ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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二十五話の続きです。


第三十話「次元震パニック出張版その八」

――黒江達がGウィッチとして確固たる地位を築いた『A世界』の経緯はパニックで来訪中のB世界の面々にとっては荒唐無稽に映った。だが、事変中の映像、ダイ・アナザー・デイでの高画質での映像はA世界での一騎当千ぶりの証明であった。

 

「いったい…、彼女達は何者なの?」

 

「お前が認めたくない気持ちはわかるが、この世界ではこれが真実だ」

 

A世界では、別世界からオーバーテクノロジーが流入することでウィッチの役目が大きく変化しており、そんな中でも一騎当千の強さを見せているGウィッチたちはプロパガンダに用いられる一方、ウィッチの軍内での雇用を守るという政治的目的のいい見本にされている。オーバーテクノロジー兵器は日本からの介入を抑える目的でも活用されており、扶桑の政治的台頭を抑え込もうと画策する国の減少に寄与していた。

 

「信じられない。あれだけの怪異を一瞬で……」

 

「私達は神に選ばれてしまった身だが、その三人はその中でさえ特別の強さだ。世界最強のチームと言っていい」

 

ミーナBはダイ・アナザー・デイの映像を確認していた。バルクホルンAが見せていたのだが、そのあまりの強さに荒唐無稽ささえ感じていた。また、通常の刀剣では『魔力を込めて叩き割る』形でしか斬れないはずの怪異を外殻ごと一刀両断する。いくら世代の進んだジェットストライカーを履いていたとしても、ああも圧倒的速度で立ち回れるのだろうかと。黒江曰く、『並行異世界と繋がった、そして可能性と選択肢が増えたのがオレの世界の扶桑、否、日本連邦なのさ』とのこと。

 

「いくら世代の進んだ機体とは言え、こうも立ち回れるものなの、トゥルーデ」

 

「マッハ2は出ているからな。極秘の試作機だが、45年当時の試作型とはワケが違う」

 

映像で使われているものは自由リベリオンがF-16ストライカー実用化までの繋ぎに採用し、F-16普及後も大戦期からのエースたちが好んだ第一世代理論型の面影を残す『F-20 タイガーシャーク』である。比較的少数の生産であったが、名機である。第三世代黎明期の機体なため、比較的に軽装(要部は装甲されているが)だが、機動力は第三世代でも優れており、第一世代型の面影を比較的であるが、見いだせる。黒江達は同機を好んでいるが、それは機動力が第二世代理論型を超えている事、最初期のパワードスーツ形式ながら頑強である事、レシプロ以上の速度で起動が可能という迅速性から、扶桑でも64Fが導入し、F-15以前の黒江たちの愛機でもあった。第一世代に比較的近いシルエットを保っていることから、映像を見せても良いとされたのだ。

 

「嘘でしょ、二年でそこまでの代物を」

 

「オーバーテクノロジーが伝わった結果と言ったろう?」

 

「そんな、そこまでの…」

 

「これを見ろ。扶桑の新鋭空母だが…」

 

それはダイ・アナザー・デイで新鋭空母扱いで活躍したプロメテウス級空母だが、ミーナBの知る空母の数倍はあろうかという巨体とアングルド・デッキはガリアが思案し、ブリタニアが設計中(45年当時)のものと同じ(ガリアは戦争前に建造準備中であった『ジョッフル級航空母艦』に同様の甲板を採用予定であり、それがブリタニアに流れた)だが、明らかに洗練されたものを持つ。そして、艦上機も『後退翼を持つ流麗なフォルム』のジェット機』である。

 

「嘘でしょ!?カールスラントでさえも試行錯誤しているジェット機を空母艦載機に!?」

 

「しかも、マッハ2級の機体を量産しているのだ。我々が安定して量産できる限界はせいぜい遷音速だが、扶桑は超音速機。桁が違うよ」

 

「オーバーテクノロジーはそこまでの差をもたらしたというの?」

 

「そうだ。扶桑がそれを使用する事に躊躇いがないのは、リベリオンとの大戦を勝ち抜くためだ。いくら海軍を誇る扶桑でも、単独ではリベリオンの膨大な戦力には立ち向かえんからな。扶桑は近代戦に対応できる陸軍を持ち合わせてはおらん。それを改善しようとしているが…」

 

「確かに。必要性が薄かったのと、早期にユーラシア領を喪ったから、陸軍の近代化への興味が薄れていたものね」

 

「今では、質で完全に負けているがな…。あくまでも此方側での話だが、戦車砲は最低でも90ミリ、最高で120ミリ砲に飛躍した。ちょっと前のトレンドの75ミリ砲が豆てっぽう扱いになったからな」

 

「嘘……」

 

「おまけに政治的にカールスラントは窮地でな。軍隊そのものがまともに機能しておらんのだ。詳しい事情は機密だから話せんが、過剰な軍縮のためだ」

 

バルクホルンAは事情もあり、些か歯切れが悪いものの、大まかなA世界の状況をミーナBに教える。カールスラントは過剰な軍縮で国内に失業軍人が溢れかえり、困った政府が空軍の提出した軍部の再建案を呑んだ事、衰退したカールスラント空軍に代わり、扶桑『空軍』が世界最強の座を得た事が伝えられる。また、この時に長引く戦乱で財政が悪化し、軍縮を余儀なくされた欧州列強に代わる形で、国力が比較的に温存されていた扶桑が国際軍事力の一翼を本格的に担い始め、1947年には『世界最強の空軍』の座を扶桑が得たと明言した。僅かな間にそうなったのは、『陸軍航空部隊が海軍基地航空部隊を呑み込んで成立した』からであり、政治的事情でそうなったのだと。

 

「ある意味では合理的だけど、どうして、陸軍が主導権を?」

 

「正確には、陸軍航空の改革派が海軍の航空論者を抱き込んで作った組織だ。独立空軍として造るのは高官達の多くは想定していなかったからな」

 

「扶桑の政治家達の?」

 

「正確には、オーバーテクノロジー導入に気を良くした国防関係官庁が後押ししたと聞いている。海軍空母航空団は専門性が高かったから土壇場で存続になったが、引き抜きで練度が落ちたらしい」

 

「でしょうね」

 

――空母航空団は旧海軍の600番台の航空隊が引き続き任務を行う事になったが、書類上は空軍の管轄になってしまった601空の関係などもあり、海軍空母航空団の再建は遅々として進まず、『予算上の関係で存続した』とまで言われるに至っている。空軍がその任務を代行する形が継続しているのは、『ジェット機への世代交代で育成状況がリセットされた』からで、空自にはジェット機を空母に着艦させるノウハウは無いからでもあり、米軍などが技術を教導している最中である。扶桑は64Fを空母に乗せることで体裁を保っているが、日本軍義勇兵らの都合もあり、まだまだレシプロ機が海上では現役機である。一方で陸上機に関してはスムーズに機種転換が進み、旧式化した月光や雷電に代わり、F-104Jとドラケンが配備されつつあり、雷電、紫電改などの旧来機は減勢傾向にあった。(純正扶桑軍機最後の雄である震電改二はそのポテンシャルの未知数さから、量産に関しては検討中の段階であった)F-4EJ改すら一部精鋭部隊には行き渡りつつあるため、兵器の質的意味では扶桑に並ぶ空軍はないのだ。――

 

「通常兵器はオーバーテクノロジーで引き上げたが、問題はウィッチだ。技術進歩で戦争の様相が破壊的になったから、戦争神経症を患う者が飛躍的に多くなってな。扶桑でさえ、新規入隊者を確保するのに骨を折る始末になった。その代わりにオーバーテクノロジーでエクスウィッチの魔力を再活性化させる手段が取られた。お前からすれば、異端的で納得せんだろうが、それしか手が無くなったのだ、こちらではな。ただし、私達のように『絶頂期の魔力値を恒常的に維持できる』特異体質の者達も現れている。私達はその特異体質のおかげで未だに現役でいられるのだ」

 

「特異体質…、あなたも宮藤さんのように?」

 

「そうだ。まずは扶桑で最初に現れ、我が国にも現れたが、扶桑では異端視され、迫害されたが、戦争が激しくなり、501にその方たちが編入された。だが、年齢が20代に達していたのが不味かった。私はサバ読みを薦めたんだが、彼女達は事変に参戦していたから、誤魔化しが効かなかった。それが別のお前が対応を間違える最大要因だった」

 

「だいたい想像つくわ」

 

「お前にしては冷静だな?」

 

「美緒のことで取り乱すのだから、それより年齢を召している将校のことを戦力と見なさなかった事は容易に想像つくもの。それで、その方たちが異常に強かったのは聞いているけれど…」

 

「人外魔境というほうが正しいかもしれない。ストライカーが無くとも箒無しで空を飛べ、剣を振るえば、戦艦すら斬り裂く。天変地異すら自由自在に操り、戦場を蹂躙する。正に怪物だ」

 

バルクホルンAは黒江達のA世界での『人外魔境ぶり』をそう形容する。ウィッチという括りに収まらない無敵ぶりと万能性は伝統を重んずる扶桑ウィッチ界では異端扱いであり、迫害の対象にされたが、国家への献身の功績による国家元首の寵愛により一気に立場を好転させ、1947年時点では扶桑ウィッチ界隈のヒエラルキーの頂点に君臨していると。

 

「どうして、ヒエラルキーの頂点にまで?」

 

「政治だよ。政治的事情で10代のウィッチを採用するのが憚れるようになってな。20代に達した彼女達は都合が良かったんだ。世間的には、20代などは青二才と見られるからな…。それと、その年齢に達していても、戦闘能力はますます上がっていた。それが彼女達の地位が確固たるものになった理由だ。それと、魔力とは別個の力に目覚め、リベリオンコミックのようなことを副業でしてる子供達も出てきた。お前も目にしただろう?」

 

それはプリキュアの事だ。のぞみは自分の体の素体となった錦と『別個体』という形で出会い、錦からの『プリキュア・メタモルフォーゼ』を敢行。模擬戦で逆転勝利している。のぞみは先輩である咲の来訪で精神的負担が低減されたか、ダイ・アナザー・デイ当時よりは明るい表情も増え、昔年のお気楽極楽さを取り戻しつつあるが、模擬戦では手を抜かないらしく、錦Bを得意技でノックアウトしている。

 

「あれはどういうものなの?」

 

「見たままだ。全パラレルワールド全体にまたがって存在する戦士の一つの形だよ。中島少佐はその戦士の過去生を持ち、その記憶に目覚めたのだ」

 

「こちらでは中尉だけど、彼女にはその素養が?」

 

「あったんだよ、ここではな。まぁ、そちら側の彼女が不貞腐れたというが、基礎が違うのだ、基礎がな」

 

「それは了解したわ。でも、一ついい、トゥルーデ。美緒より前の世代のウィッチが現役を差し置いて強いなんて、ここの私は想像だもしなかったというのは理解するわ。いくら事変の英雄でも、ね」

 

「普通は調べるだろう?お前」

 

「自分より世代が古いと、バイアスがかかるのよ」

 

「お前、意外にバイアスかかるのか。なるほどな」

 

「仕方がないわよ、特異体質なんて、世代に一人いればいいほうよ」

 

「飛んでるの見て尚、調べなかったのは手落ちでしかないと本人が後に後悔してるがな。それで降格になったぞ、お前」

 

「え!?」

 

「相手は過去という但し書きがあるとは言え、天皇陛下のお気に入りである、扶桑最大の英雄達だ。上層部も座視は出来なくなったのさ。二回も査問されて、一時は大尉にまで落ちたぞ。本当は少尉にまで落とそうかと検討されたくらいだが、厳罰をかけすぎると、軍全体が混乱するからな」

 

「な、なぜなの?」

 

「昔、整備兵とウィッチの接触を禁じてただろ、お前。こちらではその不満が上に具申されてた上、彼女らを戦力と見なさなかった。それで政治的にお前は追い込まれた。坂本少佐でさえ呆れ果てて、半ば見捨てる形になるほどで、一時はヒステリックになって、医務室に軟禁されたくらいだぞ」

 

「嘘、でしょ?」

 

「私は嘘は言わんよ。宮藤が困ったくらいで、坂本少佐が見捨てるような口ぶりを上にしたもんだから、お前、ワルサーを振り回したからな。それで坂本少佐の判断で軟禁したんだ。ロンメル将軍が来てた時にそうなったから、彼の指令で拘束した」

 

ミーナAの覚醒寸前のヒステリックぶりはロンメルをして『軍人にあるまじき姿だ』と言われるほどで、坂本もその理由を『わかりません、将軍…』と答えるしかないなど、隊を混乱させた。圭子の手引で『一定のストレスをかけることで覚醒を促す』事は事前にロンメルに通達されていたが、精神的耐性が想定より低かったのが混乱の理由であった。覚醒には成功したが、ミーナはこの時に人事的失点がついたため、しばらくは大尉のままであったが、デザリアム戦役後に少佐に戻っている。この時点では一介の少佐であり、魔弾隊の副官になっている。

 

「まぁ、数日でも強引に療養させたおかげで、そういう面が鳴りを潜めたのは収穫だったがな。今は少佐に戻ったし、ルーデル大佐の副官をしている」

 

「ど、どういう事?」

 

「仕方あるまい。失点で書類上は降格させたが、作戦中に布告するわけにもいかんだろう。お前はルーデル大佐のもとで修行させ、501は彼女らが仕切ったよ」

 

黒江は同時に64F幹部であるため、ダイ・アナザー・デイの半ば以降の501は64Fの指揮下にあり、扶桑軍系の人材が中枢部の半数を占めるようになった。事実上の乗っ取りであったが、501のホスト権をカールスラントがその責任を取る形で手放し、扶桑が得た関係もあり、それは不問となった。その関係上、固有人員の内、カールスラント系の人材で引き続き上級幹部扱いなのはバルクホルンとハルトマンだけで、後は外様のマルセイユやハインリーケ(アルトリア)である。ミーナはダイ・アナザー・デイ後は出向しており、ここ最近は陸軍の師団に移行した『降下装甲師団』に籍を置き、501の運営からは事実上、身を引いていた。ただし、機甲戦技能を生かしての陸戦指揮官として貢献はしているため、坂本同様に『隊の運営からは身を引きつつも、隊には貢献する立場』と言える。

 

「お前は二年前の失態の責任を取って、隊の運営からは身を引いたが、一士官としては所属を続けているよ。ただし、ルーデル大佐の抑え役だがな」

 

「…何のゲルマンジョーク?大佐の抑え役なんて」

 

「それを言われてもな。それが真実だ。入ってくれ」

 

「やれやれ。トゥルーデ。お前にしては手間取ったな?」

 

「グンドュラ!?」

 

「正確には、この世界でのグンドュラ・ラルだと言っておこう。私自身にも説明するのが骨だったからな、今の立場は」

 

「どういう事?」

 

「私の服装を見ればわかる」

 

グンドュラAの服装は将官のそれであった。しかも自分の知るグンドュラ自身より高位の勲章とその略綬がついている。階級章も中将であった。

 

「将官…?貴方が?たちの悪いイタズラなら、止めたほうが身のためよ?」

 

「悪いが、こればかりは本気だ。ガランド閣下が隠居なされたから、その後任に祭り上げられたんだよ」

 

グンドュラは言うまでもないほどに素行が最悪であったので、誰もが将官になるとは思っていなかった。だが、ガランドの電撃引退は皇帝をも狼狽させ、ガランドの推薦で祭り上げられた。言うなら、公的立場で雁字搦めにしちまおうという奴だ。

 

「隠居というかフィクサーに、と言うのが実情だが。こいつ、今は扶桑に移住しているが、カールスラント空軍再建の任を仰せつかっているんだぞ」

 

「その通り。不本意だが、皇帝陛下に泣きつかれてはな。まぁ、今では好きにできる立場だがな」

 

グンドュラは就任早々、次期主力に選んだF-104のことでハルトマンと揉めたが、山本五十六がハルトマンを諭したことで事なきを得ている。黒江が運用法をレクチャーするとし、 怒るハルトマンを宥め、山本五十六が諭すという手順で。この日までに山本五十六が両者を和解に導いたため、山本五十六のカリスマ性に箔が付いた形になる。

 

「ん、悪い。そこの窓を開けてくれ。扶桑の要撃が仕損じた中型怪異が向かって来てるぞ」

 

「え!?ど、どうするのよ」

 

「こうするの…さ!」

 

グンドュラはコインを取り出し、それを指で弾き、放物線軌道を描いて落下してきた瞬間に『それ』を放った。『超電磁砲』である。彼女のパーソナリティが御坂美琴の同位体のそれに変貌していたことで可能となった芸当であり、のび太の世界で暮らす御坂美琴に迷惑をかけないで済む理由である。その速度は御坂美琴の超電磁砲と同等でありつつ、コインの材質が鉄をジャパニウムでコーティングしたものであるために射程距離は桁違いに長い。これは光子力研究所の新研究所が建設の暁に配布される予定の鋳造だったが、投票で新研究所の計画が破棄されたため、コインだけが宙に浮いてしまったのを甲児がグンドュラへ横流ししたものだ。新エネルギーの登場よりも環境保全を人々が選んだため、光子力研究所はジャパニウムの平和利用を当面は縮小せざるを得なくなった。闇のマジンガーの存在が光子力の魅力を削いだのは間違いないだろう。

 

「え…?今の一撃でコアごと…?」

 

「ふむ。ここのところは撃ってなかったが、調子はいいな」

 

「下手な高射砲以上の有効射程距離だぞ。上々だな」

 

「トゥルーデ。扶桑の航空隊に打電しとけ」

 

「分かっているよ」

 

涼しい声で言う二人。しかも、今の行為を扶桑の人間達は気にも留めないというのかと、目をぐるぐるさせてパニックのミーナB。

 

「あ、しばらく静電気が帯電するから、離れてろ。私の電気の指向性は黒江閣下より低いからな」

 

「彼女は今以上の芸当を?」

 

「雷を圧縮して光線にできるほどだぞ。グンドュラ、コレ、体に巻いて地面に垂らしとけ、アースになる」

 

「すまんな。閣下やストロンガーさんのようにはいかんな」

 

「あの二人はプリキュアから見ても化け物扱いだからなぁ」

 

チェーンを渡すバルクホルンA。受け取り、それを体に巻き、アース代わりにするグンドュラ。電撃の指向性が自由自在の領域の黒江と仮面ライダーストロンガーと違い、グンドュラの場合は超電磁砲の連射に一定の間隔が必要である。静電気が帯電するからである。

 

「そう言えば、この間、お前んとこの中島がまた喧嘩を売ったんだが、また返り討ちに遭ったぞ?」

 

「よっぽど悔しかったようね。彼女、別の自分がリベリオンコミックみたいな副業に精を出してるのを聞いて、不満がってたから」

 

「それは偶然の産物なんだがな。奇跡的な確率での」

 

「それだけで納得するような子じゃないわ。扶桑のウィッチって、みんなああなの?」

 

「それは偏見だが、あの年代は血の気が多いのは事実だよ。リベリアンを見てみろ」

 

「言えてるわね」

 

「坂本少佐も困ってたぞ。血の気が多いって。こちらとしては受けて立たざるを得ないが、手加減はできん。グンドュラ、見たんだろう?」

 

「それがな。あいつ、カチーンと来たらしく、エンペラーソードの乱舞やらかしたぞ。向こうの醇子が固まってしまってなぁ」

 

「え、エンペラーソードだと!?」

 

「ああ。向こうの錦が図らずしも、夢原の琴線に触れる事を言ってしまってな…。デザリアム戦役以来のことだが、あいつが怒ってな」

 

「何ぃ!?」

 

「怒りに任せて無茶ってのは無いが、湧き上がった怒りの解消にちょっと酷い目に合わされるだけさ」

 

「ひどいという領域を超えていないか……?」

 

バルクホルンAは腰を抜かすが、のぞみはデザリアム戦役でパワーアップし、Gウィッチとしての能力の完全制御に成功したため、マジンエンペラーGを含めたスーパーロボットの武器の生成もプリキュアの状態でこなせるようになった。その力を使ったのだろう。黒江が鍛えたため、エンペラーソードでの乱舞をこなせる技量に到達しており、ドリームの状態でエンペラーソードの乱舞を実行し、錦Bを『魔刃一閃』したのだ。竹井Bは顔面蒼白になったが、錦がのぞみの琴線に触れる事を言ったのは確かである。のぞみが別の自分の体を乗っ取る形で転生した事に突っかかったのだろうか?それは不明だが、ドリームとして、空中元素固定を使うのはデザリアム戦役以来、その時が始めてであった。また、剣鉄也から黒江を経由して伝授されし秘奥義『魔刃一閃』を披露したのも。魔刃一閃は本来、剣鉄也がGマジンカイザー用に編み出した奥義だが、同機が『平行世界』でZEROに打倒されている事を鑑み、それ以上の力を持つマジンエンペラーGの奥義として使い、定着した。黒江が大決戦の折にのぞみに先駆けて使い、プリキュアオールスターズの度肝を抜いたが、のぞみが始めて使用したのは、親友を傷つけた『タウ・リン』へ対してであり、彼が如何にのぞみから敵意を持たれたかがわかる。それを加減したとは言え、模擬戦で使うあたり、よほどの事であったらしい。ミーナBがバツの悪そうな顔を見せた事を鑑みるに、おそらく、錦Bは何か不味いことを挑発目的で言い、それに乗ったキュアドリームの怒りの斬撃を浴びてしまったのだろう。ある意味、扶桑ウィッチの悪い癖(挑発)のいい見本であった。

 

 


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