結局、扶桑が当初に構想していた戦争計画が早期に破棄されたり、扶桑海軍の特務士官の取り扱いで国際問題が起こったりした結果、あちらこちらの部署が機能不全に陥った連合軍は、カールスラントの空中分解で完全に形骸化。扶桑の強い外国不信に繋がった。カールスラントが義勇兵の動きを事後承諾したのは、扶桑の援助がなんとしても必要であったからで、以前より遥かに冷え込む関係の中で、カールスラントは再建の苦労を強いられる事になった。
扶桑海軍も人事制度の混乱で、完全に機能不全に陥った部署は数しれず。兵科将校いじめという声も出たが、天皇の意思であるという最強の大義名分の前には無意味であった。結果、あれこれのドタバタで、軍楽隊の仕事内容の変更、海軍での士官専用食堂の完全廃止などが検討されたが、対外的な見栄の意味合いもあり、戦艦や空母などの大型艦では当面の維持が妥協された。そこも扶桑海軍の教育が英国式であった故であり、いきなり変えても、今度は困惑した下士官層から文句が出るからだった。そんな混乱により、連合艦隊は司令長官直率の第一戦隊や第二戦隊が駆けずり回る必要が生じた。そのために、連合艦隊主力が尽くのドック入りの醜態になったのである。それを補うために、改播磨型たる水戸型の竣工が急がれたのは事実であった。史実の超大和型戦艦よりも大口径(53cmの55口径)の主砲と重装甲を誇る同艦は、連合軍でも文字通りの最強クラスである。いくらリベリオンが対抗艦を計画しようと、1940年代の冶金技術での46cm以上の口径の砲身命数はどうしても200を割り、とても実用的でないと踏む勢力も多くいたが、日本は史実の記憶からか、『どうせ、数年で同等以上の艦が多数用意される』という悲観論が占めており、さらなる後継艦の計画を、報告の場で恫喝じみたテンションで強く要求した。これが戦艦としての大和の二代として、最終的に結実する建艦計画であった。これは『最強の戦艦は大和の名を持つべき』という執念によるもので、最終的に採択されたのは、水戸型の第三期増強を破棄した代わりに、61cm砲を三連装四基、もしくは五基積み、それを播磨型の初期艦の損失の補填とする案であった。仮称・九号艦・十号艦と定められ、大和・武蔵の事実上の代替艦かつ、後継艦であると同時に、日本のアメリカ合衆国(最盛期)の生産力への恐怖が生み出す弩級の超怪物であった……。
これが容認された背景には、リベリオン合衆国が完全な超モンタナ級戦艦として『ユナイテッド・ステーツ』を計画しているという未確認情報が流れてきたからで、主砲口径は51cm~56cmが予定されていると噂された。それが日本のトラウマを呼び起こしたのである。だが、いくらリベリオンでも、280mを超えるような超大型艦艇を数年で揃えられるはずはない。ましてや、ダイ・アナザー・デイでの敗北で士気は最低レベルになっているはずであるからだが、日本は『どうせ前以上の物量を数年で持ってくる』と考えており、連合艦隊の楽観論を一蹴した。これが61cmどころか、66cmという『列車砲か要塞砲だろ!?』な大口径砲の計画を生み出すことになる。そこまでいくと、ひどい被害妄想とも言えるが、日本の過去のトラウマは嘘ではないため、扶桑は数年のスパンで艦載砲の大口径化をトンデモレベルで進めることになる。
リベリオン本国でも、物量攻撃が通用しなかったため、質を重視する傾向が強まり、本格的な重戦艦が計画されているのは事実であった。だが、その情報が日本連邦を実態以上に怯えさせ、イカれた造船計画の推進の大義名分に使われることとなった。これは空母=魔女のコマンド母艦という認識がダイ・アナザー・デイで崩れ去ったが、怪異の存在故に、強襲揚陸艦という形で、魔女の居場所を確保しておく必要があるためで、魔女の社会的地位の喪失=虐殺を伴う迫害が懸念されていたため、従来はGウィッチと呼ばれた存在を明確に『異能者』とし、旧来の魔女と区別することが進められた。これはなのは、フェイト、芳佳、みらい、リコの五人のような『永続的に魔力を行使できる』者に比べ、どうしても、他の魔女は劣るし、大規模に魔力を使うミッドチルダ式やベルカ式魔法の行使は危険が伴う。そのデータによる決定でもあった。また、黒江たちのように、『持った魔力値自体は平凡レベルでも、他の異能が対軍・対界レベルに達している』という事例もあったためで、それら一騎当千の強者と、凡人に分類される魔女らを明確に区別するためであった。64Fの隊舎が改めて分けられた理由の一つでもあった。
時空管理局がひた隠しにした『ゆりかご』の秘密。それはゆりかごの外観は『後で古代ベルカがつけたもの』で、本来の姿は『240~50mほどの大きさの宇宙戦艦ヤマトの試作品』であったからで、聖王が短命だったのは、解析も修復も出来なかった『波動エンジン』を前提にした武装などを生命エネルギーと魔力で無理に稼働させていたという致命的な技術的な見識不足が原因であった事は、ミッドチルダ、ベルカ双方のメンツや、歴代聖王の名誉に関わるため、当事者には箝口令が引かれ、件のプロト・ヤマト(畝傍)は『吉野』へ改名の後、完成型同様のエネルギー伝導管へ取り替えられた(伝導管も試作品であった故に、漂流してしまった)上で、表向きは時空管理局への有償供与の体裁で、特務六課(機動六課がM動乱後に改編した組織)へ配備された。管理局の本局もデルザー軍団の襲撃で、大きく造船能力を喪失していた上、管理局の固有艦艇への信頼が大きく損なわれていたため、地球連邦軍の余剰艦で再建が始まった。余剰のドレッドノート級前期型の供与であるあたり、時空管理局の人員でも簡便に操作でき、なおかつ、波動エンジン周りは地球連邦軍の手での整備が必須と(地球連邦軍の現用品より古い)、手綱を握れるような仕組みに変わっていた。時空管理局はもはや、『秩序の崩壊の防止のために存続したにすぎない』組織へ成り下がっており、魔法至上主義は完全に萎み、秩序維持のために、質量兵器の(条件付き)解禁が進んでいった。また、なのはの一つの可能性が明らかになった事も、魔法至上主義の終焉の引き金になった。
はやては(平行世界のように)外見を大人にして誤魔化すことを考えたが、ドラえもんの世界と同一の世界線の未来である『未来世界』では自分の全てがさらけ出されていたため、(逆説的に)中学三年の外見を通すことにした(史実での六課壊滅の失態に、本人が顔面蒼白になったため)。また、スバル・ナカジマとティアナ・ランスターは存在するが、M動乱後に機動六課の縮小改編が正式になされ、人事上は二人は動乱後に離れた扱いである。ただし、ティアナ・ランスターは(人事局の都合で)『鴇羽舞衣』という過去生での名を名乗る形で、六課に復帰しているし、スバルも結果的に『G機関からの出向』の形で出戻りをしている。
「過去生での姿と名前を使ったのね。つか、バリバリに日本人じゃないの」
「すいません。これ、過去生での姿なんですよ」
はやては、黒江からの連絡で、特務六課に配属となった人員の確認をしていたが、ティアナ・ランスターと同一人物であることが本人から知らされ、嘆息であった。
「標準語になったんですか?」
「気にしないでいいわ。京都弁は使いにくいし、近頃(2020年代)はイメージが良くないっしょ?私も過去生と仕事の都合で、標準語使ってるだけだから、あなたと同じよ。しかし、骨格まで作り変えられるなんてね。さすかは『空中元素固定能力』ね」
「キューティーハニーの使ってる仕組みをそのまま能力にしたようなものだそうです。綾香さんはそれで姿を変えてるんです」
「なるほどね。空士の試験を落第してたのが、第一線級の空戦機動ができるくらいに成長してれば、そりゃ、同一人物なのを誤魔化せって言ってくるわな……。つか、ケイさんはどういう教育を?」
「あの人はトチ狂ってますから。聞かないほうがいいですよ。それに、あたしは前世の記憶もあるんで、その時の貯金も活用してます」
「お互い様っていうことか……。ヴィータには?」
「追いかけ回されましたよ。だけど、今なら、あたしのほうが上なんで、泣かれましたよ」
「さすがは元の『五柱』候補ね……」
「あの、知ってたんですか?」
「送ってきたのよ、のび太さんが。資料として、このDVDBOXを」
「あの人、持ってたんですか!?」
「若い頃にハマってたんだそうな」
と、『舞-HIME』と『舞-乙HIME』の外伝込みの全シリーズのDVDBOXがデン!と、はやての執務机に置かれる。のび太が学生時代に購入していた私物らしく、そこそこ年季が入っている。
「でも、能力が変質したって事は……ブックレットは宛になんないわね」
「二つの能力の長所が融合したようなものですから」
「と、なると、格闘戦はザフィーラに教わったほうがいいわね。話は通しておくから」
「ありがとうございます」
お互いに、『過去生』の記憶を持った故の会話であった。この世界線でのはやては(京都弁を使う機会が減り)普段は標準語である。
「でも、うち、地球連邦軍のヒモになったようなものね」
「宇宙戦艦ヤマトやマクロス持ってる世界の地球に勝てるとでも?」
「しかも、銀河を切り裂ける、オリジナルシリーズのヤマトだものね…。尻尾振ったほうがマシよね……」
「怒ったら、星間国家をガチで滅ぼしてきますから、彼ら。波動砲を打ち込まれて、あぼ~んする前に、尻尾振ったほうが賢明ですよ」
「ほんと、味方側で良かったわ……あれ一隻で管理局の全艦隊を塵にできるし……。真田さんいるし……」
はやても、オリジナルシリーズ相当の世界線の宇宙戦艦ヤマトの強さの源泉が真田志郎であることは知っていたので、安堵でぼやく。
「あたし、副隊長たちとも気まずいんですよ。どうしたら?」
「シグナムは話せばわかると思うけど、ヴィータは拗ねるのが目に見えてる。あの子、今は私のことを怖がっちゃって……」
「精神面で、元の面影が残ってるとはいい難いところありますからね、総隊長」
「そんなに変わったかしら?」
「標準語ですしね」
はやては過去生の記憶の覚醒後に言葉遣いが標準語主体になっており、元よりガサツになったとしか言いようがないところがある。姿自体は変わっていないのだが…。
「それに、フェイトちゃんの意向で、エリオとキャロは転属させたから、二人の代わりを兼ねないと、おっつかないことに。二つの能力の長所って事は……呼べるの?」
「はい。それで、フェイトさんも納得してます」
「まさにチートね……」
「まぁ、他の世界線の自分自身に万一会ったら、説明がしずらいのなんの……」
「なのはちゃんが一番むずかしいかもなぁ。能力は強まったけど、呑兵衛に成り下がって、原隊じゃ窓際族だし」
「だから、厄介払いで地球連邦軍に行かせてるなんて、機動六課ができる世界線の場合は腰抜かしますよ」
「そうね……」
平行世界の存在を知る故に、自分達の平行存在の可能性に触れる二人。時空管理局自体が地球の政治的植民地に成り下がるなど、他の世界線には想像も出来ないだろうが、地球の科学力が(外的要因で)圧倒的に進歩した場合、時空管理局が(有史以来の戦争経験で)地球の支配を逆に受ける事は可能性としてあった。それが極限に近い形で実現してしまった。形の上では、時空管理局の委託による暫定統治だが、実際は地球連邦の外局化が進んでいる。聖王のゆりかごの秘密への箝口令は地球連邦と時空管理局の同意の上で引かれたものだ。
「聖王のゆりかごの事は箝口令なんですね」
「ミッドチルダのみならず、旧ベルカの双方のメンツに関わるし、波動エンジンの解析と修理ができずに、代々の聖王を生贄にしてたなんて、ベルカ系の人々の名誉に関わる。しかも、元になったのが、宇宙戦艦ヤマトの試作品の一つなんて、時空管理局の存在意義自体も疑問に思われる。地球連邦も、秩序崩壊は望んでないから、一般向けには、『自壊を起こして、分解した』事にしたわけ。まぁ、精一杯の気遣いよ」
「これから、時空管理局はどうなっていくと思います?」
「今の形じゃ存続できないでしょうね。M動乱のニュース自体は次元世界に知れ渡ってるし、対外的に優秀と誇ってきた人材の大半は『永遠の命』の甘言に釣られて、裏切ってる。おまけに、最高評議会はナチ残党の成れの果てだった。こんなの、隠蔽しないといけないわよ。おまけに、下手な魔導師は異能や極限まで鍛えた肉体にねじ伏せられる。さらに、一定以上の技術で戦闘用に設計された機械も。だから、質量兵器の保有を認めないと、人材不足に対応出来ない。おまけに、有用だからと、咎人を減刑するのも本来はおかしい。だから、私やフェイトちゃんの細かいデータは最高機密に指定されてるのよ。普通に考えて、近代的な法的倫理の上ではおかしいから。本来は裏で非合法の殺し屋に仕立て上げられて、最後は使い捨てされるのが関の山よ」
「ああ、昔のフランス映画にありましたね。そんなの」
苦笑いの二人。時空管理局の前途は(治安維持組織としては)けして明るくはないからで、完全に地球連邦の外局と化すれば、非軍事部門と軍事部門は三権分立の観点から、分割される。銀河連邦警察のように、治安維持と防衛の双方を兼ねられるのは珍しい事例なのだ。
「フェイトちゃんも、外見は変わってないんだけど、ある時に黄金聖闘士の前任者(獅子座のアイオリア)の魂に一時的に憑依された名残りで、今や男性的になってる。おまけに、お姉さんが存命した世界線だけど、こっちはこっちで、プリキュアなのよね」
「そのおかげで、存命できたのかも」
「ああ、ありえる。それでも、プレシア・テスタロッサはトチ狂った。帳尻合わせかしら…」
「まぁ、そうでないと、なのはさんとフェイトさんが出会わないからなんでしょうね。フェイトさんのお姉さん(アリシア)が生き残ったとしても、また、同じようなことが起きれば…。それで精神のバランスが崩壊したんでしょうね」
「はぁ……。地球連邦の腰巾着としてしか、管理局の今後の存続はおぼつかない。ある意味、ここ数十年の傲慢のツケかしら」
「でしょうね。クロスミラージュのオーバーホールはどうです?」
「経年劣化がかなり進んでたから、重要部以外は新造になりそうよ」
「アフリカでかなり使い込みましたからねぇ。それと、ダイ・アナザー・デイで」
「え、あの時にいたの?」
「真美(稲垣真美)といっしょに、後方支援してました。それと、ケイさんがガンガン撃ちまくるトゥーハンド(二挺拳銃使い)で、おまけに、ゲッターの力を使えるんで……お膳立ても大変だったんですよ。マルセイユ大尉が胃を痛めるレベルで。それと、ケイさんたちも会わせないようにしてたんで。なのはさんの事件のことは知ってます」
「なのはちゃん、通常ルートだと、どんな対策を立てても『やらかす』のね」
「まぁ、教導隊の教えがあんなでしたし。それと、別ルートを知ったのか、酒飲みになった後は大人しくなったとか?」
「流竜馬さんの道場に預けたのよ。酒断ちさせたかったし、荒療治ね。その時期にのび太さんが別ルートのことを知らせたんでしょうね。それと、ヴィヴィオの辿る未来を」
「ここだと、どうなると思います?」
「たぶん、竜馬さんの道場に行きたがるでしょうね。フェイトちゃんが基礎は教えてるけど、ミッドチルダのアーツと、地球の格闘技は微妙に違うのに興味持ってるようだから」
「そろそろ、あの子は中等部でしたっけ」
「そのはず。あれこれがズレたから、そろそろ、ヴィヴィオは『VIVID』ルートに入ると思うわ。まぁ、アインハルト・ストラトスも、史実ほど闇討ちはできないと思うけど。フェイトちゃんと出会えば、ライトニングプラズマか、ライトニングボルトで瞬殺、スバルとエンカウントしても、ライダーキックやきりもみシュート、なのはちゃんとでも、シェルブリットのパンチ。どうあがいても絶望よ」
「調もプリキュアになったから、固有技でぶっ飛ぶか、宿してる聖剣の衝撃波を食らわせられる。うん。アインハルトは生きて帰れると思います?」
「まぁ、バリアジャケットを使ったとしても、全治数ヶ月は確実でしょうねぇ」
と、この時点では歴史の檜舞台に現れていない、ヴィヴィオの親友『アインハルト・ストラトス』のことを心配する二人。この世界線は『StrikerS』以降の歴史が根本的に変化したため、『VIVID』の出来事が起きるかは微妙であったが、ヴィヴィオが格闘技に興味を持つ=フラグが立つということだったらしい。だが、史実より格闘技が圧倒的に強い面々がヴィヴィオの周りにいるため、初見で返り討ちに遭うのは確実。それに、調は外見は違えど、ヴィヴィオのオリジナル(本当に)に仕えていた近衛騎士の生き残りである。そのため、アインハルトの先祖に会っている可能性もあり、色々とややこしい。
「まぁ、マナさんも、シャーリーさんも百戦錬磨ですから、プリキュアの状態で戦えば、たぶん、ワンパンいけるんじゃ?」
「相田マナ、か。どうなの?歴代の中心戦士としては」
「五本の指に入るかと。シャーリーさんより素の運動神経がいいそうですし」
相田マナ。つまりはキュアハートだが、転生先が戦車道世界であったため、大会などの都合で、度々不在にするものの、実力自体は歴代のプリキュアチームの中心戦士の中でも五本の指に入る実力を誇る。すごいのは格闘技の心得が(現役時代は)なかったのに、現役を終える頃には『歴代随一の実力者』になっていたことだ。
「のぞみさんは今、依頼で不在ですけど、マナさんが出身世界での部活の大会が終わったとかで、勤務に復帰しましたから。彼女と出くわしても、たぶん、手も足も出ないかと」
「ヴィヴィオが強くなるはずだわ」
「でも、鍛えるのはずれ込んでます。成長期だから、格闘技をやらせるのは、体がある程度できてからだということで」
ヴィヴィオは史実で、いつ格闘技を始めたかは定かではなかったが、出来事がずれ込んでいる、この世界線では、小学校二年前後に始め、周りに達人、もしくは、百戦錬磨の戦士が周りに大勢いたため、瞬く間に強くなった。また、史実と異なり、ドモン・カッシュや流竜馬のラインで『気の練り方と応用』を教えられ、それをバリアジャケットと併用することで防御力を引き上げている。また、この世界線でのヴィヴィオの魔力量は(製造時の設計変更で)他の世界線より高い数値であることが分かっており、単純な『聖王の再現』のために生み出されたのではなく、戦闘用に遺伝子調整が加えられたことが判明している。
「問題は、ヴィヴィオの魔力量です。他の世界線より数段上ですよ」
「……戦闘用に遺伝子操作がされたのね。あ~、余計にややこしいわねぇ」
と、ヴィヴィオの出自に史実と差異があり、事前に戦闘用の調整が加えられていたことを確信したはやて。史実よりガラが悪い口調であるが、過去生由来である。ティアナもこの時、容姿を素から変えており、過去生での『鴇羽舞衣』としての容姿にしていた上、扶桑軍制式の巫女装束と小具足姿(旧・扶桑陸軍航空隊の戦闘服であった)でもあるという、すごくややこしい姿でもあった。軍階級は1949年には中尉になっており、64Fでは圭子の秘書官を兼ねている。また、容姿を変える前、リンディ・ハラオウン提督の勧めで、(おそらくは最後になる)執務官試験を受験し、見事合格を果たし、同時に現世での兄『ティーダ・ランスター』の死後特赦による名誉回復も果たされている(彼女の兄・ティーダを侮辱し、不名誉な扱いにした元上官がM動乱で『内通者』かつ、扶桑軍との戦闘であえなく死亡したため、リンディが動乱後に実行させた)。また、時空管理局の非軍事部門の軍事部門からの分割と独立が決まっているため、ティアナは文字通りに『旧来通り、法的に強い権限が認められた執務官』としては最後の人間になった。その一方で、扶桑軍の軍籍も依然として維持しているので、意外にややこしい身分である。
「あたしの身分に比べればマシですよ、たぶん」
「軍の将校と執務官の双方だものね。フェイトちゃんは事後に一応は『出向』扱いになったけど、あなたはガチで軍籍を持ってるものねぇ」
とはいえ、今後ははやても軍事部門の独立に伴い、艦隊に身を置くことになるので、正式に軍隊の佐官になるわけだ。地球連邦の間接的統治による変革期を迎えたミッドチルダの前途を思い、地球人として、複雑な感情を抱くのだった。