BanG Dream! ワーカーホリック少女が奏でるオト 作:あこ姫
もうそろそろ年度末も近いと感じる2月28日。
私は今日はファミレスのバイトである。相方はハロー、ハッピーワールドのギター担当の瀬田薫である。
バイトのシフトももうそろそろ終わりそうな時だった。
「亜麻音、今日と明日って予定は大丈夫かい?」
「え、別に入ってないけど? どしたの」
「今日は、私にとって特別な日だから亜麻音と過ごしたいと思ってね」
「結論」
「亜麻音の家で泊まっても良いかい?」
「別に私は構わないけど」
「そうかい。良かったよ。断られなくて」
「で、薫はどうやって私の家まで行くわけ?」
「亜麻音は今日バイクで来てるのだろう?」
「察し。今日だけよ? 荷物とか持って駐車場で待ってて」
「ああ。 解ったよ」
私は先にウラの駐車場に行ってホンダ CBR1100XX スーパーブラックバードを始動させ、ファミレスの従業員用の入口に付ける。
薫が私からヘルメットを受け取り、それを被って私の腰に掴まって後部に座る。
私はバイクを発進させて一路、自宅へと走らせる。
バイクを走らせる事15分。自宅のマンションに到着した。
マンションの前で薫を降ろして私はバイクを駐輪場へと停めに行った。
「お待たせ。薫」
「構わないさ。仔猫ちゃんを待つのも王子の役目だからね」
「さいですか……」
これ以上はツッコま無いことにした私はエントランスからエレベーターで5階に上がる。
その5階のフロアの中で一際広いのが私の家である。
説明済みだが私の家はマンションを3部屋ぶち抜いている。無論、施工は弦巻家。
故に色々と部屋も多いのだ。
「お邪魔するよ。ああ、亜麻音先輩の家の広さには驚かされるよ」
「こころの家よりはマシでしょうに。んでどうするの、薫?」
「何がだい?」
「何って……泊まる部屋よ」
「あぁ、それなら私は亜麻音の部屋を希望するよ」
「私の部屋……??まぁ……良いけど」
薫の答えを聞いて私は自分の部屋に薫を案内する。
時間は丁度ティータイムだった為、そのまま雑談しつつの……突入だった。
今日の珈琲のお供はザッハトルテである。
無論、手作りであり私が薫が遊びに来た際に振舞うお馴染みの品だ。
『キャラ作り』状態での好物だったはずだからね。
……結果は今日も大好評だった。
そのティータイムの最中に同居人である令王那とちゆから今日はスタジオに泊まるからこっちには帰ってこないと連絡があり、母さんも弦巻家に泊まりなので、私と薫の二人っきりになる事が決定した。
「どうかしたのかい? 亜麻音」
「え、何でもないわよ。 今夜は私達以外は誰も居ない事が判明しただけよ」
「そうか。 だったら私のお願いを聞いてくれるかい、亜麻音」
「内容にもよるわね」
「ありがとう。その内容なんだが、私のありのままとして接して欲しいのさ」
「……要はそのキャラなしで昔みたいに接して欲しいと?」
「うん。良い……かな?」
「それくらい問題ないわよ。 かおちゃん」
「あ、ありがとう……あーちゃん」
その会話の後も私とかおちゃんは昔みたいに会話に花を咲かせていた。
暫くして私は夕飯を作るため、キッチンに向かった。
私が調理を開始して暫くした頃だった。
「もうちょっとでできるから待っててね?」
「うん。楽しみにしてる」
かおちゃんがキッチンに顔を出した。
私はかおちゃんにダイニングで待ってるように促した。
今日のメニューは和食だ。
お雑煮(岩手風)と胡桃餅だ。それと法蓮草のお浸しである。
誕生日のメニューとしては些か地味なものではある。
だが、かおちゃんの好物が雑煮なので問題はない。
私とかおちゃん、2人っきりの夕食が始まった。
かおちゃんは私の作った料理を満面の笑みで頬張っていた。
この笑顔見ると作り手冥利に尽きるものだ。
夕食が終わりかけに私は作っておいた蜜豆をデザートとして配膳した。
かおちゃんは頬を緩ませながら食べてくれた。
「あーちゃん」
「どしたの、かおちゃん」
「今日はありがとね。このご飯凄く美味しいよ」
「そう言ってくれると嬉しいわ。かおちゃん」
「ねぇ、あーちゃん」
「何?」
「有るんだよね?私の誕生日プレゼント……」
「勿論。はい。喜んでくれるといいんだけど」
私はラッピングされた小箱をかおちゃんに渡した。
「ありがとう。開けてもいい?」
「良いよ」
かおちゃんは私の了承を得てプレゼントの箱を開封した。
そこには星の意匠のシルバーアクセサリー……イヤリング、ネックレス、リングが入っていた。
「わぁ……今年も良いの?」
「良いわよ。かおちゃん似合うと良いんだけど」
「ねぇ、付けてみても良い?」
「うん」
「わぁ……凄い……私にピッタリだよ!!」
「そう?そう言ってくれると嬉しいわ」
かおちゃんは結構喜んでくれたようだ。良かった、良かった。
その後、食器の片付けを済ませて、かおちゃんと2人で入浴となった。
ここでもかおちゃんと昔話に花を咲かせた。
それによってすっかり逆上せたかおちゃんを私は介抱しておいた。
かおちゃんをベッドに寝させておき、私は自室から書斎に移った。
暫く私は書斎で弦巻家関係の書類仕事を行っていた。
一段落付いたので、かおちゃんの様子を見に行った。
ベッドには寝ていたハズのかおちゃんが居なかった。
「……何処に行ったのかしら」
私はかおちゃんを探しに行くことにした。
まぁ……大体解るんだけどね。
私はテラスに向かった。無論、飲み物を用意して。
「かおちゃん……やっぱり此処に居たのね」
「あっ……あーちゃん。さっきはありがとう」
「気にしないで良いのよ。はい。温かい物どうぞ」
「あ、ありがとう……」
かおちゃんは私からホットココアを受け取った。
「あーちゃん」
「ん?どうしたの?」
「星が……綺麗だね」
「あぁ……そうね」
「ホントに毎日この星空を眺められるのって羨ましいな」
「かおちゃん、毎回それ言ってるよね」
「だって、本当に羨ましいだもん」
「……そっか」
私とかおちゃんは暫くホットココア片手に満天の星空の下で雑談していたのだった。
季節はまだ冬。夜は冷えるのだ。
そう思った私達は部屋に戻る事にした。
「あーちゃん……」
「ん……?どうしたの」
「あーちゃん、大好きだよ」
「それはどっちでの意味かしら? かおちゃん」
「えっと……それは……」
「『それは』……?」
「……ぁぅ。も、もうちーちゃんみたいな事言うあーちゃんは知らないっ!!」
かおちゃんが先に部屋に戻っていく。
私は『揶揄いすぎたか……』と苦笑気味に反省していたのだった。
翌朝、私は眼の下にクマをたっぷり蓄えたかおちゃんと洗面場で出くわした。
かおちゃんは昨日の事がフラッシュバックしたらしく、必死に私と目を合わそうとしていなかった。
それは以降も暫く続いて、かおちゃんは存分にちーちゃんから揶揄われる事になり、完全敗北するのはまた別の話である。
END
今回はギリギリ間に合ったぜぇ……。
今回のお話は幼馴染の一場面でした。
改めて薫さん、お誕生日おめでとう。
それでは次回のお話でお会いしませう。
( ´・ω・`)ノ~バイバイ