トラブルホイホイな男が、ガラル地方に行くようですよ 作:サンダー@雷
ビートとわかれたオレンジはラテラルタウンに戻ろうかとモンスターボールを取り出した時、携帯の着信音が鳴った。ソニアかと思って画面をみてみると予想通りソニアだった。
「はい、こちらオレンジ」
『オレンジ? 今どこにいるの?』
焦り気味な声だった。まあ、遺跡にやってきたら壊れた壁画と荒れた地面が広がっているのだ。そうなるのもおかしくない。
「すいません。ちょっと色々ありまして6番道路にいます」
『今すぐ遺跡に来られる?』
「ええ、いけますけど」
『ならすぐに来て! 大発見よ! 壊れた壁画の中から新しい遺跡が発見されたの!』
「新たな遺跡!? わ、分かりました、すぐに行きます!」
予想外すぎる言葉に若干動揺しながら、オレンジはガブリアスを飛ばせた。
□
遺跡に到着した。
すでにローズ委員長の姿はなく、代わりにがやがやと野次馬が集まってきていた。ビートが遺跡を破壊している時から人はいたが、今はその数倍である。
オレンジは人ごみをかき分けて遺跡の前に出ると、ソニアが壊れた壁の辺りを虫眼鏡を使って調べていた。
「遅くなりました」
「あ、オレンジ。来てくれてよかった~、私一人じゃよくわかんなくて」
「新しい遺跡と聞いたのですが......」
「うん。ともかく見てみて」
ソニアに催促され、オレンジは発見された遺跡を見る。
その遺跡は剣を咥えた狼型のポケモンと盾を咥えた狼型のポケモンが前に置かれ、後ろにそれを従えているのだろう人間の石像が置かれていた。
まさしく、オレンジがまどろみの森で見たポケモン、ザシアンとザマゼンタだった。
「どう思う?」
「そうですね。見たところ、ポケモンの石像のようですが」
「そうなの! こんなポケモン見たことない! つまり新発見のポケモンなのよ!」
「なるほど。......ところでソニア、このポケモンの咥えている剣と盾どこかで見覚えがありませんか?」
「見覚え......?」
オレンジの言葉にソニアは首を傾げる。そして自分の記憶をたどっていくと、一つ引っかかるものがあった。
「ああああ~! タペストリーの三枚目!? どういうこと!? つまり、英雄の使った剣と盾はポケモンだったってこと? でも、なら何で今までそのことが伝承されてないんだろう?」
「それは分かりません。私はその道の専門家ではありませんから」
「うーん。私もまだ考古学はそこまで詳しくないんだよね」
「マグノリア博士には報告したんですか?」
「したんだけど、おばあさま最近ガラルで頻発している野生ポケモンのダイマックス化についての調査で忙しいからって、電話切られちゃったのよね」
マグノリア博士の専門はダイマックス関係全般だ。考古学についてそれなりに知識があるものの、興味的には謎のダイマックス現象の方が強い。
特に研究者というのは自分の興味を最優先する傾向にある。
こちらの研究は後回しになると、オレンジは予想した。
ソニアも同じ予想なのか、参ったようにため息をつく。
「どうしようかな......。考古学者の知り合いなんていないし。オレンジは心当たりない? なんてね」
「いますけど?」
「いるの!? 私今けっこう適当に言ったんだけど!?」
「まあ。これでも色々な地方を旅してきたので、それなりに知り合いはいますよ」
「じゃあ、今意見を聞くことってできるかな? やっぱりちゃんとした専門家の見解が聞きたいんだ」
「構いませんよ。ただ、ホテルの通信機からでもいいでしょうか? 他地方の方々なので携帯では電話代がバカみたいにかかってしまうので」
「うん。わかった」
2人は一度宿泊しているホテルを目指して、遺跡を後にした。
□
ホテルに到着した。
中に入ると、フロントには頬を膨らませたユウリが腕を組んで仁王立ちしていた。
それを見て二人は騒ぎのせいでユウリのことをすっかり忘れていたことに気が付いた。
「むう~、2人ともどこ言ってやがりましたかあああ~! せっかくジム戦突破したから、たくさんちやほやしてくれると思ったのに、出迎えにも来てくれないですし!」
ユウリはぽかぽかとオレンジの胸をたたきながら文句を言う。
「はいはい、色々あったんですよ。とりあえずジム戦突破おめでとうございます。あとでお祝いしましょうね。それでは」
「ユウリごめんね。ちょっと急いでるから」
「ええええ!? ちょっと二人とも!?」
ユウリを適当にあしらい、オレンジは奥にある通信機に向かう。ソニアもそれに続き、ユウリもなし崩し的について行く。
通信機に番号を打ち込んでいく。
しばらくすると反応があった。
『もう~、こんな時間に何の用よオレンジ! ......はっ、まさか! 私への煮えたぎる肉欲が抑えられずに、いてもたってもいられずに電話を......』
「10歳の子供もいるんですよ! 言うことを考えろ!」
「ちょっとソニアさん、耳ふさがないでほしいです」
「はいはい。あんたにはまだ早い世界の話よ」
とっさにソニアがユウリの耳をふさいだおかげでアホの言葉が届くことはなかった。
そしてソニアからは冷たい目線が突き刺さる。
専門家を紹介する話なのにいきなり淫語を言う女が出てきたのだ。睨まれるのは当然とオレンジは解釈した。
「まったく相変わらずですね、シロナ」
呆れながら画面の前の人間の名前を呼ぶ。
そうオレンジが選んだ専門家とはシンオウの考古学者シロナだった。一応、シンオウでは考古学の第一人者扱いされているので実力は確かだ。実力は(重要)。
もっとも一秒でシロナを選んだことを後悔した。
対するシロナは、久しぶりにきたオレンジからの連絡とあってかなりテンションが上がっていた。
『それで今日は何の用なの? 告白? 告白よね?』
「一回黙らないとマジで切りますよ」
『黙るわ』
「よし」
「犬のしつけみたいです」
ユウリの悪気のない言葉にソニアは苦笑しながらたしかにと思った。
シロナを黙らせたオレンジは、ようやく本題に入る。
「私は今ガラル地方を旅しているのですが、そこで新しい遺跡が発見されたんです」
『何だ仕事の話か』
「......それでですね、その遺跡に不思議な点があるので、一応考古学の専門家であるあなたに意見を......」
『オレンジ~、私そろそろ本当にまずいの。おばあちゃんの目が最近優しいの。あれは出荷する前の家畜に餌を与えている目だわ。もうあなたが私をもらうしかないと思う......プチ』
オレンジは通信を切断した。
「ちょっと何やってるのオレンジ!?」
「私は一度我慢しました。しかし、二度目はありません」
「たしかにしつこかったと思うけど......。うーん、嫌だと思うけどもう一度お願いできないかな? 遺跡の謎が分かれば、私の研究もかなり進むと思うの」
上目遣いでお願いしてくるソニアに、オレンジも強く断る気が起きない。
それにあの遺跡の事情を半分知っておきながら、黙っていることにも少しの罪悪感がある。
オレンジは渋々もう一度通信機に番号を打ち込む。
『ちょっとおおおお、何でいきなり切るのよおおおお!』
オレンジは通信を切るのをかろうじで我慢する。
「......警告はしました。いい加減ふざけ続けるなら、本気で縁を切りますからね」
『もう、分かったわよ~。真面目にすればいいんでしょ』
欠片も真面目にするように見えないが、シロナはこれで切り替えが出来ているので問題ない。
「今回の遺跡の謎の部分と今までのガラルの歴史については、今携帯に資料を送りました。確認してください」
『はいはい。......ふーん、なるほど。要するに今回発見された遺跡は伝えられてきた歴史と矛盾する点があるってことね』
「そういうことです。これはどういう理由があってのことなのか、専門家の見解が聞きたいのです」
『これ私が勝手に見て大丈夫な資料? 普通、ガラルの考古学者に聞くのが筋じゃない? 面倒に巻き込まれるにはごめんなんだけど』
「この地方の研究者で一番発言力のある人間に調査方法を一任されていますし、見解を求めているのはガラルの研究者です。問題はありません」
『ならいいけど』
後回しにされただけで一任はされていない。
さらりと嘘をついたオレンジに、ソニアは胡散臭い人を見る目を向ける。
そんな事情は知らないシロナは、資料に目を向け手を顎に当てながら。
『そうね、あくまで仮説になるけど、この遺跡は意図的に隠されていた可能性が高いと思う』
「意図的......?」
「要するに、この遺跡があると困る又は都合が悪い人間が隠したということですね」
『そういうことね。権力者なんかが歴史を捏造するときによく使う手法よ。例えば自分の一族を繁栄させるために、遺跡を破壊するとかね」
そういう意味では今回は破壊ではなく、隠蔽であったのは運がいいともいえる。
「でも、もし隠したとしたら誰がそんなことを?」
「簡単ではないですか。この地方で遺跡を隠すことで利益を得る人物と言えば? そう、ガラル王族ですよ」
「お、王族!? どういうことなの?」
「そうですね......どういう意図で王族があのポケモンたちの存在を隠したのかまでは分かりません。ただ、誰も存在を知らないほど昔から、彼らの存在は闇に葬られていたということです。そんな芸当が可能なのは王族ぐらいでしょう」
オレンジの言っていることはかなり壮大で、信じがたいことだった。しかし、一定の説得力のあるものだった。
「もしかしたら、まだまだ隠されてる遺跡がガラルに眠ってるかもしれないってこと?」
「その可能性はありますね」
『ねえ、さっきから他の人の声が聞こえるんだけど誰?』
シリアスな話をしているのに、マイペースに関係ない話題をぶん投げてくるシロナ。
そういえば自己紹介がまだだったと思いいたったソニアは少し顔を出して。
「あ、挨拶が遅れました。私ソニアと言います」
『なああああああああああ!? ちょっと誰よあんた!?』
「今自己紹介したばっかりでしょうが。アホですか」
『そんなことはどうでもいいの! オレンジ、その女とどんな関係なのよ!』
「はあ、ただの......」
いつもグリーンに返すようにただのビジネスパートナだと返そうと思ったが、ここまでストレスを溜めさせられた仕返しを思いついた。
オレンジは戸惑っているソニアの肩を抱きよせて。
「こういう関係です。そういうわけなのでシロナ、私のことは諦めてください」
「ふえ?」
『なn......ぷつ』
シロナが発狂する前に通信を切った。
茫然としているソニアをよそに、オレンジはやり切ったといういい笑顔をしていた。
「うわぁ......師匠けっこうえげつないことしやがりますね」
ユウリはドン引いていた
「まあ、さすがに今のは可愛そうでしたかね。後で連絡して釈明しておきましょう」
「そっちだけじゃないんですけど......」
「?」
ユウリの言葉の意味が分からず、オレンジは首を傾げた。
Q.オレンジ鈍感型主人公疑惑について一言
橙「はて、何のことやら(すっとぼけ)」
見たいのは?
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オレンジがアニメ世界に迷い込んだら
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オレンジがポケスペ世界に迷い込んだら
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オレンジが女の子だったら
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オレンジの日常