――プリキュア達は死後、その少なからずが神々に惜しまれ、能力を有したままで転生していたケースが続出していた。神々の意向か、ある一定の近接世界に一定数が集められていた。ドラえもんとのび太は『種蒔く者』(神々の使者)から、ある時期にそのような話を聞かされており、それが確信に変わったのは、のび太がことはと出会った後の事であった。のぞみは遠征前の休暇で、少年のび太からそのことを聞かされ、黒江が『自分でプリキュアになろうともしていた』ことも知る事になった――
「先輩、ノリいいんだね」
「あの人は生来、ノリの良い人だからね。そうでなきゃ、自衛官として潜り込む時、現代人をぬけぬけと演じられるわけがないって。あと三年もたちゃ、空自の将校になるはずだし」
「先輩、それでカミングアウトした後に出世コースに?」
「密約を結んでたからね、扶桑と自衛隊。大人のぼく曰く、カミングアウトした後、その時点での年齢がとんでもない事になるから、退役させちまえって動きもあったそうな。だけど、見かけがどう見ても10代の末頃だし、戸籍上も22歳くらいだって通達があったんで、年齢のことは不問になった。一応は正規の手順で就職したから、政治の都合だけでやめさせるわけにもいかなかったし」
「それで年齢の割に早く昇進?」
「かの加藤隼戦闘隊の重鎮だった名パイロットの同位体だし、その人が過去に空自の将官になってたからだよ。で、バリバリに実戦経験がある。空自からすりゃ、是非がでも欲しい逸材さ」
とはいえ、旧軍人相当の存在であったので、革新政権が生まれると、途端に疎んじられ、統幕入りを土壇場で阻止された。だが、2011年以降に日本連邦の実現が見えてくると、掌を返して仲介役に仕立てあげ、空将に任ずるという行為でご機嫌とりを取った。革新政権が倒れると、今度は『最年少の将官』として宣伝に使うので、黒江も流石に、掌返しの連続にうんざりしたと述べている。(なお、黒江を疎んじたのは『旧軍人を能無しと嫌う、警察組織から出向の官僚たち』であり、彼らは日本連邦の時代の到来とともに、防衛省内での勢力が一気に没落していったが)
「で、警察系は今頃に正木警視監の言ってた事が20年後に起こった時に、なんて言うと思う?こんなはずじゃなかったって」
「……アホなの?」
「20年後に管理職になる人達は哀れな事になるよ。街の治安は君たちやヒーロー達に頼るし、自警団が空中戦やらかすようになるんだから」
2010年代末の混沌はこの時代(2000年前後)の若手が管理職として体験し、上の世代の無策を批判する事になる。自警団がカールスラント軍崩れの送り込む航空部隊を自主的に迎撃するようになるなど、この当時からは想像だもできない事だが、学園都市の統治機構の突然の解体がそれを実現させてしまうのである。軽装備しかないススキヶ原警察では、当然だが、学園都市の暗部崩れが持ち込む重装備には対抗できない。その衝撃はこの当時に若手であった層が上層部であった層を罵る事に繋がり、プリキュア達にススキヶ原の治安維持の委託が本気で検討されるに至るという。
「ん?何見てるの?」
「ああ、大人のぼくからのメール。コズミック・イラ世界から、ガンダムを預かる事になるから、ドラえもんに言って、アナハイム・エレクトロニクスのエンジニアを呼んでくれって」
「アナハイム・エレクトロニクスに?」
「うん。こっちの技術で改修したいんだってさ、先方が。どうやら、高出力の核融合反応炉と完成されたサイコミュが欲しいんだろうね」
「そうか、あの世界、旧式のレーザー核融合炉もまだ普及してないんだっけ」
「うん。核分裂炉の限界まで出力を上げてる物を使ってる。だから、核融合反応炉が欲しいんだろうね。メンテも容易い、ね」
「だろうね」
コズミック・イラ歴は部分的に流れたドラえもん世界の技術情報で技術革新が促進されたため、驚異的に技術進歩がなされていたが、エンジン出力の限界による性能向上の頭打ちが問題になっており、そこでMS自体の小型化すらなし得た地球連邦に助力を請うたのである。また、PS装甲万能論がまかり通る世界なので、従来式の装甲金属の精錬技術の発達がが停滞しているのも大きいだろう。単純な出力自体は大きいが、武装その他に回すパワーを考えると、核分裂炉では限界があるのだ。
「そうそう。大人のぼくが君の面接にあたった奴を調べたよ。バリバリに思想持ちなのを隠して、官僚してたみたいだね。君が旧軍人相当だってんで、本音が出たんだろう。上司だった奴に、大人のぼくが扶桑の高官の意向を伝えたら、上司は自己保身に終始してて、ぼくが埒が明かないとか切れて、事務次官を呼び出せってなって、偶然に通りがかった大臣が事の次第を知って、そいつを怒鳴りまくる珍事になったって。無論、大臣に監督責任取らされて、そいつも自主退職」
「わーお」
「勅諭を破るなんて、君、昔の中国なら、一族郎党が皆殺しだよ。日本でも、家族ともどもに満州か、樺太送りだよ。現代日本だから、クビになる程度で済んだんだ」
「言えてる」
「だから、君は2020年位になると、現代日本で立派な一軒家が買えるくらいの金額の補償金がもらえるわけ」
「それで危険手当も増額?」
「下手な将官より多いって。日本は一将校に……って渋ったみたいだけどね」
「やれやれ」
「財務省を説得させるのに、年単位の時間がいたみたいだ。扶桑を見下すのも多いからね。だけど、扶桑と戦争になれば、内戦扱いで米軍が動かない事が懸念されたし、現代のイージス艦は所詮、大きい駆逐艦だしね」
戦艦大和と武蔵がイージス艦と同等の近代装備を備えた場合、現代艦艇では難攻不落になる。それは既に知られていた。砲撃戦では絶対に勝てないし、21世紀のミサイルは昔のロケット兵器のように、飽和射撃ができるものではない。魚雷も一、二発ではびくともしないのだ。
「大和と武蔵が怖いの?」
「世界最強を自負してた、日本の造船科学の最高傑作だよ?東京の都市部は確実に火の海に変えられるからね。現代の航空戦力に、あの二隻の装甲を破れる保証はないし」
戦艦の重装甲を戦後の兵器は殆ど想定していないので、魚雷を封じられた場合、効果の保証できない航空攻撃に頼るしかない。更に言えば、戦後の対艦ミサイルは戦艦の重要部の装甲を破壊できない。その重大な事実が日本政府に扶桑との戦争の不利を悟らせた。更に、その大和をも凌ぐ超戦艦がバーンと登場していたので、日本政府は『扶桑を刺激するな!』と全省庁に極秘通達を発したのだが、その矢先の事件であったとの事。
「つまり、日本は播磨に超絶的にビビったわけよ。史実だと、砲の試作段階止まりだった『51cm砲』を三連装で四基以上、装甲は最低でも、450ミリを有に超えるんだから。それで『扶桑を刺激するな』って。だけど、君の事件がその矢先に起こった。つまり、日本は君がプリキュア戦士であった事、扶桑の海軍力に怯えたわけ」
「戦艦の威力、すごいねぇ……」
「大和の更に強化型。それだけで、二次大戦までの海軍をかじった人ならびびるよ。しかも、史実の難点だった旧式の水中防御やリベット作りでもないとくれば……」
51cm砲は砲身命数の都合で『実用的な砲ではない』と揶揄されていたが、未来技術入りというのが効いたのである。『宇宙戦艦ヤマトの技術を使っている』。そのインパクトは『宇宙戦艦ヤマトと我々とでは、コロンブスとインディアンのようなものだ』と海自の関係者が泣くレベルであるほどだ。その威力が日本が扶桑に精神的に屈する理由となった。
「それと、その時代には、君はプリキュアの中でも指折りの人気者だ。しかも、軍を辞めようとしてたのを個人的見解、しかも、ものすごい偏見で扶桑の功ある軍人を差別したとあれば、内閣そのものが倒れるスキャンダルになりかねない。だから、文科省は事件の発覚後、徹底的に思想調査が行われて、左遷の嵐が吹き荒れた」
少年のび太の言うように、扶桑はその世界の列強の高位に位置する国であり、黒江たちのような『異能者』を素で輩出してきている。その事も、扶桑が日本を占領する事態となるのを恐れ、全省庁を強く統制した理由であった。21世紀の軍隊と警察には、1000万近くの人数の扶桑軍と事を起こせるだけの物量はないのだ。
「日本は三自衛隊と海保、警察を入れても、50万もいかない。でも、扶桑は陸軍だけで、有に500万人以上の兵力。一回の会戦で陸自の全戦力以上を動員できる上、砲火力は史実の10倍近くとくりゃ……誰だって、戦争したくないって」
「確かにね」
「扶桑は史実より大卒が多い。つまり、機甲戦力や航空戦力が多少なりともマシってことだ。エンジニアが多いことでもあるし、国力がマシなら、稼働率も上だからね」
扶桑は大日本帝国の火の玉精神と近代科学を使いこなせるだけの国力を兼ね備えた国である。それを理解した者たちは『扶桑をうまく使って、日本経済を潤す』という事を思いつき、実際にうまくいった。『同じ民族なのだから、細かな常識の違い以外は問題を起こさない』という利点により、移民受け入れもスムーズになるだろう。むしろ、日本のほうが現状での『トラブルメーカー』なのだ。
「むしろ、扶桑は通商破壊を前提にして、戦闘の訓練をすれば、リベリオンに負けない戦争ができる国だよ。日本はそれに気づくのが遅かった。内部の意識さえ変えれば、ちゃんと総力戦ができるって事を」
それは少年のび太でさえも、容易にわかる事だが、日本の官僚は強い色眼鏡で見てしまうので、無用なトラブルを引き起こすのである。
「あの坂本少佐も転生を一度したからこそ、ゼロ戦フェチから脱却したしね。今の言動は半分くらいは同期へのポーズだと言ってた」
「あ、やっぱり?」
「うん。大人のぼくから聞いたんだけど、話半分に思ってくれって言ってたそうな」
坂本美緒も(テストパイロットの経歴があるので)格闘戦至上主義のような口ぶりを同期へは漏らしていたが、それは『同期へのご機嫌取り』であると明言していたとの事。実際の坂本は1942年頃には一撃離脱戦法にシフトし、それを引退までしていたのだから。
「大がかりだなぁ」
「綾香さんに負い目があるから、坂本少佐はミーナ中佐の愛情に応えなかったんだよな。それに、あの人には百合の趣味はない。坂本少佐はそれで困ったんだ」
「で、結果的にああなった?」
「綾香さんたちへの冷遇は度を越してた。エーリカさんが失望するほどだよ?中佐は入れ込んだ相手のことになると、視野狭窄に陥るみたいだ。あの世界、男性の恋人に死なれた魔女にはよくあることだっていうけど……あんな立場の人がねぇ……。上手くやれば、戦功第一とされただろうに」
ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケの一件は公私混同が強く出ていたこともあったが、時代的に『同性愛』は市民権を持っていないので、当事者たちは『過労による精神的疲弊の末の錯乱』との体裁を軍ぐるみで整え、更に(覚醒した)別人格ののまほに『謝罪会見での謝罪』をやらせ、事の早期収束を図った。扶桑の国民性からして、大使館焼き討ちは充分にありえたからだった。既に、ブリタニアの駐扶大使が(史実の重巡高雄の最期が伝わったために)義憤に駆られた元乗員の男に斬られ、奇跡的に命は助かったが、重傷を負う事件が起こってしまっていたので、公表を『全てが済んだ後』にしたのである。
「うん。先輩も『私情が絡まない局面では、話がわかるのに』って嘆いてたよ。まぁ、査問の時に味方しなかった事がとどめだろうな。坂本先輩は知ってるのか、否か…」
「分かってると思うよ。百合が理解できないだけで」
「うーん。同性愛は難しいからね」
「うん。坂本少佐は分かってたほうだけどね。あの時代の人たちの中じゃ。だから、将軍に報告したんだよ」
事に『強い同性愛が絡む』ことは報告されたが、ロンメル将軍の意向で闇に葬られた事が伝えられる。1940年代当時(史実よりはだいぶ同性愛への理解がある世界だが)の同性愛への認識度を考慮した結果であった。外交問題になりかけた事の傷を更に広げるような事実は葬るしかないのだ。
「で、将軍は闇に葬ったってのが、あの出来事の顛末?」
「そうなる。君の事件への対処が早かったのは、その教訓の成果らしいよ」
「そっか……」
「あ、またメールだ。何々、数が増えたって?見てくれ」
「どれどれ」
少年のび太がキュアドリームにメールを見せる。そこには、『地球連邦軍の統合参謀本部からの要請で、コズミック・イラ世界からの転移者から接収していたものに加えて、オーブ首長国連邦からの正式な依頼品も改修リスト入りした』と書かれており、コズミック・イラ世界の動乱で活躍したガンダムたちの多くがリストに加えられていた事が記されており、保管先の『コンペイトウ』(旧ソロモン)からギアナ高地に運び込まれた後に野比家に一時的に置かれるとのこと。
「連邦直轄の工廠でやんないんだ」
「グリプス戦役の後、工廠の殆どが閉鎖されたからね。アナハイム・エレクトロニクスにやらせたほうが、『早くて安い』んだろう」
コンペイトウで修理の後に、技術調査が行われていた『コズミック・イラのガンダム』たちは(オーブ首長国連邦の依頼で)アナハイム・エレクトロニクスが正式に同社の規格で改修を施す事となった。これは『地球連邦の指導で、勢力間のいざこざを超えた相互安全保障を実現させる』という事を志向し、そのための力を求めたからである。元々、コズミック・イラ歴世界側に所有権のあったガンダムたちを『その組織の管理に移管させたい』というのがオーブの見解であり、意向であった。また、コズミック・イラ歴の世界の争いは小競り合いが大戦に発展する要素が山積しており、それを鎮める『絶対的な力』が求められたからだ。
「あの世界のMSは超伝導バッテリーと小型化された原子炉の双方で動いてるからね。ハイエンドモデルには原子炉。だけど、動力に根本的な進歩がない。だけど、こっちの核融合炉は第三世代型になってきてる。それでだろうね」
コズミック・イラ世界の指導者の一人『カガリ・ユラ・アスハ』が未来世界の第三世代型核融合炉の力を欲した事は容易に推察できる。実際、コズミック・イラ歴純正のMS達は二度の連邦の介入の際、地球連邦の量産機にさえ蹂躙され、ハイエンドモデルに至っては『有象無象のように全てが蹴散らされた』からだ。だが、コズミック・イラ歴の技術は『全備重量が70トン超えの機体を飛翔させる』など、未来世界の技術陣も唸る物があり、今回の改修は『利害の一致』であった。要するに、コズミック・イラ世界は『機体の小型化に至るほどに熟成された技術を得られる』、未来世界も『コズミック・イラの摩訶不思議な効率の推進剤技術が得られる』という旨味があったのである。
「バッテリーはいくら対策しても、経年劣化は避けられないし、新技術のバッテリーができれば、旧型は不良在庫になるもんね」
「バッテリーで動くものの宿命さ。だから、メンテフリーに近い動力が欲しいんだろうね。未来世界の核融合炉は10年使おうとも、普通に動くし」
「で、新造機も?」
「公には、オーブのモルゲンレーテ社の製造ってするつもりみたい」
コズミック・イラの二度目の大戦は地球連邦の調停により、最終的な幕を閉じた。だが、突如として介入されたことへの悪感情が連合・プラントの双方に存在するため、それを叩き潰せる存在が必要であった。そのために、オーブ首長国連邦は地球連邦の超技術を求めたのだろう。
「大人のぼくがアナハイム・エレクトロニクスのフォン・ブラウン工場を提供して、そこであらかたの作業を行うみたいだ」
「地球連邦の技術で何が必要なの、先方は」
「ガンダリウム合金とかの軽量超合金だろうね。向こうのMSは全備重量が平均で100トンに近い。だけど、未来世界のはそんなの滅多にいないじゃん?」
「確かに
「向こうも、やろうと思えば、できるはずだけどね。ガンダリウム……いや、ルナチタニウムの製造」
ルナチタニウムの精錬は難度が高いわけではない技術だが、フェイズシフト装甲万能論がまかり通る『コズミック・イラ』では装甲技術の停滞を招いていたためと、月面が勢力争いの場であるので、ガンダリウム合金(ルナチタニウム合金)を開発できない環境にあった。それもあり、フェイズシフト装甲依存が強まっているのだろう。
「ガンダリウム合金は物理攻撃には強いからね。対ビームはIフィールドがあるし。コズミック・イラの兵士たちは、V2アサルトバスターが戦艦の艦砲も平気で跳ね返してくるのに、出すもん全部出したそうな」
「あれは未来世界のMSでも、最高位級のバケモノだしなぁ。サイコミュがないだけで」
「ユニコーンガンダム系統なんか見たら、失神するんじゃない?」
「デストロイモード、ニュータイプでも察知が困難だしね」
未来世界のガンダムの力はコズミック・イラ歴のあらゆる機体を超越している。V2の圧倒的高性能とウッソ・エヴィンの技能は(シン・アスカらの抜けた)プラントの殆どの部隊を意に介さず、地球連合軍の艦隊に光の翼で大穴を開け、通り道扱いするほどであった。更に言えば、ルナツーの部隊には『一年戦争からの動乱を全て潜り抜けてきた古参兵』も多くおり、コズミック・イラの未熟なパイロットらを弄んだ。彼らの功績も大きい。
「それと、コズミック・イラはOSの完成度がバラバラだから、未来世界の完成されたOSが欲しいんだよ」
「あー……子供の頃、アニメで見たような……」
「あれだよ。未来世界のOSはジオンと連邦が産んで、色んな勢力が手を加えて、完成した。だから、一般人がモビルスーツ乗っても、まともに戦える。マニュアル操作でね。まぁ、ガンダムはピーキーな特性だけど」
コズミック・イラ歴の勢力が真に欲しいのは、どんなエースパイロットの要求にも不足なく応え、なおかつ簡単な操作で済む』ように完成された『MSの制御システム』であった。(キラ・ヤマトの事例がそうであるように、コズミック・イラ歴では、OSのパラメータ調整で局地戦に対応するなどしていたが、未来世界のガンダムはその必要がない)アナハイム・エレクトロニクスが連邦とジオンの双方の軍需産業を統合・再編していたからこその成果だ。
「基本はユニバーサル規格だもんな、アナハイム・エレクトロニクスの」
「うん。それって、すごいことなんだけどね」
「なにせ、デザリアムの時にトリントンを襲った『イフリート』からして、すごい動きだったもんね。しかも一年戦争からソフトウェアのアップデートしてんのか怪しいくらいの状況だってのに…」
「あいつ、ツイン・ビーム・スピアを避けたっていうしね。君、どうやって戦ったのさ」
「ヒートダートを弾いてやって、ハイパービームソードで追い立てた。奴さん、最新のガンダムが来るとは思ってもなかったみたいで、すぐに退いていった。あのイフリート、手練だったよ」
そのイフリートのパイロットが実は一年戦争時の連邦の脱走兵で、純粋なジオン残党ではなかった事、連邦だのジオンだの言ってられなくなる時代の到来を肌で感じ、その後は機体と共に傭兵に転じた(地上のジオン残党が活動を終えていく時代がきたため)のを知るのは、もう少し後の事。また、イフリートをしても、最新の『ガンダリウムε』は破壊できない事が示された。また、(性能に助けられたとはいえ)プリキュアとしての経験を活かし、MS戦に応用するようになってきた事を明確に口にする、キュアドリーム。
「んじゃ、君が?」
「追い返した。近接武器を失ったイフリートはカカシだし、最新鋭のガンダムと丸腰でやり合うほど、愚かなパイロットじゃなかったからね」
ガンダムダブルエックスの威力に助けられたとはいえ、量産機の装甲をたやすく突き破れる『ヒートダート』を弾き飛ばし、ハイパービームソードで反撃を加えられたのは、素体の中島錦が持っていた近接戦闘のカンが働いたのだろう。のび太も、のぞみ自身もそう考えている。
「近接戦闘なら、お手の物だ。イフリート相手でも…」
「君、明らかに近接戦闘は素で手練だもんなぁ」
「戦い続ける内に、体が覚えたんだよね。まぁ、MSの場合は鍛えられたおかげだけど」
「ガンダム使える時点で、エース扱いされてるしね、君」
「にゃはは……」
近接戦闘のカンは歴代でも高位に位置するため、MS戦でも格闘に(愛機の性能もあるが)少しづつ強くなってきており、この時点では、精鋭のロンド・ベルの中でも『若手の有望株』扱いになったらしい。
「君、歴代で最初に剣で戦った中心戦士だしなぁ」
「うぅ。あの時は、その場の勢いで戦ったんだって」
「その割に、手練としか思えない動きだったよね。大人のぼくから映像送られてきたから見たけど……」
それはドリームが初めて『シャイニングドリーム』になった出来事の事。少年のび太は大人の自分自身から送られた映像データでそれを確認したらしい。生身での技能が機動兵器(モビルファイターでない)での戦闘に活かせるのかという議論があったが、コズミック・イラなどからのデータがその有効性を本格的に実証した。また、コズミック・イラの世界側も(未来世界の技術データを見て)『将来的に、ビーム兵器を無効化する装甲が出るかも知れない』という強迫観念を持つようになり、強力な実体剣の開発を続けていく。スーパーロボットらの剣に触発されたかは定かではないが、コズミック・イラでは、オプション装備に『対艦刀』が以後も定着していくのである。