トラブルホイホイな男が、ガラル地方に行くようですよ 作:サンダー@雷
勉強...睡眠...運動ォ
メイ達がガラルを発った翌日、オレンジ一行は次のジムがあるラテラルタウンに向かうため6番道路を進んでいた。
そして休憩時間、いつもの通り特訓に出かけたオレンジとユウリ。
その間を狙いソニアは、自身の友人であるキバナとルリナに連絡した。
2人とも忙しい身分ではあるが、珍しいソニアからの連絡とあってすぐに出てくれた。
「2人とも忙しいのに、急に連絡してごめんね」
『気にしないで。ちょうどジムも休憩時間だったから』
『俺は元々暇だからな〜。……そんで、俺らに連絡ってどんな用件だ?』
真剣なトーンで聞いてくる。
わざわざこの2人に連絡とあって、何かしら厄介ごとなのではないかと警戒しているのだ。
もっとも、ソニアはそんなつもりは全く無い。空気感の違いに少し気まずそうにしながら。
「……その……恋愛相談に乗ってほしいんだけど......」
『は? ......れれれ恋愛相談!? ソニアが!? 相手は、相手は誰なの!?」
「オレンジ」
『おお〜』
『はあああああ!?』
ルリナは目をかっ開いて驚き、キバナは納得した様子だった。
『ようやく認めたのか〜。案外早かったな。ソニアのことだから、もっと悩んで結局横から誰かに掻っ攫われると思ってたのによ〜』
キバナはカラカラと笑いながらえげつないことを言ってくる。ただ、一歩間違えればそうなっていたのだがら、ソニアは笑えない。
『ちょっと待ちなさい! 何を納得してるのキバナ! あんな男にソニアが惚れてるのよ! これは由々しき事態よ!』
『別に問題ないだろ。オレンジはいい奴だぜ。バトルも強いしな』
『たしかに、ちょっとバトルの腕が長けていることは認めてあげる。でも、私は忘れてないわよ! あいつの犯した私への恥辱の限りを!』
『どういうことだ?』
「いつものルリナの勘違いよ」
『ああ、なる』
ルリナの暴走癖はこのグループでは共通認識のようだ。
『で? 恋愛相談って具体的にどんなこと聞きたいんだ?』
「私、男の人を好きになるって初めてで……どうアプローチすればいいのかよく分からないんだ。だから、経験豊富な2人にアドバイスもらえないかなぁって思って……」
『何だそんなことか。お安い御用だ』
『ぐ……うぐっ……仕方ないわね。でも、あくまで私は友達のソニアに協力するだけだからね! あいつのことは認めないから!』
友情と敵愾心の狭間の葛藤は友情が勝ったようだ。
ルリナは顔をきりりと元に戻して。
『いいソニア。結局男なんてね、みんなやることしか考えてないのよ』
「なぁ!?」
いきなりの爆弾発言にソニアは顔を真っ赤にして目を泳がせる。
『おいおい、もう少し言い方考えろよ。ソニアには刺激が強いだろうが』
『だってそうじゃない。少なくとも私は今まで付き合ってきた男は、みんなそんな男だったわよ。それとも何よキバナ、あなたは違うとでもいうつもり?』
『順序が逆なんだよ。好きな女だから抱きたくなるんだ。抱きたいから好きになるんじゃない』
『綺麗ごとね。所詮男は下半身に忠実な生き物なのよ』
『だから......ソニア? ソニア大丈夫か?』
「あわわわわわわ......」
2人の会話が刺激的過ぎて、初心なソニアは目を回していた。
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落ち着きを取り戻したソニアは、眉を下げて申し訳なさそうにして。
「ごめん。この年になって、あんな会話で動揺してたら情けないよね」
『俺たちも勝手に盛り上がって悪いな』
『私もごめん』
ソニアの謝罪に、二人も頭を下げる。
『そういえばオレンジってどんな女の子がタイプなんだ?』
「う~ん。あんまりそういう会話はしないからなぁ......。でも、メイさんの告白は断ったって聞いたから、年下好きではないのかな?」
『......不穏な言葉が聞こえてきたんだけど。メイって、まさかイッシュ女優のメイのこと?』
『マジかよ!? あんな可愛くて胸も大きい男の理想のような女の子をふったのか!?』
「う、うん。そう言ってたけど」
実は出発する前にメイから言われたのだ。そして『ソニアさんは頑張ってね』と挑発にも、負け惜しみにも聞こえる言葉も言われた。
人気女優がふられたとあって、キバナはありえないという顔をしながら。
『オレンジって、ホモなんじゃねえの? それか女に興味がないかだな』
「それはないと思うよ? 私のこと女性として見てるって言ってたし」
なんなら胸をガン見されるというセクハラまがいも受けているため、オレンジが女性に興味がないというのはありえないと言っていいだろう。
それを聞いてルリナは思案したように唇に手を当てて。
『ふーん。ちょっといいかしら?』
「うん。どうしたのルリナ?」
『言い方はよくないけど、メイと結婚すればお金も、美人な奥さんもついてくるわけじゃない? それを断るってことは、オレンジにとってお金や美貌は魅力に入らないんじゃないかしら?』
『ということは趣味が合う人間とかか?』
「オレンジの趣味......パッと思いつくのは推理小説とか、スイーツかなぁ? 他は聞いたことないなぁ」
ポケモン関連も浮かんだが、それはもはや論じるまでもないので揚げなかった。
『それとなく聞いてみたらどうだ? やっぱり男としては、趣味が合う女の方が付き合ってて楽しいぜ』
「そうなんだー。うん、二人ともありがとう。参考にしてみるよ」
『頑張れよ~』
『なんかあったらすぐに相談しなさいよ!』
2人の激励に、ソニアはにこりと笑った。
□
仕事をしながら待っていると、特訓を終えた二人が帰ってきた。いつもより早い時間に首を傾げつつも、二人を出迎える。
「ただいま」
「ただいまです」
「おかえり~。......あれ? どうしたのユウリ? 今日はいつもみたいにボロボロになってないじゃない?」
「......ボロボロになってるのを当り前みたいに言わないでほしいです」
「少し誤算がありましてね。特訓が思うようにいかなかったので中断したんですよ」
「思うようにいかなかった?」
「はい」
やれやれとオレンジは首をふる。
「実はユウリがゴーストポケモンを怖がってしまい、まともなバトルにならなかったんですよ」
「あー。そういえばユウリってホラー苦手だからね」
「前にシャンデラとバトルした時は何ともなかったんですがね~」
「あの時は色々あって燃えてたというか、ゴーストというよりもほのおポケモンと見てたです」
要するにゴーストポケモンとして認識していると怖いらしい。都合がいいというか、悪いというか。
少なくともジム戦にとっては都合が悪いだろう。
「とりあえず、このままでは戦いになる以前の問題ですから、今日はいつもと違うジム対策を講じましょう」
「どうするの?」
「古来よりカントーにはこんな言葉があります。習うより慣れろとね」
「嫌な予感しかしねえです......」
オレンジの嗜虐的な笑みに、ユウリは顔を青くしていた。
□
深夜にも関わらず、オレンジたち一行は道なき道を進んでいた。
山の奥になるごとに光が差し込まなくなり、どんどんと恐怖感を煽るシチュエーションが揃っていく唯一の光源である懐中電灯も足元を照らすだけで心許ない。
ユウリはすでに限界なのか涙目でオレンジにピッタリとくっついていて、ソニアもさすがに怖いのか少し周りを気にしている。
「歩きにくいのですが......」
「無理です! なんか出る! 絶対なんか出るですよ!」
「出る出る言ってると本当に出ますよ~。......こんな風にね~」
「ほぎゃああああああ!?」
ユウリの絶叫が暗い道に響き渡る。
絶叫の原因は、オレンジの顔がのっぺらぼうになっていたからだ。
ユウリの驚きを見て満足したのか、オレンジはお面をとって笑顔を見せる。
「ははは、お面ですよ......ほぎゃああ!?」
「何やってんのよあんたは!」
当然、大人げないアホには制裁である。
「いたいいたい!? 違いますよ、これも特訓の一つなんですよ!?」
「嘘つきなさい! 何の説明もなしに夜道歩かせたと思ったら、こんないたずらして! あんたユウリいじめたいだけでしょ!」
「だから違います! これは夜道を歩かせて、お化けえの恐怖心に慣れてもらうつもりで......」
「じゃあ、あんたがお面をかぶる意味は?」
「これは私の趣味ですが? ほぎゃああああ、さっきより痛い!? とれる、頬が取れる!?」
当然......etc。
一頻りしばき倒したソニアは手を離すと、オレンジをぎろりと睨みつける。
「どうせあんたのことだから、これだけじゃないんでしょ?」
「うう......察しがいいですね」
ダメージを残しながらも答える。そして道の奥を指さし。
「この先にもう長い間人が住んでいない館があるのですか、そこは数多くの心霊現象が報告されているんです。おそらく、ゴーストポケモンの住みかとなっているのでしょう。そこでバトルできれば、克服したと言っていいでしょう」
「ポケモンじゃねくて本物だったらどうするですか!?」
「その方が好都合じゃないですか」
「頭おかしいですこの人!」
ユウリはざざざとオレンジから距離をとった。
「もしかしてオレンジってホラー好き?」
「はい。ホラー映画の有名どころは大体見てますよ」
「そ、そうなんだ」
不意にオレンジの趣味を知れたものの、女の子が好きというには難しい趣味だった。
「ともかく行きますよ」
「いーやーでーす!」
「このままではジム戦を突破できませんよ」
「それもいやです!」
「では行きましょう」
「うう......」
「諦めるしかないんじゃない? どっちみち克服しないといけないんだし」
ユウリはぐぐとうなり、色々と頭を抱えて葛藤してから、諦めたように首を折った。
「分かったですよ! 行けばいいんでしょ、行けば!」
やけくそ気味に言った。
□
洋館に到着した。
ボロボロになった壁と乱雑に生えた植物のツタ人が住まなくなった年数を表している。森の中のボロボロの洋館というホラー映画にありがちなシュチュエーションだ。
「いい雰囲気ですね〜」
「帰りたいです……」
「私もこれはちょっと……」
ホラーが特別苦手ではないソニアですら尻込みしていた。
そんなこと気にせずに、オレンジは扉を開いた。錆びて重いドアを動かすとギギギギと金属音が響く。
中に入ると大きな玄関ホールが現れる。吹き抜けになっている二階に続く階段はかなり大きい。古くなっているものの机や椅子などかなり高級な品であることから、この家の主人の地位が見えてくる。
「では、私は危ないところがないか偵察してくるので、しばらく待っていてください」
ゴースト、お化け以前に床が腐っていたりしたら大けがをしかねない。シャンデリアが落ちてくる可能性もあるので、一度調べておくことは重要だ。
ジェイソンに襲われても生き残れそうなオレンジは偵察役にはピッタリといえる。
「気をつけてよ?」
「平気ですよ~。ささっと見てきますから」
映画なら序盤で死ぬ当て馬キャラのようなことを言いながら、オレンジは階段を上がっていった。
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オレンジが調査に向かって15分ほどが経過した。まだオレンジは戻ってこない。
たしかに広い屋敷ではあるが、15分もかかるほど巨大ではない。さすがにおかしいとソニアは思い始めた。
「まさか、何かあったんじゃ」
「ややややや屋敷のお化けに食われちまったですか!?」
「そんなわけないでしょ。お化けなんていないわよ。考えられるとしたら何かの拍子に閉じ込められたか、床から落ちてどこかけがをしたとかだけど、そんな大きな音してないしなぁ......いったぁ!?」
うろうろと歩きながら考えていると、椅子に足をぶつけた。
ただこんなところに椅子がないのは確認している。自分は何も触っていない、ということは......とユウリを見る。
「ちょっとユウリ。暇なのはわかるけど、こういういたずらはやめてよ」
「え? 私何もしてねえですけど」
「嘘。じゃあ、誰が......」
ソニアは顔を青くして声を失った。
「どうした......で......す?」
ソニアの様子が気になり、その方を見るとユウリは同じように顔を青くした。
なぜなら、視線の先ではひとりでに家具やシャンデリアがふわふわと生き物のように動いているからだ。
「「きゃあああああああああ!?」」
2人は危険を察知し、屋敷からでようと扉の方に走るが家具が立ちはだかり阻まれた。
「ど、どうするです!?」
「仕方ない、二階に逃げよう! 何があるが分からないけど、今ここにいる方が危ないわ!」
「分かったです!」
2人は飛び交うポルターガイストを避けるために身を低くしながら二階に走って行った。
□
「はあはあはあ......何なのあれ」
「ポルターガイストです! 幽霊が不思議な力を使って家具なんかを動かす現象ですよ!」
「そんなわけって言いたいけど、あれを見ちゃうと嘘とは言えないわね......」
「多分師匠も幽霊に殺されちゃったです......そして次は私たちが......」
「映画の見過ぎ。少し落ちつきなさい」
恐怖でホラー映画的な妄想をしてしまっているユウリに、ソニアは呆れたように諫める。
---ガシャ、ガシャ
「ん? 何の音?」
金属音が聞こえた方を見る。そちらは廊下で、暗いせいで何も見えない。
---ガシャ、ガシャ、ガシャ。
しかし、音はどんどんと近づいてくる。
「ユウリ! 何か来るよ!」
「うぇぇ!? 何ですか!?」
---ガシャ、ガシャ、ガシャ、ガシャ。
金属音の正体は剣を持った鎧だった。
「ほぎゃああああ!?」
「オ、オレンジなんでしょ? 変な冗談はやめてよ。今ならお仕置きしないでおいておげるわよ!」
ソニアの呼びかけに反応することなく、鎧は淡々と近づいてくる。そしてゆっくりと剣を抜くと振りかぶった。
「危ないですソニアさん! エースバーン、にどげりです!」
「エスバ、エスバ!」
ソニアの危機にユウリはとっさにエースバーンを繰り出した。
蹴られた鎧は倒れこんでバラバラになる。するとその中からふわふわと紫色の何かが浮かんできた。
「何ですあれ!?」
「ユウリ、図鑑で調べてみて」
「え? は、はいです!」
戸惑いながらもユウリは図鑑を起動させる。
図鑑は周りにポケモンがいる場合自動的に認識してそのポケモンを表示する機能が付いている。
そして今その機能が作動した。お騒がものの正体が露わになる。
「ヤバチャ。これがあのポケモンの名前ね」
「ヤババ……」
正体を見破られヤバチャは分かりやすく狼狽える。もっとも散々脅かされたユウリはカンカンに怒っている。
「よくもやってくれたですね。種が明かされればこっちのもの! あの恐怖に比べれば、今更ゴーストポケモンなんて怖くねぇですよ!」
ユウリは手の骨をパキパキと鳴らしながら、にじり寄っていく。
「ヤババ〜!」
あまりの迫力に怖くなったのか、ヤバチャは泣きながら逃げていく。
「待てです!」
しかし、ユウリも簡単には許す気はない。すぐにヤバチャの後を追う。
「ちょっとユウリ!? もう~向こう見ずなんだから!」
ソニアもその後に続く。
ヤバチャは暗い廊下を逃げるが、二人が暗闇に目が慣れていることと、かすかに光を放っているせいで視認できてしまう。
ヤバチャはとある部屋に入って行った。
ユウリはその部屋の扉に手をかけ。
「追い詰めたですよ! さんざん驚かせてくれやがって、いてまうぞこらぁ......です?」
ユウリはその光景を見て目を疑った。
なぜなら、ヤバチャがオレンジの胸に泣きついていたからだ。
「おや? どうしましたユウリ? そんな血相変えて?」
「し、師匠!? 何で!? 師匠は死んだんじゃ......まさか、師匠の幽霊ですか!?」
「勝手に殺さないでください。私は生きてますよ」
「はあ、はあ......ユウリ走るの速い。って、オレンジ!? 生きてたの!?」
「二人して殺さないでくださいよ!?」
ソニアにまで生存を驚かれ、オレンジはショックを受けた様子だった。
しかし、二人にとって急務の疑問は自分たちを驚かせていたポケモンがオレンジに懐いていることだ。
「どうしてヤバチャは師匠に懐いてるですか?」
「ああ。この子はここに住み着いているポケモンなのですが、人を驚かせるのが苦手で他のゴーストポケモンから仲間外れにされてんです。どうせ不遇な扱いを受けるなら、私のポケモンになりませんか? と聞いたところ、仲間になってくれました」
「だから懐いてるんだ」
「はい。どうですか? けっこうかわいいでしょう?」
「う、うん」
「まあ、よく見ればそこそこ」
2人の反応は芳しくない。当り前だ、先ほどまで脅かされていた相手を簡単にかわいいと割り切れない。
ユウリは衝撃で怒りを忘れかけていたが、さっきまでのヤバチャの行動を思い出した。
「って、そうですよ! そのヤバチャ、さっき私たちを襲ってきたですよ!?」
「襲う? ああ、それは驚かせていたんですよ。先ほども言ったでしょ? この子は驚かせるのが苦手で他のゴーストポケモンから疎まれていたと。なので、私が驚かせ方を指導したのですよ。その様子を見ると、成功したようですね」
「ヤババ」
オレンジの問いかけに、ヤバチャは得意げに笑う。
のほほんとした空気の横で、二人の空気が変わった。
「要するに、オレンジは私たちを驚かせたってこと?」
「へえー、師匠ちょっと話があるです」
目が据わった二人が手をパキパキと鳴らしながらにじり寄ってくる。想定外の反応にオレンジは焦る。
「ふ、二人とも? 待ってください、話せばわかります! ......ほぎゃああああ!?」
その後、オレンジの姿を見たものはいない(嘘)。
Q.ホラーの魅力とは?
橙「人を怖がらせるために様々な専門家が技術の粋を決しているのですよ? 最高にエンターテインメントじゃないですか。基本的に怖がって悲鳴をあげてる人ヲ見るのが好きです」
見たいのは?
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オレンジがアニメ世界に迷い込んだら
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オレンジがポケスペ世界に迷い込んだら
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オレンジが女の子だったら
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オレンジの日常