ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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今回はダイ・アナザー・デイ前の補完です。


シルフェニア掲載話補完:ダイ・アナザー・デイ編
第二百四十一話「ダイ・アナザー・デイ前の状況」


――ダイ・アナザー・デイで起こった海戦の主役は空母でも潜水艦でもなく、戦艦であった。戦艦、それも最終世代型の高速戦艦に近代化改修を施されたものは戦艦本来の能力に加え、戦後艦艇の情報処理能力と防空力を備えたため、下手な戦後型ミサイル艦より費用対効果に優れていた――

 

 

 

 

――戦後型兵器は総じて高額であり、全ての分野で数頼みの戦術が財政的理由で不可能になると、極限まで前線人員の質を高める方向が採択された。カールスラント主導の『統合戦闘航空団』の枠組みが形骸化したのもこの時期である。艦隊防空が進歩し、怪異の脅威がスーパーロボットの登場で薄れた事、怪異そのものの出現頻度が小康期に入ったのが判明した。つまり、サボタージュの大義名分は早くも薄らいだわけだ。日本系国家の常だが、アメリカ合衆国系の国家やロシア系国家が取っている『物量に頼る』戦術は(戦後の日本から見て)兵器の購入費、人件費の双方の観点で不可能である。更に戦後日本は人員に死傷者が出ると、鬼の首を取ったように当局を叩く。近世より戦争慣れしている扶桑にとっては、厄介極まりない風潮であった。そのため、64Fの人員を異常に豪華絢爛にしたわけだ。その他には拠点防空部隊に注力する一方で、野戦防空に無頓着な点が露呈した。これもダイ・アナザー・デイ実行前の時点で問題視されている。海軍は元から世界トップ3級の実力を持つ二つの軍隊が合同しているが、『通常航空機を運用する空母が決定的に足りない』点が露呈した。扶桑側は『軽空母や護衛空母も動員するし……』としていたが、日本側が求めたのは『航空決戦に必要な大型空母』であり、日本型軽空母は『モノの役にも立たない戦力外の玩具』と見做され、一律で退役とされた。また、扶桑が量産していた『雲龍型空母』は『あんな飛龍の焼き直しくらいで、エセックス級に太刀打ちできるか!!』と公然と罵倒されるなど、散々な扱いであった。そのため、ダイ・アナザー・デイでは雲龍型は多くが『航空輸送艦』名目で実戦に供される見込みであった。ブリタニアの艦隊航空戦力が『宛にもならない』のは全くの誤算であった。戦艦なら、ブリタニアと合わせて『掃いて捨てるほど』あったため、定期ドック入り中のものを除く大半が投入される見通しである――

 

 

 

 

 

 

――1945年 ダイ・アナザー・デイ開始から数週間前――

 

 

 

「まいった。ブリタニアは大艦巨砲主義で、空母がほとんどおらん」

 

「何?史実の空母はほとんどおらんのか」

 

「うむ。ほとんど、ウィッチのコマンド母艦も同然に扱われていた上、保有数は史実の同じ時期の半分以下だ。これでは宛にもならん」

 

「扶桑はなんと?」

 

「大型空母は連邦海軍から購入して、人員をレンタルで賄うと」

 

「宇宙時代に地上軍は失業対策であるようなものだからな。固有の空母の艦載機は?」

 

「紫電改や烈風が運用できん雲龍型用に、零戦後期型を量産するそうだ」

 

「そうか。地上は?」

 

「五式戦を主体に、ジェット機を途中から入れる事が議論されてる。四式戦が史実の性能を持っていないことでメーカーと揉めてな。史実通りの型を生産させる事にはなったが、間に合いはしないだろう」

 

自衛隊の幕僚達は統合参謀本部で作戦前の準備段階で早くもつまずきが起きている事を嘆いている。だが、彼ら最大の誤算は政治的都合で、先制攻撃が禁止されたための戦況の泥沼化だろう。それを打破するため、自衛隊が旧日本軍から極秘裏に引き継いで、超長期計画で開発していた超兵器が多数使われることになる。

 

「統括官は秘匿物資『G』の投入を決定なされたそうだ」

 

「あれをいよいよ?」

 

「今後、政権交代が起こった場合に露見した場合、『予算の無駄使い』と言われるのは確実だから、この際だからと使うことになった。松代大本営に隠している全てを使う」

 

自衛隊は旧日本軍の頃に計画が存在し、自衛隊時代に完成させた超兵器のお披露目を決意していた。その中には『G兵器』と呼ばれたモノも含まれる。その他には……。

 

「日本陸軍が『空飛ぶ戦艦』として考案していたモノも完成したそうだ」

 

「ウルトラホーク一号を本当に?」

 

「あれは日本陸軍が原型を考え、三面図が民間に流れて生まれたSFメカだが、実物が遂に造れたぞ」

 

ウルトラホーク一号と便宜的に呼ばれているモノは旧日本陸軍航空部門が起死回生の『空中戦艦』として考案しつつ、当時の技術と資材の都合で、泣く泣く断念したもの。戦後の航空自衛隊が計画を引き継いだ事、戦中に中島飛行機が考案していたアイデアの三面図が民間に流れ、SF的要素が入れられたのが『ウルトラホーク一号』であり、元になったものでは普通の航空機であった。有名な合体分離機構は存在しないために、航空機の標準サイズだが、超技術が動力などに使用された事が窺える。これは充分な機動力を得るためであり、なおかつ、ステルスの概念がない時代に設計され、それを手直しして生み出されたからである。パッシブ・ステルスは21世紀中にトレンドから外れ、22世紀以降はアクティブ・ステルスの時代になった。史上最後のパッシブ・ステルス戦闘機は『VF-17』である。

 

 

「しかし、量産できるのか?」

 

「彼らの財政援助で、Gフォース専用装備として運用する。Gフォースは政府の干渉は受けんからな」

 

「近頃は扶桑に口出しするからな。現場はたまったものではないんだが」

 

「しかし、総力戦になるってのに、本土防空用の機材まで引っ張りだしても、1500機もいかんとはな」

 

「緊急増産しているが、統括官らの一騎当千の力に頼るしかない。向こうは下手すりゃ巨万の物量で来るってのに」

 

「近頃は人命尊重とかで、死傷者出ればマスコミの餌食になるからな。巨万の物量に質で対抗しろってのはな……」

 

「グレートマジンガーやゲッターロボGのようなスーパーロボットでも使わんと無理だぞ」

 

「統括官はマジンカイザーや真ゲッターロボを投入させるそうだ」

 

「いいのか?」

 

「そうでなきゃ、アメリカの絶対的物量に太刀打ちできんよ。それで撃退できたら、大万歳って奴だ。史実の日本軍は10万単位をフィリピンやサイパンにつぎ込んでも負けたからな。向こうは戦艦や空母を10隻沈めようと、1年半で元に戻れる上、質がより強化される。だから、敵本土を反応弾で消し飛ばせなんてのが出てくるんだ。言い方は悪いが、アメリカを屈服させるには正攻法は必要はない。ゲリラ戦法あるのみ。ベトコンがやったようにな」

 

幕僚達のこの会話は的中し、正攻法では絶対に勝てないため、少数の超兵器によるゲリラ戦法がダイ・アナザー・デイで連合軍の取る基本戦術となった。それを実行するだけの人員の質が必要であったため、『凡百の空戦ウィッチの40人より、超エース級の10人が必要である』という方針が決められる。その決定の影響で、武子が手配していた『交代要員』は八割が着任できずに終わってしまう。正攻法ではなく、ゲリラ戦法を選んだ連合軍は64Fに統合戦闘航空団という枠組みそのものを統合するが、その流れで没になった。だが、結局、過労問題ものしかかったため、独自にやってきた十数名の人員の処遇を『お咎めなし』で着任させることに繋がる。

 

「メカゴジラ、スーパーXの調整は万全だ。いつでも輸送できる」

 

「あれも使うのか」

 

「仕方あるまい。使い所は今だ。学園都市の技術で整備の目処も立った。槍玉に上がる前に使う」

 

「戦艦はどうか」

 

「大和型戦艦だけでは足りん。超大和型戦艦を動員すると先方はいうが、竣工間もない船は実戦で宛にできん。こちらからも護衛艦隊と潜水隊を出す。幾分かはマシになるだろう」

 

「相手は?」

 

「オールスターだ。大和型戦艦や超大和型戦艦でトントンだろう。旧式はなんら宛にならんよ」

 

この時期、移動要塞同然の巨体である『富士』の存在は明らかにされておらず、播磨型のみが公表されていた。そのため、超大和型戦艦があろうと、モンタナにはトントンだろうと見積もられていた。また、大正期から昭和初期建造の艦は戦力外扱いなあたりに、日本戦艦の悲哀を感じさせる。また、日本側は旧型戦艦の全廃を提言したが、旧式装備を海援隊に払い下げる協定の関係で拒否した。海援隊の存在が問題になり、軍に組み込まれることになるのには、ここから数年の時間を必要とする。紀伊型と加賀型は戦艦としては陳腐化しているが、対地支援では有用であるため、結局、紀伊型を航空戦艦化する予定が立てられるが、近江がクーデター軍に与してしまい、大和型戦艦の武蔵を代わりし、航空戦艦艤装の維持で代替がなされる。その関係で播磨型の増備が決まる。敵戦艦が20隻近くを数える事は確実で、しかも、大和型戦艦に迫る質を持つ。この報に日本側は航空戦力と潜水戦力での決戦を考案したが、扶桑の潜水艦はほとんどがウィッチ運用改修済み(後に再改修)であり、魚雷での艦隊攻撃に適さなくなっていることが問題になり、通常航空戦力は見積もりの半分もない有様。結果、サボタージュが余計に際立ってしまう。扶桑が富士の存在を明かしたこと、ブリタニアの戦艦部隊の存在もあり、なし崩し的に大艦巨砲主義的な艦隊決戦の方針が定まる。更に作戦策定の段階で、巡洋艦以下の艦艇から水雷装備の一切が降ろされていた事も問題になり、ショックを受けた何人かの中堅造船官が辞表を出すわ、海軍省で自刃しようとする騒ぎに発展してしまう。(酸素魚雷の生産さえ反対論が大きく、捗っていなかった。)結局、次世代の追尾魚雷の生産が間に合わないため、多くは既存の酸素魚雷(ウィッチ世界では、M動乱で有用性が確認された)を改良して積み込むのが急がれ、中には魚雷発射管を新造し、現地で再装備工事をする例もあった。戦前日本型巡洋艦/駆逐艦の最後の見せ場となるのは確実なため、史実通り、あるいはそれに近い艦容にされる艦艇はかなりに上った。最たる例が高雄型重巡洋艦であった。超甲巡の登場で退役予定であったが、結局、ダイ・アナザー・デイが最後のご奉公になるため、(水雷戦力の強化のため)増設されていた居住設備の一部の再削減がされ、史実の摩耶に似た艦容になった。ダイ・アナザー・デイまでの突貫工事であった。その結果、超甲巡の強化の議論が1949年まで燻ることになる。その時には、大正期建造の艦艇が軒並み、船体の老朽化で寿命を迎えるからである――

 

 

 

 

 

 

 

 

――ダイ・アナザー・デイ以降の新造艦は自衛隊式が大半を占めるが、砲熕型重巡洋艦や戦艦の設計は自衛隊に設計ノウハウが存在しないため、扶桑固有の設計者の仕事が消えるわけではない。特に21世紀型艦艇は『被弾しない』事を前提に設計されており、被弾した際には脆い。そのため、ウィッチ世界では重要部に軽度の装甲を施す事が護衛艦タイプでも行われる他、戦艦にイージス艦の能力を持たす『イージス戦艦』が主流になる。ただし、戦艦の能力とイージス艦の能力を両立させるにはかなりの研究が必要であり、複数の世界との交流を持つ国でなければ、早期の実現は不可能。早期保有は日本連邦のみが実現し得た。戦艦は時代遅れ。そう認識する国が大半だったからだが、戦艦の撃破はできても、沈没はミサイルでは絶対的な費用対効果に劣るという実験結果が明らかになっていたのもあり、戦艦の使用は日本連邦でも継続されている――

 

 

 

 

 

――連合軍は日米戦艦決戦と化する事が確実視される状況を座視しているわけではなかったが、戦艦の高額化と高性能化を許容できる国はそうはなかった。カールスラントは軍縮の方針が決まり、ドイツ連邦共和国側が戦艦の保有を諦めさせる方向(だが、後に撤回される)であり、ビスマルクとティルピッツに続く姉妹艦を建造中止にし、それを大義名分にして、カール・デーニッツの方針で当時の在来技術では最高のUボート『XXⅠ型』の量産に傾倒してしまう。こうして、外洋海軍に復活しようとしたカールスラント海軍の試みはカール・デーニッツのドイツ連邦を利用しての『夢』によって頓挫していく。その一方で、カール・デーニッツのあまりに独善的なこの施策が数年後の内乱の一因となる。カール・デーニッツは数年後、施策の転換を迫られる。Uボートに傾倒するあまりに水上艦隊が衰弱してしまった上、海軍の悲願であった空母機動部隊の保有も頓挫したからだ。結果的に再建に目処が立つのは1950年代後半だが、内乱の責任を取らされ、デーニッツが司令官を解任されて失脚した頃には、彼が夢見た『狼の集団』が完成しつつあった。ある意味、戦争犯罪人の烙印を押されるよりは、たとえ職責は解任されても、生えあるカールスラント帝国海軍の元帥でいられる分、ウィッチ世界のカール・デーニッツは幸せであっただろう――

 

 

 

 

 

 

 

――ロマーニャは温存されていた海軍主力が事もあろうに、敵のタラント空襲で大打撃を被ってしまう。そのために、ロマーニャ海軍はダイ・アナザー・デイに殆ど寄与できずじまい。旧式戦艦はこの時に放棄されるが、リットリオ級戦艦の修理は全力で行われ、なんとか完了した『リットリオ』、『ローマ』の参加を打診するが、『航続性能不足』を理由に見送られてしまう。他の理由としては『火砲は良い性能だが、イタ公の船など脆弱だ』という先入観も関係していた。ロマーニャ海軍はライバルである二カ国が零落したことで『棚からぼた餅』の要領で再建が政治的に認められ、1949年にはリットリオの代艦『インペロ』を得るに至る。恐らく、前途洋々な欧州の海軍の一つであろう――

 

 

 

 

――ガリアは国土の荒廃が甚だしく、国土復興至上主義を掲げて、数年以内の政界入りを表明したペリーヌ・クロステルマン中尉(当時。最終階級は中佐)に支持が集まっていたことや、国内の鉱物資源が怪異に利用されたことでの貯蔵量の低下が響き、軍部の早急な再建は見送られる。また、ダイ・アナザー・デイに参加した空軍も交戦開始直後に、集結させていたなけなしの部隊をミサイル攻撃で失う失態を演じることになる。ペリーヌ・クロステルマンは国土復興のために私事までも犠牲にしているが、それが却って国民の反感を買い、過激派による暗殺未遂をこれから何度も味わう羽目になる。表向き、この暗殺未遂の連続が慈善事業にのめり込んでいくきっかけとされているが、実際はプリキュア活動に専念するためであった。ペリーヌ・クロステルマンという歯止めが無くなったド・ゴール派はド・ゴール本人の手からも離れて、次第に暴走していくが、それは『アルジェリア戦争』という、ガリアにとっての悲劇を呼び込む事となる。その落日の象徴は浮かぶスクラップに変えられた戦艦リシュリューであったという――

 

 

 

 

 

――キングス・ユニオンは緊急で軍備近代化を押し進めるが、高額化した兵器を揃えるのは並大抵の苦労ではなかった。しかし、英国と日本連邦の援助もあり、比較的に楽に装備は揃えられたが、人の育成は追いついておらず、頼みのグローリアスウィッチーズも実際の練度は最盛期に比して低下していた。同部隊は64Fへの政治的カウンターとしても期待されたのだが、実際は地上空母の前に敢えなく撃退され、何の役に立たなかったと後世に揶揄されることになる。64Fからも『物見遊山にきた連中に何ができるか』と揶揄され、醜態を晒してしまった感は否めない。ブリタニア空軍が『本土防衛の切り札』として温存している内に、幹部の世代交代で弱体化してしまったわけだ。それを知る圭子からは、ダイ・アナザー・デイ前の段階で『ああ、HMW部隊か。やめとけ、やめとけ。世代交代で練度が下がってる上、変に投入しても『怪我人を増やすだけだぞ』(HMWとは、Her Majesty`s Witchの略。女王陛下の魔女という意味で、前身は何代か前の女王の直率の騎士団だという)と忠告されていたが、面子論に縛られたブリタニア空軍はサボタージュへの対応を名目に、地上空母攻撃に投入するが、直掩の無人戦闘機『ゴースト』にまったく対抗できずに終わり、同部隊を瓦解寸前に追い込んでしまう。キングス・ユニオン最大の失策は『グローリアス・ウィッチーズの壊滅で、日本連邦が生み出した怪物部隊である64戦隊への政治的意味のカウンターを失うことであろう。折角、大和型戦艦に匹敵しうる新戦艦を揃えても、英国からは『原子力潜水艦を揃えればいいのに』と言われるなど、揉め事も多かった。ウィッチ世界では潜水艦に需要は輸送任務以外になかったためで、予備艦として保管されていたダイヤモンド級戦艦の処遇で揉めに揉めたのもこの頃である。純然たる戦艦でないので、防御力は劣るし、砲力でも完全に旧式化している。スクラップとして売却して、解体するか、空母改装が最良とされたが、数があること、折角の最新鋭戦艦を砲術練習艦に充てるわけにはいかない事、大和型戦艦が『世界最強の艦種』として名を馳せている現状に異を唱えたいのもあり、クイーン・エリザベスⅡ級戦艦はキングス・ユニオン時代の英戦艦の象徴とされていく。設計そのものはライオン級と史実ヴァンガードをかけ合わせて改善させたオーソドックスな英戦艦であり、キングジョージⅤ世級より遥かに扱いやすいことから、太平洋戦争中にライオン級の前期艦の代替で二隻が追加建造される。空母と空軍の近代化と増強と引き換えに、戦艦の定数は外聞的都合で七隻に定められるが、大和型戦艦や超大和型戦艦を多数擁する日本連邦に比して、財政的に脆弱性を持つキングス・ユニオン故の弱点であった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――日本連邦は軍備近代化と量は両立不可能である事を知っているため、質の強化に血道を上げていく。64Fが生み出されたのも、その一環であった。また、海運業界に配慮し、徴用艦艇の多くを手放すことになるが、航空輸送艦や戦車揚陸艦、病院船の手配にも事欠く有様となり、地球連邦軍の厚意でそれらを賄う事になる。扶桑海軍固有のそれらが揃うのは太平洋戦争以後のことである。また、この頃より日本主導で燃料の大量買い付けが行われ、リベリオンからの供給が絶えた連合軍を悩ますことになる。日本側は最低で史実の最大備蓄量の四倍を目指し、各種燃料の買い付けを行いまくったわけだが、レシプロ機の需要は今後減ること、ジェット機へ移行することによる燃料の変化もあり、空回り感は否めなかった――

 

 

 

 

 

 

――ミーナは後世の技術によって、ジェットエンジンの燃費がグンと良くなっている事を知らず、大恥をかく羽目になった。更に大気圏内では燃料切れを気にしなくていい熱核反応タービンの存在も知らされた。なんとも気まずい空気が501を覆ったわけだ。ネックであった補給の頻度も地球連邦軍からのルートで改善を見た上、兵器を使わなくとも、素で一騎当千の強さである圭子や智子の存在が明らかになった。更に……。

 

「ミーナは錯乱している。第三医務室に隔離するしかあるまい」

 

「しかたねーな。ケイさん、指揮代行を頼む。少佐のあたしらじゃ締まりがわりぃし」

 

「手続きは終えた。ロンメルの承諾も得たし、武子の着任を以て、部隊そのものも64Fに移行する。それまでの指揮代行はあたしがする。智子はそういうタマじゃねぇし」

 

査問で醜態を見せたミーナ・ディートリンデ・ヴィルケは錯乱していると見做され、対外的には『戦闘での負傷で療養』と発表されたが、実際は錯乱による隔離であった。人格の変化はこの際に起こったわけである。圭子が場繋ぎで指揮を代行したため、ミーナはこの時に檜舞台から退場していったわけだ。この時、査問は既に二回行われた。二回目は扱いに不満を持つ整備兵らの告発によるもので、上層部も想定外の事であった。そのため、ミーナは精神不安定に陥り、周囲に当たり散らす、坂本に銃を向けるなど、錯乱した。居合わせたロンメルの命で隔離が命令され、査問を含めての一連の出来事は一級機密指定(ミーナの名誉のため)になり、外聞的には『穏便な指揮権移行』が強調された。また、後日に撮影された写真を『その日の撮影』とするなどの裏工作も積極的になされた。結果、世間的には『501部隊が64Fに取り込まれた後に身を退いた(指揮権を譲渡した)』とされた。

 

「裏工作は頼んである。ここ数週間の出来事は機密指定になる。整備兵も多少入れ替える。出ていく連中には箝口令も引いてな。奴らはここ数年の不満が爆発したのが理由だから、うちでの事を語らんだろうし」

 

移行後の64F体制では整備班は丁重に扱われるが、移行後も属せた整備兵は意外と少ない。告発したのがミーナが整備兵を束縛していることに不満を持つ中堅の整備兵らだったからである。私的な理由が原因とわかれば、整備兵によって『合法的に殺される』(旧日本軍では、高慢なパイロットを整備不良を装う形で合法的に『始末する』事がままあり、それを知っている者はそうならないように、整備兵を丁重に扱う)可能性が大きい。それを防止するため、ハルトマン達がガス抜きを行っていた。それでも不満が収まらなくなった事を示している。入れ替えが行われたのは、そのためだ。この日、圭子は黒江が行方不明になる前に手配していた『47Fとの取引』を実行。整備体制の刷新を行った。扶桑最高の整備兵『刈谷』中尉が64Fに加わったのもこの頃であるように、ダイ・アナザー・デイへの道はこの時期に整えられていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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