トラブルホイホイな男が、ガラル地方に行くようですよ   作:サンダー@雷

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 そういやエール団出すのずっと忘れてた。


ガラル第二鉱山〜迷惑サポーター〜

 

 食事会から数日後。

 ようやくエンジンスタジアムの修復が終了したらしい。一月ほどで終わらせるとは、この地方の業者はなかなか優秀だ。

 それに伴い、私たちもエンジンシティに向かうことになる。

 ユウリもよくやくジムに挑戦できるとあって気合が入っているだろう。

 と、思っていた。

 

「ハスブレロ、みずのはどう!」

「ハッス!」

「はぁ? ……ウインディ、だいもんじで打ち消しなさい!」

「ガアウゥ!」

 

 みずのはどうは、だいもんじの火力にあっさり蒸発させられ、そのままハスブレロに直撃した。

 当然、ハスブレロは戦闘不能だ。

 

「何をしているんですか? さっき同じ手をくらって負けているでしょう。何かしら試して負けるならまだしも、変化もなしでは意味がありませんよ」

「……ごめんなさいです」

 

 ユウリは目を伏せて気まずそうに謝る。

 ただ気を抜いていたというよりも、他のことに気を取られていたという感じだ。

 明らかに最近のユウリはバトルに集中できていない。

 調子が悪いのは仕方ないが、もうすぐジム戦が始まるのにこの調子で大丈夫だろうか?

 少なくとも、今バトルするのは無駄だろう。変に調子を崩したままバトルすると、変な癖がつくことがある。

 

「今日はここまでにしましょう。調子が悪い状態でバトルしても意味がありませんから」

「ま、まだやれるですよ! 調子が悪いのだって、バトルしてればその内よくなるです!」

「ともかく今日はもう終わりなさい」

 

 私はそう言って宿舎に戻った。

 ユウリは納得いかなげに唇を噛んでいた。

 

 

 

 ここはガラル第二鉱山。バウタウンからエンジンシティに向かうのに最短ルートであり、同時に数々のトレーナーがいて絶好の修行場だ。

 いつもなら、ここらでユウリを一人でバトルさせるのだが、今朝のこともある。そのため、今日はバトルなしで拠点でゆっくりしているように伝えている。

 

「へぇー。だからユウリはあんなブー垂れてたのね」

「はい。あれでユウリは頑固なところがありますから、言い聞かせるのは大変でした」

「お疲れ様。……それにしてもユウリはどうしたんだろ? 最近の様子を見てるとスランプどころか、むしろ順調すぎるくらいに見えるんだけど」

「どうですかね。何かしらあったことは分かるのですが、ユウリが言いたがらない以上、私たちにうてる手はありませんからね」

「そうね」

 

 ソニアは困ったように頷く。

 一通り調査を終えて、ようやく拠点に帰ってきた。

 私は自分のテントに荷物を置きに行き、ソニアはテントの中にいるユウリに帰りを知らせようと呼びかけに行く。

 

「ユウリー帰ったわよ。……返事がない? ユウリ?」

 

 テントの中を覗くとソニアは血相を変えて、私のテントの方に走ってきた。

 

「オレンジ! ユウリがいないんだけど!?」

「はい? 荷物は?」

「荷物もないの!」

「……えぇ。あの子ならやりかねないとは思ってましたが、まさか本当に勝手に行くとは」

 

 ポケモンを見張りにつけようかと考えていたが、気が休まらないだろうと思いやめていた。それが裏目に出たようだ。

 私は置いていた荷物を再度背負い立ち上がり。

 

「仕方ありません。探しにいきましょう。たぶん、洞窟内にいるはずですから」

「そうね」

 

 私たちはユウリを探しに向かった。

 

 □

 

 

 オレンジたちが慌てている頃、その原因であるユウリは。

 

「ラビフット! ニトロチャージです!」

「ラビラビラビ、ラビフッ!」

「ああ!? マッギョ!?」

 

 鍛錬に励んでいた。

 マッギョを戦闘不能にしたことで、相手のトレーナーの手持ちはゼロ。所有バッチ2個の格の違いを見せつけた。

 負けた相手はマッギョをボールに戻すと、笑顔でユウリに近づいてきて。

 

「騒がれるだけあって、さすが強いね」

「ありがとうです。そっちのポケモンも強かったですよ」

 

 半分お世辞だ。相手を見下した発言は不興を買うから気を付けろとオレンジにきつく言い聞かされているのだ。

 そんな師匠の言いつけを現在進行形で破っているところなのだが。

 対戦相手が去るのを見送ったユウリは、問題なく勝利したことにホッと胸を撫で下ろす。

 

 やはりあの時は偶然調子が悪かっただけだ。師匠は心配性なのだ。このくらいバトルし続ければ、いつの間にか戻っている。

 そう、ユウリは自分に言い聞かせる。

 

 しかし、その顔は能天気な少女の顔ではない。苦悩と一人で戦う少女の顔だった。

 

「ラビフッ……」

 

 ラビフットは心配そうにユウリを見る。

 主人の様子がおかしいことにラビフットも気がついたのだ。しかし、ユウリは繕うような笑顔になり。

 

「心配いらねぇですよ、ラビフット。それよりも、ガンガンバトルして調子を戻して、師匠を驚かせてやるですよ!」

 

 またもユウリは自分に言い聞かせるように言う。

 心で蠢いている虫に食われないために、必死に自分を鼓舞する。

 無理をしているのが見え見えだ。

 ラビフットは止めるべきか悩む。いや、主人のために止めるべきなのだろう。しかし、主人の悩みの解決策もバトル以外に思いつかない。

 

「さあ、行こうです!」

「ラビフッ」

 

 黙って付いていくしかない現状に、ラビフットは歯痒さと自分の無力さを感じていた。

 

 

 □

 

 

 ユウリがだいぶ洞窟の奥の方まで来た頃。

 対戦相手を探しながら歩いていると、先の方から言い争う声が響いてきていた。

 好奇心が煽られたユウリは、声の方に歩いて行く。

 曲がり角に隠れながら様子を伺う。

 視線の先にはブブゼラを片手に道を塞ぐファンキーな見た目の男二人組と、それにうんざりとした表情を見せているモジャモジャ頭の少年が言い争っていた。

 

「いい加減にしてください! ぼくは急いでいるので、そこを通してください!」

「ぱっぱぱ! ことわーる! ジムチャレンジに参加しているトレーナーは、絶対に通してやらなーい」

「まっさか。こんなところであのビートに遭遇するっとわな」

「それと、その変な言葉遣いをやめてください! 耳障りです!」

「ことわーる(ことわっる)」

「ぐぬぬ……」

 

 言葉が通じない相手に、ビートは唇を噛む。

 こんな連中に時間を取られるのは嫌だが、これ以上押し問答を続けるのは面倒だ。と、判断したビートはボールを握り。

 

「ああもう! バトルです! バトルでぼくが勝ったらここを通してもらいますよ!」

「ほーう」

「さっすが、今ジムチャレンジトレーナーの中でNo. 1と名高いビート」

「しかし、いくーら強いトレーナーでも」

「エールで鍛えた我々のコンビネーションに勝てっるかな」

「なぜ、二人がかりでやる前提なんですか!?」

 

 もっともなツッコミだ。

 しかし、二人組は悪びれた様子もなく。

 

「ぱっぱぱ! 我々はタッグバトル専門!」

「二人のバトルしか受けなっい!」

「しかし、お前はルール上一体しかポケモンを出せなーい!」

「よって、我々が超有利!」

 

 要するにお前ボッチだから1対2なというわけだ。

 明らかにフェアじゃないバトル。正義の味方ガブリアスキッドを見て育ったユウリにとって、それは見過ごせない悪行だった。

 気がつくと隠れていた岩陰から飛び出して。

 

「ちょっと待ったああああ!」

「なーんだ!」

「何やっつ!」

「1人相手に2人がかりとか卑怯です! そんな悪い人たちは、このユウリが成敗してやるですよ!」

 

 ババーン!と背景に大きな太文字が出てきそうな勢いでユウリは決めポーズを決めた。

 まさに気分は悪党の前に現れたガブリアスキッドのようだった。

 しかし、とうの悪役はユウリの登場に嬉々とした表情を見せていた。

 

「ぱっぱぱ! まさーかビートだけでなく、ユウリまで現れるとはーな!」

「今注目されてっるトレーナーが揃い踏み! こいつらを妨害すれっば、マリィさんの応援になるぞ!」

「「テンション上がってきたああ!」」

「なんでヒーローが登場したのにテンション上がりやがってるですか!」

 

 狼狽るどころか気合が入ってしまった様子の2人組に、ユウリは不満そうに叫んだ。

 そして興奮のまま、ビートを見て。

 

「もじゃもじゃ、やるですよ! あいつらを血祭りにあげてやるです!」

「誰がもじゃもじゃですか! ぼくはビートです! というか、いきなり現れて、何なんですかあなたは!?」

「男のくせに細かいこと気にするなです! 行くですよ!」

「ぱっぱぱ! やるぞ相棒!」

「おうよう相棒!」

「エリートのぼくを無視して話を進めるなああああ!」

 

 いいえ、無視します。

 

「いーけ、フォクスライ!」

「いっけ、マッスグマ!」

「行くですよ、ラビフット!」

「ああもう! 行ってください、ユニラン!」

 

 怪しい男組はあくタイプのフォクスライとマッスグマ。エスパータイプのユニランを使うビートとの相性は悪い。

 

「まずはユニランからーだ! フォクスライ、バークアウト!」

「フォクス!」

 

 黒い波状のエネルギー体がユニランを襲う。

 

「ユニラン、まもる」

「ユニラ」

 

 しかし、ユニランを囲うように現れた緑色のバリアに阻まれる。

 

「そんな馬鹿正直な攻撃をぼくが通すわけがないでしょう」

「それじゃあ、これっはどうだ! マッスグマ、つじぎり!」

「マッスグァ!」

「ふっ、無駄です。ユニラン、まも……」

「ちょっと待ったああ! ラビフット、にどげりで防げです!」

「ラビフッ、ラビフッ!」

 

 死角からつじぎりを繰り出そうと向かってきていたマッスグマを、ラビフットはとっさににどげりでいなした。

 ただ、ビートは不満そうに眉をひそめていた。

 

「余計なことをしないでください。今程度の攻撃自分で防げます」

「まもるは使う毎に成功率が低くなる技です! 2回目は50%、その確率でこうかばつぐんの技を受けるのはリスクが高過ぎるですよ!」

「なぁ……」

 

 そんな理論的な指摘を受けると思っていなかったビートは目を見開かせて驚いた。

 

「あなたのこと、最初はただのアホかと思っていましたが、意外に考えているんですね」

「誰がアホだこら! です!」

 

 いきなり現れて、ヒーローごっこされれば誰でも痛い奴と思う。

 しかし、言葉の通りビートはユウリのことを少し見直していた。てっきり自分の邪魔しかしないと考えていたが、実力はなかなかなものだ。

 ビートは他のチャレンジャーの情報などは仕入れていない。自分が一番だと思っているし、実際ビートの実力はチャレンジャーの中でもずば抜けている。

 だが、ユウリの実力はその中でもだいぶマシな方にあるかもしれない。ならば、多少任せるのも悪くない。

 ビートはそう考えた。

 

「あなたの名前はユウリと言いましたね」

「そうですけど」

「一つ提案があります。おそらくあの2人のコンビネーションはなかなかのものです。それこそ即席ペアのぼくたちでは対抗することは難しいでしょう。そこで、あなたは好きに攻めなさい」

「好きにつっこんでもいいですか?」

「ええ。ぼくのユニランがサポートしてあげます。エリートのぼくがあなたに尽くしてあげるんです。無様な姿を晒したら許しませんよ」

「……ところどころ上から目線がムカつきますが、いいですよ。その話乗ってやるです」

 

 ユウリはニヤリと笑い。

 

「行くですよラビフット、ニトロチャージでつっこめです!」

「ラビラビラビ」

 

 炎を纏ったラビフットがフォクスライとマッスグマに向かっていく。

 

「ぱっぱぱ! そんな攻撃食らうわけないだーろ!」

「その通っり!」

 

 ポケモンたちが避けようとすると緑色の球体が2体に向かってきた。横に逃げようとすると横に、上に逃げようとすると上に移動してくる球体は逃げられないように囲っている檻のようだ。  

 

「なーんだあれは!?」

「ユニランのエナジーボールです。この手を使う時本当は3つほど出すのですが、あなた方ごとき一つで十分でしょう」

 

 ビートは見下すようないやらしい笑みを浮かべて煽る。

 実際一つで動けなくなっている自分たちのポケモンを見て、男達は唇を噛んだ。

 

「ラビフッッッ!」

「フォクスッッ!?」

「マッスグァ!?」

 

 そしてニトロチャージがまともにぶつかると、二体は後方に吹っ飛ばされた。

 

「大丈夫ーか、フォクスライ?」

「フォクス!」

「平気っか、マッスグマ!」

「マッスグァ!」

 

 二体は元気に返事をする。まだまだ余力があるようだ。

 

「たたみかけるですよ! ラビフット、フォクスライににどげりです!」

「ラビフッ」

「させるっか! マッスグマ、こわいかお!」

「マッスグァ!」

「ラビ……」

 

 ふいに出されたこわいかおにラビフットは一瞬攻撃するのを躊躇した。

 

「そこーだ! フォクスライ、かみつく!」

「フォクス!」

「ユニラン、援護を!」

「待つです!」

 

 ユウリの言葉に、ビートは指示をしようとしていた口を止めた。

 

「ラビフット、腕で受けろです!」

「ラビ……ラビフッ!」

 

 ラビフットは腕を出してかみつくを受けた。顔をしかめるが、ダメージはそこまででもない。

 

「そこです! ラビフット、にどげり!」

「ラビフッ、ラビフッ!」

「フォクスッッッッッ!?」

 

 こうかばつぐんだ。

 蹴りを受けたフォクスライは、引きずるように吹っ飛ばされる。追撃を加えようとするが、マッスグマが構えているのが見えたので深追いはやめた。そのおかげでマッスグマは、かろうじで立ち上がった。

 

「ぱっぱぱ! なーんだ今の! わざと技を受けやがった、汚ねぇぞ!」

「そうだ、そうだ! わざと技を受けるなんてポケモンがかわいそうじゃねっか!」

「ッ!」

 

 汚ねぇ、ポケモンがかわいそう、その言葉にユウリは心に針が刺されたようの痛みを覚えた。

 ルリナとのバトルが終わった時、殆どがユウリとルリナのバトルを称賛する歓声だった。しかし、少数はユウリがハスブレロを巻き込んでダイストリームを使ったことに罵声を浴びせていた。

 その時は少し気になった程度だった。

 しかし、後日自分のsnsに汚い言葉を並べる人間が何人か現れた。

 所詮一部の馬鹿が騒ぎたてているだけにすぎないのかもしれない。しかし、snsに送られてくるのは当人にとっては目の前で罵倒されているのと同じだ。

 ましてやユウリは精神的に未熟な子供だ。多感な時期に何の面識のない人間からそんな言葉を浴びせられれば傷つく。

 そして、その傷は自分のバトルを迷わせる。

 それがユウリの調子を崩していた正体だ。

 

 1人ならば、ここでユウリは自分を見失っていたかもしれない。

 しかし、ここはタッグバトル。1人ではない。

 

「馬鹿らしい」

 

 男たちが作った空気を一太刀で薙ぎ払うような鋭い声が聞こえてきた。 

 ユウリは声の方を見ると、ビートが汚いものを見るかのような目で男たちを見ていた。

 

「あなた達には彼女のラビフットの目が見えないのでしょうか? とても綺麗な目をしてますよ。ラビフットはバトルに勝ちたい、そのために彼女は打てる最善の手を打ったまでです。かわいそう? どこがですか。むしろ、打てる手を打たずに敗北させる方がポケモンにとって悲劇です。その程度でかわいそう等とぬかす覚悟でポケモントレーナーを名乗らないでほしいですね!」

 

 ビートは怒っていた。

 ポケモンを馬鹿にしている男たちに、そしてそれを聞いて迷っているユウリにも。

 

「あなたもあなたです! 何をあんな連中の言葉に惑わされているのですか! あなたが信じるべきなのはやつらじゃない、ポケモンのはずだ!」

「!!」

 

 ユウリは胸の痛みがすっと消えるのを感じた。

 そして顔をパンパンと叩いた。目にはもはや迷いはない。ポケモンを信じる固い意志が映っていた。

 

「ラビフットぉぉ! フォクスライにニトロチャージです!」

「ラビラビラビ」

「させるっか! マッスグマ!」

「こちらこそさせません! ユニラン、エナジーボール!」

「ユニラッ!」

「マッスグァ!?」

 

 ラビフットを妨害しようとしていたマッスグマに、エナジーボールが直撃した。

 

「ラビフッ!」

「フォクスッッッ!?」

 

 そして障害がなくなったことで、炎を纏った突進がフォクスライを直撃した。

 

「フォクス……」

「ああー、フォクスライ!?」

 

 体力が残り少なかったフォクスライは、目を回して倒れ込んだ。

 ユウリは攻めるのをやめない。

 

「ガンガン行くですよ! ラビフット、ニトロチャージ!」

「ラビラビラビ、ラビフッ!」

「マッスグマ、つじぎりで迎えうって!」

「エリートのぼくが何度も言っているのに学習しない人達ですね。ユニラン、ラビフットの前に出てまもる」

「ユニラッ」

 

 ニトロチャージを迎えうとうと、爪を黒く光らせて走ってきたマッスグマの前にユニランが立ち塞がった。

 爪はあっさり緑色の障壁に阻まれる。

 その後ろからラビフットが出てきて、アッパーのように下からニトロチャージを直撃させた。

 

「マッスグァァァァ!?」

「とどめのにどげりです!」

「ラビフッ、ラビフッ!」

「マッスグァッッッッッ!?」

 

 吹っ飛ばされて体勢が崩されたところに、4倍威力のにどげりが叩き込まれた。

 地面に直撃すると、土煙が舞う。

 

「マッスグァ……」

 

 煙が晴れると地面にめり込まされたマッスグマは、目を回していた。

 

 

 □

 

 

 バトルが終わると男達は覚えてろよ〜! とテンプレ的な捨て台詞を吐いて逃げて行った。

 ユウリはラビフットをボールに戻すと、同じくユニランをボールに戻していたビートに。

 

「さっきはありがとうです」

「……何の話ですか?」

 

 怪訝な顔で聞き返してくる。声のトーンなどから判断して、本当に何を感謝されているのか分からないようだ。

 

「照れるなですよ。さっき、あいつらの言葉に怒ってくれたじゃないですか」

「……ああ、あれですか。別にあなたのために言ったわけじゃない。エリートであるぼくが認めたポケモンを馬鹿にしたのが気に食わなかっただけです」

「それでも、あの言葉すごく嬉しかったです。だから、ありがとうです!」

「っ!」

 

 ユウリの笑顔にビートは顔をしかめる。けして怒っているわけではない。

 

「……なんなんですかね。最近身体の調子がおかしい」

 

 ボソボソと自分に報告するように言った言葉は、ユウリには聞こえていなかった。

 

 そんな時、奥の方からユウリの名前を呼ぶ声が聞こえてきた。

 聞き覚えのある声に、ユウリは顔を輝かせて。

 

「あ、師匠! 私はこっちですよお!」

 

 モヤモヤしていたものから吹っ切れたことで上機嫌になっていたユウリは、自分が今どういう状況にいるかも忘れて、嬉々とした声でオレンジに呼びかけた。

 歩いてきたオレンジは笑顔だった。それはもういい笑顔であった。目は笑っていないが。

 

「師匠〜」

 

 しかし、節穴になっていたユウリはそれに気がつかず犬のように駆け寄ってしまう。

 ユウリはオレンジに抱きつく。

 オレンジは、ユウリのほっぺたを摘む。

 

「へ?」

「こんの馬鹿弟子がああああ!」

「いひゃいいひゃいいひゃいいひゃいいひゃいいひゃい!?」

「勝手にいなくなって、散々探させて、どれだけ心配したと思ってるんですかあ!」

「ごべんなさい、ごべんなさい!」

 

 一頻り、お仕置きと説教をくらわせたオレンジはようやく落ち着いたようで、頬から手を離した。

 ユウリはジンジン痛む頬をおさえながら泣いていた。

 落ち着いたオレンジはようやく、近くにいたビートに気がついた。

 

「おや、ビートじゃないですか。食事会の時以来ですね」

「え、ええ」

「どうしてこんなところに? というか、なぜユウリと一緒にいたんですか?」

「まあ、かくかくしかじかということがあって」

 

 ビートは状況を説明した。

 

「なるほど、怪しい二人組に」

「ええ。そこでぼくとユウリでそいつらを撃退したということです。……それで、ユウリはオレンジさんの何なんですか? とても親しいようですが」

「ああ、弟子です。一応」

「弟子……なるほど、どうりで」

 

 アホなわりに、時々理論的なことを言ってくるから、誰かの教えを受けているとは予想していた。まさか、オレンジとは。

 ビートは自分が負かされた男の弟子に興味が湧いた。

 

「ユウリ」

「うっう……なんですか?」

「ぼくとポケモンバトルをしてください」

 

 

 

 

 

 




 次回、ユウリ(アホの子)vsビート(グリーン化進行中)

 
 Q.休みの日は何をしますか(バトル以外で)

橙「スイーツ巡り、読書(小説)、映画鑑賞(主にホラー)。あと、近所の子供達と遊んでます。川遊びやボール遊びなどをよくやってますね」

 

見たいのは?

  • オレンジがアニメ世界に迷い込んだら
  • オレンジがポケスペ世界に迷い込んだら
  • オレンジが女の子だったら
  • オレンジの日常
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