闘牌雀鬼・宮永達也の麻雀記   作:黄昏の旅人

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明けましておめでとうございます。

漸く更新出来ました。

本年も宜しくお願い致します。


6話

さて、東風戦2回戦。

 

結果は、原村さんとの33,000点差を咲の嶺上ツモからの四暗刻上がり+原村さんのリーチ棒込みの逆転トップで幕を降ろした。

 

 

「嶺上開花による四暗刻か………流石は咲。良く上がったな」

 

「私自身も驚いているよ。だって始めての役満だもの………」

 

 

咲の言葉に、麻雀部員の面々を驚きを隠せなかった。

 

 

「さ、咲。それは本当なのか?お前、それだけの実力が在りながら役満を上がったのが初めてなんて?」

 

「う、うん。本当だよ京ちゃん」

 

「まぁ、詳しい事は個人のプライバシーに関わるから、知りたいのなら後で咲に直接聞くと言い。じゃ、咲、帰るぞ。竹井先輩、こちらの約束は守りましたので、例の件忘れないで下さいね?」

 

 

それだけを言って部室を出ようとした時、原村さんが悔し涙を流しながら勢い良く部室を飛び出して行った。

 

 

「達ちゃん、私………」

 

「原村さんが、気になるのか?」

 

「………うん」

 

「なら、行くと良い。俺は先に帰っているから」

 

「うん!」

 

 

笑みを浮かべて返事する咲は、原村さんを追い掛ける様に部室を飛び出して行った。

 

 

「良いの宮永君?」

 

「何がです?」

 

「妹さんに和の後を追わせて?」

 

「別に反対する理由が在りませんからね」

 

 

それだけを言い残して俺は部室を出て行った。

 

 

 

 

夕飯を済ませた俺は、自室で今日の課題と明日の予習をしていると、トントンとドアをノックする音と供に咲の声が聞こえて来た。

 

 

「達ちゃん、少し良いかな?」

 

「あぁ、入って良いよ咲」

 

 

部屋の扉ゆっくりと開き咲が入って来た。

 

 

「どうした咲?」

 

「うん、さっきね。物置部屋でお父さんから、この雑誌を渡されたの………」

 

「物置部屋で親父がか?」

 

「うん、57ページ…………そう言い残して」

 

 

俺は、咲の言った57ページ目を開く。

 

そこに載っていたのは、高校麻雀女子個人二冠王者『宮永照』と記載されていた。

 

 

「相変わらずだな姉貴は?」

 

「うん……でも、元気そうで良かった」

 

 

そう言った咲の顔は、心なしか慎重そうな顔付きだった。

 

 

「どうした咲?何か俺に話したい事でも在るんじゃないか?」

 

「うん。私、麻雀部に入ろうと思うの………」

 

「まぁ、咲が入りたいなら良いと思う。しかし何故、今更麻雀部に入ろうと思った?」

 

 

俺の問い掛けに咲は、先程までの顔とは別人の様に真剣な表情で力強く答えた。

 

 

「私、麻雀部に入って全国大会に行きたい!全国大会でお姉ちゃんに会いたい!そして、お姉ちゃんと仲直りしたいの!」

 

 

やはり、そう来たか……。

親父も今日の咲の様子に気が付いた様子だ。

流石は父親と言ったところか。

 

 

「そうか………しかし、全国へ行くなら先ずは県予選を突破しないとなぁ?そう言えば、原村さんと何か話したのか?」

 

「うん………麻雀を好きでもない私に、負けたのが悔しいって言ってた。それと、全国には強豪が大勢いるって………私、家族以外の麻雀を打って、やっと気が付いたの!麻雀って楽しいものなんだって………」

 

 

そう力強く言い切る咲に俺は、漸く前に進む為の一歩を歩き始めた咲を喜ばしくなる反面、少し寂しくも思えた。

 

 

「明日、一緒に麻雀部の部室に行ってくれないかな?」

 

「わかった。じゃ、明日入部届け出しに行こう」

 

 

 

 

翌日の放課後、俺は咲を引き連れて再び麻雀部の部室の前に訪れていた。

 

咲は、決心がついた様に力強く扉を開け一歩踏み出す。

 

 

「お願いします。私を此処に入れて貰えませんか!」

 

 

その言葉に竹井先輩は一瞬、ニヤリと微笑んだ様に見えた。

竹井先輩は、こうなる事を予測していたのか?

そうだと言うなら、流石は学生議会長と言った感じか………。

 

 

「ようこそ麻雀部へ。歓迎するわ!」

 

「はい!」

 

 

どうやら咲は歓迎されたようだ。

更に咲は、雀卓の前まで歩み寄り。

 

 

「私、もう一度原村さんともっと沢山打ちたいんです!」

 

「えっ!?」

 

「もっと原村さんと打って、そして…………もっと麻雀で勝ちたいんです!」

 

 

咲のその言葉に外に居た俺も含めて驚いた。

 

普段から争い事や勝ち負けを意識する事の無かった咲が、自ら原村さんに対して宣戦布告する様な言葉を言うなんて………。

 

それだけ昨日見た姉貴の記事に影響されたのか何なのかは、咲にしか解らないが、これは咲にとって大きな『ターニングポイント』になるだろう。

 

 

「それで、君はどうするの宮永君?」

 

「達ちゃん、一緒に入ろう。そして一緒に全国行こう!」

 

 

二人のその言葉に、全員の視線が外に居る俺に注がれる展開に。

 

暫く無言のままの状態が続くと、原村さんが俺に歩み寄ってきて突然、頭を下げた!

 

 

「宮永君、私からもお願い致します。どうか麻雀部に入ってくれませんか…………私、貴方の様に麻雀で強く成りたいんです!お願いします!」

 

 

ひた向きな彼女の姿勢に、俺の心は揺れ動く。

 

 

「頭を上げて下さい原村さん」

 

 

俺の言葉に頭を上げる原村さん。

 

 

「竹井先輩、入部する際にあたって1つ条件が在ります」

 

「それは何かしら?」

 

 

俺は京太郎に歩み寄り、京太郎の右肩を掴み京太郎を竹井先輩に向けた。

 

 

「仮に、俺が入部したとしても男子部員は2人。俺達、男子部員が出場出来るのは個人戦のみ。しかし、今現状での京太郎が大会に出場するのは、無謀の極みと言って良いでしょう」

 

「クッ!!本当の事だから何も言い返せないぜぇ!」

 

「そこで、県予選が開催される日まで京太郎を俺に預けて貰えませんか?」

 

 

俺の提案を聞き、暫く考え込む竹井先輩。

 

 

「良いでしょう。何か考えが在るって事でしょう?」

 

「えぇ、必ず上位入賞できる様にさせます。と言う事だから京太郎。明日から暫くの間、放課後は俺と一緒に課外特訓だ。覚悟しとけよ?」

 

「マ、マジかよ…………」

 

「が、頑張って京ちゃん!一緒に全国行こうね!」

 

 

項垂れる京太郎に咲が励ましている。

 

 

「改めて歓迎するわ!宮永達也君、宮永咲さん。ようこそ麻雀部へ!」

 

 

こうして俺と咲は麻雀部へと入部したのである。

 

これから暫く、忙しく成りそうだ…………。

 

 

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