結局、連合軍は日本への圧力団体も同然に堕ちてしまい、形骸化していた。カールスラントへの依存率が高すぎたためで、今度は逆に、アメリカ合衆国系の兵器がカールスラント系兵器を淘汰する時代を迎えてしまった。これにより、有力な兵器供給源を失った連合軍は急速に形骸化。日本連邦は孤独に太平洋戦争を遂行する羽目に陥った。カールスラント国家の有名無実化はそれほどの結果を伴っていた。世界的に財政的見地からの軍縮が急速に進む時代に起こってしまったため、扶桑に『外国不信』の芽をばらまいてしまった。しかし、連合国は財政的に疲弊が進んでおり、まともな軍事行動など起こせる余裕など、どこにもなかった。結局、人的資源の供給でお茶を濁すことが最善とされたが、連合軍の現場は『日本に行くと、ちょっとしたミスで人権否定級に罵られる』との噂に戦々恐々であり、日本政府と防衛省は否定に躍起になっていた。
これはエディタ・ノイマンの最終的な負傷の結果が『片目の視力の致命的な低下、顎部の骨は砕け、歯は何本も折れ、肋骨の複数個所の骨折、足の半月板の損傷、脳出血の可能性あり』の散々たる有様であったことが知れ渡ったからで、身体的な傷は未来世界の医療でどうにかできたが、精神的な傷はどうにもならない。戦功抜群なはずのノイマンがその数年後に退役(退役時に、勲章等は『誤解があった』として再授与され、階級も大佐に戻された上で退役となったが)を余儀なくされた結果、魔女らが一気に怖気づいたためで、この混乱により、連合軍はプリキュアらを一律で厚遇することにした。カールスラント系の魔女は『コンドル軍団=人でなし』のレッテルにより、天国から地獄に叩き落とされた者が多く、士気の面で『使い物にならなくなった』者が多かったため、名声に揺るぎがなく、確実に『巨悪を滅ぼした』実績を持つプリキュアたちを、三顧の礼を以て迎えるのは当然であった。とはいえ、プリキュアたちも真の意味での邪悪を知ることになったため、現役時代同様の力ではねじ伏せられることが増えた。南斗聖拳は北斗神拳や元斗皇拳に比して劣るものの、プリキュアの大半より強大であり、黒江たちで抑えられるものの、プリキュアたちのプライドをズタズタにした。現役時代の最強フォームをも容易にねじ伏せられたからである。そのため、ダイ・アナザー・デイ後に特訓が行われた。また、未来世界では、素で熊を殺せる、デーモン族をも真っ二つに引き裂ける人間がたんまりおり、南斗聖拳もその一つであることがわかり、プリキュアは『基礎能力値を超人の域に引き上げるが、ノースキルでは、真の達人には太刀打ちできないのだ』ということを突きつけた点では、意義ある戦いであった。また、プリキュア単独の力には限界があることも明らかであった。
ダイ・アナザー・デイの直前期、地球連邦軍は源家の政治的圧力もあり、傭兵組織を政治的に潰し、彼らから没収した機体のデータを旧式化した兵器の再利用策に適応。のび太がダイ・アナザー・デイで用いた『フルアーマーガンダム』もその一つで、アナハイム・エレクトロニクス社が戦後に(GPシリーズの実験用に)建造したレプリカ機をベースにフルアーマー装備を再現したものであり、メカトピア戦で機密指定が解除された後に再現された。この砲撃戦での戦果を機に、コンバットアーマーのコンセプトが連邦陸軍に注目され、ガイアからパテントを買い取り、生産体制が整えられたのである。Zガンダムも、そんな計画で再建造され、新技術による変更を挟みつつも、64Fなどに好まれている。火力と高機動力のバランスが良く、小型機の弱点である『物理的脆弱性』がない(大型機基準では『軽装甲』に入るが、小型機よりは重装甲に入る』点、自己を自前で空輸できる)という利点は、可変戦闘機が全盛である世界では重大であり、TMSが生き残れた理由であった。
「そんなわけで、Zガンダムは生き長らえてるわけ。ジム系は対策が練られてる場合があるけど、歴代のガンダムタイプは戦役が終わるごとに厳重に封印されてたから、実は敵も戦闘データをそんなに持ってない。昨今はアナザーガンダムの技術が入ったから、旧型も新式に匹敵する性能にできる。ガンダム七号機は電装系やコックピットを最新型に変えてあるから、戦後の残党狩りに使われた時より遥かに扱いやすい」
「それで、あいつが普通に扱えたわけか」
「RX-78系はフレンドリーなほうだよ。元々が技術実証用の機種だったから、あれは」
連邦のMS技術の正式な祖はRX-78とされている。そのため、ジオン系との間の子である後発機と違い、ユーザーフレンドリーな側面がある。元々、『素人でも、一定の作戦行動をとれる』ことが開発目標であったからで、そこが玄人向けの特性を持つ、ZやZZなどとの差である。
「前に僕が乗ったフルアーマーも大規模な近代化計画の一環で生まれた。フルアーマーガンダムは実機があったけど、ガンダム嫌いの一派が存在を否定してたせいで、表に出せなかった。だから、レプリカを用意した。前の政権での話だけどね」
ある時期まで、ガンダムタイプは秘匿されるのが常であったが、ゼントラーディの攻撃などがあった後は『地球連邦軍の象徴』として再認識させる動きが加速。旧型になった機体であろうと、近代化改修で一線で使用させる方向に変わった。それは皮肉にも、RX-78を祖とする連邦系MSの優秀性を証明する事になり、『ありきたりなガンダム』と評されたはずのνガンダムがネオ・ジオンのサザビーを打ち倒すなどしている。最も、ジオン系のドライセンなど、デザリアム戦役時のパルチザン活動で評価が固まった機体もあるが。
「で、ダイ・アナザー・デイの時に使ったのか」
「政権交代が起こったしね。最も、子孫が軍に入って、財団もアナハイム・エレクトロニクスを抑えたからから、無理が効いたからのことだよ」
「お前の何代後だよ」
「遠いよ。五代後の孫の更にひ孫だから。……お!」
「来やがったぞ!」
怪物が地下街の壁を突き破って、現れる。ベタな動物パニック映画のような風体であることもあり、皆が内心苦笑交じりであった。とはいえ、成体はヘビを思わせるが、銃弾の直撃でも外皮を削り取る程度であり、なおかつ、並の刃物を通さないと、警官隊から報告が出ている。
「ショットガンは効くが、かなり近づかんと効かねぇぞ!」
「みんな、伏せて!!」
「お、お前、なんだそれ!?」
「ドラえもんから借りたジャンボガンのロングバレル型。そこらの重戦車を一発で消し飛ばすよ!!」
のび太(大人)の体躯からでも、些かのオーバーサイズ感の否めないロングバレルの拳銃。それこそ、ドラえもんの切り札『ジャンボガン』。その改良型。拳銃とは思えない重厚な発砲音が響き、通常の拳銃では外皮を削るので精一杯の怪物に一撃で大ダメージを与える。
「すげえ。象打ち用より火力あんぞ!?」
「戦車をも吹き飛ばす奴だ。普通は死ぬんだが……タフだな、こいつは」
「のび太、弾のストックは!?」
「多めに持ってきた!」
数発ほど発砲したところで、心臓が打ち砕かれたのか、息絶える怪物。普通のライフルでマガジンを空にしても耐えられる怪物も、かつての対戦車ライフルの系譜の(ある意味)究極の代物には耐えられなかったのである。
「ふう。グレードアップ液を借りといてよかった。あれないと、コブラみたいな伊達男か、熊みたいな大男じゃないと、肩がぶっ飛ぶからね。持ってみて」
「どれど……重っ!?プリキュアになってて、この重さかよ!?」
「コブラだって、似たような拳銃をサイコガンの効かない相手に使ってたろ?統合戦争の直前の時代に、未来デパートが売ってた市販品がベースだよ、これ」
「嘘だろ!?」
「子孫に問い合わせたから、間違いない。問題はもっと別の個体がいるかどうかだよ。今、うちの財団の連中が地中探査機で他の個体の有無を調べているところ」
「お前の財団、どれだけ拡大したんだよ」
「孫の代あたりに、アナハイム・エレクトロニクス社の大株主になるんだ。その時に、若い頃のサイアム・ビストと友人になったらしい。その更に五代以上後だからなぁ。アナハイム・エレクトロニクスを牛耳れるようになったし」
サイアム・ビストはのび太から見ると、孫くらいの世代の人間であり、その彼がひ孫(冷凍睡眠を活用)を持つ時代が23世紀の戦乱期であり、彼の死が皮肉にも、ジオン系の戦乱が下火となる、一つのきっかけとなるのである。
「それで、ラプラス戦役が終わったろ?あれで、ビスト財団の業務をウチが引き継ぐことになったって、報告を受けた。その関係で、アナハイム・エレクトロニクス社の面倒を見ることになった。まぁ、ビスト財団と違って、創設者が名士だし」
「自分で言うか?」
と、ツッコむシャーリー。とはいえ、ビスト財団の暴走に伴い、より真っ当な経緯で設立された野比財団の再評価が進んだのも事実である。歴史上の記録では、のび太は生涯を日本連邦の繁栄に費やしたとあり、死後は偉人として知られているとのことであり、野比家も23世紀時点では、名家として遇される立場に置かれている。
「いいじゃない。子孫に借金を残さないで済んだだけ、僕にとっては儲けもんだし」
と、本音をぶっちゃける。ドラえもんが来なければ、一族の恥さらしとして子孫に罵倒される生き様に陥っていたからである。
「未来世界じゃ、ミノフスキー粒子のせいで、デジタルサーバーの多くが使い物にならなくされて、あらゆるデジタルコンテンツが死に絶える事件があってね。物理メディアが復権したんだそうだ。それで、ドラえもんの力で、死んだサーバーに残ってるデータの復元が進められてるそうだ。ネットだけだと、こういう時に永久に失われる。うちの財団は物理的にデータを保存してたからよかったけど、他の各所がね」
ジオンが目の敵にされたのは、『インターネット文化自体を一度は死に追いやった』からで、皮肉にも、デジタルコンテンツの脆さが明らかにされたことで、脆くも失われた情報も数多い。
「それもあって、ジオンは大衆に目の敵にされたそうだ。ジオンの技術者たちは必死に免罪を乞うたそうだけど、MS関連技術者以外には、容赦ない裁きが待ってたそうだよ」
「で、今はドラえもんの力で、超大容量の物理メディアに焼き直してるってことか」
「ドラえもんの時代に発明されていたけど、当時は時代錯誤なマニア向けの技術扱いされてたものさ。バックアップはあったほうがいい。一年戦争でそれが知れ渡った後、掌返しで『最新メディア』扱いされてる。戦争や災害があれば、デジタルサーバーは瞬時に死ぬからね」
一年戦争後、デジタルサーバーは21世紀から続いた権勢の終わりに直面。ミノフスキー粒子の影響を受けない技術への改修で費用がかかるため、情報インフラに必要なもの以外は放棄される傾向が強まり、社会問題化した。結局、ミノフスキー粒子が今後、外宇宙勢力に通じる可能性は低い事から、地球圏でのマナーのようなものへ変質しそうなので、デジタルサーバーはミノフスキー粒子の影響を受けない技術への改修が進んでいる。ただし、置き場所は地下に変わりつつある。これは戦乱で地域ごと消し飛んだ事の教訓による。ただし、地殻変動等の心配があるため、制空権のある衛星軌道上の人工衛星にも変わってきている。ジオンはMSの降下の安全のために、古今東西の人工衛星を落としまくったが、それで却って、占領時に不便を強いる事になったという逸話もある。このように、デジタル一辺倒な風潮はジオンの行為で終わりを告げたのである。
「で、この怪物についてだけど、真田さんがこっちの世界の化石で、とても似たモノを見つけたから、電話をスピーカーにするよ。真田さん、みんな集まってます」
『分かった。始めよう。今、佐渡先生と分析を終えたところなんだが、こちらの地球でのアメリカ地域のカンブリア紀の地層から、とても似た生物の化石が発見されている』
「アメリカって、そんなに出るんすか?」
『アメリカ大陸自体は古い時代からあるものだよ、ナオちゃん。カンブリア紀は後世から見れば、奇妙奇天烈な姿をした動物が多く現れた。大半は現存する種へ繋がる進化をしていったんだが、極稀に『その時で既に袋小路に入った』進化をしてしまった』者もいたわけだ。つまり、その時点で生物として完成されてしまったという種類もいた』
「つまり、こいつは……」
『おそらく、地殻変動で海から締め出された後、地下の環境で生きれるように適応したんだろう。その過程で、鉱物を食するようになっていったと考えられる。鋼鉄くらいは容易に噛み千切れるだろう。通常の警官の手には負えんよ』
真田志郎は本来、機械工学が専門だが、生化学の分析にも長ける『万能の天才』である。これは彼の一族は祖父の代から『宇宙五大頭脳の筆頭』と称えられるほどの家柄であったこと、ハーロック曰く、真田志郎以降の真田家の歴代当主は『真田志郎の残した知識を継承し、より発展させていく』宿命を背負ったというほどなので、機械技術で匹敵する者はいれど、彼ほど『総合力に優れる科学者』はいないのだろう。
『君たちは市民への被害を抑えてくれ。道路などは後でどうにもなるが、人的被害は取り返しが効かんからね。情報は逐一、報告してくれ。こちらは艦隊戦に入るから、しばらくは返事を返せないが、それは了承してくれ』
「わかりました。また」
と、一同は難しい立ち回りを要請された。とはいえ、人的被害を抑えるのは、プリキュア本来の任務でもある。また、形式上は空軍にいるため、陸軍から睨まれることもあるが、黒江達が陸軍の出身であったので、なんとも言えないと、高官たちはボヤいている。こうして、日本から目の敵にされ、精神的に骨抜きにされている陸軍と違い、気概のある将校が中枢を担う空軍は花形と扱われ、近代化を名目に、まともな行動を封じられた陸海軍に代わり、太平洋戦争の戦線を単独で支えていくのである……。
プリキュアたちの取り扱いは(のぞみの件からの外交問題によって)特例措置が取られており、最低でも『中尉』以上が確定していた。みらいとリコのように、魔法つかいであり、プリキュアでもある者もいるためだが、実際に『軍の魔女である者の前世がプリキュア変身者であった』という事例が扶桑最高の魔女であった宮藤芳佳にも及んでいる事は重大そのもの。芳佳は個人的な事情から、最近は育児に専念しているが、プリキュア戦士であり、扶桑生え抜きの魔女としては最高位の魔力であることに変わりはない。その事から、空軍への移籍は重大な事件であったが、山本五十六、岡田啓介らが反対意見を封じ込めた。戦争が差し迫ってた頃のことである。のぞみの件から、プリキュア変身者には『社会的地位』が必要と判断されたが、変身者が数カ国にまたがって分布していた事もあり、結局は(時代背景もあって)軍人にすることで各国が同意したが、リベリオンは程なくして分裂し、カールスラントは形骸化。結局は日本連邦が身柄を引き受けるしか手がなく、独立性の担保のためにも、空軍が受け皿にされたのである。また、海軍から空軍に富嶽や連山などの大型攻撃機が接収され、その後に海軍系の双発機が廃された事は反発を招いたが、もはや、旧式の双発機の搭載量では『雀の涙』扱いな時代を迎え、ジェット戦闘爆撃機がそれらを淘汰する時代も同時に迎えたため、何も言えなかった。21世紀の人間たちはドローン兵器の導入を強引に進めようとしたが、M粒子の存在で『無意味』であること、無人兵器自体がBC兵器と同義に扱われる未来を知らされ、大いに落胆したが、一部の派閥は強引に無人兵器の開発を進めさせた。この研究が無人戦闘機『ゴースト』の大元になるのである。この相克は史実の太平洋戦争の人的被害を知りつつ、日本が航空消耗戦で勝てなかったことを思い知らせようとする者たちの意向で生じたものであった。とはいえ、坂本美緒が転生前に信奉していたような『練達の士』らは1945年次には、ごく少数に成り下がり、多数派が促成世代になっていた。クーデターはその傾向に拍車をかけてしまう結果に終わり、空軍に残された『有力な魔女』を集結させるのは、自然な流れであった。大まかな戦況が物量戦に移行した太平洋戦争は『魔女の栄華の終わり』の象徴である。その様相に抗うように、一騎当千を体現する64Fはまさに『魔女の社会的地位の守護』の象徴とされた。そういう背景が、64Fの幹部層の特権の策定にあった。
「思いっきり、宣伝されてるね……」
「仕方がないわ。不干渉を確約させる代わりに、こうした事に使われるというのが交換条件。1940年代の日本に集められてるから、それは諦めてるわ」
一同との合流に向かっていたキュアマジカルら、プリキュアが国家の喧伝に使われる状況を垣間見た。扶桑軍の仕事はするが、その代わりに、こうした宣伝に駆り出される。魔女の人権問題に関わるため、異能の象徴というべき存在であるプリキュアは魔女たちの居場所の確保のための大義名分に使われていた。魔導師の登場で、立場が無くなった魔女という存在を守るために。
「仕事中はプリキュアでいたほうがいいわ。性質上、いつ出動要請がかかるかわからないから。キュアホイップと違って、あなたは直接戦闘ができるから、お呼びがかかるだろうし」
「うーん。わたし、定食屋の娘なんだけどなぁ」
「普段は厨房に詰めてもらうことになると思うわ。料理ができる子って限られてるし」
「確かに」
「それに、色々あって、ここで結婚して、産休に入ってる子もいるし。転生した時間の都合で、こっちで生活築いてる子もいるから、当然だけど」
「ややこしい話だね」
「この世界線自体がややこしいのよ。中国が滅んで、欧州に存在を完全に忘却されてたし」
「え!?嘘!?」
「この世界線は、魔女でないと戦えない怪物が定期的に現れるのよ。そのせいで、16世紀頃に滅んだらしいのよ。明朝だったかしら……」
魔女の世界での中国はどうなったのか?扶桑に残る記録では、16世紀頃に政権が末期状態に陥りつつあった『明朝』(儒教が強く影響力を持っていた)の力では、怪異をまったく止められずじまい。李氏朝鮮を道連れにする形で、中華王朝の歴史の終焉が訪れ、生き残った者たちは各地に同化していった。そのせいで、欧州人からは完全に忘却されており、それで、カールスラント軍人らはえらい目に遭うことがダイ・アナザー・デイでは常態化していた。要は『彼を知り己を知れば百戦殆からず』の格言や孫子の兵法を知らぬ者が多すぎたためで、マルセイユも例外ではなく、ダイ・アナザー・デイ中に無知を晒してしまった故に、日本の官僚に咎められ、減俸処分の憂き目にあっている。カールスラント皇帝が『中華王朝の存在など、歴史家以外は知らぬ存ぜぬ者が多いのだから、人間否定級に罵る必要はない。教えればいい話ではないか』と諌めるほどの問題になった。64Fの隊員は転生者が多いため、騒動そのものには殆ど巻き込まれなかったが、それでも、官僚の査定に引っかかって、減俸処分を食らった者は生じている。
「それで、一悶着あったのだけど、結局、それが歴史的事実って認識されたから、減俸処分と口頭注意だけで済んだ軍人は多いわ。中には、病院送りにされたのもいるけど、認識の齟齬による誤解ということで、彼らの事は片付けられた。あれこれと『史実と違うこと』が多いのに、『史実の理屈で、軍人を裁く』のは独善かつ、自己満足でしかないもの」
結局、ダイ・アナザー・デイの戦況が長引いた原因の一つは『日本とドイツの独善と自己満足』にあることが示されたのもあり、ドイツは魔女の世界に混乱しか残さなかったが、日本は贖罪意識から、扶桑に21世紀水準の技術などを与えた。それが日本連邦の成功と繁栄をもたらしたが、連合国の責任あるリーダーとしての責務を負わせられ、一定の軍事力を戦後も維持せねばいけなくなった。その贖罪と、魔女の人権擁護のため、プリキュアたちは軍部で社会的貢献をしなくてはならない。ノブリス・オブリージュが史実より根付いている世界故の制約であったが、それは『時限的な異能』である魔女らの社会的地位を守るためでもあった。
「この世界線は色々と、私たちが戦うことで安寧をもたらされる存在がいるの。この場じゃ説明しきれないから、後で教えるわ」
魔女達が近代社会で生きる権利が脅かされていたこの頃、その救世主を目されていたのが、プリキュアたちである。特に、キュアミラクルらは『魔法つかい』の最たる例である事から、魔女らの崇拝の対象になりつつある。『魔女である者がプリキュア変身者の過去生を持つ』事例も多く報告されている故、社会全体に衝撃をもたらしている。キュアプレシャスは大人のぞみの意向もあり、魔女の世界に派遣されたわけだが、2022年時点で14歳前後と若いことが大きかった。