BanG Dream! ワーカーホリック少女が奏でるオト 作:あこ姫
「なぁ……リーダー、ちょっとあたしのお願い聞いてくれねぇか?」
5月12日の昼下がり。
今日もSublimatumの練習が行われ、その練習後。
私はドラム担当のマスキング……ますきに話しかけられた。
「お願い…………? 良いけど。何?」
私はますきのお願いの内容を尋ねた。
「あのさ……今日ってあたしの誕生日だろ? だからさ……今日はリーダーの家に泊めてくれねぇかな……って、思ってさ」
「今日は母さんも父さんも居ないし別に構わないけど。ますきは大丈夫なの?」
「『大丈夫』って何がだ……?」
「両親の許可よ。特に親父さんの」
「あぁ……それなら問題はねぇ。それに準備もバッチリだ」
「早いな……。んじゃ、駐車場で待ってて。私は戸締りとかあるし」
「おう」
ますきはカバンを持って駐車場に向かっていった。
さて、私も早めに合流しますか……。
私はスタジオの戸締まりとダブルチェックを済ませ、駐車場に向かった。
駐車場でますきと合流し、それぞれのバイクに跨ってスタジオを後にする。
暫くバイクを走らせ、私達はバイクを発進させて一路、自宅へと走らせる。
バイクを走らせる事15分。自宅のマンションに到着した。
駐輪場でバイクを停め、施錠等キッチリ行う。
「お待たせ。ますき」
「そんなに待ってないし、気にすんなって」
「そう? じゃあ、行きましょ?」
「だな」
エントランスからエレベーターで5階に上がる。
その5階のフロアの中で一際広いのが私の家である。
なんと、私の家はマンションを3部屋ぶち抜いている故に色々と部屋も多いのだ。無論、施工は弦巻家である。
「邪魔すんぜ。…………相変わらず広いな、リーダーの家」
「アハハ……毎回言われる。んでどうするの、ますき?」
「あん? 何がだ?」
「何って……泊まる部屋よ」
「あー……それなら、あたしはリーダーの部屋が良いけど…………ダメか?」
「へ、私の部屋……?? まぁ……良いけど」
ますきの答えを聞いて私は自分の部屋にますきを案内する。
「どうぞ。ごゆっくり」
「おう。ありがとな」
ますきは私の部屋のクッションを枕にして横になっていた。
「その寛ぎっぷりに敬意するわ………………」
「褒めてんのか、それ…………?」
「褒めてるって」
「ホントにリーダーは偶に容赦ないよな」
「普段やられてる分は取り返さないと」
「あたしはした覚えねぇんだけど」
「解ってるよ。そんなの。主にほのちゃんとかほのちゃんとかほのちゃんだもん」
「帆乃花さんしか居ねぇじゃねぇか……」
私の発言にますきはドン引きだった。それくらいほのちゃん──青葉帆乃花に対する鬱憤は凄いのだ。
あのシスコン……いや、モカコンがっ!!!
彼女の妹でAfterglowのギター担当である青葉モカに私が好意を持たれているのもあるかもしれない。
だけどさ……八つ当たりを私にするんじゃないよ。ふざけんなって。
「ますき、私はシャワー浴びてくるわ」
「なぁリーダー、あたしも一緒に良いか?」
「……? 別に構わないけど」
「それじゃあ、行くか」
「あぁ……うん……って何で!?」
「良いだろ、こういうの。憧れてたんだよ」
「そっか。それならいい」
「……ナニを想像してたんだよ、リーダー」
「…………言わない」
「あ?」
「言わないったら、言わないっ!!」
「ちょ、待てって……」
私は恥ずかしさが極限に達して逃げる様に浴室へと向かうのだった。
なお、シャワー中は恥ずかしくて会話も出来ていなかった。
悶々としていたシャワーを終えて部屋着に着替えた私は夕飯を作るため、キッチンに向かった。
と、言っても昨日の夜のうちにこうなると予測して粗方の下準備は終えてある。
今日のメインは……夏野菜のカレーである。
先ず、昨日のうちにヘタを取っておいたナス1本とへタと種を取った赤パプリカ1/4個、ヘタを取ったししとう4本。
これをナスは縦に4等分に切り、赤パプリカは縦に4等分に切る。ししとうは爪楊枝で5ヶ所に穴を開ける。
次に玉葱をみじん切りにする。因みにこの作者は玉葱のみじん切りが出来ない。(※実話)
中火で熱したフライパンにサラダ油大さじ1を引いて豚ひき肉100gを炒め、色が変わってきたらみじん切りにした玉葱を加え、中火で炒める。
全体に脂が回ったらカットトマト缶 200g、水 200㎖、コンソメ顆粒小さじ1を入れ中火で5分程煮込む。
玉葱が透明になってきたら、カレールー50gと中濃ソース小さじ1を入れてカレールーが溶けるまで中火で煮込む。
次はトッピングの野菜だ。今回は素揚げにしようかと思っているので、鍋の底から3cm程の高さの揚げ油を注ぎ180℃に熱し、ナス、赤パプリカ、ししとうとスライスしたかぼちゃを3分ほど揚げ、油を切る。
……これでカレーは完成だ。
あとはお好みでカレーに乘せる目玉焼きを作ってそれと簡単なサラダを作る。
カレーを器に盛ってダイニングに配膳する。
こうして私とますき、2人っきりの夕食が始まった。
ますきは私の作った料理を満面の笑みで頬張っていた。
この笑顔見ると作り手冥利に尽きるもんだ。それとこの夕食で使っている野菜はますきの実家である銀河青果店で買った物であり、正しく銀河青果店様々である。
夕食が終わりかけに私は作っておいたティラミスをデザートとして配膳した。
ますきのお気に召したようだ。
「すんごい食べっぷりね、ますき」
「当たり前だろ? リーダーの料理でそうならない奴なんて居ねぇって」
「アハハ……そこまで行くんだ」
「なんだよ、自覚なかったのか」
「正直無いよ。私はフツーだよ」
「………………マジか」
「何その反応」
「察してくれよ。で、リーダー」
「何?」
「有るんだろ? その……あたしの誕生日プレゼント」
「まぁね……。はい。喜んでくれるといいんだけど」
私はラッピングされた長箱をますきに渡した。
「ありがとな。開けてもいいか?」
「良いわよ」
ますきは私の了承を得てプレゼントの箱を開封した。
そこにはパレットナイフが入っていた。
「良いのか? コレって
「そうよ。私も同じもの買ったしさ」
「てっきりアクセサリー系が来るのかと思ってた」
「去年それだったしマンネリ感あるじゃない。だから違う物を……と思ったのよ」
「成程な……」
「そう? そう言ってくれると嬉しいわ」
ますきは結構喜んでくれたようだ。良かった、良かった。
二人で皆に『スイーツフェス』をするのが楽しみである。
その後、食器の片付けを済ませて、ますきと2人で入浴となった。
……結論、私とますきはめっちゃ乳繰り合う──事はなく、平和に終わった。
青葉姉妹とは大違いである。あの二人だと平和に終わらんしな。
ますきは私の部屋で私自作のレシピ集を読むようなので、私は自室から書斎に移る事にする。
「……リーダー、何処行くんだ?」
「んー? 書斎よ」
「作詞か?」
「まー、そんなとこ」
「無理すんなよ?」
暫く私は書斎で作詞を行っていた。
今度のライブでお披露目する新曲である。
何時もなら曲の作詞は萌々が行うが、今回は私となっている。
一段落付いたので、ますきの様子を見に行った。
ベッドには寝ていたハズのますきが居なかった。
「……何処に行ったのかしら」
私はますきを探しに行くことにした。
まぁ……大体解るんだけどね。
私はテラスに向かった。無論、飲み物を用意して。
「ますき……やっぱり此処に居たのね」
「リーダー。さっきはありがとうな」
「気にしないで良いよ。はい。温かい物」
「サンキューな」
ますきは私からハニーラテを受け取った。
「亜麻音」
「ん?」
「星が……綺麗だな」
「あぁ……そうね」
「毎日この星空を眺められるのって羨ましいよな」
「そうかな? 私には見慣れた景色だけど」
「見慣れると新鮮味薄れてるんじゃないか?」
「あー……それは有り得る」
「なぁ、暫く此処で天体観測やっていかねーか?」
「良いよ。私は」
「決まりだな」
私とますきは暫くハニーラテ片手に満天の星空の下で雑談していたのだった。
大分、暖かくはなっているが夜は冷えるのだ。
そう思った私達は部屋に戻る事にした。
「亜麻音」
「ん……? どうしたの」
「大好きだぜ、お前のこと」
「……………………ふぇ~~~~~っっっ。な、
「完全にオーバーヒートしちまってるな」
「やっぱお前、可愛いな……」
「きゅぅ……」
「先に戻ってるから、風邪引くなよ?」
ますきが先に部屋に戻っていく。
「……ばか。ますきのばか。 あんな風に言われたら意識しちゃうじゃん……」
私は一人テラスに残って、先程のますきの言葉が頭から離れなかったので悶絶していた。
その時間は気付けば夜が明けていた。
翌朝、私は眼の下にクマをたっぷり蓄えて、洗面場でますきと出くわした。
そこで私は昨夜の事が脳内にフラッシュバックした結果、私は急速に赤面してますきと目を合わせる事が出来ず、顔を真っ赤にしてその場から脱兎の如く逃げ出した。
それ以降も暫く続いて、私の挙動不審を疑問に思った皆に詰め寄られることとなったのだった。
それが日菜、ちーちゃんと言った私の天敵に弱みを握られたのは知りたくもない余談である。
END
如何だったでしょうか。
どうしてこうなったとしか言いようがないわな。
また百合の花が咲き乱れてくぅ……
今回はますきの方が墜とす方になってもらいました。
亜麻音ちゃんのこの方面のピュアさはこころん以上かもしれん。
今回の作中に登場したカレーのレシピの分量は2人前となっておりやす。
気になる方は調べてみるのもいいかもですね♪
それでは次回お会いしませう。
ばいばいっ。