ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第二百九十九話「セクシー・アドベンチャー 25」

結局、災害等から身を守る術は必要であったため、地球連邦軍は組織がすんでのところで存続した。ガトランティス戦役は結局、地球から移民可能な惑星が当時の観測技術では見つからず、コロニーは『金魚鉢』(そういう概念があったらしい)と揶揄され、次々とガトランティスに破壊された。この時の破滅的な経験が以後の時代の地球連邦の認識を変えてしまい、以後、ハーロックの時代(30世紀)に至るまで、敵対国家には死あるのみという考えが根付いてしまう。文化の交流も(相手が戦闘国家続きであったために)和平に寄与しないことが続いたためで、結局、ウィンダミア王国は『虎の尾を踏む』形で破滅していったわけである。ゲッターエンペラーに主要惑星のいくつかを『物理的に握りつぶされる』という顛末を迎え、王族も宰相の暴走で絶えてしまったため、以後は(寿命の短さから)共和制にも完全には移行できず、地球人との交配で雑種化することで生き残るしか、もはや手がなく、以後の歴史の流れに彼らが現れる事はなかった。彼らは『銀河をも切り裂く』波動砲を持つ宇宙戦艦ヤマトの飛来を恐れたが、『そのほうがまだよかった』と嘆かれる惨状を招いてしまったのである。

 

 

「これが、これから起こる出来事か」

 

「そう遠くないうちに、な。あたしらがエンペラーを宥めても、向こうが勝手に地球を滅ぼそうとしちまうんだ。エンペラーがきた時点で、王国は終わる。下手すりゃ、エンペラーチェンジだけで、星団が跡形もなく吹き飛ぶ」

 

ハーロックからもたらされる情報から、事前に、地球連邦の良識派ら(黒江ら含む)で対策は立てられていたが、それが中央に伝わる前に、現地派遣軍が不始末を起こすというお決まりのコンボで、ウィンダミア王国は無自覚な『破滅』に向かってしまう。機械神であるゲッターエンペラーに、お互いの時間軸の差は無意味であるからだった。

 

 

 

デザリアム戦役後の地球連邦の外交姿勢は『ゲッターエンペラーが介入する前に、なんとしても解決する』方向にシフトしていった。だが、現地駐留軍の傲慢などが理由で、地球を滅ぼすことを公言する現地人政府、それに怒ったゲッターエンペラーが移民星や異星人の星を物理的に潰してしまうという事態は避けられず、有無を言わさぬ、ゲッターエンペラーの存在が地球連邦の統治領内の反乱の抑止力として機能するという皮肉な状況となった。こうして、ウィンダミアは不幸にも、前王が(戦争を避けるために)ゲッターエンペラーや宇宙戦艦ヤマトと言った、『どんなことをしても』抗えない力の存在をひた隠しにした結果、より悲惨な有様に堕ちる事になった。

 

 

芳佳Bらの世界線は発見されたが、行方不明と判明してから、24時間も経過しておらず、その間に非人道的な怪異の研究の予算が通る始末であった。その世界線では、A世界と違い、マンハッタン計画が早めに完成しており、ファットマンタイプの原爆が極秘裏に五発も用意されていた。これを怪異のコアで爆発させる計画であったが、放射能汚染などはまったく考えていないものであったと、フェイトは報告した。

 

「どうします?」

 

「下手に帰しても、連合軍がロマーニャで原爆を使いかねんとはな。世界遺産だのの歯止めもないし、そんなものができたのは戦後だし、原子力の取り扱いが危ないのが分かったのも、原子力事故や原爆の惨状を調べてのことだからな。向こうの坂本は、連合艦隊を海の藻屑にしてもいいというが、向こうの世界の住民が納得せんよ」

 

「どうします?」

 

「お前はしばらく、そちらに滞在して、連合軍の状況を探れ。こっちでのモンタナ級の情報を流せば、連合艦隊はパニックに陥るから、潜り込みやすい。信濃は空母として造るべきじゃないからな。可哀想だが」

 

と、フェイトを潜り込ませる黒江。B世界の連合艦隊を坂本Bが粛清したがっているが、下手に連合艦隊を弱らせると、リベリオン合衆国が連合国の主導権を握ろうとするのは目に見えている。故に、B世界のリベリオン合衆国には、史実の大和型の増勢の情報を、扶桑皇国には、ミッドウェイ級空母とモンタナ級戦艦の情報をわざと流し、お互いに造船競争に入らせておく必要があるという。これは原爆に予算を使わせないようにするためである。

 

「ファットマンタイプまで製造が終わっているようで、輸送艦が出航したと」

 

「よし、こっちの海軍に播磨型の美濃(播磨型三番艦)を出させるから、うまく指揮して、拿捕しろ。海賊に襲われただの、氷山にぶつかっただのの言い訳が使える」

 

「氷山は無茶じゃ?」

 

「タイタニックのことがあるから、信じるよ。あの事故から30年くらいしか経ってない時代だから、記憶もまだ濃く残ってるし。扶桑の軍艦が助けただの嘘もできるし。お前は統合参謀本部付きの参謀ってことで、籍がある事になってるから、事前に現地の将官級を抱き込んでおけ」

 

「了解」

 

「その世界線の坂本が今、顔をゆでダコにしてるが、変わろうか?」

 

「あ、いるんですか」

 

「いる」

 

と、坂本Bはこうして、フェイトらの協力で、自分の世界の連合軍を地獄に送り込むための策謀を練っていく。現地の連合軍は核兵器の放射能などの弊害を知らないため、考えなしに投下する可能性が高い。だが、A世界では、未来世界の協力で、地球連邦軍の武器庫で眠っていた『旧ソ連邦の核ミサイル』を試しに宇宙空間にいた怪異に撃ってみたが、コアに弾頭をうまく当てない限りは(時間がかかっても)再生してしまうという実験結果が明らかになっている。結局、B世界の連合軍は知らず知らずのうちに墓穴を掘っていたことになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A世界では、次期飛行艇は非武装にすべきという日本側と、二式飛行艇の後継として、自衛能力付きの物が欲しい扶桑側が揉めに揉めたが、二式飛行艇の強化にしても、後世の大馬力エンジンに換装しても、機体のフレームがそれに耐えられるかどうかという問題が浮上した。火星エンジンは1800馬力(最終型)であり、それからエンジンを強化したとしても、上がった馬力に機体が耐えられるのか?という問題があったからで、結局は基礎設計自体は変わらないものの、そのエンジン出力を前提にしたフレームを持ち、救難・輸送用途を主とした飛行艇の新規製造に踏み切る事になり、本来は二式飛行艇の輸送型につけられていた『晴空』の名を制式名称とするのであった。また、『1944年』より前から試験されていた『パラサイト・ウィッチ』構想は、『魔女の世代交代の進展による質の低下』を理由に断念された。これはクーデターのせいで、魔女の質の低下が激しくなり、『長距離を飛行し、戦闘後に空中の母機を探せる』技能持ちを確保し難くなったからである。

 

「お前、水飲んで落ち着け」

 

「すまん…。つい…」

 

「あと、二式飛行艇から魔女を発進させることあるだろ?」

 

「うむ」

 

「こっちじゃ、時間がかかりすぎた。事変世代が減って、その後の第一、第二世代が主力なろうかという時に、連中が反逆を起こしてな。そいつらを政治家が無理に排除したんで、世代の構成がめちゃくちゃになった。それで、とりやめになった」

 

「ある程度の技能がいるからな……。ユニットは電探もないし」

 

「ジェットにはつくようになったんだが、その分、維持費も高くなってな」

 

「仕方あるまい。機能の多い機械は高価になりがちだしな」

 

「おおう…。お前から、そういうセリフが出るなんてな」

 

「そちらはどうだかわからんが、私は横須賀航空隊に顔出しているんだ。サーニャのような技能持ちはそうそういないしな」

 

「うむ。数年に一回だし、良くて。それも、サーニャくらいの精度となると、数世代にいっぺんくらいに落ちる。四年前(ダイ・アナザー・デイ)の作戦の時は、サーニャを過労にさせられんから、先方から早期警戒機をレンタルしたよ」

 

「こちらでは実験段階で、それも精度が低いとかで、横須賀航空隊での評判悪いんだが、なんでだ?」

 

「真空管の質が悪いんじゃね?こっちはその次の次の次あたりの世代の電子技術での電探使ってるしな」

 

と、黒江は言う。ダイ・アナザー・デイ当時、その時はまだ在籍していたサーニャ(程なくして、姿を『変える』が)を過労にさせるわけにもいかないため、地球連邦軍から早期警戒機を部隊ごと借り受け、運用したと。そのおかげもあり、先手を取れることもあったと教える。

 

「そっちの横須賀航空隊に言ってやれ。貴様らの怠慢だとな。使いこなせば、便利だし」

 

「お前、ここだと実戦に戻されたのに、詳しいな」

 

「異世界で、今後の数世代分の技術発展の様子を見まくれば、な。お前、電話だって、そのうちこうなるぞ」

 

「な、なんだ、これ??」

 

「21世紀頃に派遣されてる時に使ってる電話……いや、万能機器に近いな。だいたいは80年も経たずにこうなっていく」

 

スマートフォンはM粒子散布下では役に立たなくなるので、基本は21世紀世界での連絡用である。M粒子はそれを後退させたとして、悪名高かったが、タキオン通信の実用化で復興に向かっている。タキオン粒子であれば、21世紀までの電波と違い、その影響を受けないからだ。

 

「この世界だと、基地とかの周辺しか使えないがな。基地の周りにしか電波塔立ててないし。黒電話が最新の時代に、こんなの持ってても、変な目で見られるしな」

 

携帯電話、ないしはスマートフォンは21世紀世界では必須なので、64Fの幹部級は全員が保有済みであるが、23世紀世界では(タキオン粒子の通信タワーに対応する端末が開発中なため、誤作動防止のために、サイズがタブレットPCのサイズになってしまい、サイズ的に実用的ではない。なお、購入は骨川コンツェルンの仲介である。

 

「この時代じゃ、概念もわからんだろうからなぁ」

 

「戦艦の射撃指揮装置がアナログコンピュータだが……最初の電子計算機が現れるかどうかだしなぁ。しかも、テニスコート一個分の大きさで」

 

コンピュータは最初、その大きさであったし、能力も微々たるものであったが、電子回路の発達で、スマートフォン程度のサイズでも、二昔前の業務用コンピュータを凌ぐ能力になった。だが、この時代の技術力は真空管すら精度がおぼつかない程度。携帯電話さえも夢物語だ。

 

「変われば、変わるものだな」

 

「俺らは時代的に、生きてるうちに見られる可能性は低いよ。1980年代で肩掛け電話で、90年代で小型化が始まるくらいのスピードだし」

 

 

1920年代前半生まれの黒江や坂本らには地味に堪える現実である。だが、坂本Bは『孫と暮らしている時代には、そうなる可能性がある』ことに、希望を見出したようであった。

 

「お前、出しゃばらなくていいのか?」

 

「何、友人が面倒見ててくれてるし、偶には若い連中にやらせるよ。今後の勉強にもなるし」

 

「お前、容姿変えてるというが、声まで違うとは」

 

「声は地声だよ。軍隊で喉潰したんだよ、本当に。その前の状態になったからな。顔がそれに釣り合わないからな。それもあった」

 

調と同様の容姿であるが、この頃には、坂本と同じように、普段はポニーテールにしている。服装もこの頃は自衛隊の制服を着ている。ダイ・アナザー・デイで扶桑軍が大慌てになったのが、『黒江が潜入先で将官になっていた』ことで、更に昭和天皇が『そのうちに少将に親補するから』と口約束していたことも追い打ちとなり、結局は『准将』を作る羽目に陥った上、作戦直後に中将に昇進させなくてはならなかったことで、それが扶桑の魔女団を血気に逸らせ、破滅させたのである。慣習破りを批判しようとしても、他国で既に将官になった者はいるし、黒江はここ数十年では最高の実績を誇る国家的英雄であったし、扶桑魔女団の保守性が(却って)批判のの対象になる。それで、黒江を殺そうと、クーデターの際に襲ったが、黄金聖闘士でもある黒江には歯牙にもかけられなかった。

 

「俺は出世頭になったが、慣習破りで将官になったから、魔女団の中堅に襲われてな。全員を病院送りにしてやったが、英雄である俺を同士討ちしようとしたんで、お上が激怒してな。クーデター軍を皆殺しにしても構わんという命令まで出た」

 

魔女団の破滅はこうした、思い込みと慣習破りへの敵視が重なってのものであった。志賀のように、決定的な破滅を避け、後に名誉回復をなし得、元同僚に懺悔が赦されるケースは例外中の例外であった。

 

「その結果が、この戦争での人手不足か」

 

「うむ。特に魔女はな。宮藤世代も引退の見えてきているはずの時代だが、世代交代で実験経験皆無になられても、使い物にならないしな。本土の空中なのに、そこで迷子になったアホもいるそうだ」

 

「信じられんな……そこまで?」

 

「うむ。ベテランをやめさせられないのは、これだ。おまけに、前線帰りと本土の訓練生は見る光景がまるで違ったからな。で、前線帰りのことを訓練生は馬鹿にするが、怪異が一匹出ただけで、文句だけ言って、実際の現場で使い物にならん。結果、軍をやめていく。そんなのが続いたから、若手を送ると、前線から文句が出るんだよ、近頃は」

 

「信じられんな……」

 

「だから、俺等の世代が呼び戻されてんだよ。覚悟決まってるし、仕事こなしてくるから。今は新人育成は現場でするしかない時代になっちまったしな」

 

結局、黒江らの世代は『大人になっている』が、世間的には若い部類に入る年代(1949年当時)であったので、日本の意向もあり、魔女の主力の世代と扱われた。色々と戦後の時代の社会規範を適応すると、魔女は不都合が大きいのである。普通の社会では、黒江らは20代後半(黒江らは戸籍上)。日本の基準では『青二才』に入るが、魔女の基準では大年増もいいところであった。魔女の盛りは一般に、『14~18歳』であるとされるからだ。

 

「俺らは神に本当に仕えてる&宇宙空間とかに出てるから、能力が進化したし、転生で使い魔と一体化してるが、それ以外は今まで通りだからな。だが、日本はそれが気に入らんのさ。まぁ、普通は魔力は永続的だし、加齢で衰えるようなものじゃないからな」

 

「だからと、子供たちの居場所を奪うのか?」

 

「ジュネーブ条約が改正されたからだ。俺たちはその時に16歳超えてるからよかったが、ルッキーニが引っかかってなー。それもあるんだ」

 

半分は本当のことである。旧501を始めとして、統合戦闘航空団の主要メンバーは多くが15歳を超えており、ダイ・アナザー・デイ時はギリギリで年齢下限をクリアしていたが、ルッキーニが引っかかってしまった。ルッキーニは(素質では)ロマーニャの当代最高であったし、精神面は未熟であったが、戦闘技術では一級であった。その兼ね合いで、ルッキーニは表向き『本国勤務になった』という扱いである。ロマーニャは赤ズボン隊を事実上失った(メンバーが1948年までに『20歳』を超えてしまったので)ため、魔女兵力の価値低下により、ヴェネツィアへの政治的な歯止めが失われ、内戦状態がしばらく続く事になった。

 

「面倒なことを。これだから、政治屋は」

 

「魔女狩りを煽るつもりはなかったが、結果としてそれを煽ったから、魔女は国際的に保護されるべき存在だが、戦争に使うものじゃないって風潮が煽られたが、実際はそうしか役立てないからな。それに、異世界のように、生涯に渡って続くものじゃない。俺たちは特別であって、他は違うんだがね」

 

 

こうした法的規範の近代化での魔女の存在意義の揺らぎが社会的地位の低下に繋がり、オラーシャ帝国ではクーデター軍による虐殺が横行。多くの優良な魔女が扶桑へ逃れた。結局、扶桑は戦争で不足した中堅層の魔女の多くをこうした義勇兵で補うこととなり、生え抜きの質の回復は、新教育を終えた世代が中等教育を終える時代を待つしかないと結論づけられた。また、使い魔が定期的に主人を変えていく存在であることも問題となったのもあり、魔力の定義が時空管理局の魔導師に近しくなった魔女は歓迎された。使い魔の絶滅自体は望まれていないが、精霊の力を借りるという観点がアメリカなどの国々からは疎まれたため、魔導文化の停滞で数を減らし始める。使い魔によらない魔力の発現が始まったことも、追い打ちとなっていく。とはいえ、信仰自体は生き続けるため、異能者との区別はなおさら必要となった。ある意味、リンカーコア器官の存在は魔女の存在意義を根底から揺るがしたといえ、異能者の区分は『従来の魔女から生まれたが、成長の過程で異なる存在に分かれ、対軍レベル以上の強大な力を得た者たち』や『時空管理局の魔導師』を説明する単語となっていった。魔女の世界の人々は『扶桑などでは、軍でしか生きれない者も多いから、異能者を歓迎しているが……』と懐疑的な目を向けていたが、諸外国の大半で(魔女の世代交代で)質の低下が起こり、額面通りの戦力を発揮できないことが続いたため、魔女の雇用枠を縮小する政策が実行される。運用ノウハウの維持に必要な分だけを維持すればいいと。これはダイ・アナザー・デイからの流れで起こった必然であり、根本的な世代交代が起こらない十数年は続くだろうと見積もられていた。そのため、異能者たちは(政治的には)魔女権利の擁護のためにも、一騎当千を求められていくのである。

 

「だから、お前らは一騎当千を?」

 

「義務付けられた。お前自身が発破をかけてるよ。批判されてるが、そうでもせんと、魔女が社会から切り捨てられるっていう危惧があるからな。これまで栄華を極めてきたのは、流した血が国家の繁栄に繋がったからだと。ナポレオンも魔女の犠牲で、オラーシャから帰還できたしな。それに、俺らは普通とは異なる時間を生きてる。お前らは『時間の流れから外れてる』だけだが、俺たちは神に近い存在になったからな。今の姿で生き続ける。いずれはどこかで隠遁生活に入るつもりだ。歳を食わないなんて、気味悪がれるだろ?」

 

黒江たちは隠遁生活に入る目安を80歳近くと考えていたが、実際は一族の統制等の事情も絡んだので、更に延び延びになる。更に、後継者選びもあったためだ。

 

「孫の世代が今の俺等くらいになるまでは引退できんだろうしな。それほど、魔女の発現率は落ちてる。芳佳の結婚も『早すぎる』と叩かれる時代だ」

 

「馬鹿な。20代の結婚は遅いほうだと、実家に愚痴られるんだが……」

 

「21世紀以降じゃ、30代の結婚が当たり前になる。若いうちに遊んどけって価値観になるし、猫も杓子も高等教育を受ける時代だから、金もかかる」

 

「馬鹿な、高等教育は選ばれた者だけの特権だぞ。女にそのようなものはあまり……」

 

「そういう時代は終わるのさ、これから。武士の時代が終わったように」

 

坂本B自身、自分の受けた高等教育を『国家に奉仕した褒美代わりのもの』としか考えていないようで、そこを黒江は諌めた。そこに、Aと違う意味で、坂本の歪さがあった。

 

「これから、別の意味でのバカは増えていくから、受けられるだけいい方なんだぞ。下手すれば、神奈川でも、中等教育も受けてないような世間知らずが地主の妻として幅を効かせてるくらいだしな」

 

「馬鹿な、そんなことあるのか?」

 

「往々にしてあんだよ、農村地域とかには。だから、お前も、帰ったら気をつけろよ。前時代的な価値観を押しつけるような連中だしな、地域の地主の少なからずは」

 

と、坂本Bの考えに釘を差す。どこの世界線でも、坂本は『ラストサムライ』の渾名をもらうような価値観で動くからで、A世界線の転生した坂本は、その中で最も21世紀よりの感覚を持つ存在である。

 

「俺も胸糞悪い思いしたしな、その手のことで。異世界行ってると、苦労も多いし」

 

「お前、その姿だと子供に見えるぞ?」

 

「良くて15、6にしか見えねぇしな、俺」

 

黒江は調の容姿を好んで使うが、デメリットはこのことであった。魔女の世界では『官性名』を名乗れば、大抵の一般人は一目置くが、日本では、自衛官を『まともな仕事ができないチンピラが行くところ』と公言するような認識もまかり通るため、辛酸を舐めたことも多いという。とはいえ、黒江は(カミングアウト前でも)防衛庁時代に潜入してからは『広告塔』代わりに見られ、割に出世は早かったが、百戦錬磨の英雄と判明してからは『若齢で将官になった』として、扶桑人を差別していないことの免罪符代わりにされたこともあるので、マシなほうだ。ましてや、パイロットであるので、21世紀でも『超エリート』扱いなのには変わりない。高等女学校(旧学制下での中等教育機関)の低学年の子供のように見えるが、中身は陸士をかなりの成績で卒業した超エリート。坂本Bは、世界線が違えど、(エリートコースを歩んできた割には)気さくな黒江の態度に安堵していた。

 

 

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