BanG Dream! ワーカーホリック少女が奏でるオト 作:あこ姫
なんかぽっと浮かんだんで書いてみました。
それではどうぞ。
冬も深まってきたある日のこと。私、御神亜麻音は自宅のリビングのコタツで蕩けていた。
今日は日曜日だからバイトも全オフなわけで、しかも女優とアイドルの仕事もオフ日である。
大抵の場合、こういう仕事は土日などの休日に地方ロケとかがあって、現に彩達、Pastel✽Palettesの面々は今日は地方ロケで県外に居る筈だ。
……で、あればチーフマネージャーたる私が同行すべきなのだが、制約上それができないのだ。故に今日のロケはさーくん……盛谷颯樹が同行している。
その理由は、私の母さんが紗夜達と作り上げた『休日包囲網』にある。この内容は至って簡単。
『日曜日のバイトは全て禁止。絶対に休め』
である。
全くもって不服で、内職でもしたいくらいだ。ぶっちゃけ、何もしないって意外にストレスに感じる次第である。
「アマネ……どんだけ仕事脳なのよ」
「習性というか無意識レベルまでにはある」
「もうそれ、病気の域に達してるじゃない」
私と同じくコタツに入って蕩けていたちゆに呆れられた。
彼女の名前は珠出ちゆ。春先にあった『Pastel✽Palettes&Sublimatum Re:Birth_Live』の開催後に出会ったプロデューサー兼DJ.である。
彼女はあのライブのあとに何故か私に弟子入りを志望してきた。私が教えられる事なんてそうそうないと思うのだが、特に断る理由も無かったので引き受けることになった。
その直後に彼女の住むマンションが大規模な改修工事に入る事になり、その間の住居が無くなった為に私の家に同居する事になったのだ。
無論、本人には恋愛感情とかないであろう。
「……当たり前じゃない。ワタシにそんな趣味はないわよ」
「…………私、声に出してないのに何故に解るのよ」
「顔に書いてあったわよ」
「さいですか……」
「まぁ、私としてはそれが亜麻音さんの良い所でもありますけど」
………………???
私の気のせいかなぁ?
そう思った私は空席で有るはずのコタツの一角を見る。
そこにはコタツに入って蕩けていた鳰原令王那の姿があった。
「「令王那(パレオ)、何時からそこに!!??」」
声を大にして突っ込んだ私とちゆは悪くない。
「え、今さっきですよぉ~。寒い日にはおこたが一番ですよねぇ~」
『さっき』ってどうやって入ったんだよ。施錠してたのに。
「勿論、合鍵に決まってるじゃないですか♪」
「私、令王那に渡した覚えないんだが」
「心音さんにお会いした時、二つ返事で作ってくれましたよ♪」
「あの人かよ…………」
「ワタシはもう何もツッこまないわよ…………」
令王那の返答にげんなりする私とちゆ。
心音さん……弦巻心音さんならやりかねない。というか、その模様が容易と想像できる。
心音さんの苗字が『弦巻』と聞いて察するだろうが、ハロハピのVo.である弦巻こころの母親である。
また心音さんは私の母親、御神鈴音の妹であり私の叔母にあたる人物である。
心音さんの性格は『あの母有りきの娘』と言っても過言じゃない程のぶっ飛びっぷりである。
あの人自身、病弱であるにも関わらず娘以上のトラブルメイカーでもある。
それは私の母さんが胃薬を常備せざるを得ない状況のみならず、娘のこころがツッコミに回る程である。
「で、令王那は今日どうしたのよ」
「それは勿論、今日から此処で泊めて欲しいなと」
「昨日から学校は冬休みだから?」
「はい!」
「両親は反対しなかったの?」
「『正月とかの年末年始は忙しいから寧ろ、助かる!』と」
「…………さいですか」
これ以上の言及を諦めた私である。これ以上は沼な気がすると判断したからだ。
それから、私達はテレビを見たり、雑談したり、ミカン食べたり、ジャーキーをつまんだりしてた。
途中で私が内職を始めようとしてそれをちゆと令王那に止められてひと悶着あったのは余談である。
なので、暇を持て余した私は羊毛フェルトとか編み物に勤しんでいた。
「姉様ーっ!!遊びに来たわよー!!」
「ちょっと、こころ!?勝手に入っちゃダメだって!!」
暫く経った頃、こころと美咲が遊びに来た。
「あー、いらっしゃい。こころ、美咲」
「えっ、スルーした!?結構、驚くハズなんだけど」
「どうせ、心音さんから合鍵貰ってるんでしょ」
「ええ、その通りよ!よく解ったわね、姉様」
「まぁ……ねぇ、前例がある訳だし」
そう言って私の視線は令王那の方に向いてそれに気付いた令王那は目を逸らしていた。
「ミサキ、大体理由は察せたかしら?」
「あー、うん。大体解った。亜麻音先輩も苦労してるね」
「その原因もココネ・ツルマキが原因らしいけど」
「母様が原因なのね……」
それを聞いたこころはシュンとしていた。
こころは気にしなくてもいいのに。心音さんが反省すべきなんですよ。まぁ、ムリだけど。
「あのー……亜麻音先輩?」
「……??どうしたの、美咲」
「……なんですか、その編みぐるみの数は」
「あぁ……ヒマだったから」
「もう、個人が作る量超えてますよね」
「確かにコレは多すぎるわね」
美咲のツッコミにちゆが賛同する。
それもそのはず。今、私の背後には羊毛フェルトで作ったマスコットやら、毛糸の編みぐるみやら、マフラーやら手袋やらが山積みになっていた。
我ながらよく作ったもんだ。
「あー……こんなに作ったんだ」
「またアマネは無意識・無自覚で作ってたのね……」
「それでこの量って……」
「アハハ……やっちゃった(ゝω・)テヘペロ」
「「「「………………」」」」
一瞬にして起こる静寂
誰かリアクションしてよ。こころまでこういうリアクションなの!?
すっごく心が抉られるんだけど!
「皆の分の珈琲淹れてくるわ」
私はその場から逃げるようにキッチンに向かうのだった。
皆の分の珈琲を淹れて私がリビングに戻ると……
そこにはコタツに突っ伏すちゆ。
こころを抱き締めてる美咲。
美咲の抱き枕にされて涙目のこころ。
令王那の姿は……私に抱き着いている。
…………ナニガアッタンダロウネー(現実逃避)
リビングにある別のテーブルに珈琲が載った盆を置く。
「えっと……こころ、一体何があったの?」
「それが……皆で母様から貰ったお菓子を食べたらこうなったの」
こころに理由を聞くと心音さんから貰ったお菓子を食べたらこうなったらしい。
私は開封した箱のお菓子を確認する。
そのお菓子は『ガトーノア』だった。
『ガトー』とはフランス語で『焼き菓子』、『ノア』とは『胡桃』を指す。
つまりはフランスで食される『胡桃の焼き菓子』である。
材料は、卵・粉糖・ハチミツ・強力粉・コーンスターチ・ベーキングパウダー・無塩バター・ラム酒・胡桃……である。
お解かりいただけただろうか?
それでは正解発表である。
「あー……ラム酒で酔っ払ったのね」
「え?『ラム酒』??どういうことなの、姉様?」
「こころ、このお菓子にはラム酒が含まれてるのよ」
「え、でもあたしも食べたけれど何とも無かったわよ?」
「私とかこころは食べ慣れてるし耐性が有るんでしょうね」
私は淡々と自分の立てた仮説を述べていく。無論、現状は無視で。
「あのー……姉様?」
「どうしたの、こころ?」
「この状況、突っ込まないの?」
「ツッコミしたって何も変わらないでしょ」
「こころぉー♪」
「亜麻音おねーちゃん♪♪」
そう、こころは美咲に……そして私は令王那に絶賛絡まれ中である。
酔ってるせいか頭のネジが……というか理性が吹っ飛んでやがる。
「……どうしたらいいの、姉様」
「取り敢えず、撫でとけ。大人しくなるでしょ」
「……解ったわ」
取り敢えず私とこころは
ナデナデしてると凄く御満悦な表情を見せてスリスリしてくる。
「「むふー♫♫」」スリスリ(〃'ω'人'ω'〃)スリスリ
うわぁ……もう普段の二人からは想像できないわ。
「姉様……美咲と令王那、どうしてこうなったのかしら?」
「多分だけど、酔って理性のタガが外れて秘めてる欲望がダダ漏れしてるんじゃない?」
「そういうことなのね……で、どうするの?」
「うーん……そのままさせたいようにさせときましょ。暫くしたら熟睡するだろうし」
「そうね。姉様の言う方法が一番良いかもしれないわね」
こうして私とこころは
抵抗とかは……極力してない。胸とか触られた時くらいだよ。
こころは高頻度で美咲にセクハラされそうになってるのでもう涙目だった。
私に助けを求めるが、その度に美咲は私に威嚇していた。
それを察知した令王那が美咲に威嚇する状況が発生。
ハッキリ言おう。誰か何とかして。
マジでカオスな状態である。どうすればいいの、コレ。
「姉様……」
「撫でるか」
私とこころは全力で
そうしていると
「ようやく……かぁ」
「そうね、姉様……」
「「寝てくれたか、令王那(美咲)」」
「「疲れたわぁ……」」
私とこころは歓喜で抱き合っていた。今の私達には底知れぬ達成感があったのは確かである。
「こころ、珈琲飲む?」
「ええ。戴くわ。 あたし、疲れたから落ち着きたいわ」
「奇遇ね。私もよ」
私とこころは
この後、酔いが残っていたちゆが目覚めて幼児退行を起こして一波乱が起きるのは別の話。
更にその後、目覚めて酔いが醒めた令王那と美咲を宥めるのに私とこころが物凄く苦労するのは別の話。
そして同時刻にその事実がバレて心音さんに母さんのOHANASHIが執行されたのは全くの余談である。
そして、その夜に母娘揃って胃薬を服用する事になるのは関係のない余談である。
Fin.
久々に書いた番外編。
なんだこれ、カオスか()
とか言いつつもこれ書いてる時はサクサク進んだね。
要望があればこのシリーズをキャラ変えて続くかもね
次の投稿は未定ですがお待ちくださいませ。
ではでは。