の軽装姿は初期時代のカラーリングを意識した上で、現代チックな姿になるという。
「まさか、あそこまで強いなんてな…。」
「どんだけだよ、そいつ」
「今の怪物が可愛いくらいのもんだ。キュアラブリーやキュアハートが最強形態で立ち向かっても、一瞬で戦闘不能にされた。それくらいの強さだ。仮面ライダーアマゾンが目で追えない速さで動いて、綾香さんが光速で動いても、ついてきた」
仮面ライダー三号の常軌を逸したスペックが語られ、菅野をドン引きさせる。キュアラブリーとキュアハート(歴代プリキュアでも上位の実力者)が最強形態で立ち向かって尚も、事もなげに瞬殺し、仮面ライダーアマゾンを圧倒し、二号ライダーをも半死半生に追い込んだと。奇襲という条件を除いても、ラブリーとハートの最終形態を寄せ付けなかったことは衝撃そのもの。
「多分、瞬間的な加速ができる加速装置か、カブトやディケイドみたいに、クロックアップを使えると思う。そうでなければ、黄金聖闘士の速度についてこられないはずだ」
シャーリーも、仮面ライダー三号の力に圧倒されたクチである。冗談抜きで強敵であると断言し、それに比べれば、怪物退治は遥かにやりやすいと明言する。下手な異能を圧倒する仮面ライダー型改造人間の威力に、菅野は思わず息を呑むのだった。