BanG Dream! ワーカーホリック少女が奏でるオト 作:あこ姫
とある日の芸能事務所。
その作業スペースで何人かの人物が各々の作業に没頭していた。
通路に一番近い席の私とその前に座る燐子はPastel✽Palettes関係の書類仕事である。その燐子の右隣に座っているのがちーちゃん。
今日は収録の仕事があるが始まるまでに時間があるので、今はファンからのファンレター等の返信作業を行っていた。
今、私達が居るこの区画には全部で6対12席のデスクがあり使用中デスク全10席のうち、7席が使用者不在となっている。
私の右隣に座る颯樹、その隣の彩、一つ空いて隣のイヴ、千聖の2つ右隣に座る日菜、その隣の麻弥はレッスンの時間である。
麻弥の右隣に座るちゆ……チュチュとイヴの右隣に座る令王那……パレオは今、次のライブに向けての打ち合わせでもうすぐ帰ってくるはずだ。
「…………ハヤクイカナイト」
千聖が一言だけ言って仕事を中断して何処かへ行こうとしていた。
…………巨大なモーニングスター片手で。
「あ、亜麻音ちゃん……」
燐子が私に抱きついて避難してきた。よっぽど怖かったんだろう。
無理もないか。あんなに殺気ダダ漏れだったちーちゃんを1人で行かせると対象が逝きそうで怖い。
私は千聖……ちーちゃんを追いかけねばならないのだが……現状が怯える燐子に抱き枕の様に抱きつかれている故に動けないんだよ。あと……
このままでは私の恥ずかしさがオーバヒートしちまうわ。
だから……燐子を落ち着かせるのが先決だ。
私は燐子の頭を撫でて宥める事にした。
あ、燐子の髪……サラサラで気持ちいいかも。
…………。
………………。
………………( ゚д゚)ハッ!
何考えてるのよ。私ぃ!!
しっかり理性を保つんだよぉ↑
その間、葛藤していたのは内緒である。燐子は私が頭を撫でてあげていたら安心したらしい。
「すぅ……すぅ……」
いつの間にか、眠っていた。
起こすのも気が引けるので、私は静かに燐子を静かに抱き上げて、お姫様抱っこで私のデスクの後ろにあるソファーに移動させた。
そして、寝冷え防止としてそっとタオルケットを掛けてあげた。
このまま、寝ている燐子を放置して行くわけにも行かない。
せめて……誰かが居ればいいのだけども。
そう思った時だ。
「今、帰ったわよ。亜麻音」
「只今戻りました~。亜麻音さん」
打ち合わせを終えたちゆと令王那が帰ってきた。
二人共……ナイスタイミング!
「後よろしく!」
「What!? 亜麻音、いきなりどうしたの!?」
「了解しました~。お気をつけて~」
いきなりでなんのこっちゃと戸惑うちゆ。
それとは対に何かを察し、私を見送る令王那。
流石、令王那。何も言わなくても察するとは『キーボードメイド』は伊達じゃないね。
さて……ちーちゃんを追わねば。
私は事務所を飛び出した。
ちーちゃんを追って走る私のスマホに麻弥からの着信が入る。
「もしもし? 麻弥、どうしたの」
「亜麻音さん、ジブンとイヴさん以外のメンバーがまだ来てないんですけど」
「えっ……?? なんでぇ!?」
麻弥からの連絡に困惑の叫びを上げる私。
なんであやひな居ねぇんだよ。
「ジブンにも解んないんですよぉ……。亜麻音さんも知らないんですか?」
「知らないよ……。事務所には居なかったし……あっ……」
ここで私は先程のちーちゃんがモーニングスター持って何処かに行く光景を思い出した。
「何か心当たりでもあるんですか?」
「うん。一応ね……麻弥」
「……? なんでしょう」
私は申し訳ない気持ちで一言麻弥に依頼した。
「…………準備しといて」
「(´Д`)ハァ……またですか。いい加減にして欲しいんですけど」
電話の奥でクソでかため息の麻弥であった。
「そう言わないで。終わったらケーキバイキングしましょ」
「本当ですか!? じゃあ楽しみにしてますね!」
ケーキバイキングの開催を聞いて心なしか上機嫌な麻弥だった。
これは労う意味でも盛大に開かないとな。
麻弥との通話を終えた私もまたクソでかため息なのだった。
それにしても……
彩は多分……止めようとして唆されたクチだろうし、軽罪。
日菜はO☆HA☆NA☆SHIが必要だから先ずはちーちゃんと合流せねば。
……あ。そう思ってたら居たわ。あの
冷静になってもらわねばならないので私は背後から気配を消して改造トンファーでちーちゃんを小突いた。
「痛た……。もう何するのよ、あーちゃん」
「ちーちゃん。少しは落ち着きなさいな」
「落ち着けるわけないじゃない! こうしてる間にもダーリンは
仮にもアイドルでしょうが。ナニ言ってるんだよ。
「だーかーらぁ、そんな状態で突貫したって足元掬われて終わりよ?」
「そ、それは……そうね。ごめんなさい。取り乱したわ」
私の一喝で納得したちーちゃんは正気に戻ったようだ。
「気にしてないわ。それよりさっさとさーくんと
「ええ。そうね。全力を持って仕留めましょう。あーちゃん」
あまちさVSあやひなのワンサイドジェノサイドゲームの開幕だ。
「それで、ちーちゃん。居場所は解ってるの?」
「ええ。ダーリンに盗聴器仕掛けてあるから内蔵のGPSで割り出せるわ」
「…………」
今のは聞かなかったことにしておこう。下手に私のSUN値削りたくない。
「……で、場所は何処な訳?」
「えっと……ピンク……彩ちゃんの家の前ね」
「は……? 道端?? 家の中じゃなくて?」
「ええ。何か心当たりあるかしら?」
「心当たり……ねぇ。…………あ」
ちーちゃんに聞かれて自分の記憶を呼び起こし、思い出した。
「何か思い出したの?」
「ええ。地下に居るのよ。さーくん達は」
「え? 地下?? どういう事???」
ちーちゃんは私の言葉の真意が解らず首を傾げていた。
「実は……この町内の地下には弦巻家が作ったシェルターの類が存在するのよ」
「……そんなの初耳なんだけど。なんで彩ちゃんは知ってるのかしら?」
ちーちゃんの言い分は最もで普通は弦巻家の関係者だけしか知らないハズである。
私はこころとは従姉妹関係でしかも専属メイドなので関係者だから知っていても可笑しくはないが。
「前に『家でもレッスンできる場所が欲しい』って言われてさ。その区画紹介したの。まさかこんな使い方されるとは思わなかったけどさ」
「じゃあ……そこに向かいましょ」
「待って。行くんならさ……奇襲かけない?」
「奇襲……。中々いいじゃない」
私の提案に悪い笑顔を浮かべて賛同するちーちゃん。
「でしょ? これならダメージも内外共に大きいし」(暗黒微笑)
「あーちゃん、その通りね。早速やりましょう」(暗黒微笑)
こうなってしまった私達はさーくんを助け出してあやひなを処刑するまで止まらない。
私達は部屋の所有者も知らないメンテナンス用の通路から乗り込むので先ずは塀に設置されている扉を開いて内蔵のパネルを操作し、メンテ用の隠しエレベータを出現させる。
このエレベーターは特定の数字を打ち込むと地中から出現する仕組みなのだ。
何故、私がそのコードを知ってるかって……? んー……ナイショミ^・x・^)☆
エレベーターで地下に降りてメンテナンス用通路を進んでいく。メンテナンス用といえど、キチンと立って歩けるほどのスペースはある。
しばらく歩いたところで私達は彩達の居る部屋の真上に到着する。
いきなり乗り込むのは色々と厄介なので機を伺うことにした。
「ねぇ……日菜ちゃん、本当に大丈夫なの……?」
「も~。心配性だなぁ~彩ちゃんは」
「だってさ……千聖ちゃんとか亜麻音ちゃんが勘付くじゃあ……」
「問題ないって。あたし達はレッスンに行ってるって予定だしさ。それにさ……」
「それに……?」
「いっつも居る邪魔者が居ないんだよ? ……だからさ……」
「だから…………」
「サークンヲアタシタチガイタダイテタンノウシタッテイインダヨ?」
「エ、ホント……??」
ほーぅ……『邪魔者』ねぇ……。
やっぱり主犯格は日菜……お前だと思ったよ。
彩は唆されただけだと思ってたけどやっぱりか。
こりゃあ……限度額満タンよね。
お客さぁん……キチンと支払っていただきませうかぁ……??
…………日菜のO☆SHI☆O☆KI、ここに開幕しせり……だ。
先ず、日菜と彩がさーくんに既成事実を作ろうとして服を剥こうとする瞬間にちーちゃんがクロスボウでさーくんの身体中に固定されている拘束具を破壊すると同時に私は改造トンファーに内蔵の分銅鎖を使い、さーくんを回収。
「た、助かった…………。ありがとう。ちーちゃん、あーちゃん」
「礼には及ばわないわよ。当然のコトをしたまでだもの」
「そうそう。幼馴染で付き合い長いんだから気にしないで」
「でも……」
私とちーちゃんの言葉に何が言いたげそうなさーくん。
「それ以上言わなくていいから。もしさ……何か思ってるならさ、この後のケーキバイキングに参加! それでチャラ。良いよね? ちーちゃん」
「ええ。私は問題ないわ、あーちゃん。ダーリンはどうかしら……?」
私達はそれを察して強引に押し切る。
対するさーくんはまだ納得していないようだった。
「ダメ……かな?」
「……解ったよ。それで二人が満足するのなら、喜んで参加させて貰うね」
ちーちゃんがやれと言うので私が上目遣いで迫ったらさーくんは折れてくれた。
「……ありがと。んじゃあ……ちーちゃん」
「ええ。さっさと終わらせましょう?」
私とちーちゃんはそれぞれ、トンファーとモーニングスターを手に降り立った。
「……スコシオハナシシマセウカァ……??」
「ハナスコトナンテナインダケド…………??」
「ソーダヨ!! モウスコシノトコロダッタノニ……!!」
「ナニガカシラ……??」
「ナニッテサークントアタシガキセイジジツヲツクルコトダヨォ」
「ソレトワタシモサークントノキセイジジツモダヨ」
「ソンナザレゴトガトオルトデモ……??」
「モンクアルナラ、カカッテキナヨォ?」
「イイドキョウネ、アヤチャン……」
刹那、ちーちゃんのモーニングスターと彩の偃月刀が交わりあった。
「アタシノアイテハアーチャンカァ……カクゴシテヨネェ?」
「ギルティー。カクゴスンノハテメーダヨ。サァ、オウジョウのジカンダヨォ?」
私と日菜も一言言ったあとに笑みを浮かべ数秒後には改造トンファーと戦斧が交わりあう。
開戦から5分後。
すぐに私とちーちゃんの勝利で片がついた。
全く……この程度でイキってたら痛いしっぺ返し喰らうのに。
まー、聞こえてないか。今の彩と日菜には。
この後、私の連絡で駆けつけた麻弥にあやひなの身柄を引き渡す。
麻弥は手慣れた手つきで瞬時に抵抗できないようにあやひなを拘束してレッスン場に強制連行していった。
これから彩と日菜には脱走分+サボった分が加算された地獄のレッスンが待っている。
これは……TORAUMA確実案件である。だが、それは完全な自業自得なので私は何も言うまい。
案の定、私からそれを聞いた時のあやひなは
「「えっ……マジで?? 嘘だといってよ!!」」
といった感じで喚いていた。
彩に至っては唆されて便乗しただけでこうなるのだから。哀れな。
「二人共、諦めなさい。大人しく地獄へ旅立ってきなさい(( ^ω^ )ニコニコ」
ちーちゃんが暗黒微笑で投下したド正論によって二人は大人しくなり、色が抜け落ちて真っ白になっていた。
「麻弥ちゃん、この二人のこと、頼むわね?」
「任せてください! 千聖さん! このバカは絶対に脱走はさせませんので」
ちーちゃんの言葉に敬礼する麻弥。
「麻弥、日菜の方は特に念入りで頼むわね」
「あ、はい。確か主犯格でしたので『ねっちょりコース』でしたよね?」
「そうそう。屍になろうとどうだっていいから」
「了解っす。あ、日菜さんは縛って返却でいいんでしたっけ?」
「そうね。終わったら吊るすし、それでいいわ」
日菜の扱いがぞんざいな気がするが戦犯なので問題は一切合切ない。
「わかりました。それでは行ってきます。皆さん方、また後で」
「「いってらっしゃい。麻弥(ちゃん)。また後で」」
麻弥はあやひなを抱えてレッスン場へと向かっていったので、私達は事務所に戻って残っていた仕事を手早く終わらせることにした。
事務所に戻ると……私はあれから起きていた燐子に抱きつかれた。
パレオによると、目が覚めた時に私がいなかったので寂しかったらしい。
デスクにはげんなりして座っているチュチュの姿が…………。
既に被害に遭ってたか……。
私は苦笑いを本来であれば返すところなのだろうけど、今の私にはそれができない。
燐子に抱きつかれている私は身動き取れない。
燐子の発育の良い
この状態で仕事しろとか無理な話である。
これを見ていたちーちゃんはこの事象の元凶なので気まずそうに目を逸らしていた。
ちーちゃんからこうなる経緯を聞いた颯樹も苦笑していた。
「あのさ、あーちゃんと燐子の仕事は僕がやっておくから、あーちゃんは燐子を慰めてあげて」
「ゴメン。さーくん。書類はデスクにあるから」
「りょーかい」
「燐子……取り敢えず、ソファーに行きましょ?」
「…………コクッ」
私は燐子が復活するまで慰めていた。
燐子は平常に戻った瞬間に顔を急速に真っ赤にさせて私に謝って私が「気にしないで」と宥めるのにも時間を要したのだった。
その日の夕方、ヘルプとしてますきを呼んで(手作り)ケーキバイキングが私の家で催された。
今回の下手人である彩は地獄レッスンだけで無罪放免でケーキバイキング参加なのだが、首謀者である日菜については簀巻きで天井から吊るされていた。
何時、意識を取り戻してケーキバイキングに参加するかわからないので、紗夜の監視付きである。なお、紗夜には日菜監視のお詫びとして手作りのケーキ3ホールを渡してある。
こうして、(手作り)ケーキバイキングは好評のうちに幕を閉じた後に本人の強い希望によって燐子の私の家でのお泊りが決定したのであった。
そして、NFOでSolaとRinRinのタッグが伝説を作り、その行動原理が日菜に対する憂さ晴らしで何も気づかずにログインしたHinaはSola&RinRinに遭遇し、フルボッコにされて丁度通りかかったサヨに回収されるのも別のお話である。
Fin.
前回で終わると思ったらなんか出てきたので今回も投稿。
次回はどうなるかわからん。
武器は進化する。
これだけ言っておく。
ではまた次回。