ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前話の続きです。


第二十九話「回想とキュアドリームののび太への想い2」

――扶桑皇国は大和型を真の意味での『実用艦』とするつもりは当初はなかった。第二戦隊で錬成した後に単一の連合艦隊旗艦として使用する大和、実験艦としての武蔵に分けて、武蔵を予てからの怪異化研究に供するつもりであったが、黒江達の手で44年度に研究が施設ごと『抹殺』され、紀伊型戦艦の兵器としての陳腐化が分かりやすく衆目に示されたことで、扶桑海軍は大和型を艦隊戦における要にせざるを得ない状況に追いやられた。信濃と甲斐はその予備として計画され、その当時としては巨大な船体に目をつけたウィッチ閥により空母化要請がされたが、史実の不幸を知る日本側の根回しによる認可に必要な調査での不可判定と工員らの昼夜問わずの突貫工事により、戦艦としての工事が予想を超えて進捗してしまったために『空母化』は立ち消えになった。また、史実通りの諸元では造るなとの圧力もあり、信濃以降の二隻は段階的に近代化(構造強化など)が施された。元々のプランでは間接防御を強化する代償に、直接防御をわずかに減ずる計画だったが、日本がより頑強にするように厳命したため、扶桑は地球連邦軍に作り変えを依頼。それを達成した。つまり、日本の課した要求性能は『単艦で敵の絶対的制空権下を突破する』という軍事常識を逸脱したものであったため、扶桑は未来技術の使用を決断した。その結果、『21世紀の核兵器ではびくともしない』ほどの防御を得たのだ――

 

 

 

 

 

――1947年。扶桑皇国海軍は二年間の努力により、第一線艦艇の総数を史実日本海軍の最盛期以上に増加させる事に成功したが、日本側からは戦闘艦艇よりも補助艦艇の充実を厳命され、その方面に造艦能力を費やすことを得なくなり、開戦準備は遅れていた。工作船は既に『明石』の同型艦『三原』、『桃取』が竣工済みだったが、数の不足を懸念した日本により、『より多くの工作艦を!!』とスローガンを掲げたが、工作艦はおいそれと造れる代物でないため、特設を含めても10数隻しか就役していない。史実よりは多いが、予備をキープしておきたい日本側にとっては『すずめの涙ほどの数』に映っていたのだ。また、海援隊の海上護衛総隊としての活動にあたっての空母の配備を含めた近代艦艇配備の問題などが山積していたため、扶桑の造艦能力は飽和寸前であった――

 

 

 

 

 

――南洋島 東部の海軍基地――

 

1947年の南洋島。新鋭戦艦『敷島』、『八島』が第一戦隊に配置され、八島が三笠から連合艦隊旗艦の座を引き継いだ。一時は任務部隊編成が決定されていたが、扶桑国民の強い要望で伝統ある連合艦隊の存続は決まった。その関係で連合艦隊旗艦もパフォーマンスも兼ねて、『最大最強の軍艦』が引き続き務めている。敷島は三笠の発展型で、800m級の巨体を有する『船の形をした移動要塞』である。これは三笠型の運用で出た要望を実現させるためで、戦艦の形を有しながら、航空戦力運用能力を自前で持つ。また、主砲口径は61cm砲が有力と見做されていたが、そこまでいくと実体弾での実用性が無きに等しいとされたため、56cm砲の長砲身化で留められたが、三笠型を上回る攻撃力を担保しているとされる。

 

「長官。自由リベリオンの艦艇整備は順調であります」

 

「うむ。アメリカの協力も効いてるな」

 

この時期には小沢治三郎の後任として、山口多聞が連合艦隊司令長官の地位にあった。自由リベリオン海軍の整備も扶桑が負担しているため、扶桑海軍艦政本部にその専門部署が設立されるに至った。この部署は数十年間存続し、自由リベリオン海軍軍備の管理を担当する事になる。書類上は自由リベリオン軍は扶桑海軍外人部隊の扱いであるためもある。

 

「リベリオン軍は投入できるかね?」

 

「ハッ、訓練が終了次第、南洋新島の警備に駆り出します。幸い、外征部隊が此方側についていますので、練度は保証致します」

 

「相分かった。現在のタンカーと工作艦、病院船、輸送艦の竣工数は?」

 

「去年のクーデターで本土の工廠に被害が出ておりますので、予定より二割の遅れであります」

 

「二割か。ニューレインボープランの完遂まで日本に気取られぬように」

 

「工員には厳命しております」

 

扶桑は造艦能力の数割を45年度からのニューレインボープランにつぎ込んでおり、轟天に続く本格量産型ラ級の竣工までの目処はあと一年半とされていた。ちなみに各国の戦艦をベースにした量産型はフルスペックのものからはいくつかの能力(エンジンの緊急ブースト機能など)を省略した簡略型である。仕方ないが、ラ號は1940年から初めても、終戦までに完成しなかったほどに手間がかかったため、量産にあたり、その能力をかなり妥協しても、各種テストを含め、三年は必要な作業であった。作業短縮のため、宇宙戦艦整備のものに施設を更新して急がせているが、1948年中の第一生産型の全完成は怪しいとされる。例外的にライオン級のテメレーアはイギリスが提供したフルスペック艦『インヴィンシブル』のドリルと重力炉を移植することで完成は早まっている。これは大英帝国の当初の予定の実現であり、主砲はクイーン・エリザベスⅡ用の46cm砲の余りが流用されている。また、『インヴィンシブル』は重力炉を小型で四基搭載の設計だが、実際には中型が二基に変更されており、重力炉から安定供給される電力の余裕を欲しがったのが分かる。キングス・ユニオンは同艦の近代化改修を決意。後に、テメレーアに提供したドリル部を新造したものに取り替えた姿で現役復帰し、ラ級初の巡洋戦艦として生まれ変わったという。

 

「よし、敵の超モンタナ級の情報を収集したまえ。リバティのテストを行っているやもしれん」

 

「ハッ。彼らは本当にやるのでしょうか」

 

「沽券に関わる事だ。既存のモンタナでは大和型戦艦を退けるのも苦労する事が分かった以上はな」

 

この頃には、モンタナの『次の戦艦』が竣工しているという予測が連合艦隊の間では囁かれており、播磨型の増産も検討されていた。一種の神経過敏だが、ダイ・アナザー・デイでメンツ丸潰れなリベリオン海軍が次期戦艦を検討している事は事実ではある。核兵器が開発されない世界では、海の女王に予算が費やされるのは当然とされるため、日本側の史実どおりの建艦予測は外れている。また、架空戦記で書かれるような『主砲に命中の後の火薬庫爆発』はレアケースであり、ダイ・アナザー・デイ中のサウスダコタ、44年度の紀伊などでしか発生していない。実際の海戦では、そんなラッキーヒットは滅多にない上、いずれも格上と撃ち合った時の悲劇である。

 

「君はダイ・アナザー・デイにいたかね」

 

「ハッ。超甲巡『浅間』におりましたが…?」

 

「あの戦で敵はプライドを傷つけられた。小手先の改良程度で、我が大和型を倒せはせん。だが、敵はバダンから20インチ砲を提供されたとの情報もある。備えておかなくては」

 

ダイ・アナザー・デイでは、M動乱以来のライバルであるヒンデンブルク号を中心とした敵艦隊との大混戦となり、モンタナ級は比較的に装甲が薄い主砲塔天蓋装甲をやられ、砲塔を使用不能にされる事が常態であった。(モンタナ級は主砲塔天蓋装甲に232ミリの装甲を用いているが、主砲を長砲身化した大和型戦艦は25000mでその数字の装甲を抜ける)ただし、砲を換装した改モンタナはその限りでなく、撃沈には至らないが、大和の第二主砲を旋回不能にし、播磨に始めて損傷らしい損傷を与えるなど、それなりの奮戦をし、扶桑に評価されている。播磨が損傷したのはその時の命中弾で、だけである。ファランクスを粉砕し、誘爆で火災を起こす損傷を負い、扶桑海軍を驚愕させている。

 

「50口径51cmの量産は?」

 

「第一ロットがテスト中であります。あと三日もあれば、播磨に装着されます」

 

「うむ。まさか、大艦巨砲で雌雄を決するほうが地球に優しいとされるとはな。井上さんがぼやくはずだよ」

 

山口多聞は航空閥だが、結果的に戦艦に座乗している。なんとも複雑だが、扶桑国民は空母より戦艦が旗艦であるほうが安心する。事変の名残とも言える風潮が生きている事には複雑である。」

 

「多聞丸、事変からもう10年だよ?なのに、どうして、空母を連合艦隊旗艦に出来ないのさ」

 

「仕方あるまい。事変当時の空母はウィッチ母艦に等しかった上、ダイ・アナザー・デイの直前までは空母艦載機は軽んじられていたのだ。人々はわかりやすいシンボルを求めるんだ、飛龍よ」

 

当時、部内では新時代の連合艦隊旗艦は空母が相応しいとする意見と、怪異への生存率から、戦艦しかありえないとする従来の意見がぶつかり合っていた。切実な理由として、通信能力の高さもあった。大淀型が指揮専用艦に改装された理由だが、扶桑国民の圧力で使用されていない。しかしながら、戦艦は移動司令部にちょうどよく、更に連合艦隊司令長官が指揮を執っているパフォーマンスにも使えるため、戦艦が旗艦という慣習が続いている。

 

「やれやれ。64Fの連中にそろそろ連絡入れる?」

 

「連中の休暇が終わり次第、新鋭艦を含めた演習航海を行う。連中の休暇はあと一週間だ。艦隊の待機要員に指令を伝えるように」

 

「了解~」

 

山口多聞は訓練に熱心で、自分で指揮を取るほどである。これは綿密なスケジュールで演習を行った小沢と違う方針であった。機動艦隊司令当時の『人殺し多聞丸』の異名は伊達でなく、訓練のキツさは64Fの猛者たちすらも、最後にはヒーヒーいうほどの地獄である。また、趣味らしく、自分で相撲を取るなど、年齢の割にアグレッシブなところがあり、小沢より気持ちが若々しいとされる。

 

 

 

――新野比家――

 

「飛龍から?嫌な予感が…おっちゃんが張り切ってるのかよぉ」

 

「山口提督、年の割にアグレッシブですよね」

 

「小沢さんと違って、おっちゃんは闘将タイプだ。お前ら、覚悟しとけ。戻ったら演習航海だぞ」

 

山口多聞は64Fをバシバシ鍛える。これは慎重肌の小沢がダイ・アナザー・デイで64を比較的に小出しで使うのを批判していた彼の方針であった。プリキュア相手でも、相撲技でコロリと投げ飛ばすなど、年の割に元気なところを見せているため、黒江からも『多聞丸のおっちゃん』と呼ばれている。

 

「おっちゃん、俺ら相手でも容赦ねーぞ。二週間は実戦配置で、第一航空艦隊のウィッチと昼夜問わずの模擬戦はあるのを覚悟しとけ。相撲の相手をする時はサバ折りを覚悟しとけ。おっちゃんはガチで強い」

 

「間宮さんがぼやいてたの聞きましたよ?ステーキが一枚じゃ文句言われるって」

 

「大食漢だからな。間宮さんがぼやくのもわかるぜ」

 

歴代の連合艦隊司令長官の中で最強の大食漢こそが山口多聞であり、金剛曰く、東郷提督の倍は食うとのこと。

 

「多聞丸って?」

 

「史実だと、ミッドウェーで戦死してる山口多聞提督ですよ、かれんさん。日本海軍航空隊が序盤に無敵だった事の理由を担った御仁ですよ。その人がウチの世界で新しく、連合艦隊司令長官になったんです」

 

「個人的に付き合いがある俺が言うのもなんだが、あの提督は鬼監督だぜ」

 

付き合いがある黒江相手でも、訓練では容赦しないところが山口多聞の異名が不変な理由で、名だたる歴代のプリキュア・ピンクチームの猛者を鬼監督の要領でしごき、キュアハッピーは『鬼軍曹がよく似合うおっちゃんだよ』と苦笑いしている。

 

「あの提督、相撲も強いんだよなぁ。張り手食らった時は意識飛びかけましたよ」

 

ドリームも二年の間に山口多聞の相撲に付き合った結果、張り手を食らうわ、豪快な上手投げをかけられるわ、サバ折りをかけられるなど、散々な目にあっていたりする。山口多聞は個人的に好角家であると公言しており、自分の相撲に耐えられるGウィッチを使い、技の実演をするなど、好角家らしさ全開である。ちなみに機動艦隊時代に本格的な土俵を作らせて、歴代のプリキュアを相手に相撲を取り、名だたるピンク達をなぎ倒す功績を残したことで、話題になった。辛うじて、ドリームが火事場のクソ力で押し出すまで負け無しであったとの事。

 

「おっちゃん、日本の相撲中継にゲストで出るそうだよ。好角家って知られてたから、双葉山を見てる世代の人間ってことで…」

 

「え、本当に?」

 

「お前らや俺くらいしか相手できるのいないから、最近は日本の相撲を見に行くんだって。海軍相撲三役でやっとだからなー、おっちゃん」

 

山口多聞は飛龍に『突き押しやぶちかましでそこらの兵隊はぶっ飛んでしまって、話にならん。女子(おなご)を投げるのは気が引けるが、彼女らくらいしかマトモに受けてくれんからなぁ。海軍相撲三役以上は他の艦だし呼び出せんからなぁ…』とぼやいており、歴代のプリキュア達もこれには参っている。

 

「変身してやっとだからなぁ。あたしの他に数人しかまともに相手できなくて」

 

ドリーム、ハート、ラブリーの三者が相撲の心得があったため、まともに相撲になっているが、他のプリキュア達の大半は理由をつけて避けている。(相撲を知らない者除き)智子は『あたしのガラじゃないのよ!』と言って避けているので、そこで圭子に不満がられている。(智子は相撲と元から縁がない)

 

「日本海軍はどうなってるのよ」

 

「こっちが聞きたいですよぉ」

 

愚痴るドリーム。山口多聞という人物は多分に好角家であると同時に、海軍大相撲優勝経験者という豪傑である。建築家などを輩出し、インテリの家系だが、先祖は豊臣秀吉に仕えた武門の家柄でもあるため、この当時の海軍高官の逸材であったと言える。

 

「連合艦隊は近代化の途中で、48年度に起こる太平洋戦争に備えてる。俺の同僚に預けてるブルームとイーグレットも帯同させる。ブルームはソフトボールしたがってるが、野球で我慢してもらおう」

 

「あれ?ソフトボール、もうあるんじゃ?」

 

「あるにはあるが、少数派なのよな。あん時にハイドロブレイザー投げたから、対抗心持たれちまって」

 

「あれって超能力でしょ、曲げてるの」

 

「俺はそれに新巨○の星の蜃気楼ボールを応用してアレンジしてる。単純に軌道曲げるだけじゃ、単にハッタリでしかないしな」

 

「アニメ版のほーですか」

 

「原作じゃ、単に侍ジャ○アンツの二番煎じ感ある魔球だからな」

 

黒江は大決戦の際にハイドロブレイザーをぶん投げている。そのアレンジ版をその際に披露し、ソフトボール部主将のキュアブルーム/日向咲を唖然とさせている。(星飛○馬の投球フォームも最終時の右投げの形でだが、ばっちり再現している。これは黒江が野球経験者であったことも関係しているが)

 

「ブルームの奴、固まってたなぁ…」

 

「そりゃ、そうですよぉ」

 

「ブルームとイーグレットは?」

 

「俺が世話になった同僚のところに預けてある。あの人は俺より強いからなー」

 

「え!?」

 

「上には上がいるんですよ。あの人は扶桑、いや、世界最強のウィッチですよ」

 

この時期、カールスラント人ウィッチが世界最強という認識は既に過去のものになっており、人的意味の世界最強は扶桑(日本)人が欲しいままにしていた。副産物的にダイ・アナザー・デイでの64Fの一騎当千ぶり(人外魔境ぶりとも)が報道されたことで、ハルトマン、バルクホルン、ミーナ、ラル、ルーデル、ガランドなどの一部の自他共に認められている者達以外のカールスラント軍エースのスコアは不本意ながらも疑問視されてしまうようになってもいた。ロシアの政治工作も重なっての不幸ではあったが、グレーテ・ゴロプの人種差別主義者ぶりと、その同位体にあたるドイツ空軍エースのナチズムとコミュニズムへの傾倒が報道された事もカールスラント空軍の評判の失墜の要因であった。

 

 

「まぁ、ロシアがドイツ空軍の戦績に嘘が入ってるって宣伝して、ドイツ空軍の評判が地に落ちたから、その代わりに祭り上げられてるところもあるが、俺たちに関しては事実だ」

 

「直接戦闘力で言うなら、ウチの部隊の右に出るウィッチ部隊はいませんからねぇ」

 

「そりゃ、魔力が切れたら、プリキュアに変身して戦闘を継続できたり、先輩みたいに聖闘士な人が何人かいるし」

 

「あーやは歴代黄金聖闘士でも『実力者』だしね」

 

「お、秋雲。校正は終わったようだな?」

 

「うん。今、姉さん達から呼び出しあったから、またね。今度の演習航海に駆り出されそうでね」

 

「お前らもか?」

 

「多聞丸が張り切ってるからねぇ」

 

タブレットなどが入った紙袋を手に持ちつつ、秋雲は部屋を出ていった。山口多聞は艦娘も動員しての一大演習を画策しているようである。

 

「来年は俺らが五輪に駆り出されるから、その前に演習しようって腹だな?やれやれ」

 

「でも、先輩。いったいどうやって身につけたんです?その、某戦闘民族みたいな『稲妻が散る』オーラ」

 

「な~に、あれはナインセンシズに到達した証みたいなもんだよ。ハッタリも効いてるから、わざと出すことも多い。阿頼耶識を超えると、神の域だからな。本当はクリアで穏やかなオーラなんだが、それだと敵にハッタリ効かねぇから、一種の意思表示に使ってる。お前の姿で出した時はキレてたからな。おかげでブラックたちがブルっちまったが」

 

「あの後、私達の世界ののぞみに話したんですけど、信じてもらえなくて」

 

「そりゃそーですって…。どこの漫画だってなりますって、かれんさん」

 

「でしょうね。そんな反応だったわよ、あなた」

 

「今じゃ、自分が出せるようになってるんで、乾いた笑いしそうですよぉ、そのあたし」

 

「ま、みゆきの言うところのバットエナジー出しての闇落ちをしかけて、それを乗り越えたからな。キュアハートのパルテノンモードに匹敵するポテンシャルにパワーアップしたしな、お前のシャイニング形態」

 

この時点になると、キュアドリームのパワーアップ形態『シャイニングドリーム』の能力値は全スーパープリキュアで五指に入る能力値を誇る『キュアハート・パルテノンモード』に匹敵するほどにまで向上していた。そのパワーアップの象徴が『黄金のオーラとそれに付随する稲妻状のスパーク』である。これはセブンセンシズの壁を破った場合に稀に発現する副産物だが、のぞみが深層心理で抱く『みんなに自分の戦いを忘れられたくない』という切なる願いと、闇落ちしかけた自分の脆さと向かい合う事で『壁』を真に越え、前世の不幸な記憶を乗り越えた証であった。

 

「あのオーラはハッタリと言いましたが、どういう意味なのですか」

 

「あれは『ケタ違いにパワーアップした』ことを視覚的に示すための威嚇も兼ねてるからだ。あの状態になった俺のパワーは見ただろ、アクア?」

 

「え、ええ…」

 

「あれで正体はバレたが、ドリームのポジションを空位にするわけにもいかんかったからな」

 

「あなたの戦いを遊園地にいた誰かが映像に撮っていたようで、あとで故郷の世界ののぞみに見せたんです。そうしたら固まってしまって」

 

「あん時はデーモン族の野郎どもに膝蹴りの連打からサマーソルトキックを浴びせて、そんでもって、プリキュア・スターライトソリューションを応用した技を撃ったからな。名をつけるなら、プリキュア・スターダストパニッシャーだな。某アニメのあれを直前に見てたから、やったんだよ。ま、基本世界に近い場合のこいつじゃ、プリキュアの状態でも『舞うような』軽やかな動きは出来んわな。素の運動神経の問題で」

 

「あ、はは…。ヘコミますよぉ、先輩」

 

「事実だろ?」

 

プリキュアとしての格闘センスは変身者の運動神経も関係する。のぞみはキュアドリームとして、身体能力にブーストがかかった状態でなら、それなりの格闘センスを持つのは共通しているが、キュアハートやキュアピーチほどのセンスは持ち合わせておらず、ケンカ殺法に近いキュアブラックに近い戦闘を行う(その面でも、なぎさの継承者と言える)。それがデーモン族や百鬼兵の視覚でも全く捉えられないほどの強力な拳打の連続と蹴技のコンビネーションを『舞うような動き』で行う映像を入手したアクア/かれんが、故郷の世界でののぞみに見せたところ、茫然自失に陥ったというのは何ら不思議でない光景であり、間接的に映像の中でのシャイニングドリーム(黒江)の聖闘士としての高い格闘センスを示していた。のぞみは別の自分が陥ったであろう複雑な心境をなんとなく悟り、苦笑いを浮かべたのだった。

 

 

 

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