少女達の伝説   作:pilot

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戦争後遺症

WA2000のログ

戦争が終わり、私たちARES師団、とくに戦闘員の仕事は激減した。

やることがないと飛び出してきたところまでは良かったのだが、何も宛がなく、明日、今日の動力を確保するので精一杯だ。

こんな境遇の人間や、戦術人形はたくさんいる。

口が裂けても、ああ戦争があったときの方が良かった、などとは言えないが、それでも少しあいつらと戦場を駆け回った日々を懐かしむ。

今仮に私が新聞社へ機密情報をもらせば、一躍人気者へとなれるだろうが、それはなんだかアイツらに悪い。

私たち人形は微妙な存在だ。

金や材料さえあればいくらでも生まれるくせに、しかし権利が保証されている。

辞めたければ辞めれるのだ。

そして事実私は辞めた。

残ってもいい、と言われていたが、なんとなく戦わない平和な日々が想像できなかった。

勝っても負けてもいい、地べたを這いずり回ってでも戦場を生き抜きたい。

そんな漠然とした望みを抱いて、私は未開拓エリアに突っ込んだ。

だけれども、現実はやっぱり甘くはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「私は......殺しのために......ふぅ......生まれた......のよ......この程度の......ぜぇ......作業で......へこたれるわけには......ぐぅ。」

 

ブツブツブツブツよくわからないことを呟きながらも、地道に土木作業に従事する一人の少女。

に、見えるが彼女は人間ではない。

アウトランズ星系では今だフロンティアのかつての無法地帯っぷりを色濃く残した光景をみれることがある。

ここの場合、人間、MRVN、タイタン、そして戦術人形。

ごっちゃごちゃの人種、というよりも制作会社すら違う寄せ集めのものたちが、明日のために、あるいは製作された指名によってありとあらゆる作業をこなしている。

このWA2000という戦術人形は、どちらかといえば、いやはっきりと前者だった。

だがこの生活に入ってからというもの、実際彼女の欲求は叶えられたことはない。

ここにいるのは大体が作業員たちで、荒くれ者はいるにはいるが別にそこまで血気盛んな訳でもなく、また周囲の町は普通に暮らせる環境のために治安が悪いわけでもなかった。

明日の不安は働いている限りはなく、それならば組織内で八分されるリスクを犯すようなバカな真似などせず、ただひたすらに、目の前のタスクを処理するのが最適解だということを皆が理解しているのだ。

 

代わり映えのない、平和。

 

(この窓ガラスに写る自分は、本当ならこんな作業着でもなく、持ってるのはスパナじゃなくめきっと銃器なんだろうなぁ。)

 

退屈なルーチンワークならば、少しくらいこうやって呆けることはあるかもしれない。

だがそれは好ましいものではない。

 

「おい!そこのMRVNと戦術人形!サボってねえでさっさと仕事を終わらせろ!」

 

はたと気づけばそこそこの時間が過ぎていたようで、隣の青いMRVNと共に注意されたWA2000は、理想の自分の夢想をやめて、また現実の作業へと戻ろうとする。

隣のMRVNの胸のディスプレイは落ち込んでいた。

 

そういえば先程それは、私と同じような呆けた顔をしていたな、まさかな、などと思いつつ、結局その日も何もなく平和に終わってしまった。

 

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