トラブルホイホイな男が、ガラル地方に行くようですよ 作:サンダー@雷
落ち込んだシロナをどうにか宥め、私たちはここからの方針を決めるため話し合いを始めた。
「率直に聞きますシロナ。あなたは今回の件思い当たるものはありますか?」
「人1人を消してしまうほどの力を持ったポケモンね……。パッと思いつくのはディアルガとパルキア、ギラティナだけど、そのくらいあなたなら思いつくわよね。わざわざ聞くってことは違うと考えてるんでしょ?」
「ええ。その3体が動いたなら、普段から調査をしているあなたが気がつかないのは不自然でしょう」
人間性は1ミリも信頼していないが、研究者としては認めている。だからこその信頼だ。
なぜかシロナは頬を赤くしている。どうせ変なことを考えているのだろう。
「おほん。思い当たることだったかしら? そうね、オレンジこんな話を知ってる? その昔、このシンオウ地方がヒスイと呼ばれていた頃。時空の狭間より現れし英雄が世界を救う。その者はシンオウ様の使いだってね」
「シンオウ様?」
「シンオウ様、現代でこれはアルセウスを指すと言われているわ」
アルセウス、創造神。
その呼び名の通り、3体の神、湖の3匹これらを生み出したと言われる伝説のポケモンだ。
「まさか、ヒカリがその昔話の英雄として連れ去られたというのですか?」
「あり得ない話じゃないでしょ? 相手は創造神よ。それにこれなら今回の話しの辻褄が全部合うと思わない?」
……たしかにその通りだ。だが、もしそうなら人智を超えてしまっている。時空移動などそれこそ神の力でも借りなければならない。
思案していると、シロナが得意顔を覗かせてきた。
「ふっふっふっ、手詰まりって顔に書いてあるわよお兄さん」
「そりゃそうなりますよ。なんせ下手したらヒカリは我々とは別の時空にいるのですから」
「そうね。たしかに人の力じゃ時空への干渉なんてできないでしょう」
「勿体ぶらないでいただけますか?」
「もう、ノリが悪いわね〜。神の力を借りる方法が一つだけあるのよ」
「……へぇ」
「信じてない!? さっきまでの信頼はどこへ!?」
そりゃ、神の力を借りれますよ! なんて今時宗教勧誘でしか聞かないワードだ。眉唾に感じるのは無理もない。
「本当なのよ! 私今、金剛玉と白玉を持ってるから、これを利用すればディアルガとパルキアを呼び出せるのよ!」
「そんな貴重品どうやって借りたんですか?」
「そ、それは〜、ほら私チャンピオンだったし、信頼があった的な〜」
「どうせヒカリに頼んで無理して貸してもらったんでしょう?」
ヒカリはシンオウを救った英雄とされている。その発言力もかなり強い。ただその人の良さに漬け込まれて、悪い大人(シロナ)が無理な意見を通す時利用していると聞いている。
そんなことやってるからリーグから信用されないんだ。
まあ、今回はそれがいい方向に転んだので何も言わないが。
「ま、まあ細かいことは気にせず! とりあえず槍の柱に向かいましょう!」
「ヒカリが帰ってきたら、よく言い聞かせなければなりませんね。アホの言うことは無視していいと」
「謝るから! これからはしょっちゅうじゃなくて時々にするから! それだけはやめて!」
反省の色が見えないアホは気にせず私はガブリアスをスタンバイさせた。
□
場面変わり槍の柱に到着した。
以前は行手を阻むおかっぱ軍団がいたが、それがいなくなると美しい自然と景色が楽しめるいいハイキングスポットだ(なお危険度は考えないものとする)。
「金剛玉と白玉を担いで登ってたのに、何で息一つ切らしてないのよ……」
「カントー人にとってこの程度当然ですよ」
なんなら知り合いのマサラ人はカビゴンを背負った実績があるからな。もはやポケモンを使わない方が強いのではないだろうか?
シロナは引いた目をしながらも、ディアルガパルキアを呼び出す準備を始める。
「行くわよ。いきなり戦闘になる可能性もあるから準備しておいてね」
「分かりました」
シロナが2つの玉を掲げると眩いオーラを帯び始める。そして玉が1人でに宙に浮いたかと思えば、黒い裂け目から2匹のポケモンが現れた。
ディアルガとパルキアだ。その場にいるだけで感じる圧倒的な存在感はまさに神。
だが、予想外なことにディアルガとパルキアは落ち着いた様子だった。いきなり戦闘になると身構えていただけに拍子抜けだ。むしろ襲うどころか何かを伝えたがっているように見える。
「道を作ってくれたことを感謝する」
「はい?」
突然シロナが呟き始めた。ついに中二病でも発病したのだろうか?
私の顔から察したのか、シロナは焦ったように。
「ち、違うの! 急に頭の中に流れてきたんだってば!」
「頭の中……。まさかあなた方ですか?」
私が問うたのは2体の伝説達だ。
「そうみたい。今私を通じてあなたに話しかけてるらしいわ」
「なるほど。どうやら話し合いが可能なようなので、単刀直入に聞きます。アルセウスとやらが、ヒカリを拉致したのでしょうか?」
「その通りって言ってるわ」
ビンゴ。ようやく糸口が掴めたようだ。
「送られたのは過去のシンオウもといヒスイ地方で合っていますか?」
シロナは頷く。これも合っているようだ。
「なぜヒカリが選ばれたのでしょう?」
「どうやらヒカリちゃんがシンオウの危機を救ったことが関係してるみたい。ほら、ディアルガとパルキアを鎮めたのって直接的にはヒカリちゃんじゃない?」
ヒカリは伝説ポケモンに好かれる体質だ。湖の3匹に懐かれた結果、暴走していたディアルガとパルキアを鎮めることに一役買った。
「そんな伝説に認められるほどの能力を持ったあの子をヒスイに送って、ヒスイの発展に協力させてるみたい」
随分勝手なことを。創造神だかなんだか知らないが、そんな道理が通じるはずがない。
「ええ!? 本当なの?」
シロナが二神に問いかけると、静かに頷いた。
どうやら驚くことがあったようだ。
「この2匹ヒカリちゃんの手持ちなんだって」
「どうしてそうなった?」
「何か色々あって暴走したんだけど、ヒカリちゃんに捕まえられて難を逃れたみたい」
「軽く言ってますけど、シンオウ崩壊レベルの大事件ですからね?」
私が教えたせいか、ヒカリまでトラブルホイホイになってないか? 今度お祓いに連れて行こう。
「まあ、どうりで襲ってこなかったわけですね。それで、そのヒスイの発展とやらはいつ終わるんですか? 終わればヒカリは帰ってこられるのでしょう?」
私の言葉に神達の表情に心なしか影がかかった気がした。
それは気のせいではないらしい。シロナの険しい顔を見ればわかる。
「……どうやらアルセウスはヒカリちゃんが気に入っちゃったみたいで、返したがってないみたい」
「はぁ?」
「一応説明するんだけど、この世界ではアルセウスって御伽噺の存在なわけ。あまり人に知られてない。けど、ヒスイ地方ではアルセウスって神って扱いなの。だがら、アルセウスとしてはヒスイの方が好きなの。それで、その好きな世界に自分の好きな人間をとどまらせたいって考えてるみたい」
シロナ伝いなのでだいぶ意訳があるのだろうが、要するにこうだ。
「厄介なメンヘラストーカーに気に入られてしまって帰れないと」
「……神をメンヘラストーカー扱いしていいか分からないけど、簡単に言えばそうね」
ぶ○ぞ。おっと本音が出そうになった。
「あなた方の力を持ってしてもヒカリを帰らせることができないと」
「帰すだけならできるけど、それでもアルセウスの干渉をやめさせられるわけじゃないから、イタチごっこになるだけ。むしろ、今みたいな自由を与えられなくなる可能性もあるみたい」
「ますます厄介ですね」
なまじ力があるだけに相当厄介だ。
「では、元凶を叩くしか手がないようですね」
「どうやって?」
「簡単ですよ。今この2匹はヒカリを帰すだけなら出来ると言いました。つまりヒスイ地方と現代をつなぐことはできるのでしょう? 私が直接乗り込んで、そのメンヘラ厄介ストーカーをボコボコにして2度とヒカリに近づかないようしてやればいいんですよ」
「簡単そうに言うけど相手は創造神よ?」
「知りませんよ、そんなの。というかもうそれしか手がないでしょう。ヒカリが本当の意味で無事帰還するには」
そう、これしかない。シロナも分かっている。
だが、危険度は以前のシンオウ崩壊の時の比ではない。なんせ、以前は誰かに操られた神をどうにかすればよかった。しかし、今回は神自身が意思を持って敵となるのだ。
心配されているのだろう。
「ここまでありがとうございましたシロナ。あなたの協力がなければ、私はヒカリを救うチャンスすら掴めなかったでしょう」
「辞める気はないのね?」
「ええ、もちろん」
「そうよね。あなたはそういう人だもの。……じゃあ今回協力した報酬として、帰ってきたらデートして」
真剣な雰囲気だから何を言うと思ったら……と呆れていると、シロナは私の手を掴み。
「約束よ?」
その手は震えていた。顔は今にも泣きそうだ。今すぐ止めたいと顔に書いてあった。
そんな顔されては生きて帰るしかない。
「ええ、約束です」
そう言うと、シロナはふわりと笑った。不覚にも本当に不覚にもドキッとさせられてしまった。
見たいのは?
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オレンジがアニメ世界に迷い込んだら
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オレンジがポケスペ世界に迷い込んだら
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オレンジが女の子だったら
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オレンジの日常