トラブルホイホイな男が、ガラル地方に行くようですよ 作:サンダー@雷
今回少し胸糞な表現があります。見たくない方は飛ばしてください。
ここを書くかで悩みましたが、やはり私はビートというキャラが好きです。そしてビートというキャラを魅力的にする上で、この描写は必要と判断しました。
薄暗い洞窟の道は、どこかRPGゲームを思い出させる。
ここはガラル鉱山。その名の通り昔は石炭の発掘などで栄えたが、石炭が廃れた今はジムチャレンジに参加するトレーナーのトレーニングに利用されているようだ。
「師匠ー! ここでは何か修行するですか?」
「ええ、そのつもりです」
「今日は何するの? また野生のポケモンでトレーニング?」
「いいえ、ここのポケモンもなかなか強いですが、やはりワイルドエリアのポケモンに比べれば格が落ちます。なので、今日は実践に重きをおいてやりましょう」
「おおー! 遂に師匠が相手してくれるですか!?」
「しませんけど?」
「だぁー」
ユウリはギャグ漫画のように転んだ。
そして土に汚れた顔を近づけてきて。
「何でですか!?」
「私とやってもレベル差がありすぎて試合にならないでしょう。身の程を弁えなさい」
「ぬぐっ、事実だから何も言えねぇです!」
唇を噛んでいるユウリの横でソニアが。
「でも、手加減してあげればいいんじゃない?」
「それでもいいですが、今日の修行のテーマからは外れるのでなしです」
「テーマってなんです?」
「簡単ですよ、実戦経験を積むことです」
「それいつも同じじゃねえですかあああ!」
駄々っ子のように腕をぶんぶんさせながら喚いてくる。
子供か。いや、子供か。
「正確には、対人経験。いわゆる、トレーナーとのバトル経験を積んでおいて欲しいんですよ。この前のホップとのバトルを見ていると、ユウリは人とのバトル経験があまりないように感じたので」
「はぐっ!?」
「……どうかしましたか?」
何故か胸を押さえて呻いたユウリに聞く。
そこにソニアが苦笑しながら説明してくれた。
「あー、ユウリはね、バトル一筋だったから……その……友達と遊んでいる時間がなかったから」
「なるほど。要するにボッチでバトルしてくれる相手がいなかったんですね」
「はっきり言いやがりましたこの人!?」
「事実をオブラートに包んで何の意味があるんですか。ボッチはボッチなんですから、現実を受け止めなさい」
「受け止めてるですよ! 受け止めてるから、わざわざ傷口に塩塗りたぐってくるなです!」
「何をバカなことを言ってるんですか。塩は人の傷に塗らなきゃ意味ないでしょ」
「鬼、悪魔、ドS!」
何を今更言っているのか。はじめから言っていただろう、私は人の弱点をつくのが大好きだと。
「ほらオレンジ、その辺でやめておきなさい。あまりいじめちゃユウリがかわいそうよ」
防戦一方のユウリを見かねたのか、ソニアが口を挟んでくる。
けしていじめではない。可愛がりだ。相撲部屋的な意味の。
「そうですね。弄るのも飽きたので話を進めますか」
「弄ってたですか!?」
「はい。それが何か?」
「かけらも悪びれてねぇです……」
唖然とした様子のユウリ。何はともあれ静かになったので、話を進める。
「さっきも言った通り、今日の修行の目的は対人戦の経験を積むことです。ここはガラルでも有名な修行スポットですから、トレーナーもたくさんいるでしょう。そこで、この鉱山内にいるトレーナーとバトルして10勝するまで帰れまてんをしたいと思います」
「10勝? 今回は連勝じゃないんです?」
「今回は単に経験値を得るのが目的ですから、連勝する意味がないんですよ。むしろバンバン負けて、泣いて、現実を知ってもらえた方が私としても従順になって……今後も精進してくれるでしょうし」
「今さらりと黒い目的が漏れた気がするんだけど?」
「何のことだかさっぱり。それではいってみましょう。集合場所は4番道路に続く出口でいいですねボッチさん」
「ボッチ言うなです!」
□
その後ボッチを見送った私はソニアと分かれて鉱山の中を探索していた。
わざわざ分かれた理由は、単純に私が調査したい場所は鉱山の中でも奥の方なので危険と判断したからだ。ただ、野生のポケモンが生息する地にソニア一人を放っておくのは駄目だと前に学んだので、今回はエーフィをボディガードとして付けている。
ガブリアスはソニアのトラウマを呼び起こすし、ピチューは私以外にはなかなか懐かないから、エーフィが最適と判断した。まあ、エーフィもエーフィでクーデレなので若干不満そうだったが。頭はいいので仕事はしてくれるだろう。
灯はほとんどなくなり普段人が足を踏み入れない場所に入ったことが分かる。懐中電灯が唯一の光源だ。
歩いていると道なりに崖があるのが見えた。
ここは石炭を掘り起こした場所なのだろうか? かなり大規模だ、カントーとはスケールが違う。しかし、懐中電灯は普通目の前の道を照らす。この崖は懐中電灯では確認しづらい位置関係にあり、とても危険だ。
後で報告して注意を促すべきだ。ここまで来る物好きがいるかは知らないが。
しばらく歩いていると、岩の入り口の先にスペースと灯が見えた。
どうやら、ここまで来た物好きがいたようだ。私のような調査目的の人間か、はたまた邪な考えを持った人間か。
いつものパターンならば圧倒的に後者だ。できれば前者であってほしいが。
防衛のためにボールを構えながら、じりりと近づいていく。
入り口の横に背中を付けながら中を確認すると、いたのは見覚えのある人物だった。
先日バトルしたトレーナー、ビートだ。
「こんなところで何をしているんですか?」
ネタが分かれば警戒する必要はない。私は中に入ってそう言った。
声に気がついたビートは一瞬ピクッと反応して後ろを振りむいたが、私の顔を見るなり明らかに顔が歪んだ。
嫌う気持ちはわかるが少しは隠す努力をしてほしい。
「……あなたはオレンジさんでしたね」
「その通り、私はオレンジですよビート」
「名前覚えていただけたんですか。再度自己紹介するのは面倒なので、よかったです」
「ええまあ。仕事柄、地位のある方との付き合いもありますから、名前くらい覚えられないとやってられないんですよ」
特にオーキド博士は著名な研究者として世界的に有名な人だ。それ故にあらゆる地方の権力者が博士に挨拶に来たり、パーティに招待してきたりする。
ただ、あの人は研究以外に興味がないので、そういう場には私やナナミ、グリーンなどが行くことが多い。そのため最低限の礼儀として名前を覚えていくことは必須なのだ。
「それで私の質問に答えていただけますか? こんなところで何をしているんですか?」
「……答える義務はありません」
そう言って私の横を通って、ビートは道を戻っていく。そこで私はビートが電灯を忘れていることに気がついた。
「電灯を忘れていますよ。それでは危険です」
「問題ありません。先程もこの道は通りましたから」
「待ちなさい!」
私は強い声で止めたが、ビートは無視して歩いて行ってしまった。
私は上でも言ったが、ここ電灯を照らしただけでは一見真っ直ぐな道に見える。しかし、実は少し外れると深い崖になっているのだ。それも掘り起こしていた場所だからか、地盤は普通の洞窟よりも弱い。
ガコッという岩が崩れる音が響いた。
「んなっ!?」
それと同時に聞こえてきたビートの叫び声。
私が洞窟を出ると、崖に落ちて行くビートが見えた。私は躊躇うことなく崖に飛び込んだ。
「うわああああああああああああああああああああ!」
「ビートおおおおおお!」
重力の風に煽られながら、なんとかビートに近づいて行く。幸いにも私の方が彼よりも体重が重いから速度はある。
あと少し……!
そして伸ばしていた腕の指にビートの服がかかった。
私は指で彼を上に引っ張り上げて赤ん坊を抱っこするように抱える。
あとの問題はどうやって地面に着地するかだ。私はモンスターボールを持って。
「ガブリアス! ストーンエッジで足場を作ってください!」
「ガバァ! ガバァァァ!」
空中に投げ出された岩を残された右腕で掴む。大車輪の要領で回転し、落下の腕の負担と衝撃を逃して行く。
いくつかの岩を経由して、ようやく崖の最深部に足をつけた。
遅れて空から到着したガブリアスはほっとした顔をしていた。
「ありがとうございます。助かりました」
「ガバァ」
得意げに顔を緩ませているが、今は本当に助かったので何も言わないでおこう。
私は先程から何も声を発していないビートに気がつく。
何かあったのかと彼の顔を見ると。
「う、うん……」
「気絶していただけですか」
私はほっと胸を撫で下ろす。
無理もない。いきなり死にかける目にあったのだ、相当の恐怖だったに違いない。いくら強がっていても、子供なのだから。
私はバッグを彼の頭の下に敷き上着をかけてから、現状を確認するために調査を始めた。
□
やめて。
『できることは一人でやってよ、私だって忙しいの!』
ヒステリックに泣き叫ぶ女は僕の顔を力一杯叩いてくる。
僕がショックで泣けばさらにヒステリックになり暴力にかける力は強まって行く。
……やめて。
『あんたなんて産まなきゃよかった!』
女がなんでこんなに怒りをぶつけてくるのか僕はこの時わからなかった。
いや、今でもわからない。わかるのは女は僕を心底憎んでいたことだけだった。
……やめて!
『ほら、高級なビーフよ。あんたこれ好きでしょ?』
この日の女はやたらと僕に優しくしてきた。ただ、僕は自分がビーフが好きなんて初めて聞いた。なぜなら、ビーフなんて初めてみたからだ。
『じゃあ仕事に行くから、ちゃんと待っててね』
そう言って女はドアを閉めようとした。
だが、なぜか僕は閉まろうとするドアを見て、危機感を覚えた。
しかし、幼児の身体では間に合うはずもなくドアは閉まってしまった。
待って! 置いてかないでお母さん!
そして女は二度と帰ってくることはなかった。
□
「はっ!」
目を覚ますと永遠に続きそうなほど深い闇が広がっていた。
ここはどこだ? ビートは顔を右往左往させながら、自分の記憶を辿って行く。
そして思い出した。自分が道を踏み外して崖に落ちたことを。
「僕は死んだのですか?」
ならばここは地獄なのか。とビートは自分を嘲笑するようにそう思った。
ろくでもない親に育てられ、捨てられて、最後には洞窟の奥底で生き絶えるとはろくでもない人生だ。
コツコツと足音が近づいてくる。どうやら、地獄の案内人が来たようだと足音の方を見ると、見覚えのある不愉快な顔がそこにあった。
「おや? ようやく目を覚ましたのですか?」
その男はピチューの電気で辺りを照らしている。おかげでおどけた表情がよく見えた。
「……なぜあなたがここに? ここは死後の世界じゃないんですか?」
「勝手に私まで殺さないでくださいよ。ここはあなたが落ちた崖の最深部です」
「あの高さから落ちて人が生きていられるわけないじゃないですか!?」
「まったく面倒ですね〜。ピチュー、軽ーい電撃を喰らわせてあげなさい」
「ピチュ」
「ッッ!」
ビートは、静電気で指を引っ込めるくらいの電撃を受けた。
「ほら痛いでしょ? ここは死後の世界などではなく、現実です」
まだ信じられない様子だったビートだが、自分のポケモンたちを確認してようやく生を認識したようだった。
「……どうやって僕を助けたんですか?」
「シュバッと飛び込んで、バシッとキャッチして、ブンブンと回転して、シュバッと着地しました」
「ふざけるな!?」
「ふざけてませんよ。本当にそうやって助けたんですから」
そんな特撮ヒーローのような人間が現実にいるなど、ビートには信じられなかった。しかし、記憶を辿ると意識を失う前に自分の名前を叫ぶ声が聞こえていたような気がした。
あの時は余裕がなく、幻聴だと思っていた。
しかし、今の状況を考えるとあの声はオレンジのものだったのか。
要するに経緯はどうあれ、自分の命がオレンジに助けられたこと事実なのだ。
そう考えが至ると、途端非常に自分に恥ずかしさを覚える。
「おやおや、そんな恥ずかしそうにしなくてもいいんですよ。あの落下を思い出せば自分が死んだなんてよく考えることですから」
「別に(それについて)恥ずかしがってません!」
「私、実は暗闇でも目が効く方でして。あなたの拗ねたように膝を抱えている姿がよく見えるのですよ」
「ぐっ! 見るな! あっち向け!」
「嫌ですね、絶対断る」
ビートはぐっと唇を噛む。
ニヤニヤと嗜虐的な笑みを浮かべながら言ってくるオレンジに殺意すら覚える。
「さて、出会い頭に嫌そうな顔をした仕返しはこの辺りにして」
バレていたのか。というか根に持っていたのか。
「そろそろ脱出を考えますか。本当ならガブリアスに乗って上がりたいところなのですが、ここの地盤を考えるとガブリアスの出力で崩れる可能性があるんですよね。ここが崩れて、山全体にどう影響するのか未知数な以上、この手はとらない方が得策ですね」
妙に説明的なところに首を傾げつつも、ビートは話を黙って聞く。
「次にあなたを抱えながら崖を登ろうと思ったですが、この地盤では2人分の体重で掴んだら崩れるんですよね。なので、これもなし」
逆に崩れなかったら登れるのか。おかしい、色々おかしい。
ビートは混乱を極めるが、オレンジは何のことかと話を続ける。
「よって、私が1人で登り助けを呼んでくることにしました。幸い、1人ならなんとかなりそうですし。少々心細いでしょうが待っていてください」
待っていてください。
……待っていてください。
……待っててね。
『ちゃんと、待っててね』
なぜか分からない。さっきまであんな夢を見ていたせいかもしれない。不意に出たオレンジの言葉で母親の最後の言葉を思い出してしまった。
「どうかしましたか?」
気がつけばビートはオレンジの服の裾を掴んでいた。目が暗闇に慣れてきたせいで困惑したオレンジの顔が微かに見えた。
「……ッ!?」
バッと手を引いた。
自分は今何をした。なぜオレンジの服を掴んだ。わけが分からず、自分に自問自答して行く。
しかし、答えは出ない。
半分混乱したビートにできることはいつも通りの自分を演じることだった。
「な、なんでもありません。早く行ってきてください!」
後ろを向いて、赤くなっているだろう顔を長い襟で隠す。
これでは何かあると言っているようなものなのだが、混乱状態はビートにはそんなことを考える余裕は残されていなかった。
少しすると、後ろでオレンジのため息が聞こえた。
そして次に電話の着信音が聞こえてきた。
「あ、ソニアですか。すいません、少々不測の事態にあってしまい崖下に落ちてしまいました。……ケガは大丈夫ですよ? ただ、登れそうになさそうなのでエーフィをここまで連れてきてもらえませんか? 場所はエーフィに案内させれば分かると思うので」
その後、オレンジの平謝りする声が聞こえてくる。
ビートは驚きのあまり後ろを振り返り。
「何をしているんですか!? 先程助けを呼んでくると言っていたじゃないですか!?」
「はい、失礼します。……仕方ないでしょう? あんな捨てられた子猫のような目ですがられたら、置いてなんていけませんよ。まったく、あなたのせいで同行者にまた説教されてしまうじゃないですか。はぁ、憂鬱だ」
本当に憂鬱そうにため息をつくオレンジ。
そんなこと知ったことじゃないと言ってやりたかったが、残ってくれると分かったことで安心感を覚えている自分がいることに気がつく。
「……感謝なんてしませんからね」
絞り出すように言ったその言葉に、オレンジはなぜか微笑ましいものを見るような目をしていた。
元ネタは公式のビートの孤児設定です。他は独自設定です。
その後エーフィのサイコキネシスでどうにかして、オレンジはソニアにしこたま説教を受けました(ビートのことは極力説明を省いたため)。
簡単設定集。アローラ編
世界観はウルトラと混ぜ込んだ感じ。
オレンジ
なんやこんなでカロス地方の騒ぎをミュウツーと鎮め、カントーに帰る。
その後しばらくして、アローラ地方の博士ククイからポケモンリーグ設立の協力を願い出られ、アローラのポケモンの調査許可を交換条件に受諾した。
そのご、チンピラ軍団や自然保護過激派に絡まれながら、最終的にウルトラネクロズマと一騎打ちしたりする。
ポケモンは今と一緒。
ムーン
小さい頃マサラタウンに住んでいて、その頃マサラに住んでいたオレンジとよくイシツブテドッチボールや、川遊び(海)したりして遊んでいた。立派なマサラ人に恥じない身体能力を持つ。
親の仕事の都合でアローラ地方に行く。そこで博士の助手をしていたリーリエに一目惚れしてしまう。元々女性好きというわけではないが、リーリエにはなぜか惚れた。
そしてほしぐもちゃんをつけ狙う奴らがいることを聞かされ、リーリエを守るためにオレンジに弟子入りする。
愛はかなり重く、エーテル財団にリーリエが連れて行かれた時は修羅のようになり全滅させた。リーリエもムーンの気持ちに応えて、将来を約束している。リーリエが傷つけられると、目のハイライトが消える、
現在アローラ地方のチャンピオンだが、最後のオレンジとのバトルに負けたので、いまだに自分の力は足りないと精進を続けている。
性格は寂しがりや、ヤンデレ。
主なポケモン。カプ・テテフ、ミミッキュ、ドクヒトデ、ペルシアン(アローラ版)、ガオガエン等。
リーリエ
超可愛いヒロイン。ムーンにベタ惚れ。
中二兄
妹の婚約者がマジ怖い。エーテル財団に殴り込みした時のことはいまだにトラウマ。
ハウ
天然。ムーンはかっこいいなぁくらいにしか思ってない。
ルザミーネ
愛しすぎるババァ。現在トキワシティで療養中。
グヅマ
ヤンデレ怖い。ヤンデレ怖い。ヤンデレ怖い。ヤンデレ怖い。ヤンデレ怖い……。
カプ・テテフ
なんか同じパッションを感じたので仲間になる。しかし、オレンジ貴様は許さんとばかりに会うたびにリアルファイトを仕掛けて、毎回いなされる。
ククイ
呑気な変態博士。ラストバトルをオレンジに任せた。
見たいのは?
-
オレンジがアニメ世界に迷い込んだら
-
オレンジがポケスペ世界に迷い込んだら
-
オレンジが女の子だったら
-
オレンジの日常