――キュアブルームとイーグレットの来訪でプリキュアチームは一つのまとまりになりつつあった。未来世界では、ネオ・ジオンとジオン共和国が解体されたものの、ネオ・ジオンに与しなかったジオン公国軍残党と分裂したネオ・ジオン強硬派(旧ザビ派)がウィッチ世界に対しての介入を開始。彼らの目的はもはや居場所を造ることだけであり、かつての大義名分は有名無実化していた。そして、公的に開戦していないこの頃でも、ジオン残党による襲撃は日常茶飯事と化していた――
「綾香、ジオン残党の連中が維新隊の警戒網を突破したぞ!」
「何!連中、目的が手段化してやがる!だが、こちとら模擬戦中だぞ、出られん。ケイ、なんとかしてくれ」
「しゃーねぇ。ゲッタードラゴンを使う。シャーリーに出るように連絡入れるぞ」
黒江は模擬戦中に緊急事態が発生したが、対応できないとし、圭子がゲッタードラゴンを使うことにした。
「黒江、緊急事態なのか?」
「ケイが対応する。ケイは即応態勢を取ってたしな」
黒江はそうとだけ答える。その答えと言うべき飛行機雲が坂本Bと黒江のいる高度からも、ジェットエンジンの発する轟音と、上昇する軌跡を描く三つの飛行機雲が見える。
「ジェットエンジンの音か…。好きではないな」
坂本Bはジェットエンジンの音を嫌いと表現する。バルクホルンの一件でジェットに不信を抱いたのがわかる。バルクホルンを危うく殺しかけたため、個人的にはジェットを好いていないが、技術の進歩を否定するわけにはいかない軍人としての思考とで揺れ動く心情を垣間見せる。
「そちらの私はどうだか知らんが、この私は好かんよ。個人的にはな。バルクホルンを殺しかけたのだからな。……もちろん、技術の進歩を否定すれば、人の進歩を否定する事になるのは理解しているよ。わずかとは言え、宮藤博士と一緒にいたからな」
坂本はある種の強い保守性を持つ。Aは黒江を理解するために、それをかなぐり捨てた。Bは烈風丸に頼って戦っていた。だが、芳佳の新鋭機たる震電を受け入れる柔軟性は持ち合わせている。根っこは同じだが、行動原理は明らかに異なる。
「フ、根っこは同じだな」
「おそらく、それが私と言う人間なのだろう」
「皆への土産に、いいものを見せてやる。お前の知らん剣術の奥義だ」
戦闘を圭子達に任せ、黒江は模擬戦で御庭番衆式小太刀二刀流の奥義を披露した。ウィッチ世界には存在しない剣術であるため、坂本はどちらの場合も対応できない。逆手の小太刀を左右どちらかでも振るえるため、攻撃の起点を悟らせないというメリットが有り、黒江はシンフォギア世界で使ったところ、切歌を防御させる間もなくノックアウトしている。それをストライカーユニットを履いていても使用可能なあたり、黒江はかなり修練を重ねたことが分かる。
「殺されかけたって、レシプロだって殺される事はある、そういうトラブルを幾つか超えりゃ、散歩と変わらん危険度に成る。ジェットは日本辺りじゃ自動車の1/100くらいの事故死率だって言うしな。下の連中と併せて、度肝を抜いてやる」
「うっ!?」
黒江は左から技を放つ。ハルトマンAしか技を視認出来ない速度で回天剣舞・六連を披露した。B世界の全員が視認できない速さであり、坂本Bがとっさに構えた刀を弾き、そのままストライカーユニットにつけていた吹き流しを切断した。
『御庭番衆式小太刀二刀流・回天剣舞・六連…!』
残心を決め、切断された吹き流しが宙を舞う。坂本Bは何をされたか理解できず、芳佳、バルクホルン、ハルトマン。B世界の三者もあまりの速さで茫然自失状態だ。
「何、今の……」
「うそ、坂本さんが何も出来なかったなんて」
「あの方はいったい何をしたのだ!?」
「簡単さ。一呼吸の間に超高速の六撃を加えたのさ。回転しながらね。少佐は半分は防いだみたいだけど、流石に全部は無理だったみたいだね」
「今の見えてたの!?」
「まーね。あれは普通の剣士じゃ防げない攻撃だし、少佐としちゃ頑張ったほうじゃないかな。トゥルーデも見てるだけじゃ物足りなくなったんじゃない?」
「いいのか?」
「こっちのトゥルーデは教官職で別の基地に出張中だし、こっちのあたしがどうなってるの気になるっしょ」
「ミーナにはなんて説明すれば?」
「こっちのミーナが説明してる。別人級に違うから、今頃は腰抜かしてるかもね」
「こっちのハルトマンはこっちの秘密兵器よ。泡吹かないようにね」
「閣下、どんなに振る舞いが変わろうと、基本がハルトマンであるのなら、対処法は知っています」
「そうとも限らないわ。戦ってみればわかるわよ」
智子の言葉はすぐに真実とわかった。ハルトマンはエースに成長後は一撃離脱戦法を得意としてきた。一時は上官でもあったため、バルクホルンはその対処法を知っていた。だが、A世界のハルトマンは既に違っていた。
「ココはモルヒネデブが夢見たような運用が出来る部隊だから、部内決済で出来ることも多いから、預かりの人間混ぜた訓練なんて御茶の子さいさいってもんだよ」
「お前、ゲーリング閣下になんて…」
「事実じゃん。あ、こっちじゃモルヒネ中毒治療して、ナイスミドルになって広報の曲技飛行部隊の司令官としてよろしくやってるよ」
ハルトマンAは黒江からキ100を借り、バルクホルンBはフラックウルフFw190のD型(A世界のフォッケウルフにあたる)である。規定高度に上がったバルクホルンBを待っていたのは、吹き流しを外して持ちながら、待っているハルトマンAだった。
「貴様、どういうつもりだ」
「別に。あたしに当てられないだろうと思ってね」
「ふざけるな!私を誰だと」
「もちのろんさ♪」
ハルトマンAは軽口を叩きつつ、ダイ・アナザー・デイでニュータイプに覚醒したという反則もあり、バルクホルンの頭を押さえる。バルクホルンの癖を熟知している上、銃を鈍器にする戦法も見切っているため、Fw190系の迅速なロール率を応用したマニューバもキ100の神がかり的機動性の前に封殺されていく。そして。
「この私が相手を見失うだとぉ!?どこだ、ハルトマン!?」
キ100の旋回性能はキ43の再来と評価されるほどの神がかり的なものであり、原型機より軽量になったため、上昇率もFw190Dを上回る。ウィッチであれば、ロール率の差はテクニック次第で埋められるが、上昇率は余剰馬力や最適上昇速度に由来するため、小手指の努力ではどうにもならない。流石のバルクホルンもその差で見失ってしまうが、ハルトマンAは飛天御剣流を会得した都合上、気配を消せるため、バルクホルンBが一生懸命に辺りを見回している間に、宙返りでバルクホルンBの背後を取り、そのダッシュ力で吹き流しをもぎ取る。
「一本もーらい」
「バカな!?気配を感ずることも出来なかっただと!?」
「悪いね。キ100のダッシュ力は高い部類なんだよ」
ハルトマンAは微笑う。彼女は祖国のストライカーユニットの性能特性が陳腐化した後は扶桑系ストライカーユニットを使用するようになり、誘導弾の登場もあり、格闘戦寄りに切り替えた。それまでの得意分野たる、一撃離脱戦法そのものがジェット機とミサイル時代の到来で陳腐化した故の選択である。
「くそ、もう一本だ!!」
「いいよ。(あーや、剣つかっていー?)」
(いつものぶん殴り戦法やってきたら、な)
(オーケー~)
テレパシーを使い、黒江から許可を得たハルトマンAは二本目の模擬戦を始めた。バルクホルンが芳佳の前なので、ムキになっているのが見え見えだからだ。二本目はバルクホルンが本気を出したのか、機動においては互角であり、バルクホルンの二丁拳銃をハルトマンが上手く避ける構図に変化した。
「さすがはトゥルーデ。あたしの動きに合わせてきたね」
「扶桑系の機体を履いていようが、根本の動きは変わらんはずだ。それに、ずっと面倒見てきたのは誰だと思っているのだ」
「伯爵が聞いたら、大笑いだなぁ」
「や、奴は関係ないだろ!?」
ハルトマンAは本気を出したバルクホルンBの攻撃を軽口を叩きつつも本気で避ける。バルクホルンの射撃は正確だからである。
「トゥルーデの攻撃は正確だけど、避けやすくはあるね。ハンナはフェイント入れてくるから、読みにくいけど」
「批評する余裕があるのか?」
「正確すぎると、却って読みやすいのさ。対人戦だとね」
「見せる射撃と当てる射撃の混ぜ方で相手をコントロール出来なきゃね」
「なるほど、言うようになった!」
二人はお互いにフェイントも織り交ぜたマニューバを掛け合うが、お互いに手の内を知るからか、どれも決定打にならない。バルクホルンも本気になれば、ハルトマンの攻撃の癖を見切れるからだ。
「あ、あら~…。」
「チッ…!」
双方が弾切れになるほどの接戦は黒江と智子も関心するほどのものであった。ハルトマンAはバルクホルンBが最後の手段を講じるのを確認し……
「悪いが、こいつで勝たせてもらうぞ!!」
「やっぱ、そう来たね?」
「――…?」
ハルトマンAは提げているサーベルらしきものに手をかける。そして、次の瞬間、バルクホルンBのMG42を綺麗サッパリと居合抜きで斬り裂く。バルクホルンが僅かに上を取ったタイミングで乾坤一擲のMGハンマー(A世界でのその攻撃の命名)を放つ一瞬でハルトマンAは銃を離し、体を寝かした状態からの飛天御剣流・龍巻閃を放った。ストライカー装着時に体勢と関係なく技を放つため、飛天御剣流の使い手の中でも『変異的使い手』とされる。相手の背後に回り込み後頭部や背中に打ち込む返し技とされる『龍巻閃』を『攻撃技』として使用し、ヒットさせるのはかなりの難儀であるからだ。
「な、あれは……明治19年式の軍刀…!?馬鹿な!?」
坂本BはハルトマンAが抜いた剣がサーベルではない事を瞬時に見抜いた。外装はサーベルそのものだが、刀が扶桑刀(日本刀)そのものだからだ。B世界ではナショナリズムの高まりで、坂本が10歳の頃に次世代の純日本刀型に交代しているもので、昭和22年では完全にレトロな代物である。
「ど、どういう事だ!?せ、説明しろ、黒江、穴拭!」
「落ち着きなさい。みっともないわよ」
「ハルトマンがエースになった後、剣の才能に気づいたガランド閣下が北郷さんのツテで調達したものだよ。刀身は最新の五年式に変えてある。ハルトマンの時代になると、九四式軍刀や九八式軍刀(ウィッチ世界では、ウィッチの軍刀は官給品である)があるけど、お上が話を聞いて、カールスラント軍人に扶桑式外装の軍刀は不味いと考えて、明治19年式の外装を使ったんだよ」
実際はダイ・アナザー・デイ中に扶桑天皇が忠節を誓ったハルトマンに直接与えたものだが、それを言うとややこしいため、嘘を混ぜたのだ。嘘も方便というが、ハルトマンAはカールスラントの軍服は着ているが、実質は日本連邦に忠節を誓った身なので、こうした嘘も必要なのだ。
「この世界のハルトマンさん、なんだかカッコいい……」
「だからと言って、今の居合はプロのやる仕事だぞ!?私だって、あそこまでは…」
「こっちのエーリカは剣の天才だから」
「おう。秘剣・雲耀も数時間で覚えたしなぁ。ラーニングは俺らより上だ」
「お前らを上回るだと!?」
「ああ。天才だよ、あいつは」
黒江をして天才と言わしめたハルトマンAの才覚。その剣技は既に円卓の騎士さえも容易に倒せるものであり、扶桑の名だたるウィッチの殆どを超えていた。それは見様見真似で天翔龍閃を再現出来ることで証明されており、そのラーニング技能は黒江をも凌駕する。
「多分、この世界での『剣士』のカテゴリで言えば、間違いなしに五指に入るわよ、あの子」
「なんだと!?徹子や義子を差し置いて…!?」
「西沢が互角に戦えるくらいだな。若本のガキは伸びしろがなくなっちまったからなぁ、この世界だと」
「あの子、指揮官でもあるから、剣術の技能維持の時間も取れなかったっていうしね」
若本徹子はA世界では64Fに出向して戦ったが、剣のトレーニングをやる暇が無くなっていた事、指揮官の立場上、三号爆弾の名手になっていた都合もあり、剣技の技能は絶頂期に比して鈍っている。絶頂期は扶桑最強を謳われたが、個人技よりチームプレイを重視する指揮官としての体面があったため、個人戦闘力は絶頂期より低下傾向にあった。これは覚醒後は部隊指揮官の立場であった事も作用しての結果である。もっとも、これは指揮官として、『敵が来る時は退いて、敵の引き際に落とすんだ。つまり上空で待機して、離脱して帰ろうとする奴を一撃必墜するんだよ』とする戦法を部隊のために取っていたためであり、根っからのドッグファイターである西沢に反感を持たれ、『途中で帰る奴なんか、被弾したか、臆病風に吹かれた奴だろ?それじゃ協同撃墜じゃないか、バカタレが!』と毒づかれ、二人は決闘騒ぎを起こしている。無論、この騒ぎは赤松の仲裁で収まっているが、若本には『海軍出身の撃墜王なのに、黒江の腹心として仕え、いつしか坂本の相棒ポジションを自分から奪った』ことへの反感があり、西沢も『敵は真っ向から落とすのが流儀だろ?』という恩師の横山大尉(47年時に空軍大佐)の教えを守る観点から、若本を異端視していた故の反論であった。つまり、西沢は古き良きドッグファイターの生き残りであり、若本は近代空戦に開眼した空中指揮官であるがために決闘に至ったのだ。西沢は個人としては間違いなく最強レベルだが、指揮官としては、良くも悪くも近代的な思考を持たない点で、黒江から『空中指揮を身に着けろ』と注意されている。つまり、小隊指揮はこなせるが、中隊以上の指揮はからっしきであるという難点が西沢最大の弱点である。
「西沢は指揮能力は小隊止まりなんだよなぁ。若本よりそこが落ちる。ま、基本世界じゃ指揮に無縁だから、できてる方なんだが」
「黒江、まさか、アイツに指揮を?」
「安心しろ、中隊以上はさせてねぇよ」
「小隊はさせてるのか!?」
「経験則でそこまでならできるからな。戦争も近いし、煽って勉強させるつもりさ。まっつぁんに『小童、お前は自分を駒で終わらせるつもりか?』って言われて、泣きそうになってたし」
「大先輩がなんでわざわざ?」
「ここじゃ、俺の恩師なんだよ、まっつぁん」
「な、なにーーーー!?」
「あ、あの、誰なんですか、その人」
「海軍ウィッチの最長老だよ。坂本が新兵の頃に世話になった人の部下だった経験があるくらいの古い世代の人。詳しくは坂本に聞いてくれ」
「お、お、お、お前!なんで、大先輩と縁が!?」
「なんだよ、ガキの前で狼狽えやがって。まっつぁんは俺の家族だけどなー」
「★※!?」
「あーあ、みっともない。足をガクガクさせて」
智子も坂本Bの動揺に呆れる。赤松は海軍ウィッチの最高権威者。B世界では坂本は恐れ多くて、まともに会話したこともないほどに接点がない。A世界ではウィッチ最高権威者の一人である事に変わりはないが、黒江を娘のように可愛がり、師弟関係というよりは親子関係に近い。その関係で、赤松は厳格な若松より人望がある。黒江を赤松は子供時代から可愛がり、軍人として独り立ちさせ、母の愛が得られなかった身に『母性愛』を教えた。つまり、赤松は黒江の育ての親であると言える。
「まっつぁんは俺の親みたいな人だからなー。ガキの頃は遊び相手にもなってくれたし」
「し、信じられん…」
「あんた、どーいうイメージ持ってたのよ?本人に言うわよ」
智子は転生後、赤松に黒江のことで叱責を受けている。その一方、転生後の献身を評価されているなど、赤松との関係は『ちょっと怖い近所のお姉さん』くらいである。圭子は転生後の悪ガキぶりを『面白くなったの、小僧』と評価され、子分扱いだ。(圭子が姉御と呼ぶ唯一の相手。若松の事は若さんであるため)
「実はな…。死ぬほどしごく鬼教官の噂だから、関わらない様にしてた。その、意見がぶつかると厄介だし……」
「あんたも似たようなもんじゃない。まったく、変に昔のままね」
「当たり前だろ、引退したとは言え、最高権威だぞ、最高権威!」
坂本Bは赤松を最高権威者ということで避けていたとするが、智子にあからさまに呆れられた事に涙目で反論する。A世界では若松のほうが厳格である分、黒江と圭子もめったに頼らない(茶目っ気が少ないと思われているため)ので、A世界では、それは若松が担っていると言える。もっとも、若松も赤松の親友であるため、本当は黒江に過保護である面があり、いじめの報が伝わった際や江藤の失態を知ると、激昂して積尸気冥界波を使うなど、溺愛しているフシがある。特に江藤はその被害者であるので、若松の真相を知っている。(若松の教え子であるためもあるが、積尸気冥界波を三度も喰らっている)黒江も未だに把握していないが、実は赤松も心当たりのない黒江へのプレゼントが何個かあり、それらは若松がこっそり用意していたものだったというオチがある。黒江への溺愛の理由は『溺愛する年の離れた末妹にそっくりである』からで、元祖シスコンと赤松から言われている。これは黒江も知らないことで、厳格なイメージを守っている若松の苦悩の産物である。その代わり、事変時は黒江の後ろ盾として振る舞い、江藤を黙らせていたりする。(一番楽しそうだったと、赤松の談)
「あんたねぇ。権威に意外に弱いのね」
「それはそうだろう。お前らは違うのか?」
「自分が権威って言われてるし、なってみると、後輩の補助になるもんよ?」
「そう…だよな…」
その言葉に納得する坂本B。A世界では、ウィッチ界の権威として君臨している(実際に戦果を挙げているため、実態が伴う)上、自分を尚も超える力をこの時代でも維持する黒江達の姿に憧れを感じ始めるのだった。
――維新隊は怪異相手の迎撃成功率は80%ほど。これは維新隊の平均練度はこの当時には向上しているが、人外魔境と言える新選組に比べれば、常人の範囲内に収まっていることの表れである。また、ティターンズやジオン残党に対抗するための訓練は積んでいるが、新入隊員などの先入観などから、警戒網を抜けられる事もままある。ジオン残党のMSは装甲材にガンダリウム合金を用いていないMSであれば、当時の維新隊の装備でも擱座に追い込めるのだが、多面攻撃の場合は処理が追いつかない。
「ギャプランの改良型か…。ティターンズから技術情報を得たな」
「ネオ・ジオンもいなくなったってのに、連中はなんでティターンズに協力するんだ、ケイさん」
「手段が目的化したんだろーよ。デザリアムとの戦争が終わった時にユング大統領が『全人類の共生』を説いた演説をしたりしたのと、サイド3の主要コロニーが尽く移民船に改造されて、恒星間移民に出た事で、サイド3への凱旋っていう目的も果たせず、ネオ・ジオンも解体されて、ジオンって存在そのものが消え去ったのを認められない。見下してたはずのティターンズ残党と同じ立場に置かれたから、皮肉なもんだぜ」
ジオン共和国も、ネオ・ジオンも解体されたデザリアム戦争後の時代の到来で地球圏のジオン残党は存在意義そのものを喪失。ティターンズ残党と連合して、ウィッチ世界のティターンズへの援助を開始。当初の大義名分は完全に希薄化し、もはや地球連邦への復讐心だけで動いている。反連邦という錦の御旗が彼らを結びつけたのがなんとも、歴史の皮肉感を醸し出す。
「あれが敵なんですか?」
「そうだ、ブルーム。いや、その姿だとブライトか?お前らは初陣だが、よく見てろ。これから戦う相手が連中だ」
「あの、先輩。なんで…あたしがポセイドンなんですー!?」
「経験ないだろうが、テメーは。ゲッターの操縦には熟練がいるんだぞ」
「あたし、作品の主役ですよ、主役ー!なのに、なんで三号機にー!食いしん坊のデブの指定席じゃないですかー!」
「アホ、そーいうメタい愚痴はきちんとゲッターの操縦を覚えてから言いやがれ」
「うぅ…」
ゲッターロボは基本的に、ゲッター線の力を引き出すためもあって、三人での搭乗が望ましい。そのため、圭子はその場にいたキュアドリームを数合わせとして、ポセイドン号に乗せた。(機動兵器操縦経験があるためもあるが)ドリームは数合わせにポセイドン号に乗せられた事を愚痴る。
「合体するぞ!ドリーム、お前は操作をトチるなよ!」
「は、はいっ!」
『チェーンジ!!ドラゴンッ!!スイッチ・オン!』
ゲットマシンが合体して、ゲッターロボGになるが、フレーム構造に外装チップが展開する形式のゲッター1と違い、合成鋼Gを採用する世代の戦闘用ゲッターロボはナノマテリアル構造などを用いてのモーフィング変形を行う。物理的に無茶な変形がドラゴン以降は多いのはこのナノマテリアル構造を持つ合金によるものだ。
「うっわ……無茶な変形」
「本当……。無茶苦茶ね…」
ゲッターの変形の無茶苦茶ぶりを久しぶりに見たため(真ゲッタードラゴンを見ているため)、それしか感想を言えないブライトとウェンディ(ブルームとイーグレットはフォームチェンジすれば、元から自前で飛行可能である)。
『真ドラゴンに比べりゃ、まだ優しいほーだぞ?』
「そりゃそーですけど、なんか圧倒されちゃって」
事実であるため、キュアブライト(キュアブルームのフォームチェンジ)はそうとしか言えない。ゲッタードラゴンの合体はそうとしか言えない威力であった。一同はこうして、交戦に入っていく。