トラブルホイホイな男が、ガラル地方に行くようですよ   作:サンダー@雷

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 撮影部分はカットしようかと思ってたんですが、ちょっと面白くなって書いちゃいました。
 軽い感じでどうぞ。


ナックルシティ〜映画撮影〜

 

 色々なことがあった翌日、朝食での席のこと。

 ユウリは寝ぼけ気味にブレッドをかじり、ソニアはスープをすすっている。

 そんないつもの日常を過ごす中、私はゼリーを口に運びながら。

 

「今日は映画の撮影現場に行きますよ」

 

 そう言った途端、ユウリは寝ぼけた瞳をかっぴらき、ソニアはスープを吹き出した。

 

「ゲホゲホ......急に何言いだすのよオレンジ!?」

「映画の撮影ってどういうことですか!?」

「まあまあ落ち着いてください二人とも、きちんと説明しますから」

 

 ずいっと乗り出してくる二人をいさめる。

 

「今日、ナックルシティでポケウッドの撮影があるんです。その現場を見学しないかと誘われたので、いい機会かと思ったんで行こうかなと」

 

 本当はメイの奴に撮影現場に来てくださいという建前で、来なかったら分かってるんだろうな? という実質脅しに近いものを受けたので、渋々だ。

 そして、二人が強制なのは一人だと何をされるのか分からないので、保険としてだ。

 昨日のことを聞いていないユウリは首を傾げながら。

 

「誘われたって誰にですか?」

「主演女優のメイですよ」

「ええええええええええええ!?」

 

 メイの名前を出した途端、耳につんざくような悲鳴をあげる。

 この反応からして、ユウリはメイのことを知っているようだ。まあ、地方は違えど彼女の知名度から言えばおかしな話でもないか。

 私は惚けたように。

 

「ユウリはメイを知っているんですね」

「そりゃ知ってるですよ! メイって言ったら、めちゃくちゃ人気な女優じゃねえですか! ガブリアスキッドのヒロイン役(イッシュ版)に、ポケンジャースシリーズのユキメノコ少女、○○2(ボール、ボールツー)の主演等々、最近の殆どの話題作に主要な役で出てる人ですよ!?」

「く、詳しいわね......」

「ユウリって結構ミーハーですよね」

 

 私たちの言葉を気にせずに、ユウリは爛々とした瞳で。

 

「何で師匠とメイが知り合いなんですか!?」

「昔、イッシュで一緒に旅をしている時期があるんですよ」

「なるほど......あ、もしかして、ガブリアスが映画に出たのもその時ですか?」

「その通りです」

 

 ついでに私も出演させられた。絶対に言わないが。

 

「そういえばソニアさんは驚かないですね?」

「あ、うん。私は昨日すでに話してるから」

「えー! 聞いてないですよー! ずるいですぅ、何で私も誘ってくれなかったんですかぁ!」

「だから今日連れて行ってあげるんですよ」

「あ、そっか」

 

 アホの子は納得したようだ。

 ソニアは胡散臭い人間を見るように。

 

「さらっと私の選択肢もなくしたわね」

「はて、何のことだか」

 

 ソニアはジト目で見てくる。

 ユウリがくる以上、保護者役のソニアが付いてこないわけにはいかない、なんて打算はしていない。

 嘘じゃないよ、ほんとだよ(棒)。

 ピュッピュッと口笛を吹いていると、ソニアは諦めたのかため息をついて。

 

「……はあ。まあ、私も興味あるからいいけどね」

 

 渋々納得してくれた。

 

 

 □

 

 

 私たちはナックルシティ郊外にある映画スタジオに来ていた。

 現場ではスタッフが精力的に撮影準備を進めて、スポンサーらしきスーツの男たちが和やかに談笑し、監督の怒鳴り声などが聞こえてくる。

 日常とは隔絶された世界、独特な緊張感に包まれた場所にソニアとユウリは顔を強張らせている。

 明らかな部外者の私たちに、スタッフは訝しんだ視線を向けてくる。

 ソニアは不安そうに私に耳打ちしてくる。

 

「ねえ、オレンジ。本当に入って大丈夫なの? あんまり歓迎されてるように見えないんだけど......」

「されてないでしょうね~。ただでさえ主演であるメイのスケジュールが三日しか取れず、撮影スケジュールがかなりタイトですから。私たちの相手なんてしてられないでしょう」

「そこまで分かっててよく来たわね」

「半分脅しですよ。だから一人で来たくなかったんです」

「私たちは巻き添えにされたわけね......」

「まあ、招待については本当ですから」

 

 きょろきょろと私はとある人を探す。

 すると奥の方からスーパーサイヤ人風の髪型の青年が走ってきた。彼が私が探していた人間だ。

 

「遅れてすまんオレンジ」

「気にしてませんよ。私も少し早く来てしまいましたし」

「この人は?」

「彼はヒュウ。メイのマネージャーです」

 

 そして、メイの気まぐれに振り回される被害者でもある。

 

「ヒュウ、こちらが今私と一緒に旅をしているソニアとユウリです」

「初めまして。メイのマネージャーをしていますヒュウです。今日はあのバカの我儘に付き合わせて申し訳ありません」

「いや全然、全然! 私たちも貴重な体験だと思うので、とても嬉しいです」

「です」

 

 いきなり頭を下げられて面を喰らったのか、ソニアは慌てて返す。人見知りなユウリは静かに頷いた。

 ヒュウは表情を崩さずに、だがほっとした様子で。

 

「それはよかったです。では、こちらへどうぞ」

 

 ヒュウは奥に案内してくれた。

 控室に通されると、中にはメイクを終えたメイが台本をチェックしていた。メイは私たちが来たのを確認すると、笑顔になり。

 

「おっはようオレンジさん! ちゃんと来てくれたんだね~嬉しい」

 

 脅した記憶は彼方に放り投げたようだ。

 まあ、彼女に常識を求めるのは間違っているだろう。

 

「どうも、こんにちは」

「ソニアさんも昨日ぶり」

「ええ、昨日ぶり」

「それで、こっちが一緒に旅をしているユウリです」

「ふーん」

 

 興味なさそうにユウリを見る。

 

「あわわわわわわわわわわ......本物のメイさんです......」

 

 ユウリは本物の人気女優が目の前にいる現実がまだ受け入れられていないようだ。

 そんなユウリがメイは面白く見えたのか笑顔で近づいて。

 

「もしかして、あなた私のファン?」

「は、はい! ガブリアスキッドのヒロイン役からずっと応援してましゅ......あうあうあうあうあう」

 

 緊張からか、がっつり噛んだユウリは顔を真っ赤にして俯いた。

 だが、それが刺さったのかメイは顔をキューンとさせていた。

 

「きゃああ、可愛い! 何この子めっちゃ可愛い!」

「おぶっ」

 

 メイはユウリに抱き着いた。

 

「ねえ、ヒュウ兄! この子イッシュに持って帰りたいんだけど!?」

「バカ言うな! そんなことできるか!?」

「えー、ケチ」

「ケチとかの問題じゃねえだろ!?」

「むー不自由な生活はさせないのし、しっかりお世話するのに......」

「ペットじゃねえんだから......」

 

 ヒュウは呆れてしまった。

 それよりも......。

 

「あのメイ。さっきからユウリがタップしているのですが、もしかしてあなたの胸で窒息していませんか?」

「え? うそ!?」

 

 開放すると、ユウリは目を✖にして顔を真っ赤にしていた。

 

「大丈夫ユウリ!?」

「柔らかいマシュマロに包まれて......まるで天国のようでした......」

 

 本当に天国に行きかねない様子でユウリはフラフラとしている。

 

「あう……」

「あぶない!?」

 

 ソニアの叫びが響く。

 ユウリは足元をおぼつかない様子で倒れそうになるが、運よく壁に寄りかかり倒れることはなかった。

 

「うーん? この壁なんか柔らかいような......? あとちょっと暖かい」

「......悪かったわね、壁で」

 

 絶対零度の冷たい声が控室に染みわたる。

 そうユウリが突っ込んだのは貧乳さん、もといナツメの胸だった。

 今にもユウリを殺しかねないナツメの雰囲気に、ソニアとヒュウは慌てだす。

 

「ぶっ、ははははははははははは!」

「無理、笑いすぎてお腹痛い......」

 

 もっとも私とメイは面白すぎて吹き出してしまった。するとナツメは殺意がこもった瞳でこちらを見てきて。

 

「ちょっとそこの二人表に来なさい。殺してあげるわ」

「「だが断る」」

「なるほど戦争ね!」

 

 その後ブチ切れたナツメがバトルを仕掛けてきた。

 

 

 □

 

 

「----すんだ!」

「----ねえだろ!」

 

 何だか外が騒がしい。外に出てみると、スタッフがあわただしくなっていた。

 

「何かあったんでしょうか?」

「あんた達が暴れてるからじゃない?」

「その程度で今更ポケウッドのスタッフが慌てたりしませんよ」

「ナツメさんがキレて暴れるなんていつものことですもんね~」

「キレさせてるのはあなたたちじゃないっっ!」

 

 ポケモンバトル第二次が始まりそうになったが、勢いよくスタッフが入ってきたからか止めた。そして所々ボロボロになった控室を見向きもせずに、スタッフはヒュウに近づいていく。

 

「ヒュウさん。実は......」

「本当ですか!?」

 

 彼が驚くとは相当やばいことが起きたらしい。

 

「何があったんですか?」

「どうやら、敵役の俳優が熱を出して倒れたらしい。元々体調がわるかったのを隠してたようだ。......ちっ、馬鹿が。病気なら来るな」

「ちょっとそういう言い方はないんじゃ? 体調悪くても頑張ってたのに......」

「メイや他の役者にうつりでもしたらどうする? プロならば体調管理も含めて責任を取るべきだ。無責任なことを言うな」

 

 ヒュウの鋭い瞳に、ソニアはひっと身を震わせる。

 ソニアの意見も理解できるが、感染力の高い病気の場合スタッフ・役者に広がる危険性を考えればヒュウの意見の方が正しい。

 とはいえ、今はいがみ合っている場合ではない。

 

「ヒュウ落ち着いてください。今は口論をしている場合ではないでしょう」

「......そうだな。すまない、少し感情的になった」

「あ、いいえ。私も事情も知らずに適当なこと言ってごめんなさい」

「いいのいいの、気にしないで。ヒュウ兄ってば、最近忙しくてちょっとピリピリしてるだけだから~」

「誰のせいだ誰の! お前が我儘言ったせいでスケジュールがかつかつになってるんだろうが!?」

 

 ガラルに来るために相当苦労したんだろうなぁ......。ヒュウの不憫さに同情した。

 メイのせいでまた気を荒らしたヒュウに、スタッフはびくびくしながら。

 

「そのどうしましょう? 彼の代わりの俳優がすぐに用意できないのですが、ヒュウさん誰か心当たりはありませんか?」

 

 無茶言うな。ヒュウの人脈なら代わりの俳優はいくらでもいるだろうが、今すぐガラルに連れてこれるはずがない。手続きも間に合わない。

 

「......一人心当たりがあります」

 

 ほう、まさかいるのか。かなり条件が厳しいはずだが......嫌な予感がするな。

 と、考えていたらなぜかヒュウは私の方をみて。

 

「オレンジ、代役を頼めるか?」

「ええ!? オレンジが代役!?」

「いくら師匠でも無理ですよ!?」

「......はあ、名前は出さないでいただけるんですよね?」

「問題ない。顔はマスクをしてるから映らないし、声も後で吹き替えで何とかする。もちろん名前も出さない」

 

 相変わらず都合のいい設備だな。

 

「ちょっと、オレンジ大丈夫なの?」

「仕方ないでしょう。役者の知識はあるので素人に毛が生えた程度のものにはできるでしょう」

 

 やれやれ、最後に演じたのは2年前か? ブランクがかなりあるな。

 心配そうに見てくるソニアとユウリに私は笑みを作り。

 

「大丈夫ですよ。要するに私の役目はスタントマンのようなものですから。身体能力が取り柄の私にとっては朝飯前ですって」

「......無理はしないでよ」

「けがには気を付けてください」

「はい。頑張ります」

 

 準備のためにスタッフに案内されてメイク室に向かった。

 

 

 □

 

 

 渡された台本を確認する。時間はほとんどなく、リハーサルをする時間もないらしい。本当にタイトだな。

 今回の物語は代々サーナイトをパートナーにしている貴族と、そこと対立しているエルレイドをパートナーにしている貴族の子供たちが禁断の恋をするという内容だ。

 メイの役は許婚がいるサーナイト家の令嬢で、ナツメの役は家の事情で女装を余儀なくされているエルレイド家の令嬢? だ。

 そして私の役は、そのメイが演じる令嬢の許婚であるワルビアル公爵だ。令嬢のことを深く愛し、狂気とも思える愛情を見せる。性格はとても自己中心的で、前に倒した貴族(笑)に近い人種だろう。

 駆け落ちする二人を捕まえるために何度も二人の前に立ち塞がる役なので、物語の中でとても重要な役目だ。よってアクションもセリフ量も多い。

 

 気を引き締めよう。私はメイ(令嬢)を深く愛している公爵で、自己中なくそ男を演じるのだ。

 

 スタッフの本番入りま~すという声が聞こえ、私は静かに立ちあがった。

 

 

 □

 

 

「はっはっはっ……」

 

 サーナイト娘はスカートの裾をたくし上げながら、暗いレンガ道を走る。それは光を求めて、闇から逃げるために。

 靴は壊れ、足は汚れ、服もボロボロだ。しかし、愛する人と一緒にいたい、ただその一心で娘は駆けていく。

 だが、そんな娘の前に壁が立ちはだかった。

 

「おやおやサーナイト娘殿。こんな夜更けにどこに行かれるので?」

 

 娘は絶望した。あの趣味の悪い仮面とシルクハット、そしてキザッたらしい喋り方。自分の婚約者であるワルビアル公爵だ。

 

「そこをどいて! あたしはもうこの家を捨てる! そして本当に愛する人と一緒になるの!」

 

 あと少し、あと少しなのに! という苛立ちが言葉に乗り移る。

 だが、そんな娘の言葉など子供の癇癪程度にしか感じていないのか、公爵は愉快そうに笑みを浮かべ。

 

「それは出来ませんな。あなた様は私の婚約者だ。あんな出来損ないにくれてやるわけがないでしょう」

「エルレイド様を出来損ない扱いしないで!」

「やれやれ、じゃじゃ馬なお姫様だ。あなた様は見た目は美しいのに、その粗暴な点が傷ですなぁ。私と結婚した暁には、私自身が矯正してあげましょう」

 

 さも自分の正しさを当然のように押し付けてくる公爵に、娘は顔を歪める。

 

「やれるものならやってみなさい! あたしはあんたみたいなダッサい服装の男なんてなんか愛してない! あたしが愛してるのはエルレイド様だけよ!」

「……あまり調子に乗るなよクソガキがぁ! やれ、ワルビアル!」

「ワルッビ!」

 

 公爵は激昂した様子でワルビアルを繰り出した。

 

「お願い、サーナイト!」

「サー」

 

 娘はサーナイトを繰り出す。タイプはフェアリータイプを持つサーナイトが一つ有利と言える。

 だが、公爵はバトルの腕は国一番という評価を受けている。対して令嬢は一対一のバトルは不得意だ。

 

「ワルビアル、ストーンエッジだ!」

「ワルッビ!」

「サーナイト、サイコキネシスで跳ね返して!」

「サー!」

 

 サーナイトに向かって飛んでくる鋭い岩の破片は、空中で青いエネルギーに包まれると、ワルビアルの元に戻って行った。

 地面に落ちる岩が砂煙を起こし視界を遮る。

 

「今よ、サーナイト! テレポートで逃げるわよ!」

「サー! ……サー!?」

 

 テレポートで逃げようとするが、なぜかテレポートを使うことができなかった。

 

「嘘!? 何でテレポートが使えないの!?」

「はっはっは! 甘い、甘いですぞサーナイト娘! あなた様がテレポートを使用することなど、お見通しだ!」

「ワルビッ」 

「そうか、ちょうはつね!」

「ご名答」

 

 ちょうはつは使われると一定時間ダメージを与える技しか使えなくなる。そのせいでテレポートが使えなくなっていたのだ。

 

「くっ!」

 

 ならば足で逃げようと走ろうとするが。

 

「だから逃すわけがないでしょう。ワルビアル、すなじごく!」

「ワルッビ」

「きゃあ!?」

 

 娘の目の前に砂の壁が立ちはだかった。一本道で、その道を塞がれればもう逃げ場はない。

 公爵は勝ち誇った笑みを浮かべながら、ゆったりと娘に近づいて行く。

 

「いや! こないで!」

「つれないことを言わないでください。私はあなた様の旦那様ですぞ? まず、手始めにそのことを身体に刻み込んであげましょう」

「エルレイド、サイコカッター!」

「……っ!? ちっ!」

 

 娘と公爵の間を切り裂くようにサイコカッターが通過した。殺気を感じた公爵は後ろにジャンプして、その攻撃を回避する。

 そして憎々しく娘の前に立つ、男の顔を睨みつける。

 

「エルレイド娘……!」

「その名前はもう捨てた。僕はもう女じゃない。彼女を守る騎士だ!」

「半端者の分際で生意気な! やれ、ワルビアル!」

「やるぞ、エルレイド!」

「あたしも協力するわ!」

「頼む!」

 

 2人は互いの両の手を握り。

 

「エルレイド」

「サーナイト」

「きあいだま(ムーンフォース)!」

 

 赤い光を帯びたエネルギー球と、白い光を帯びたエネルギー球は混ざり合い、太陽のような大きさに膨張し、ワルビアルと公爵を襲った。

 

「ぐわああああああ!」

 

 公爵の断末魔が響き終わると、監督のカットー! というダミ声が聞こえてきた。

 

 

 □

 

 

 撮影後、疲れた私は控え室でぐったりとしていた。ブランクがあり、しかも普段とは真逆のキャラクター、正直2度とやりたくない。

 そんな時、控え室がノックされた。まさかメイかと戦慄したが、それは違った。

 

「オレンジー。入って大丈夫?」

 

 どうやらソニアのようだ。よく考えたらメイがノックなんてするはずがなかった。

 そしてソニアなら、断る理由はない。

 

「どうぞ」

 

 そう言うと、ソニアは静かに入ってきた。私が椅子を差し出すと軽くお礼を言って、座った。

 

「とりあえずお疲れ様。撮影疲れたでしょ?」

「そうですね。普段は言わないようなセリフを言わなくてはならないので、精神的にきます」

「そこなんだ……。普通、上手くできるか不安とか、緊張とかで消耗しない?」

「緊張? 何それ美味しいんですか?」

「少なくとも食べれるものじゃないわね」

 

 はっはっはと2人で笑い合う。

 

「それにしてもこんなに疲れてるところを見ると、明日は1日仕事お休みにした方が良さそうね」

「そうですね。明日はゆっくりしましょう」

 

 前におばあさんに教えてもらったスイーツ店にでも行くか。

 ……そういえば、前にソニアも行きたがってたな。いつもお世話になってるし、こんな時ぐらい恩を返してもバチは当たらないだろう。

 

「ソニア。よかったら、明日スイーツ店に行きませんか?」

「ふぇ? ……そそそそそ、それって2人でってこと?」

「そのつもりですが? ユウリは前に連れて行ったので、今回はソニアをと思ったのですが、駄目でしたか?」

「う、ううん! 駄目じゃない! 大丈夫、超大丈夫!」

 

 少しぎこちないが、とりあえずOK貰えたようだ。

 

「じゃあ、明日部屋に迎えに行きますね」

「うん。分かった」

 

 

 □

 

 

 一方その頃、メイの控え室では。

 

「おい、メイ」

 

 ヒュウはドスの効いた声をしている。明らかに怒っているようだ。

 しかし、マイペースなメイは特にビビる様子もなく。

 

「なーにヒュウ兄〜?」

「惚けんなよ。今日のトラブル、全てお前が仕組んだことだったんだな! さっき、体調崩した役者の事務所に問い合わせたら、そんな奴在籍してないって言われたぞ! こんな手の込んだことしやがるのは、お前しかいない!」

「よく分かったね〜、さすがは私のマネージャーさん」

「何が狙いだ?」

「私の狙いはオレンジさんを落とすことだけだよ〜」

 

 ヒュウは首を傾げる。何の因果性があるか理解できないからだ。

 

「オレンジさんはね、演じる時にキャラクターを自分に憑依させるの。それも並みの役者よりも深くね。だから、私のことを深く愛しているキャラクターを演じさせれば、無意識のうちに私に惹かれるようになるわけ」

 

 実際、オレンジがガブリアスキッドを演じた時、かなりヒーローちっくにメイを助けたことがある。要は役になりきるせいで、抜けるのに少し時間がかかるのだ。

 その特性を利用して、ドーピング的な狙いがあったのだ。

 

「でも失敗しちゃった」

 

 そう、思っていたよりも成果は得られなかった。多少気持ちは近付いていたが、友達程度の好意だ。

 まるで何か別の感情に邪魔されているかのように。

 メイは何となくだが、その原因が分かるような気がした。

 

「うーん、あの人かな〜」

 

 そう呟くメイの目は、狂愛に満ちたワルビアル公爵のようだった。

 

 





 Q.第三回弟子トーク!

橙「……」

セ「……」

 Q.無視!?

橙「前回で元気を使い切りました。力が出ません(真顔)」

セ「オレンジマン、新しい栄養ドリンクよ(真顔)」

 Q.自由か! ……ええい、2人の出会いは?

橙「あれはセレナが取り合いに負けて、泣いている時でした」

セ「オレンジさんが通りかかって、泣いている私にこう言ったわ。おい、バトルしろよと」

橙「そしてバトルに勝利した私にセレナがこう言いました。あなた(のバトルの腕)に惚れましたと」

 Q.言い方! 今、2人が話してるの頭おかしい恋人の馴れ初めだからね!

橙「そういえば、セレナはジョウト地方にいるようですが、最近どうですか?」

セ「新しい地方だから、色々発見があっておもしろいわ。でも、最近爆発頭の不良に懐かれてちょっと面倒だけど」

橙「それは危険ですね。すぐに通報することをお勧めします」

 Q.それってゴールドじゃ……いや、もはや何も言うまい。最後に一言お願いします。

橙「ツッコミ不在!」

セ「異議なし!」

 Q.もう泣いていいかな?

見たいのは?

  • オレンジがアニメ世界に迷い込んだら
  • オレンジがポケスペ世界に迷い込んだら
  • オレンジが女の子だったら
  • オレンジの日常
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