トラブルホイホイな男が、ガラル地方に行くようですよ   作:サンダー@雷

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 今回は独自設定です。前からビートが移籍壊すの唐突すぎじゃねえ? という疑問から、その辻妻合わせの話です。


(間話)ビートへの罠

 昼が近づいてきている頃、ビートはシュートシティのビルの前に立っていた。

 ダイマックスポケモンを優に超えるほどの高さを誇る立派なビルには清潔感のあるスーツに身を包んだ人や、サンバイザーにサングラスにスポーツのユニフォーム姿の男女など多種多様な人間が入り口を出入りしている。

 ここはローズ委員長の会社。主にエネルギー事業を手掛けていて、ガラルでは有数の大企業だ。ビートも小さい頃はローズに連れられ何度か来たことがあったが、スクールに入ってからはその機会も減っていた。

 そのためここに来るのは数年ぶりのことである。

 

「こちらへどうぞ」

「ありがとうございます」

 

 ここまで案内してくれた職員にビートは礼を伝える。

 職員はビートから礼を返されると思っていなかったのか驚いた様子だった。ビートは気にせずに部屋の中へと歩いて行く。

 中に入ると椅子に座っていたのはローズ委員長ではない。その直接の部下で、いわゆる会社のNo.2の男だ。

 

「今日はどういったご用件で?」

「そう警戒するな、もじゃボーイ」

 

 お面を張り付けたような胡散臭い笑みを浮かべる男は、あまり評判のよくない独特なあだ名でビートをなだめる。

 そう言われてもビートは一ミリも緊張を解こうとはしない。この男はNo.2といわれているものの、ローズ会長とはよく意見をぶつけている。

 この前もオレンジの研究結果を受けて、この男は経済発展のために大々的に宣伝しようと主張したが、ガラルの自然を大事にしたいローズ会長の賛成が得られずに否決されたばっかりだ。

 熱狂的なローズ信者であるビートにとっても疎んじる相手である。

 

「今日君を呼んだのは他でもない。君にとある忠告をするためだ」

「忠告? 僕のことを排除しようともくろんでいるあなたが?」

「排除なんて人聞きの悪い。少しリスクを考えて意見を述べただけだよ」

「ふん」

 

 ビートは鼻を鳴らす。

 この男の笑みはどこか君が悪い。同じ笑みでもオレンジとはまったく質が違うものだ。

 今だって意見を述べただけなど言っているが、ローズがビートを支援すると宣言した時、最後まで反対していたのはこの男だ。幼心ながら、あの時の男のごみを見るような目を忘れたことはない。

 

「今や君は世代1と名高いルーキーじゃないか。いやはや、ローズ委員長の慧眼には恐れ入るよ」

 

 白々しさを感じるほど気持ちのこもっていない言葉だ。

 

「だからこそ分からない。なぜローズ委員長は君を見限ろうとしているのだろう」

「そんな嘘で僕を動揺させようとしても無駄ですよ。なぜ僕が見限られなければならないんですか」

「......君は以前生放送でユウリ君に引き分けただろう?」

「まあ、しましたけど......」

 

 それとこれと何の関係があるのか。

 

「あの勝負がきっかけでユウリ君の評価は急激に上昇した。それこそ世代1は君ではなく彼女ではないかという声も高まった。それを見たローズ委員長は、ユウリ君に目を付けたんだ」

「なぜですか! たしかに僕と彼女は引き分けました。しかし、バッジ数も実績も僕の方が遥かに上なんですよ!」

 

 小さな頃から英才教育を受けて、大会でも優勝を重ねてきた自分が、たった一度引き分けただけで見限られなければならないのか。納得がいくはずがない。

 しかし、男は冷酷に現実を突き付けてくる。

 

「簡単な話だ。彼女はガラル出身で、なおかつ推薦者がチャンピオンのダンデだからさ」

「---ッ!?」

 

 ビートは息をのんだ。それはビートにとって覆しようがないコンプレックスであり、トラウマだ。

 ビートが動揺するのは十分の言葉だ。

 

「君も知っての通りローズ委員長はガラル地方を深く愛している。これまでダンデ君を超えられる可能性があるトレーナーが君しかいなかったからこそ、君に期待していた。しかし、今はいる。ガラル出身であるユウリ君はローズ委員長が待ち望んだ人間なのさ」

「嘘です! そんなものあなたがこじつけた憶測にすぎません!」

「では、今ローズ委員長に連絡してみるといい。まあ、おそらくつながらないがね」

「そんなはずが......」

 

 ビートは携帯を取り出し、すぐにローズに電話をかける。

 しかし、何度コールをしても出る様子はない。そして最後には機械音でこの電話は......という音声がむなしく聞こえてきた。

 ローズは地位のある人間であるから、連絡がとれないことなど滅多にない。そんな人間が自分の連絡を取らないという事実に、男の話が現実味を帯びてくる。

 そんなわけがないと否定したい心と、もしかしたらという不安がせめぎあう。ぐるぐるとぐちゃぐちゃと様々なものが頭の中を駆け巡る。

 ガタリと物が落ちる音で我に返った。

 どうやらそれはビートの携帯が手から落ちた音だった。

 からからと音をたてながら滑っていく携帯を男は拾い上げて、ビートへと歩み寄っていく。

 

「安心しなさいビート君。君はまだ完全に見捨てられていない」

「......というと?」

「ローズ委員長が好む人間。それはガラルの人間と、役に立つ人間だ」

「役に立つ人間......」

「そうだ。例えば委員長の秘書であるオリーブ。彼女はけして立派な出自ではないが、委員長に必要とされているから傍に入れるんだ。ならば君が会長の役にたつ人間であると証明できれば」

「ローズ委員長の傍に入れる」

「その通りだ」

 

 男は意味深な笑みを浮かべると複数のコピー紙を机に置いた。

 

「これはローズ委員長が必要としているねがいぼしが豊富にある場所を記した紙だ。あとどうするかは君の自 由 だ」

「......?」

 

 言葉が揺れるような感覚に一瞬自らの気を確かめる。しかし、特になんともないようだ。気のせいだとビートは結論付けた。

 

「私の話はこれだけだ。時間をとらせてすまなかったね」

「いいえ。有益な情報をありがとうございました」

 

 嫌悪感を感じていた相手なのに不思議と感謝の気持ちがわいていた。そのことに疑問も覚えずにビートは男に記された一枚の紙を手に取り、部屋を去って行った。

 部屋の中に一人残った男は、外が見えるガラスからごみのように小さい人々を見下ろしながら。

 

「......ふっ。所詮はガキだな」

 

 後ろで浮かんでいるカラマネロがガラスに反射していた。

 

 





 Q.親のことどう思っていますか?

橙「母はお元気で。父はうざいんで、一回死んでからミイラとして生き返ってください」

Q.......何か報復は?

橙「しましたよ。とりあえずジョウトの旅が終わった後に、実家に乗り込んで父親をぼこぼこ(ポケモンバトル)にしてから二度とかかわるなと言って出て行きました。それから実家には一度も帰っていませんね~(超いい笑顔)」

見たいのは?

  • オレンジがアニメ世界に迷い込んだら
  • オレンジがポケスペ世界に迷い込んだら
  • オレンジが女の子だったら
  • オレンジの日常
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