かくして、扶桑軍は事後承諾による緊急出動権こそ保証されたが、そのハードルが上がりすぎたため、殆どが遊兵化してしまった。警察の手に負えない案件が多いのに、無理に警察に割り振ったためで、結局は機甲部隊等の近代化に余計な費用が嵩んだ。時代的に、コンピュータ等の電子機器がないため、情報化に長い年月を必要とする試算が出されるなど、想定外が続いた。また、強大な大型怪異相手では、異能者か、スーパーロボットが必要である。日本の大衆はそんな不確定要素を含んだ扶桑の運営に興味を無くしていくが、世界を実質的にグチャグチャにした責任がある上、扶桑の富で、経済復興を成したという負い目があるため、現地への贖罪のために、日本連邦の運営をしている。政治家はそういう認識であった。
特に不味かったのは、他国籍(カールスラントやリベリオン、ブリタニアなど)の軍人などにも暴力の嵐がふりかかったからで、外交問題になるので、日本側が損をすることも多かったが、連合軍も部内のナショナリズムなどを完全に否定される形になり、士気が結果的に低下。結局は悪循環となり、連合軍は形骸化が進んだ。とはいえ、扶桑が戦後の覇権を握るであろうことは明らかであったので、協力しないわけにもいかず、各国は支援に尻込みした。下手な兵器を送れば、メタ情報でメタメタに叩かれるからで、かといって、まったく支援しなければ、扶桑人の強い恨みを買い、戦後の世界で生きる権利を失う。結局、ブリタニアは最新型のセンチュリオン巡航戦車を、自由リベリオンは各種兵器の提供をほぼ無償で提供することで、扶桑人のご機嫌を取った。ブリタニアは「赤城」を不手際で沈めているからで、センチュリオンの無償提供は『赤城』撃沈の詫び代わりであり、代替艦の建造費の負担と合わせ、扶桑への精一杯の誠意であった。
扶桑海軍も困ったのが、蒼龍型として一括管理していた四隻の空母が勘違いで退役させられそうになったからで、結局は日本側の記録通りに、翔鶴と瑞鶴は翔鶴型として正式に独立。大鳳も同型艦の中止(ただし、数隻が後で独断での竣工が判明し、組みいられる)により、翔鶴型に統合された。さらに、魔女の勝手な思い込みで、蒼龍が廃艦に追い込まれた(自爆により、修理不能の損害を負った)ことであった。結局、ダイ・アナザー・デイで鹵獲に成功したリベリオン空母をそのまま編入させざるを得なくなった。日本型空母は『艦型が細くて、近代化改修に耐えるものではない』と判定されたからだが、翔鶴と瑞鶴は新式艦載機の試験運用をするため、史実より幅が長かったというオチとなり、結局は作り変えに近い改造がなされ、ハリケーンバウの導入もなされた。そのため、新式はキティホーク級相当の大型空母に変更され、量産数も絞られることになったため、強襲揚陸艦の大型化が押し進められた。歴史的にいえば、これが後々のペガサス級強襲揚陸艦のアイデア元になるのである。それら新鋭艦の竣工と訓練の完了は1953~4年が見込まれており、短期間かつ、集中的な攻勢が計画された。これは旧来的な意味での軽空母が使い物にならなくなるとされたり、伊号型から戦後型潜水艦に建造が切り替えられた結果の混乱が収まるであろう予測がそのあたりの年であったからで、結果的に、翔鶴型の大きさでも『軽空母』と扱われる時代が到来するのである。数の不足を補うため、大型空母の搭載機に予定されたのが、F-14やF/A-18系統で、現用機水準の機体であった。そこに64Fの未来兵器を加え、短期間で集中的な攻勢をかける。それが最終的な扶桑の戦争計画であった。
Gフォースはその要としての増強が進められており、既に彼らも現用機を超越する性能の機体が多数配備済みであった。しかし、日本の防衛当局は、あ号作戦と捷一号作戦のトラウマが強く、死蔵同然にした。だが、現用機より進んだ性能の機体は1940年代の世界で解析できるはずがないという(至極当然な)外国からの指摘で、ようやく投入のお墨付きを得る事になった。地球連邦軍にとっての旧式である『フライマンタ』や『コアイージ』であろうと、1940年代の技術水準からすれば、空想の世界のような性能差を持つのだから。そんなグダグダにより、扶桑はせっかくの未来兵器の活用を邪魔されることになった。また、扶桑の将官達はメタ情報に打ちのめされ、多くが死に場所を求めるようになり、豊田副武は艦娘を含めた罵倒に耐えかね、大和型戦艦を率いての玉砕を望むような口ぶりで周囲の顰蹙を買い、山本五十六でさえ『博打打ち』と非難を浴びた。結局、扶桑の将官達、特に海軍関係者は死に場所を求める様になった関係で旗艦を(言い訳が立つように)戦艦に置き続け、日本の大衆も東郷平八郎の再来を望んだため、戦艦での連合艦隊司令長官の出撃が尊ばれた。半ば儀礼化していたが、日本海開戦を経ていないはずの世界線の彼らに、その亡霊のような思想を強いるのは、ある意味で『東郷平八郎の残した呪い』と言えた。
そんなこんなで、日本連邦は戦艦を旗艦として活用することが続いた。史実よりも強大な艦艇が敵にいる世界線となった扶桑の都合も大きかったが、次元ゲートを通るリベリオン艦隊を『見て見ぬふり』せねばならぬ海保の嘆願も大きかった。モンタナ級戦艦やアイオワ級戦艦が徒党を組んでやってくるのでは、海保の巡視船は笹舟も同然だからだった。超大和型戦艦は『大和と互角の戦艦が量産されてしまった』世界線故に、その存在を許され、結果的に21世紀世界でも、軍事的抑止力となった。53cm砲という、史実よりも強力な砲を備えた艦であれば、現代艦はブリキのおもちゃも同然に粉砕されるからである。皮肉なことだが、大艦巨砲が高額化の進んだ誘導兵器や艦載機よりは安価とされる時代が到来したからで、核兵器が事実上のご法度な日本連邦には都合の良い兵器であったのだ(絶大な火力が保証されている上、砲艦外交に使えるので)。その一方で、戦艦武蔵は不祥事がもととはいえ、連合艦隊旗艦に戻る事はなく、その現役期間を通し、前線で使い倒される消耗品同然の生涯となったが、史実を思えば、却って幸せだろうとされた。それは史実の大和型戦艦の悲運が理由であった。
水戸型はそんな思惑のもとに生み出された。『戦艦に、ステルスもクソもあるか!』な理由で、ストレートに大和型戦艦の艦影を引き継いでいる。これは戦艦は大型である故に、艦型でステルスを備えたとしても、整備で却って手間がかかるから、という身も蓋もないもので、ズムウォルト級ミサイル駆逐艦の失敗による教訓であった。また、消耗品同然に酷使された大和と武蔵の代替の意図もあった。その政治的な思惑も、デザイン性が重視された理由である。とはいえ、近代化改修後の大和型戦艦の艦橋デザインは宇宙戦艦ヤマトそのものであるため、ある意味、宇宙戦艦ヤマトの招来における建造を決定づけるほどのインパクトがあった。これは史実から桁違いの出力を叩き出せる機関が搭載されている故で、結局、戦艦は政治の駆け引きに使われたのである。
カールスラントの失墜により、失意のうちに職を去った軍人は多い。エディタ・ノイマンは大佐待遇で退役したものの、文化財軽視の発言で日本の官僚の怒りを買い、顎を砕かれ、歯は何本もへし折られ、肋骨の複雑骨折の重傷を負わせられ、殴打の結果、片目の視力が大きく低下。更に鬱病を患った末の退役であった。その名誉は(マルセイユの尽力で)回復されたが、退役後は軍との縁を殆ど断った生活を送ったという(数十年後、視力がある程度は回復したとして、飛行クラブには復帰したという)。このショックで、軍人が次々と失脚する出来事が続いたため、軍人の社会的地位は大きく低下した。その一方で、戦線の維持に貢献している異能者らは『英雄』と扱われ、社会的な特権を特例的に付与され、実質的に勝ち組として扱われた。それまで『はみ出し者』扱いされていたのが、戦局の悪化で英雄扱いにされたわけだ。軍部の中堅の魔女達は猛反対したが、元から事変の英雄である+現在でも戦闘能力を保っているため、古参は賛成し、彼女らは政治的に孤立。結果的に、せめてもの意思表示として、戦場での名誉の戦死を選ぶことになる。この流れで、継承されてきたノウハウの断絶が発生。それも、第二世代ユニットの配備計画を破綻させ、異能者の早急な負担軽減策の頓挫に繋がった。同時に、『日本人を怒らせたら、すべてを奪われて、社会的に再起不能にされる』という噂が広まったのも、扶桑があれこれの軍事的苦労を強いられることになる理由であった。日本があれこれの手段で、カールスラントを実質的な破滅に追い込んだことが、他国を震え上がらせたわけだが、日本としては(バブル崩壊以降は金づる扱いが続いた事から)国際組織の権威で仕返ししようとしただけだが、カールスラントは(疎開中であったということもあり)民族自体も空中分解も同然に追い込まれ、存続の危機にまで追い詰められた。この流れが連合国の構成国を恐怖のどん底に追い込んだのは否めなかったが、戦争が日本連邦有利で終わった後、その旨味を味わえなければ?その恐怖が、皮肉なことに、連合国の統制が保たれる理由であった。利敵行為があれば、大都市を一瞬で消せる爆弾が空から降り注ぐ。ティターンズがアトミックバズーカで以て示した『熱核兵器の圧倒的破壊力』は、連合国とティターンズ陣営の双方の統制を守るような心理的圧力になっていたわけで、それも、ティターンズの最高幹部らの思惑通りであった。
キュアプレシャスの来訪は、それを見込んだ山南修提督の意向であった。宇宙艦隊戦では、プリキュア達はあまり戦局に寄与出来ない。乗り物の技能が必須だし、いくらプリキュアといえど、宇宙を駆ける大戦艦と正面切って戦える力は殆どない(ただし、宇宙での活動は可能である)。その事もあり、一番若いキュアプレシャスを魔女の世界へ送り込んだというわけである。プレシャスは艦隊戦が本格化する前に、コスモハウンド(試作の重爆/探査機)で送り込まれたのである。
「若いガキを送り込んできたのか、提督は」
「2020年代のプリキュアだから、かなり若いな。あんたよりずいぶん下だ」
「マジかよ。2011年に14歳だから、前世は……あたしゃ、前世は1997年前後。そいつは…あー~考えたくねー…」
流石に、2000年代後半生まれがプリキュアになる時代のプリキュアとなれば、初期世代のプリキュアは『オバハン』扱いにされかねないため、そこに愚痴るシャーリー。口調等は北条響時代の穏やかなものではなく、紅月カレン時代に近めのガサツなものなので、現役時の大人しめキャラではないのも、しょげる理由だろう。
「私は事情を説明してもらってるが、そもそもが人間にものすごく近い種族(亜人)で、さらに言えば、競馬の馬がヒトに近い体を得たようなものだぞ?おまけに、プリキュア変身者の体を、ドラえもんの道具で借りてる身だ」
「それなー。お前の種族の仕組み、ようわからんよなぁ。レースで全力を出せるのは、せいぜい数年で、史実で悲運の馬だった場合は、そのタイミングで衰えが始まるんだし」
「だから、私と従姉のタイシンはそれに抗おうとしてるんだ。このままいけば、どいつもこいつも、サンデーサイレンスの血がどこかで入っとる連中になっちまうしな」
ブライアンのいう通り、2020年代になると、外国から新規の種牡馬を入れてはいるが、日本のエリート馬の八割方はサンデーサイレンス系の血をどこかで受け継ぐ場合が多い。キングカメハメハやクロフネの子孫であっても、ディープインパクトか、そのライバルのハーツクライの血がどこかで混ざる者も多い。それが史実であろうと、抗う。それが非サンデーサイレンス系の馬を前世に持つ者の最後の意地と言えた。
「その下地作りねぇ」
「荒療治が必要だからな」
と、言いつつも、子供の頃の願望の一つを合法的に叶える手段であったのも事実なので、なんだかんだで、絶頂期に比すると、精神的に穏やかなところが増えているブライアン。これは未来世界の超医学の力で以て、姉の脚が完治し、姉・ハヤヒデの正式な引退前に『最後のレース』ができるようになったという朗報により、精神的な重荷から解放されたからで、本来の優しい気性が表に出始めている証拠と言えた。その優しいところは現役時代ののぞみとよく似ており、それも入れ替わりの結果の良好さに繋がっていた。
「で、今度の仕事が終わったら、どうするんだ?」
「マジカルと、そのガキと合流して、のび太に報告だ。表・裏の両方の仕事で来てるそうだ。……のび太のヤツ、趣味人してんなー……見ろ、あいつからのメールだ」
「アルファロメオ・6C1750・グランスポルトだと?ルパン三世か?」
「スネ夫の親類に養子に行った弟の会社経由で、手に入れたんだろう。あいつ、大人になってからは、趣味でレースにも出てるしな。この世界で違和感無く乗れる車ってことで、用意したんだろう。つか、わかるのか?」
「ルドルフの家に招かれた事があるが、そこの車庫で飾られていたのを見たことがある。副会長になりたての頃だったな」
「まぁ、お前のいる時代じゃ、実用というよりは、ショーケースに飾るような代物だしな」
と、大人のび太が送ってきたメールに写る、古めかしいフォルムの車を知っていたブライアン。人並みにアニメは見ていたというように、ルパン三世の愛車を記憶していることを口にする。
「この時代に、戦後のスーパーカーをこれみよがしに乗り回すわけにもいかんだろうし、かといって、彼はスイーパーの仕事を黙認されてる立場だから、マッハ号やボンドカーのような、映画さながらの秘密メカ持ちの車を造らせればいいんだろうが、21世紀の法律では、そんな改造は出来んだろうから、こういう車にしたんだろう」
「銃はリボルバー好きだけど、この世界だと、ワルサーP38が調達しやすいとか言ってたな。本土が堕ちて、カールスラント軍があっちこっちに散らばった時に、部隊ごとマフィアに堕ちた連中も多いからな。その時にばら撒かれたんだろうなぁ」
「史実だと、P38は戦中だけで、約120万挺はあったはずだ。この世界だと、早期にベルリンが落ちて、ペルーで生産されたモデルが出回ってるだろうが、戦時生産で、仕上げが悪いはずだから、質は全体的に悪いはずだな?」
「おう。だから、古参は本土の陥落前のモデルを好んでる。工場から直接受け取ったヤツも多いそうだ」
魔女の世界では、カールスラント軍が本土陥落で潰走する際に、あちらこちらに軍需物資を放棄していったためか、ワルサーP38やワルサーPPKなどの軍用仕様が容易に手に入れられるほどに流通していた。日本連邦、とりわけ日本はそれを規制しようとしたが、扶桑は(戦前の大日本帝国と同じように)銃器を比較的容易に買えるし、所持できる環境であったし、怪異の存在で、護身用に持つ者が多かった。日本の警察庁の都合だけで規制できる環境になかったのだ。警察庁は扶桑の銃規制に躍起になったが、そういう指針を力説している時に限って、日本で深刻な獣害が起こる始末であったため、結局、いずれは『厳し目の許可制に移行させる』ことを取り決めさせるのが精一杯の成果であった。その関係上、ワルサーP38は扶桑では(一般人でも)簡単に持てる銃として認知されており、のび太も裏の仕事で使う機会が多いという。
「扶桑の環境を理解してるのか?ドラえもんの世界の日本は」
「上の連中は駄目だな。現場が頑張ってんのを潰して来やがる。まぁ、政治家と官僚の古株には、戦後の成功体験を神聖視してるアホも多いからな。同じ民族だから、頭ごなしにこうだって指導するべきだってのは、西洋が植民地にしてた行いと同レベルだってのに」
「いるんだよな、そういうの。若い連中で言えば、体育会系がアニオタを何世代も馬鹿にしてきたとかあるが、そういう陽キャぶってた奴らに限って、大人になった途端に、身の毛もよだつような重大犯罪を起こしたりする。オタクも全員が健全じゃないが、分をわきまえてる。うちのアグネスデジタルもそうだ」
「アニオリなのか?」
「幅広なジャンルに手を出してる。そのくせ、レースでイカれた成績を叩き出してるから、不思議がられてる。ストイックに打ち込んでも、伸び悩むのは普通にあるのに、あいつは同人イベントに顔出ししまくってるくせに、バカげた強さなんだよ」
アグネスデジタルの興味は幅広いジャンルにあるので、同人イベントでもよく顔が見られる。だが、本業がいい加減になっているわけではなく、安田記念、マイルチャンピオンシップ、天皇賞・秋を普通に勝利するなど、相当な実力者である。
「ライフルの扱いとかを聞いてみたら、近くにいたシンボリクリスエスと一緒に解説してくれたよ。クリスエスの奴は射撃競技をしているからな」
シンボリクリスエスは意外にも、射撃が上手いが、口下手+寡黙であるため、近くにいたアグネスデジタルが掻い摘まんでの解説に尽力したという。時代的に、ワルサーP38は『戦前の製造個体を探せ』とも。敗戦国の兵器は戦前~開戦の年のものは製造精度がいいが、戦時中のものになると、所定の精度を満たしていなくても、数合わせで納入される傾向が古今東西で当たり前。ジオン公国軍でも、オッゴの回転機構が動作しない個体がいたり、ゲルググのビームライフルが試射で爆発したりしたともいうので、シンボリクリスエスがそう注意したのも当たり前である。日本が扶桑製兵器の製造精度を宛にせず、クレームをつけまくったのは、自分達が実際にそれで、無惨な敗北を喫した経験があるからで、結局、連合軍を大混乱に陥れるだけであった。そして、世界規模で既存の軍需産業を衰退に追い込んだ事は各国からも大顰蹙を買う事になったため、結局は扶桑の国営工廠を廃止できなくなるなど、どうにも失敗のほうが多い日本だが、現場の超人的努力で均衡が保たれているといってよく、日本の民需/警察優先の思考が現地に与えた悪影響の尻拭いを、アナハイム・エレクトロニクス社などが行っているといってよく、その利益により、アナハイム・エレクトロニクス社の軍需部門の業績は再び上向き始めている。同時に、ブッホ・コンツェルンやザンスカール帝国との密約がバレたサナリィは衰退期に突入している。
「で、のび太さんは来るのか」
「お、来た来た」
アルファロメオ・6C1750・グランスポルトの車影が見えてきた。赤いジャケットを着ているのもあり、ますます『ルパン三世』味のある姿である。違うのは、ルパン三世(平時)のようなおちゃらけさを醸し出していないところか。
「やぁ」
「ずいぶんと、ルパン三世味のある姿だな?」
「大学時代の友人に、コスプレ大会に出てくれって言われてね。そこから、そのまま来たのさ。財団の仕事もブッキングしちゃったから、着替える暇もなくて」
と、コスプレじみた服装を言い訳しつつ、一同を乗せて、車を発進させる。
「ナオちゃん(菅野)は?」
「あたしらより先に行かせた。仕事を広報にせっつかれてたからな。調に面倒は頼んである」
と、のび太にぼやくシャーリー。プリキュア(キュアメロディ)の姿ながら、やっている事は普段通りであるが、それも、現役時代のキャラをするには『猫かぶり』しないとならない事情もある故で、本人とのキャラの差を気にしないブライアンと違い、シャーリーは(一応程度だが)現役時代のキャラと現在の自分の違いを気にしているようである。オープンカーではあるが、新京であろうと、近世期以来の大八車が普通に大通りを走るような時代であるので、ある程度の速度で走る自動車を気にする者は扶桑人にはいない。一同は地下街の出口からほど近いところにある、陸軍の駐屯地(広報部の要請があった駐屯地)へ向かい、広報部からの仕事を片付けることにした。