BanG Dream! ワーカーホリック少女が奏でるオト   作:あこ姫

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お久しぶりです。
久々の本編更新です。
それではどうぞ。


#009 ライブ後のできごと

Side_Matsuda

 

『Pastel✽Palettes&Sublimatum Re:Birth_Live』が終了しこのボクに楯突いた餓鬼共は大歓声を浴びている。

……こんな事があってもいいだろうか。

答えは否だ。 このボクがこんな惨めな思いをしていいわけがない。

本来ならば、Pastel✽Palettesに当て振りをしてもらい、ライブは失敗。失意のPastel✽Palettesにボクが救いの手を差し伸べてPastel✽Palettesはボクの意のまま。

そしてこのライブ失敗の責任はあの小娘……御神亜麻音とあのガキ……盛谷颯樹に被せておいて、クビにする。

それに輪をかける様に僕の囁きで小娘の精神をへし折って更に裏工作でSublimatumの悪評を広めてドン底まで墜とすつもりだったのに……

 

それが蓋を開けてみた現実はどうか。

ライブは前回の失敗が払拭されるどころかイメージが上乗せされるほどの大成功。

その証拠にボクの部下達は正直使い物にならない。

顔色が青や蒼白ならまだマシなものだ。大半が白色で中には全身が末白で少しでも衝撃を与えれば跡形も無く崩壊しそうな奴までいる有様だ。

こうなったらボクが直接――

 

「……何処へ行こうとしているのかね? 松田君」

 

ボクを呼び止めたのは涼原専務だった。

 

「少し外の空気を吸いにですよ」

 

専務の質問にボクは本心を悟られまいと涼しい顔で返答する。

 

「そうか。 それならば良いのだがね」

 

専務は何かしら含みを持たせていた。

 

「……専務。 宜しいでしょうか」

「……何かね」

 

ボクは専務にひとつ質問をした。

 

「どうして、専務は此処に?」

「私かい? タダの偶然……かもしれないね」

「…………」

 

専務の返答にボクは何も返さなかった……違う。()()()()()()()()

……なんなんだよ。この《圧》は。

絶対に偶然じゃないだろっ!

必然的に此処に来たのだろっ!!

 

……ステイ・クールだ、ボク。

動揺してはドツボにハマってとっぴんしゃんだ。

そうならぬようにしなければ。

 

ボクは持てる意識をすべて駆使して平静を保つ。

 

「あの、専務」

「何かね、松田君」

「僕に何か伝達事項があるのですか……?」

「……あるといえば、あるね。 それが、どうしたのかい?」

「いえ……なんでもありません」

 

危うく反応しかけた。クッソ危なかった。

こんなの気が抜けないじゃねぇか。

負けんじゃねぇぞ、ボク。

そう己自身に鼓舞しながら専務との応対を行っていく。

 

「松田君」

「……なんでしょう」

「今日のライブ、君から見てどう思うかね?」

「……大成功かと思います」

 

ボクは作り笑顔でそう返した。

結果から見れば大成功だが、個人的には大失敗である。

かなりの悪態をつきたいくらいまでにある。

 

「そういえば、松田君」

「……なんでしょう」

「小耳に挟んだのだが、このライブでもやらかそうとした輩が居たようだね……?」

「……!」

 

ボクは思わず返答できなかった。

なんで、専務がそれを知っているんだ!?

 

「そ、それはとんでもないバカがいたもんですね……」

「ああ、そのとおりさ。私欲に走って彼女達の夢を台無しにする……許されぬ愚行だよ」

「………………」

 

ボクは黙っていた。専務の圧が漏れ出して凄まじい事になっていたからだ。

 

「その圧仕舞って欲しいんだけどっ!」

 

と、内心はそう願う状態しかないボクなのである。

 

「……その点、亜麻音ちゃんと颯樹君、燐子ちゃん……。それに千聖ちゃんはよく頑張ってくれた」

「白鷺さんも……ですか」

「そうさ。 彼女が立案した亜麻音ちゃんの女優デビューがなければ、このライブは開催できてなかったからね」

 

ボクは専務の言葉に虚を完全に突かれていた。

白鷺千聖……彼女は完全にこちら側だと思っていたのに……

あのアマ裏切りやがった……っ!!

 

「それで、松田君続けてもいいかね?」

「……どうぞ」

「彼女は君達の味方にはなってないそうだよ。本人曰く、『彩ちゃん、日菜ちゃん、麻弥ちゃん、イヴちゃん……パスパレの皆、あーちゃん、そしてダーリンを敵に回してまで活動を続ける気はサラサラありません。私を見縊るのも大概にしてください』……だ、そうだよ?」

「…………」

 

なんだと!? あのアマこっちを利用してやがったのか。

いや……それは有り得ない。

まさか……あの餓鬼共が……?

このボクを貶める為にこんな姑息な手を……?

だったら、目に目を歯に歯を……

 

「『ボクが直接手を下してやる』……なんて思ってるのではないかね?」

「……! 何を言って仰るのですか、常務。 このボクがそんな事思っているわけないじゃないですか」

「成程ね……キミはそう言うのか」

 

ボクが否定するとわけのわからないことを常務は言い出した。

 

「ウラは取れているというのに……しらばっくれるのだね」

「ば、バカな……あの無能共白状しやがったのか……」

「( ゚Å゚)ホゥ……その話、詳しく聞かせてもらおうじゃないか」

 

ボクがふと漏らした言葉に専務は眼光を鋭くして問い詰めてきた。

 

「んなっ……専務、全て知っているのでしょう?!」

「いや、詳しい事情聴取はまだこれからさ」

「は? だったら、さっきのは……」

「ただ単なるカマかけだよ。まぁ、こんなにも単純な手に引っかかるとは思ってもみなかったがね」

 

そう言いながら専務は意地の悪い笑みを浮かべていた。

 

「姑息な手を使いやがる……(・д・)チッ」

「キミのしでかした事に比べたらお遊びだよ。さて……」

 

 

ボクの悪態をサラリと受け流した専務は言い放った。

 

 

さて……これから詳細な話を聞かせてもらおうじゃないか。 言っとくが無事に帰れるなんて愚かなコト思うんじゃねぇぞ?

 

「」(コクコクッ)

 

専務の圧に敗北したボクは逃げられることすら許されず、ただただ頷くことしかできなかった。そして直後、専務に首根っこ掴まれて連行されていくのだった。

 

 

Side_Out……

 

 

 

 

 

 

Side_Amane

 

ライブが終わって私達Sublimatumのメンバーは控え室でちょっとした打ち上げというか夕食会に突入していた。

勿論、食事は私達の持ち込みで手作りである。

 

「タコさんウインナーだぎゃあ!」

 

ますきがお弁当に入っていたタコさんウインナーを箸で持って悪ノリ?していた。

 

「ますき……もうそれ何度目なの?」

「毎度言ってるよね。最早御馴染になってるね」

 

それをレイが少し呆れつつも突っ込んで、帆乃花が同調する。

 

「でも、私達らしくて良いですよね」

ゆはのいふとほりらよ(由愛の言うとおりだよ)

「もぅ……萌々ってば食べるか喋るかどっちかにしなさいよ……」

「もぐもぐもぐもぐもぐもぐ……」

 

由愛の言葉に萌々がジャーキーおにぎり(レイ作)を頬張りつつも同意していた。

私が萌々を注意したところ萌々は食べる方を選択したようで、凄い食べっぷりでおにぎりを頬張っていた。

萌々の近くにあった御弁当箱に入ってるおにぎり(私・レイ・ますき作)が凄い勢いで無くなっていく。その食べっぷりにまたほのぼのする私達であった。

 

暫くして御弁当を全員で和気藹々と食べて談笑しつつ偶に今日のライブの振り返りを行っていると控え室の扉がノックされる。

 

「どちら様でしょうか?」

 

私が扉を開けるとくすんだ赤色のロングヘアーとアクアブルーの瞳の少女が立っていた。

学校の……セロシアインターナショナルスクールの制服に身を包み、猫耳のヘッドホンが特徴的である。

 

「突然申し訳ありません。 ワタシ、こういう者です」

 

少女が取り出したのは黒猫の形をした名刺だった。

私が受け取り、名刺を見てみるとそこには『PRODUCER chu²』と書かれていた。

下の方には拠点?の住所が書かれている。

 

「あっ……どうも。チュチュ……さんはプロデューサーなんですね。それで……どういった御用なのでしょうか?」

「余計な前フリはいらないわ。ワタシはこのバンド……Sublimatumのリーダーに話があるの。だから、リーダーを出して頂戴」

 

……どうやら、チュチュさんは私に話があるようだ。

 

「そうですか……でしたら、改めまして。 私がSublimatumのリーダー、御神亜麻音です」

 

私も白猫の形をした名刺を渡した。

え、「名刺持ってたの……?」って?

そりゃ、そうでしょ。Pastel✽Palettesのチーフマネやってるし営業に同行したりするしさ。

その際は名刺は必須でしょ?

 

「アマネ……ね。覚えたわ。単刀直入に言うからよく聞きなさい」

 

チュチュさんはこちらを指差し高らかに宣言した。

 

「ワタシは何れこのガールズバンド時代を終わらせる為の最強のバンドを作り上げたいと思っているわ、そこで貴女のチカラを借りたいの」

「私の……ですか?」

「敬語じゃなくてもいいわ。正確に言うと貴女達のバンドのチカラを借りたいの」

「Sublimatumの……? 私達を貴女がプロデュースするという認識でいいのかしら?」

 

私はチュチュさんの言葉の疑問を投げかけてみる。

 

「最初はワタシもそう思っていたわ。……でも、貴女達のライブを見て考えが変わった」

「『変わった』……??」

「そうよ。正直言って今のワタシに貴女達をプロデュースする実力があると思えない。これじゃあガールズバンド時代を終わらせるなんて夢のまた夢。だからワタシをアマネ……貴女の弟子にして欲しいの」

「え、で、弟子……?」

「Exactly このバンドのスゴさにアマネ、貴女が噛んでいるとワタシは思ってる。だからその技術をモノにしたいの!」

 

私はチュチュさんの言葉を聴いて考え事をしていた。

個人的には引き受けたいのだけれど……。

レイ達が何と言うかなぁ……。

 

そう思った私は控え室の後方にある椅子に腰掛けて会話の行方を見守っていたメンバー達に視線を送った。

私の視線に気付いたレイ、ますき、萌々、由愛、帆乃花は各々違う反応だったが、

 

「「「「「亜麻音(リーダー)(亜麻音先輩)の好きにやればいい」」」」」

 

……と、思っている事は同じだったらしい。

その返答に感謝の意を声には出さないものの視線で私は返した。

そして改めてチュチュさんの方に視線を向ける。

 

「えっと、私なんかで良ければ喜んで」

「アマネ、『私()()()』って言わないで頂戴。 貴女はこの私が認めたメンバーなんだから」

「……解ったわ。 これからも宜しくね? チュチュ」

「勿論よ。 貴女達から技術を盗んでワタシのプロデュースするバンドが最強だって証明してみせるわ。その時は覚悟しなさいよね、アマネ」

「上等じゃないの。 そん時は全力で迎え撃ってあげるわ」

 

 

私とチュチュが固く握手を交わした時だった。

 

「ねぇチュチュ、ちょっと良いかな?」

「えっと……貴女はレイ・ワカナだったわね……。……レイヤ、どうかしたのかしら?」

「(『レイヤ』って私の事だよね……)えっと、あの扉から此方を見てる子ってチュチュの知り合い?」

 

レイがそう言って指差した方向を見ると入口のドアから顔を半分だけ出して恥ずかしそうに此方を見つめるマリンブルーとホワイトのツートンカラーな髪色で紅眼の少女の姿があった。

学年はチュチュと同じくらいだろうか。

チュチュは彼女の姿を見つけるやいなや彼女のもとに行き、

 

「ちょっと、パレオ! 恥ずかしがっていないでちゃんと挨拶しなさいよ!」

 

強引にドアから説教しつつ引き剥がしていた。

 

「だだだだだだって、目の前にナマの亜麻音ちゃんが居るんですよ!? 亜麻音ちゃんと私なんかが会話するなんて恐れ多くて出来ないですよぉ~」

 

少女……名前はパレオちゃんというらしいが随分と抵抗していた。

 

「なぁ……リーダー、もしかしなくともリーダーのファンなんじゃねぇのか?」

「それは……見れば確定だと思います」

「確かあの娘……Sublimatum(わたしたち)のイベントに全部来てたはずだよ」

「あぁ……そういえばそうね。確かに居たわね。それと亜麻音のソロ活動のイベントにも居たような……」

「確かに全部のイベントに来てたね。 亜麻音、貴女の方からあの娘と話してきたら? このままじゃ埓が開かないし」

「え? あぁ……うん。解ったわ……」

 

抵抗するパレオちゃんを見ながら私達Sublimatumメンバーで話し合った結果、私がパレオちゃんと話すことになった。

私、こう見えて人見知りなんだけど……と思いつつパレオちゃんの下に向かう。

 

「あの~パレオちゃんだっけ? ちょっと良いかな?」

「あ、ああああ亜麻音ちゃん!? な、なんでしょうか」

「落ち着いてね? なるべく。えっと、間違ってたら謝るけどもしかして貴女、鳰原令王那ちゃん?」

「えっ……そうですけど……どうして私の名前を?」

「だって毎回イベントとか来てくれるしファンレターとかも送ってくれるし、何よりもファンクラブの名誉会員でしょ?」

「はい!何時も応援させて貰ってます!なんといっても――」

 

どうやら話しているうちにパレオ……令王那ちゃんのスイッチが入ったらしい。

その後延々と私のスゴいところや推しポイントとかを30分くらいノンストップで語っていた。

それを聞いていた私は恥ずかしさであちこちがムズ痒くなったり悶えてたりしていた。

 

「あのぅ……亜麻音ちゃんはチュチュ様を弟子にしたんですよね!? だったら、私も弟子にしてくださいっ!!」

「えっ……」

「ダメですか……?(ウワメヅカイ

 

流石というべきか……令王那ちゃん。私の弱点を心得ている……!

これじゃあ断ったら完全に悪者だよね??

 

「良いよ。これからも宜しくね?えっと……」

「今の私は『パレオ』と呼んでください!」

「じゃあ、改めて宜しくね?パレオちゃん」

 

私はパレオちゃんと握手をしてパレオちゃんに微笑みを返した。

 

「はぅぅぅ……亜麻音ちゃんのスマイル眩しくててぇてぇですぅ~~~」

 

まさかのオーパーフローを起こして気絶してしまっていた。

 

「パレオ!?」

「パレオちゃん!?」

 

私とチュチュは慌ててパレオちゃんの介抱に回り、残りのメンバーはそれを微笑ましく見守っていた。

 

こうして後に時にはライバルとして、時に相棒として長い付き合いになる亜麻音達とチュチュ、そしてパレオは出会ったのであった。

 

 

 

数日後、チュチュとパレオはチュチュのマンションが工事になって居住地が無くなり、私の家で同居することになるのだった。

そして2人は私の補助でPastel✽Palettesの仕事にも同行することにもなるのであった。

 

 

 

Pastel✽PalettesⅠ Fin.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




如何だったでしょうか。
連載がスタートして1年半……ようやく一区切りとなります。
なんかめっちゃ長かったきがしてなりませんわ。
その間に色々とあったわけだけども。
ここまで連載できたのはひとえにモナ様のおかげだと思っております。
まことにありがとうございました。


次回からは第2章としてRoselia編に入っていきたいと思います。
投稿時期が未定ですが、お待ち頂けると幸いです。

それではこの辺で失礼します。
また次回お会いしませう。
ばいばいっ!

次の章で取り扱って欲しいバンドは?

  • Popppin‘Party
  • Afterglow
  • Roselia
  • ハロー、ハッピーワールド!
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