ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第二百七十二話「セクシー・アドベンチャー 5」

かくして、扶桑の軍事力の少なからずは張子の虎状態であったが、他国が問題外の超兵器で陣容を一新させつつあった。戦艦水戸の恐ろしいところは『量産品』であるところである。対外的には戦艦長門の代替艦として発表されているが、実際は紀伊型や伊勢型以前の艦艇も代替の対象に入っている。他国が怪異戦で艦艇を消耗したり、内戦で使い物にならなくしたためである。同型二番艦『備後』は64Fが怪物退治に入った日に、南洋にて竣工。直ちに第一戦隊に配備された。これにより、大和の数年以内の退役と代替艦の建造が認められた。M動乱での深刻な被弾を原因にした損傷が内部構造に蓄積していたからである。退役は1950年代前半期の四月と定められた。これは史実で撃沈された月である。日本の市民団体による暴虐で、自由リベリオンなどの爆撃機部隊の士気はどん底に陥っており、まるで使い物にならないため、日本連邦はやむなく、手持ちの大艦巨砲に海上防衛を依存。旧来式の戦略爆撃機自体が政治的に『使いにくい』兵器に変貌してしまう中、戦艦が『戦艦の時代じゃないから』という認識のもとで使い倒される姿は『大艦巨砲主義の再来』と大衆に認識されるには充分な材料であった。

 

 

 

 

 

 

 

結局、防空網と対潜網の近代化で、航空兵器や潜水艦よりも、旧式化の進んでいた水上艦艇の取り替えが急務とされた扶桑は、カテゴリ自体が陳腐化していた軽巡洋艦の廃止(開発停止)と、重巡の大型・重装甲化を推進させる手法で、戦艦以外の艦艇の近代化を図った。駆逐艦は普通に戦後型に製造するものを切り替えればいいからだ。問題は旧式化した艦艇の処理で、劣化の激しいものは船体のみが防波堤にされたりした。海援隊が連合艦隊に組み込まれた関係で、その再利用が中止されたからで、ある意味では非難を浴びることになったが、通商護衛に新鋭装備を回すことこそ正しいと説かれては(史実で通商破壊が敗因の一つであったので)無視できるものでもないからだ。とはいえ、対潜網がほぼ完璧になり、対空防御網も第二次世界大戦レベルの軍用機には無敵に等しくなった状況では、むしろ、対艦攻撃力の砲熕兵器への依存が問題となった。結局、航続距離は(欧州遠征がイレギュラーであるのであって)史実を鑑みて、一定程度に妥協される(機関の世代交代で結果的に改善がされたが)ようになり、逆に補給体制の改善に力が入れられることになった。

 

 

 

日本の官僚らによる、軍人を再起不能に追い込む事件自体は解決したが、市民団体の暴虐はそれを遥かに超えており、硫酸で憲兵を死に追いやる、火炎瓶で家族共々に無惨に焼き殺すなどの行いを平然と実行。扶桑軍はこの行いにより、有能な人材を理不尽に奪われた。故に、軍への志願数は壊滅的に陥り、プリキュアたちにあらゆる権限が集中することになった。これは扶桑軍の軍人にリンチへの恐怖が蔓延してしまった故の妥協だが、転生、あるいは転移者など、通常部隊では扱いかねる上、現代的な倫理観を備えている分、扶桑の武士気取りの者とは折り合いが悪いことが予想されたからでもあった。その兼ね合いで、64Fは転生者の受け入れの場所として、あるいは広報向けの部隊としても重宝された。坂本も(転生後は広報に寛容になったので)この本部の動きを容認。それよりも、目下の問題の解決に労力を傾けていた。

 

 

 

 

 

一連の暴虐により、他国は日本連邦の怒りに触れることを恐れるようになった。噂が噂を呼び、家族にも累が及ぶということが公然と語られる様になった。古今東西、負けた側、特に、ナチスや東ドイツの者には人権がないに等しい。自衛隊ができた後に復帰できた者が多い旧日本軍はだいぶマシなほうであった。カールスラントは見事に、ナチス+東ドイツがタブー視される風潮の犠牲になり、民族自体の存亡の危機にまで追いやられたわけであるが、流石に、『ナチスも東ドイツも生まれない世界の存在に、史実の責を負わすのはどうなんだ?』という論調が優勢となることで、カールスラントへの暴虐は収まったが、もう完全に手遅れの状態であり、同国は南リベリオン地域での最貧国の一つに落ちぶれてしまうことになった。数十年後に判明した統計によれば、1944年時点の人口の五割弱が犠牲になったとされる。主に社会の中核を担うべき人材とその家族が犠牲になったため、カールスラントは歴史の表舞台からの退場を余儀なくされた。また、旧オストマルク地域に至っては、疎開当初の人口の七割強が暴虐の犠牲になったとも言われ、オストマルクは以後、国として立て直す事は不可能とされ、国自体の完全消滅を容認。カールスラントの一地域扱いに落ちぶれてしまう。この有様に、NATOはドイツとオーストリアを叱責。結局、カールスラント連合帝国は完全な立憲君主制に移行しての再建となるが、軍部があらゆる意味で壊滅状態であったことから、本土奪還も先延ばしにされ、最終的には、第三者に奪還を委託する羽目となったという。

 

 

 

 

日本連邦も、魔女の戦闘ノウハウ伝承の断絶により、64Fとその支援部隊しか、空軍の魔女は『戦闘に供する』ことができない問題が発生。また、軍務が過酷なものになった兼ね合いで、経験が重要視されるようになると、若輩の魔女は侮られることが増えた。当時はダイ・アナザー・デイから五年近く後。その地獄を見た者の少なからずが軍を早期に去っていたため、その後に残る魔女らは大半が教官に回されていた。その上、日本の市民団体の暴虐や反軍的風潮の広まりで、志願数が壊滅的に減少。結局はダイ・アナザー・デイからの生き残りらでやりくりせねばならず、ついには歴代プリキュアをヘッドハンティングする羽目となった。少数精鋭を是とする財務省的には歓迎だが、のぞみの一件により、給金や危険手当等を高く出さねばならず、文科省を睨んだ。だが、結果的には『はみ出し者』扱いであった異能者らが『英雄』扱いに転ずる大義名分を与えることになり、英雄を嫌う傾向が強かった扶桑皇国に一石を投じた。日本としては、『全軍を動かすと、政治的に批判されるから、英雄部隊が戦場で無双してくれれば、却ってお得だ』という考えで、64Fの人材集中は歓迎された。なんともさもしいが、扶桑としても、分散配置では、物量に潰されるだけだということを思い知ったので、選良の人材は一点に集中させたほうがいいと学んだのは事実。64Fは史実の三四三空や44戦闘団と同様の使命を国際規模で負わせられたと言っていい。しかしながら、一般魔女と歴代プリキュアらは(色々な理由で)組ませられないため、武子は隊舎を別にし、仕事の領分も別々に区別させた。これは歴代プリキュアらはあらゆる領域で戦闘を行えるが、通常の魔女は活動領域を厳格に区別されていたためでもあった。また、自身を含めての幹部層は歴代プリキュアと同等以上の超人であり、通常の魔女では追従すらできないという問題も大きかった。

 

 

 

 

 

 

 

また、この頃には、カールスラント製のジェットストライカーの計画が軒並み中止されたため、ライセンス生産を見込んでいた扶桑軍は大打撃を被っており、代替の『F-86』すら量産(これまでより高純度の触媒が必要になったためもあり)がままならないという問題がのしかかった。故に、64Fも全員揃ってのストライカーでの出撃は不可能であった。また、完品状態のジェットストライカーは貴重な機材故に、むやみな消耗を上層部に戒められたため、必然的に未来兵器を扱える幹部層が主軸となった。さらに、幹部層が異能者であり、ストライカーを必要とせずに戦えることが追い風となり、プリキュアたちへの指揮の問題は解決した。とはいえ、当時に『技術立国』として名を馳せていたカールスラント製でないことに不満を覚える魔女も多いのは事実であり、リベリオン製=粗製乱造のイメージを持つ魔女が多いことは大問題であったが、カールスラント製への妙な信仰があった時代であった故で、時の流れの残酷さを示すものであった。この頃から、戦後の時代の覇者になるはずであったリベリオン合衆国製の空戦兵器が他国の独自規格の空戦兵器を次第に淘汰していく時代を迎えていくのである。それほどに、F-86は優秀であったのだ。扶桑はその三世代先までの実用化を急いでいるが、これは日本が散々に『慢心からの大敗』を説いたためで、『そこまでやれとは言ってない』とぼやく流れとなってしまった。戦車も既に戦後型への更新が始まり、航空兵器は戦後第四世代にまで到達しつつあったからで、ミサイル兵器も船でVLS式の搭載が当たり前になり始めていたため、色々と過程を飛ばして進化してしまった感は否めなかった。また、史実の戦訓により、情け容赦しない戦闘が推奨されたため、武士道も騎士道もあったものではなく、それに抵抗を覚える者は多い。皮肉なことに、アメリカ合衆国が史実で行った行いのせいで、武士道も騎士道も吹き飛ぶ『合理的な戦』の時代が急速に訪れ、ついには弾道ミサイルでの睨み合いが見えてくるに至った。つまり、日本が文明を進めることで、核がないだけで、戦後型の兵器が飛び交う世界が訪れようとしていたわけである。ただし、ミノフスキー粒子の存在で、ミサイル兵器に必中性が与えられないのと、怪異にミサイル兵器は有効とは言い難いため、戦艦は無事に生きながらえることになった。ミサイル兵器は戦艦の重装甲の貫通を想定していないという問題があったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな凄惨な戦場の救いが歴代のプリキュアであった。日本連邦の上層部(特に日本)は陸軍の増援を露骨に渋っており、外地の人間への冷淡さが問題にされそうになっていたため、歴代プリキュアの配置で『見捨ててはいない』というポーズを取っていた。ただし、これには本土の戦車部隊が(時代の水準からは)あまりに旧式かつ、貧弱な有様であったこと、1940年代からも旧式な三十年式歩兵銃が現役である連隊がいたという、あまりに情けない事情も絡んでいた。日本が陸軍を増援したくても、『新砲塔チハもいない機甲部隊なんて、ただのブリキの軍隊じゃないか』と腰を抜かす有様であったためでもある。Gフォースの肥大化を危惧する派閥もいるので、本土部隊の増援を催促したが、扶桑は外地に新装備を回していたため、内地は旧式が大半であった。これは不祥事扱いで報じられ、政治問題化。結局、M24軽戦車とM41軽戦車で九七式(旧砲塔)以前の兵器を淘汰することとされたが、九七式軽装甲車などの旧軍式兵器から大型化した車格は古参から不評であったという。だが、ダイ・アナザー・デイで現れた敵戦車の強大さは伝わっており、配備は『古参の愚痴』程度に収まった。これにより、急ピッチでインフラの整備が進み、再開発も始まる。外地に投下されてきた資金の多くが内地に落ちるようになったからで、しかしながら、扶桑の都市計画は多くが修正を余儀なくされ、結局は史実と大差ない姿で落ち着く。文化財や歴史的町並みの保護などの都合が大きかったからで、扶桑はこれに頭を抱えることになる(広島に至っては、中心市街の中島地区自体が保護区扱いにされてしまったため)。また、同時に農地解放で豪農が次々と没落。豪農の資金で食いつないでいた小農村の廃村が相次ぐなどの想定外も相次いだ。結果、東京や横浜は史実通りにメトロポリス化が始まるが、大阪は(戦前は東京より人口が多かった時期もある)工場の建て替えや発電施設の増強などの手間がかかることから、勢いが減退(史実の阪神淡路大震災の情報を伝聞で聞いて、大阪、神戸の双方から逃げ出す一族もいたという。)。メトロポリス化は遅れることになる。軍需と民需の技術が区別できなくなる時代を日本が迎えていたことから、軍関連の仕事を引き受けていた技術者の雇用が(今更)問題となった。結局、扶桑の企業増強のため、まずは大企業の民需部門を増強させることにして、軍需はアナハイム・エレクトロニクス社の下請けとなることで、食いはぐれないようにすることとした。要は地球連邦とアナハイム・エレクトロニクス社におんぶに抱っこであった。

 

これは日本の大衆が民需至上主義であったゆえだが、その一方で、『零戦の後継機を出しそこねたことで、肝心な時に連敗した』という認識は持っていたため、『アナハイム・エレクトロニクス社の庇護下なら、史実で成功した軍用機を確実に造れる』という打算もあった。要はアナハイム・エレクトロニクス社の子会社であったハービック社(かつては軍用機で一時代を築いたが、戦後は経営が悪化し、アナハイム・エレクトロニクス社に合併された)のノウハウを宛にしていたためである。とはいえ、アナハイム・エレクトロニクス社の傘下でない航空産業もあるのだが、その知識はないため、黒江たちを呆れさせた。とはいえ、アナハイム・エレクトロニクス社の資金力はビスト財団から野比財団に宿主が変わっても変わらずに豊富であったので、日本の望みは果たされるのであるが。

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイ・アナザー・デイで名を挙げたF-86戦闘機。カールスラントでは研究段階にあったジェットエンジンの『胴体内蔵式』を実現したのみならず、カールスラントが悩んでいた『エンジン寿命の短さ』もあっさりと解決。カールスラントの関係者は血の涙を流した。日本連邦は同機で当座を凌ぎつつ、その次の世代の戦闘機の実用化と配備を急いだ。その結果がF-15とF-14、F-16の早期開発であった。その3つさえあれば、数十年の間は(電子戦機を欠いても)制空権は安泰だからだ。もはや現用機の水準に達するため、地球連邦軍が素人目にも『未来の地球人』なのは明らかであった。日本は地球連邦軍の技術レベルから、21世紀時点から数千~一万年後と見込んでいたが、実際はたったの数百年後。ドラえもん時代の技術を失っているため、民需面はだいたいが21世紀と大差ないレベルとなっているが、軍需は大国も恐れるレベルに飛躍しているというのが実際のところ。ドラえもん時代の技術の復興を潰そうとするジオン残党を地球連邦軍が叩き潰す構図となっており、結果的に、『ジオン公国の復興』は活動資金確保のための名目であり、ネオ・ジオンが潰えた後は余計にテロリズム傾向が強まった。ティターンズに吸収される残党が続出しているのも、ネオ・ジオン(アクシズ時代)以前の残党は『公国の復興は無理である』と実感し、連邦へ一矢報いるのが目的に転じたからであるが、ティターンズ残党とて、ナチス残党の『体の良い駒』と扱われているという堂々巡りである。その流れに気づいているY委員会は、64Fを暴れさせることで、リベリオンに巣食うティターンズ残党とネオ・ジオン残党を燻り出すというのが真の目的であり、戦争自体の勝利は二の次である。リベリオンの全土占領など、扶桑の国力では不可能だからで、ハワイ占領を落としどころとすべく動いていた。山本五十六は連合艦隊とリベリオン太平洋艦隊の決戦がいずれ起きることを見込んでおり、それを理由に、国内世論を休戦に誘導したいのが本音であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のび太は委員会の会合で、山本五十六や今村均から『連合艦隊の近代化に資金を援助してほしい』と嘆願され、了承していた。連合艦隊は潜水艦の保有数を政治的都合で制限された上、原子力潜水艦を禁忌とされたからだが、実際、日本は戦後、極限まで通常動力式の性能を突き詰めており、原子力は不要とも言える状態であったし、いざとなれば、地球連邦軍から買えばいい(地球連邦地上軍は一年戦争時に使っていた潜水艦等をモスボール保存しているため)という状態であったので、野比財団は艦隊の近代化の資金を提供する立場にあった。工作艦は既存艦を改修し、電子装備の修理に対応させることとした。工作艦自体が過去のものと見なされている故だが、21世紀以降の艦艇に完全に対応する新式の必要が出たことから、明石型の発展型という体裁での新造が許可された。これは新造戦艦のように、艦内に自前の工場を持つならともかく、通常はそんな設備は持たないからで、工廠のドックの機能拡張にも時間がかかるからだった。

 

 

 

 

 

結局、扶桑の兵器の生産は地下工廠での生産が増加した。南洋防衛のための消耗戦が続くからで、カールスラント製兵器の修理からの投入もザラであったが、主に陸戦兵器であった。これはカールスラント製航空兵器は太平洋戦線向けではない上、スペック倒れを批判されたからである。特に、カールスラント側はダイ・アナザー・デイ当時、出来立ての最新型と誇っていた『Ta152』の生産継続を嘆願したが、ノイエ・カールスラントの工業力では、同機の複雑な機構を(安定した稼働率で)量産する事は不可能に近く、想定されたスペックを発揮できないとの報告が相次いだ。また、敵がP-51の最終型であり、時速786キロが見込まれた『H型』を量産しているとの情報により、主力としての配備は見送られ、その代わりが扶桑の整備兵には手慣れた『空冷エンジン機』であり、液冷エンジンを捨てた五式戦闘機であり、身軽になった故に得た旋回性能で大いに奮戦したのは、歴史の皮肉であった。扶桑での紫電改や烈風は史実より遥かに高精度な製造精度とブリタニア由来の高オクタン価ガソリンにより、時速680~690キロ台をマークできており、史実のような『一方的な戦闘』にはならなかった。魔女の世界では『兵たちは新兵器をいきなり投入させる事を忌避する』からで、逆に、工場直送で投入する日本連邦のなりふり構わなさが勝利を呼び込んだと言っても過言ではなかった。それに異を唱えた横須賀航空隊であったが、芳佳に震電を送らなかったことを『利敵行為』扱いされたことに激昂し、クーデターに加担。以後、彼らは『扶桑海軍航空の汚点』と扱われていった。隊員での生き残りとなった志賀は隊の名誉回復のため、芳佳への贖罪のために、震電ストライカーの復元に奔走することになる。

 

 

 

 

 

 

 

こんな理由で、カールスラントと扶桑の計画機達は歴史の表舞台に立つことなく、史実の戦後型の機体に取って代わられる形で消えていった。F-86を早めたという事は、先行していた『Me262』や『He162』の命運が決することでもあった。ノイエ・カールスラントで生産ラインが稼働済みであったが、内乱で生産ラインが破壊され、補充ができなくなった隙に、F-86が予定されていたポジションに滑り込んでしまった。それが同機の悲劇であった。同時に、劣化コピーと揶揄されていた『橘花』と『火竜』の生産も中止。扶桑は紫電改と烈風、五式などのレシプロをF-86に置き換えることで、第一線のジェット化を進めた。それがダイ・アナザー・デイ後半のこと。史実で自衛隊が採用したF型が基になっての登場であった。ドッグファイトが禁忌であったMe262と違い、(エンジンが胴体内蔵式であるゆえに)敏捷に動けるため、ジェット同士のドッグファイトもすぐに当たり前になり、ウルスラ・ハルトマンの予測は大外れであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

このように、ダイ・アナザー・デイの戦闘記録で、F-86の登場後の時間軸では、カールスラント空軍の高官や技術陣は散々にこき下ろされることになった。彼らに反論が許されるなら、『短時間でジェットエンジンを成熟させて、ドッグファイトさせられる機動性を確保できるようにするなんて、予想できなかったんだ!』ということだろう。圭子が執筆中の回想録では、そんなカールスラント空軍の悲憤は殆ど記されていない。ウルスラ・ハルトマンの名誉のためで、いずれのプロジェクトにも関わっていた故に、意図的にカールスラント空軍のゲーリング元帥に責任を押しつける文体にしたのである。彼は史実が史実なので、こき下ろす文章を公に発表しても、日本連邦の評議会やドイツ連邦共和国からのお咎めはない。ジェンティルドンナ(キュアアクアと入れ替わっている)は医務室で、黒江を通して、推敲を依頼された。ジェンティルドンナも了承し、その作業中であった。

 

「どうだ、ジェンティル」

 

「カールスラントの技術陣の悲劇ぶりをもっと強調なさったらいかが?」

 

「ケイに伝えとく。書いてるの、俺じゃねぇのよ」

 

「カールスラントも哀れですわね。見ると、シュワルベとサラマンダーを完成させてバンザイなところに、ハチロクが現れれば、彼らは悲憤に暮れますわ。なにせ、エンジンの寿命、機動性、整備性の全てで劣り、勝っているのは、機銃火力のみとくれば」

 

「おまけに、日本はその頃には、マルヨンの製造準備を始めさせてたしな。」

 

 

ダイ・アナザー・デイの戦はジェットの独壇場への移行も確かに起こっていたが、大多数はレシプロ機であった。そして、B-29の防御火力は強大であり、並のジェットであれば、容易く返り討ちにするほどの弾幕を展開できた。それもレシプロ戦闘機の衰退理由であった。

 

「戦艦は大和型と超大和型を呼べばよかったが、航空機は物量とパイロット、整備兵が揃ってないと、戦力にならんからな。整備兵を集めさせるのは難儀だったよ」

 

「どうやって集めたんですの?」

 

「お上に電話してもらった。各方面軍の司令官に直接。俺は(魔女としては)ロートルと見なされる年頃でな。直接の後輩は言うことを聞くが、俺がヤンチャしてた時期を知らんガキ共が邪魔してくるんだ。その点、お上の意向なら、誰も逆らえん。国家元首のお召星だからな」

 

「今でも充分ですわよ。ジャングルポケットさんのような事を」

 

「何、ジャンポケって、そんなキャラなのかよ」

 

「ええ。ウマ娘としては、ほぼ同年代ですから。彼女らの全盛期とはかちあいませんでしたが」

 

「そういう運命だ。最も、タキオンは脚が駄目になる前に、自分でクラシックの争いから離れたことで、致命傷を免れたようだが」

 

「それはカフェさんから聞き及んでいます。カフェさんは貴方の部下であるのぞみさんが手を回して、屈腱炎を回避させたようですが、お祖父様(サンデーサイレンス)のご意向でしょうね」

 

「大種牡馬だった、お前のおじいさんはそっちの世界だと、ウマ娘としての転生はしなかったようだが?」

 

「そのようですが、カフェさんの守護霊のような存在になっているということです。カフェさんの肉体を借り受け、時たま現世を楽しんでおいでのようです」

 

「大物だなぁ。話を戻すが……」

 

二人の話は続く。基本的に、64Fの医療業務は暇である。幹部級は形式的な健康チェックのみだし、使いっ走りの隊員たちも戦場での負傷なら、医療魔女らが治療してしまうため、よほどの事態でないと、負傷者は出ない。また、治療魔法よりも自然治癒が優先される場合もあるため、医療魔女の需要は減っている(医療魔女の存在を前提に)無茶をするケースが古今東西の軍隊で多かったためで、医学を純粋に進歩させるためでもあった。芳佳が『致命傷でも治せる』力を持つため、便利な回復役扱いされる危険があるということで、芳佳以外の医療魔女の平均レベルを示すため、平均的な医療魔女の力を示しつつ、芳佳が如何に医療魔女としての天才児であるかを啓蒙することにした。また、魔女の世界では、基本的に技能特化型が多いため、朝日奈みらいのように、『近接戦闘も遠距離戦闘も高レベルでこなせる』事は極めて稀である(統合戦闘航空団レベルの魔女でも、そうはいない)。皮肉なことだが、一部の超人らの活躍で、人類の生存圏が守られていたのが、魔女の世界である。また、航空魔女はストライカーの性質上の都合で、近接戦闘は世代を経るごとに廃れていたため、近接戦闘へシームレスに移行できる64Fの超人らは英雄と扱われている。かの森蘭丸(魔女の世界では、稲垣真美の先祖である)は具足に飛行機能を持たせたものを使っていたと言われるが、蘭丸の個人的資質によるものも大きいとされる。とはいえ、自力飛行に上位形態への強化が基本的に必要であるプリキュアも一長一短である。ダイ・アナザー・デイは扶桑には、扶桑を大国へ導く立役者の一人となった、森蘭丸の実像を探る良い機会を与えたと言える。

 

 

 

 

 

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