トラブルホイホイな男が、ガラル地方に行くようですよ 作:サンダー@雷
今まで、こんなにも主人公がバトルしないポケモン小説があっただろうか?
「ユウリ、ぼくとバトルしてください」
「いいですよ」
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※ここからは解説=『』、トレーナー「」で進行します。
『さあ突然始まりましたバトル生放送。解説は通りすがりの研究者XとYでお送りします』
『え? 何これいきなり始まってるんだけど!?』
『どうしましたYさん? 生放送中ですよ、静かにしてください』
戸惑うソニアに私は有無を言わさずに用意したヘッドフォンをつけさせた。
『これからユウリとビートの戦いが始まりますが、Yさんはどこに注目していますか?』
話をふると、もう断れないと判断したのかソニアはため息をついて私の質問に応え始める。
『そうね、ユウリは接近戦が得意だから、どれだけ自分のテリトリーで戦えるかどうかが勝利の鍵じゃない。でもユウリは最近調子が悪いから、そこが心配点かなぁ』
『なるほど。では、対戦相手のビートはどうですか?』
『うーん。私ビートくんのバトルはよく分からないけど、今ジムチャレンジャーの中で一番強いって言われてるんでしょ? なら、やっぱり強いんじゃないかなぁ?』
ソニアは頬に人差し指を当てながら、自信なさげに言う。
『なるほど。私の見解では両者の実力に大きな差はないでしょう。そこでこのバトルの勝敗を分けるのは、自分の強みを活かせるかどうかですね』
『へぇー。その強みって何?』
『そうですね。ユウリのバトルを例えるなら、電光石火。すべてとはいきませんが、どちらかと言うとすばやい攻めが得意なポケモンが多いです。逆にビートのバトルを例えるなら変幻自在。エスパータイプらしい遠近どちらにも対応できる対応力のあるスタイルですね』
このスタイルは相当センスがなければ使いこなせない。ビートは口だけではなく、実際天才だ。勝つのはなかなか難しいだろう。
しかし、センスならユウリも負けてない。どちらが勝つかは流れ次第だろう。
視聴者数を見ると1万人を超していた。
『ええっ!? 視聴者1万人越えって……ジム戦並みの数じゃない』
『それだけ2人に注目するトレーナーが多いと言うことですね』
コメント欄を見てみると、前告知なしの好カードに驚きとリアルタイムで視聴できた喜びの声が多く見れた。
一部はビートの悪口だったり、ユウリの悪口を書いていたらしているが。
アンチというものか。人気になるとくだらない人間がわくものだ。
こういうのは反応すると調子に乗るから、無視しておくにかぎる。
ソニアと私が雑談で場を繋いでいると、2人は準備ができたのかボールを構えた。
「バトルは1対1のシングルバトルでいいですね?」
「オッケーです」
「それでは始めましょう。いきなさい、ユニラン!」
「ユニラ!」
「行くですよ、ホルビー!」
「ホルッビ!」
ビートはユニラン、ユウリはホルビー。タイプ相性的には互角だ。
さっそくユウリが仕掛けにいく。
「先手必勝です! ホルビー、マッドショット!」
「ホルッビ、ビッ!」
3つの泥玉がものすごい速度でユニランに向かって行く。
「甘いですね。ユニラン、ねんりきで逸らしなさい」
「ユニラ」
しかし、ユニランのねんりきで泥玉は軌道を逸らされて壁にぶつかった。
この辺りのクレバーさがビートの強みだ。普段から不遜な発言が目立つがバトルに関しては客観視できている。
今のもねんりきのパワーを考慮して押し返すのではなく、より力が少なくて良い逸らす方を選んだのだ。
だが、ユウリも馬鹿じゃない(バトルに関しては)。そんな動きは想定内だ。
その証拠にホルビーの姿がフィールドから消えた。
『え!? どういうこと? ホルビーはどこに行ったの?』
『落ち着いてください。ほら、フィールドを見てください』
私が指さした先にはぽっかりホルビーが通れるくらいの穴が空いていた。
要するにユウリはマッドショットをかわされるのを逆手にとったのだ。ねんりきを使う以上、ポケモンとそのトレーナーの意識は一瞬泥玉に向く。その間にあなをほるを使わせることで、相手に気がつかせることなく地面に隠れたのだ。
ビートはその作戦に気がつかず、キョロキョロとホルビーの姿を探す。
その時、ユニランの背後の地面が隆起した。
「やれですホルビー!」
「ホルッビ!」
「ユニラン、まもるです!」
「ユニラ」
完全に死角をついていたものの、ホルビーの攻撃はギリギリのところで緑色の壁に阻まれた。
ユウリは悔しそうに唇を噛んだ。
対するビートは驚いたように。
「今の攻撃はヒヤリとしました。やはりあなたは、ジムチャレンジャーの中でもトップクラスの実力者ですね」
「え? そ、そうですか? 褒められるのは、素直に嬉しいです」
テヘヘと照れ臭そうに頭をかくユウリ。当たり前だ、私が教えているのだ。有象無象ごときと互角では困る。
「まあ、エリートのぼくにはまだまだ敵いませんけど。ユニラン、エナジーボールでホルビーを囲いなさい!」
「ユニラ!」
「ホルビ……」
3つの緑色のエネルギーボールがホルビーを囲うように回っている。
何がなんだか分からないホルビーは戸惑うようにその場で立ちすくす。
「ホルビー、気をつけろです! その球は相手の動きに合わせて追尾してくるです!
「ホルッビ」
「無理ですよ。その檻からはけして抜け出せません。ユニラン、そのままホルビーにぶつけなさい」
「ユニラッ!」
「ホルッビッッ!?」
囲っていた球が一斉にホルビーを襲った。ホルビーは避けることができずに直撃してしまう。
飛ばされているところに、ビートは畳みかけようとする。
「追撃です! ユニラン、エナジーボール!」
「ユニラ!」
「ホルビー、かわらわりです!」
「ホルッビィィィィ……ホルッビ!」
ホルビーは耳をブレーキ代わりに使って、なんとか体勢を立て直して球を割った。
直撃していれば戦闘不能もあり得た攻撃をなんとか回避して、ソニアは大きく息を吐く。
『危なかった……』
『今のところバトルは完全にビートのペースですね。ユウリは、なかなか流れを渡してもらえていませんから』
『特にあのエナジーボールとまもるが厄介よね……。あの2つをなんとかしないと、攻めることもままならないし』
『それもありますが、何よりビートの落ち着きがすごいです。ユウリとしてはどうにか乱戦に持ち込みたいはずなのに、ビートは常に冷静に最善手を打ってきています。こうなるとユウリは苦しいですね』
私に負けた時はまだまだ子供っぽさがバトルに現れていたが、成長したものだ。
「さあ、決めますよ! ユニラン、エナジーボール!」
「ユニラ!」
再度3つの緑色の球がホルビーを囲うために向かってくる。
「ホルビー、囲われる前に逃げろです」
「無駄ですよ」
ユウリもなんとか回避させようとするが、穴を縫うように逃げるルートを消されていき、またも閉じ込められてしまった。
飛んで避けようにも狙い撃ちにされるし、地面に逃げようにも逃げる前に打たれるのがオチだ。
八方塞がりの状況にユウリは頭を抱える。
ビートの戦法は素晴らしいものだ。少なくともあのエナジーボールの使い方は、子供が使いこなせるものではない。
しかし、私に言わせればあの戦法には大きな弱点が1つある。
ユウリは難しく考えすぎている。もっとシンプルに考えれば、対処法など簡単に分かるのだ。
「決めろユニラン!」
「ユニラ!」
また、3方向から球が向かってくる。
「あああもう、どうすればいいかわっかんねぇです! ホルビー、かわらわりで全部叩き割れです!」
「ホルッビ、ィ、ィィ!」
ユウリはやけくそ気味にそれができれば苦労しないという暴論的な指示を出したが、なんと球はホルビーによってすべて叩き割られた。
「くっ……」
「な、何が起こったですか!?」
ビートは絶好機を逃して唇を噛んだが、ユウリはいまだに何が起きたか理解できていないようだ。
「ホルッビ!」
そんなユウリにホルビーは大きなボールと小さなボールのジェスチャーをして見せている。
『ホルビーは何をしているの?』
『おそらく、ユウリにあのエナジーボールの弱点を伝えようとしているのでしょう』
『弱点って?』
『例えば1つの大きなケーキを3人で分けたら、1人1つケーキが行き渡りますね。しかし、そのケーキの量は分けるので減っています。これと同じで、あの技は1つのエナジーボールを3つにエネルギーを分けることで出しているから、1つ1つはさほど強力ではないんです。それこそ、1つのエナジーボールですら叩き落とせるホルビーなら、3つとも叩き落とすことも可能と言うことです』
『てことは、あれこれ考えるんじゃなくて、最初から真向勝負してればよかったんだ』
『その通り。ただし、同時に3方向から向かってくるものを叩き落とすのは至難の技ですから。この放送を見ている方は、自分でも簡単に出来ると自惚れてはいけませんよ。今回のホルビーは裏付けされた実力があってこその打ち破り方です』
コメントでなんだよ大したことないじゃんという発言が目立ったから、私は釘を刺すように言った。言論は自由だが、言うからには匿名であろうと責任を持て。
そしてユウリはホルビーの言いたいことに気がついたのか、ニヤリと口元を緩めた。
「なるほど。……ふっふっふ、破り方が分かればもう怖くねぇですよ! ホルビー、つっこめです!」
「ホルッビ」
「ちっ、エナジーボールの包囲網を攻略したぐらいで得意げにならないでほしいですね。ユニラン、ねんりき」
「マッドショットで相殺しろです!」
「ホルッビ、ィ、ィ!」
ユニランのサイコパワーは泥玉とぶつかり相殺された。よってホルビーは止まらない。
「かわらわり!」
「ホルッビ!」
「まもる!」
「ユニラ」
ホルビーの攻撃は緑色の障壁に阻まれたが。
「連続でかわらわり!」
「ホルッビ、ホルッビ、ホルッビ!」
「ぐっ……!」
連続のかわらわりを受け続ける障壁はだんだんとひび割れていく。
「ラストぉ!」
「ホルッビィィィィ!」
「ユニラッッッ!?」
最後の渾身のかわらわりは、障壁を粉砕してユニランに直撃した。
「追撃ですよ! マッドショット!」
「ホルッビ、ィ、ィィ!」
「ぐっ、ねんりきで逸らしなさい!」
「ユニラ!」
体勢を立て直したユニランは、最初と同じように泥玉を壁に誘導した。
そしてまたもホルビーの姿が見えなくなった。ビートの脳裏に最初のあなをほるの光景が映る。
しかし、それはすぐに間違いだと気がつく。
「違う、上だユニラン!」
「もう遅ぇですよ! ホルビー、かわらわり!」
「ホルッビィィィィ!」
「ユニラッッッ!?」
まもるを発動する暇もなくユニランに攻撃が直撃した。
『今のはユウリの作戦勝ちですね。最初見せた手と同じ状況を作り出すことで、ビートの反応を一歩遅らせました』
『さすがのビートくんでも、あの咄嗟でまもるの指示はできないものね』
『その通りです』
簡単に解説していると、バトルは佳境を迎えていた。
「とどめです! ホルビー、とっしんです!」
「ホルゥゥ」
「やむをえないか。ユニラン、がむしゃら!」
「ユニラァァァ!」
……どうやら、勝負ありのようですね。
ホルビーのとっしんが直撃すると、ユニランは壁に叩きつけられて目を回した。
そして、同じくホルビーも目を回して静かに倒れ込んだ。
双方戦闘不能、引き分けだ。
「な、何でホルビーも倒れたですか!?」
何が起きたか理解できていないユウリに、私はマイクの設定を変えユウリにも声が届くようにして。
『あなたが使わせたとっしんのせいですよ。とっしんは、自分にも反動ダメージがある技ですから、ホルビーはその反動が原因で戦闘不能になったんです』
「そのくらい知ってるです! だから、そこもちゃんと計算してとっしんを指示したですよ!」
『削られたんですよ。最後、ビートが指示した技はがむしゃら。その技は自分の体力に応じて、相手の体力を削る技です。ビートはユニランの体力が残り少ないことを察知して、あなたのホルビーが反動で倒れることを狙ったんですよ』
「そ、そんな……」
『とっしんではなくて、マッドショットを使っておけば安全に勝てたんです。ライブ放送だからって、見栄えを気にして派手に決めようとしたんしょう? 自業自得です』
ズシャリ、ズシャリとユウリの胸に言葉の槍が刺さる音が聞こえる。
私はマイクの設定を戻して。
『それでは皆さん。バトルをする時は常に冷静にすることを心がけましょう。調子に乗ると、あそこのアホのように勝ち試合を落とすことになりますから。そう言うわけで、今日のライブ放送はここまで。解説は、通りすがりの研究者Xと』
『Yでお送りしました』
『次回があるかは知りませんが、またお会いできる機会がありましたら会いましょう。さようなら』
こうして、ライブ放送は幕を閉じた。
□
バトル後。
ビートがユウリに向かって歩いてきて。
「今日のバトルはぼくの負けです」
「え、でも引き分けじゃ……」
ビートの言葉に、ソニアが口を挟む。
しかし、ビートは悔しそうに首を振って。
「あのがむしゃらは半分苦し紛れの手で、結果はユウリのミスに助けられただけです。あんなもの敗北以外の何物でもない」
「お断りです。私だって、あんなの勝利だなんて認めたくねぇです」
ぷいと頬を膨らませて、ふてくされたように言う。
言っていることは同じなのに、なんだろうこの差は。まるで大人と子供だ。
なんとも不毛な争いに、私はため息をついて。
「それでは次バトルした時に勝利した方が本当の勝者ということでいいのでは?」
私がそう言うとユウリは
「なるほどです! 私だって、あんな結果不完全燃焼ですから、次に絶対に決着つけてやるです!
「エリートとしてぼくも負けたままでは終われません。次バトルする時に絶対に決着をつけます」
「負けねぇですよ、もじゃもじゃ!」
「ビートです!」
ビートはユウリに怒鳴ってから、身を翻して出口の方に歩き出す。
「あ、ビート。少し待ってください」
私の呼びかけにビートは足を止めた。
「何ですか?」
「大したことではありません。これげんきのかけらとすごいきずぐすり、ユニランに使ってください」
「……ありがとうございます」
一瞬躊躇ったが、ユニランのことを考えて素直に受け取ることにしたようだ。
「要件はこれだけですか?」
「あ、それではもう一つ。……いいバトルでしたよ、ビート。あの時からだいぶ成長しましたね」
私の言葉にビートは目を見開かせた。そして我にかえると、顔を紅潮させて。
「ふん。べ、別にあなたに褒められても嬉しくありません!」
つれないことを言いながら、早足で去っていった。
ふむ怒られてしまった。子供心はなかなか難しいな。
後ろでユウリが、ソニアにバトルの時の心情を説明している声が聞こえて来る。
あ、そういえば忘れるところだった。
「ユウリ、あなたこの後特訓メニューですからね」
「はぁ!? なんでですか!?」
「あんなアホなミスで引き分けたことと、私たちに心配をかけた分ですよ。たっぷりいじめてあげますから、覚悟してくださいね」
「そ、そんなぁぁぁぁ〜!?」
ユウリの悲痛な叫びが洞窟内に響き渡った。
Q.料理はできる?
橙「旅生活が長いので、簡単なものなら作れますよ。カントーを旅している時は外食中心でしたが、お金に余裕がなくなったジョウトとホウエン時代は大体自炊していました。ちなみに今もしていますよ。ソニアと交代で作ってます」
Q.ソニアの料理はおいしい?
橙「カレーは美味しいですよ。……カレーは」
見たいのは?
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オレンジがアニメ世界に迷い込んだら
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オレンジがポケスペ世界に迷い込んだら
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オレンジが女の子だったら
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オレンジの日常