闘牌雀鬼・宮永達也の麻雀記   作:黄昏の旅人

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5話

~久vision~

 

 

突然の数え役満に私は疎か和達も驚きを隠せなかった。

 

彼の{五萬}加槓から槓ドラが隣と同じ{四萬}と表示された時、まさか!?って思ったけど一発ツモして数え役満だなんて……………なんて強運の持ち主なのかしら?

 

それだけ出はないわ。

東場の時の彼とはまるで別人の様子で、プロ雀士と打っている様な感じがするわ。

 

そして気付けば、私達3人揃って点数は丁度0点。

 

点数調整………ううん、点数支配と言ったら良いかしらね?

 

なんて兄妹なのかしら。

 

 

妹の宮永咲さんは、常に±0で終わらせる技量の持ち主。

そして彼は、更にその上を凌ぐ位の技量と言うか天賦の才の持ち主と言う事。

 

 

彼は男子だから兎も角、妹の宮永咲さんには麻雀部に是非とも入部して欲しいわね!

 

彼女が入ってくれれば、私の長年の夢が叶うかも知れない!

 

ここは、是が非でも彼の連チャンを阻止して彼を倒すッ!!

 

 

~久vision END~

 

 

 

 

さて、南二局の7本場の五巡目。

 

ここで俺の手牌は………。

 

 

{222}{333}{444}{発発発}{8}{赤⑤}

 

 

緑一色、四暗刻単騎のトリプル役満テンパイ。

 

また、イカサマしただろって?

 

否、今回は俺の想いに牌達が応えてくれたと言うか、ツモる度に暗刻が出来ていて、気付けばトリプル役満テンパイと成っていた。

 

 

さて、これで止めを刺すか!

 

 

「リーチッ!!」{横赤⑤}

 

俺のリーチ宣言に3人は警戒心を強くするが俺は更に………。

 

 

「オープンッ!!」

 

「「「「えっ!?」」」」

 

 

そう言って手牌を倒すと京太郎を含めた4人は驚愕の余り言葉を失っていた。

 

 

「み、宮永君。貴方、まさか{8}をツモれると?」

 

「えぇ。今の俺なら絶対にツモれる自身があります!」

 

 

次巡、山牌からツモって来たのは………三元牌の{発}

 

そう、俺の当たり牌は嶺上牌の中に在ると教えてくれた{発}を俺は迷わず宣言するッ!!

 

 

「カン!」{■発発■}

 

 

そして、俺の右手は嶺上牌を掴み手前に引き寄せ卓叩き付けたッ!!

 

 

「ツモッ!!」

 

{222}{333}{444}{■発発■}{8} {8}

 

 

「緑一色、四暗刻単騎!トリプル役満で48,000オールッ!」

 

 

勝負は決した。

 

俺は席を立ち脱い学ランを着直し鞄に手掛けた。

 

 

「では、これにて失礼します。明日、咲にはもう一度麻雀部で麻雀を打つ様に言いますので、咲の実力を再度確認して下さい、原村さん」

 

 

それだけ言い残して俺は麻雀部の部室から出て家路につくのだった。

 

 

 

 

 

 

~和vision~

 

 

「明日、咲にはもう一度麻雀部で麻雀を打つ様に言いますので、咲の実力を再度確認して下さい、原村さん」

 

 

それだけ言い残して部室を後にした宮永君。

残された私達は、彼の神掛かった嶺上開花によるトリプル役満ツモ上がりで放心状態になっていました。

 

 

「あれが達也の実力なのか………?」

 

 

いち早く我に返った須賀君が、宮永君の実力に驚きを隠せずに、そう呟く。

 

 

「恐らく違うわね………私にはまだ余力がある様に見えたわ」

 

「でもでも、東場のダブル役満テンパイ以外は、パッとしなかったじぇい?皆に振り込んでいたし偶々なんじゃないかな?」

 

「いいえ、優希。恐らく彼は宮永さんが行っていた自身が±0にする点数調整を、私達3人したのだと思いますよ?」

 

「えっ!?そんな馬鹿な!」

 

「和の言う通りよ須賀君。彼は私達の実力を図ると同時に点数調整を行ったのよ。そうやって自身を追い込み不利な状況を覆してみせた」

 

 

それ故に私は宮永さんが許せなかった。

 

部長や宮永君が言う様に彼女が私よりも実力上位者なのなら、何故に彼女は±0にする麻雀を打つのか?

 

そして、宮永君の事もそうです。

彼の麻雀は、私の想像を遥かに凌駕していた。

 

普段から人当たりが良く優しく微笑む笑顔に男女問わず人気の彼の印象が、冷徹で鋭い眼光で睨み付けられた時に私は生きた心地がしなかったし、私の本来の麻雀もさせてくれなかった。

 

私は、もう一度宮永さんだけではなく宮永君とも打ってみたいと思う自分に気が付かなかった。

 

 

~和vision END~

 

 

 

 

翌日、俺は咲と京太郎と供に麻雀部へと再び訪れたら。

 

 

「おっ、来たようじゃね?」

 

 

広島弁で迎え入れた女子生徒。

制服のリボンから察するに二年生だろ。

 

 

「あっ、染谷先輩。お疲れっす!達也、咲。この人が麻雀部の副部長の染谷まこ先輩だぜ!」

 

「初めまして染谷先輩。1年の宮永達也です」

 

「同じく、1年の宮永咲です。は、初めまして」

 

「あんたらの事は聴いとるよ。プラマイゼロ子に、冷徹雀鬼じゃろ?」

 

 

なんだ、その中二病的な二つ名は?

 

 

「あら、貴方も来ていたのね宮永君?」

 

 

そう言って入って来た竹井先輩。

 

 

「えぇ、咲の付き添いですがね」

 

「そう、須賀君。優希を呼んで来てくれるかしら?」

 

「はい、部長!」

 

 

そう言って京太郎は、外のテラスへと向かい片岡さんを呼びに言った。

 

 

「とりあえず宮永さん。貴女には和、優希、まこの3人で赤4枚の東風戦を二回戦で戦って貰うわ。良いかしら?」

 

「は、はい。判りました」

 

 

竹井先輩の提案を了承する咲。

 

北家側に原村さんと南家側に染谷先輩が既に席に着いている為、咲は西家側に座ると遅れて来た片岡さんが空いた席、東家側の席に着く。

 

 

「さぁ、始めて頂戴!」

 

 

竹井先輩の号令と供に、東家に座る片岡さんが一度賽を振るって親は片岡さんから闘牌がスタートした。

 

 

「さて、宮永君。改めて見せて貰うわ。貴方の妹さんの実力をね?」

 

「それは咲に言って下さい。竹井先輩」

 

「それもそうね♪」

 

 

そう言って咲の後ろ側に立って闘牌を見守る竹井先輩。

 

俺は近くの椅子に座り闘牌が終了するのを待った。

 

結果から言うと、咲は昨日に引き続き4回連続±0で終了させてみせた。

 

序盤は、片岡さんの2巡目での即リーチの一発ツモ上がりで、親の跳満で逃げ切り態勢を図るも、3人も負けじと追撃する展開になるも、トップは片岡さんのままオーラスに入る。

 

そして、咲の手牌はメンホンテンパイの{⑤}と{⑧}の両面待ちでリーチは掛けていない。

 

±0にするには、5,200点で上がる必要がある為だ。

そして7巡目、片岡さんは咲の当たり牌である{⑤}を切るが、咲は当たり牌である{⑤}を敢えて見逃し、8巡目の原村さんが切った{赤⑤}を、コレまた敢えて見逃すと言う暴挙に、後ろで観ていた竹井先輩と京太郎は驚きを隠せないでいたが、竹井先輩は気付いたのだろう。

 

咲は勝利に拘らず、あくまで±0で終える事しか考えていない事を。

 

 

咲の行動にあたふたする京太郎に竹井先輩は、どうして咲が2回連続で上がり放棄してのかを小声で説明していると…………。

 

 

「リーチッ!!」

 

 

次巡に親の原村さんが咲を試す様にリーチを掛けた。

 

コレで咲は、メンホンツモ上がりが出来ない。

 

咲に残された選択は、40符三翻の手から70符二翻の手にする事。

 

そこで咲はツモって来た{2}と{⑥}を入れ替える様に切り出し、次巡ツモって来た{⑨}と{⑦}を入れ替え、さらに次巡。

 

既に暗刻ってた風牌の{西}にツモって来た残りの{西}により、咲の上がり準備は完了し、咲は迷わず{西}を暗槓。

王牌から嶺上牌1枚引き入れると……。

 

 

「嶺上ツモ。70符二翻は、1200、2300!」

 

 

前日から合わせて4連続±0をやってのけた咲に、竹井先輩は満足気な様子。

 

1回戦が終了すると、10分間の休憩に入る様に指示する竹井先輩の言葉に、各々が休憩に入る。

 

 

「宮永さん」

 

「は、はい!」

 

「麻雀は、勝利を目指すものよ?」

 

「は、はぁ………」

 

 

竹井先輩の咲への問い掛けに困惑する咲。

俺は、その言葉に反論する。

 

 

「それは、ちょっと違うと思いますよ?竹井先輩」

 

「それは、どう言う事かしら?」

 

「麻雀は、どの相手より自分が逸速く上がり勝利するゲームだと皆さんは思っているかも知れませんが…………その逆です」

 

「どう言う意味なんだよ達也?」

 

 

俺の反論に京太郎は、意味が解らないと言う表情で訪ねて来ると、他の皆も同じ様に俺の言っている意味が解らないと言った表情をしていた。

 

 

「簡単な話しだ。麻雀の本質とは、如何に相手を闘いの場から引き摺り降ろすと言う事。戦略や戦術を駆使して相手を闘い場から引き摺り降ろした先に勝利が存在すると言う事。この本質を理解している者など、プロ雀士でも一人握りの人間だけでしょうね?」

 

「「「「「「………………」」」」」」」

 

 

俺の説明に皆、ポカンとした表情をしていた。

う~ん、少し難しかったか?

 

 

「取り敢えず、竹井先輩は咲に勝つ麻雀を打てと言いたいのですよね?」

 

「えぇ、そうよ」

 

「咲の麻雀は、どう打とうが常に±0にする事しか出来ない………なら、咲。自分の持ち点が1,000点しか無い状態でスタートすると考えて打て」

 

「………うん!解った達ちゃん!」

 

 

咲にそう指示すると暫く考えた咲は了承し、俺達のやり取りに混乱する京太郎。

 

 

「さぁ!休憩時間は終わりよ。もう一回戦、始めて頂戴!」

 

 

竹井先輩の号令に、4人は再び東風戦を開始する。

さて、咲はどう闘うのか楽しみだ。

 

 

 

 

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