トラブルホイホイな男が、ガラル地方に行くようですよ   作:サンダー@雷

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再会ビート(前編)

 

 森を抜けたオレンジたち一行は、アラベスクタウンに到着した。

 この街はルミナスメイズの森の奥地にある巨木の森の下に築かれた町で、森と一体化した神秘的な雰囲気を漂わせている。

 初めて見る光景に三人は目を輝かせた。

 

「綺麗です......」

「まさに自然と人とポケモンが織りなす芸術。素晴らしいですね」

「うん。長閑な田舎町もいいけど、将来隠居するならこんな町に住んでみたいと思っちゃうね」

 

 各々感想を述べていく。

 街並みを眺めながら歩き出す。

 歩いていると、途中、大きな建物から大歓声が聞こえてきた。そうアラベスクジムだ。

 それを見たユウリは好戦的な目をして。

 

「ふふふ、さっそくジム戦予約してくるです」

「待ってください。あなたこの街には来たばかりでしょう? ホテルの場所はわかるのですか?」

「分からないです!」

 

 即答だった。

 潔い言葉にオレンジは呆れ顔になり。

 

「まったく......。仕方ありません。ソニア、私はユウリに連れ添うので先にホテルに向かっていてもらえますか?」

「うん分かった。じゃあ、任せるね」

 

 そう言ってソニアはホテルの方に歩いて行った。

 

「では行きますよユウリ」

「はいです!」

 

 ユウリは笑顔で敬礼する。

 ジムに入ると今現在バトル中なのだろう、ロビーにはほとんど人はいなかった。それはちょうどいいとばかりにユウリは受付にすいすい進んでいく。

 そして受付の前になり。

 

「すいません、ジム戦予約お願いする......で......す」

 

 ユウリは衝撃のあまり言葉を失う。なぜなら......

 

「はい。それではこちらにトレーナーカードを......」

 

 そう受付に座っていたのは、先日ジムチャレンジの資格を剥奪されたばかりのビートだったのだ。

 ビートもユウリとオレンジの存在に気が付いたようで、すぐに後ろに顔を逸らす。

 ユウリは身体を乗り出して。

 

「何やってやがるですビート!?」

「誰のことでしょう。僕はビートなんて名前ではありません」

 

 ビートはどこから取り出したのか眼鏡をかけ、さらに声色を変えて誤魔化そうと試みる。

 もっとも、バレバレすぎる変装にオレンジは苦笑いを浮かべる。

 ユウリも顔をじっと見て......

 

「......たしかにビートとはちょっと違う気が」

「そんわけあるか!? どう見てもビートでしょう!?」

「は、たしかに! 危うく騙されるところでした!?」

「騙そうとした僕が言うのも何ですが、こんな変装で騙されるのはバカなのでは?」

「アホです」

「アホ言うなです!」

 

 ユウリは癇癪を起すが、二人はスルーする。

 

「ところでビートはこんなところで何をしているんですか?」

 

 見たところ、ビートはこのジムのユニフォームを着ている。

 オレンジの質問にビートは苦い顔をしながら。

 

「その、先日からこのジムで働いているんです......」

 

 と言った。

 

「何と!? どんな経緯でそうなったんですか?」

「ってことはジムトレーナーってことですか!?」

「ああもう、一斉に聞かないでください! はあ......今は僕は仕事中です。私語は褒められません」

 

 それはそうだ。

 

「なので、聞きたいことがあるのならスタジアムの試合が終わったら、もう一度ジムに来てください」

 

 投げやりに言うビート。

 ここで無理矢理心の壁を作らずに妥協案を提示するあたりにビートの成長が見える。

 そのことに嬉しくなったオレンジは頬を緩める。

 

「分かりました。とりあえずユウリのジム戦の予約だけお願いできますか?」

「はい承りました」

 

 ビートは受け取ったカードのIDを画面に打ち込んでいく。

 

「終わりました」

「あ、ありがとうです」

 

 まだ状況を整理できていないのか、ユウリは混乱した様子でおずおずと受け取る。

 

「それではまた後日。ユウリ行きますよ」

「おっす」

 

 ビートに会釈して、二人はジムをいったん後にした。

 ホテルに向かう道中、オレンジはユウリの様子がおかしいに気が付く。

 

「ユウリ、どうかしましたか?」

「......別に」

 

 ユウリは仏頂面で某女優のような言葉を言う。

 

「そうですか」

 

 先程のビートに何か思うところがあるのがバレバレだが、オレンジはあえて何も言わなかった。

 

 

 □

 

 

 ジム戦が終了し、もう一度オレンジたちはジムにやってきた。

 人もまばらになり、熱気がすっかり消え去ったジムの中にビートがしかめっ面で仁王立ちしていた。

 顔には先ほど変装に使っていた眼鏡をかけている。

 オレンジたちの顔を見たビートはため息をつきながら。

 

「本当に来たんですね」

「はい、来ました。そのメガネは何ですか?」

「変装用ですよ。僕は色々な意味で世間をにぎわせましたからね、あの婆さんに言われてつけているんです」

 

 たしかにあの事件からビートに対する世間の風当たりは優しいとは言えない。こんなところで受付をやっていれば、変な輩がわくのは決定だろう。

 

「おや? あの時はつけていませんでしたが?」

「......試合中は受付は暇なので油断していただけです」

 

 拗ねたように言う。

 子供っぽい態度にオレンジはくすりと笑う。

 

「それはそれは気を付けてください。ところで、先ほど言われた婆さんとは、もしかしてジムリーダーのポプラさんですか?」

「......それも含めてポプラさんにあなた方を自宅に連れてこいと言われました」

 

 唐突な誘いに二人は首を傾げる。

 

「なぜ私たちを?」

「それは僕にもわからないです。ただ、試合後にあなた方と話すことを伝えたら、目を見開かせて連れてきなといわれました」

 

 事情は分からないが、ジムリーダーに招待されているのなら警戒する理由はない。ただ、一人ではないので確認はする。

 

「どうしますユウリ?」

「私はいいですよ」

「では、招待されましょう。よろしくお願いしますビート」

「分かりました。ついてきてください」

 

 ビートはくるりとジムの中を歩いて行く。

 裏口を出て、少し道を歩くとだんだんと周りに民家がなくなる。それに反比例するように景色に木々が増えてくる。

 そしてようやくビートが足を止めた。

 

「ここです」

「でか......」

 

 ユウリがつい言葉を漏らすのも頷けるほどに大きな館だった。

 とはいえ、ジムリーダーのポプラはリーグ発足当初からジムリーダーをやっている古株だ。いやらしい話、資産は相当だろう。こんな豪邸に住んでいるのも納得できる。

 

「さすが全世界合わせて最年長ジムリーダーの自宅と言ったところですかね」

「ジムリーダーって金持ちです」

「そうですね」

 

 ビートは慣れたように開門して、ドアのカギを開けた。

 

「ただいま帰りました」

 

 そういうと、奥から個性的な服装の妙齢の女性が出てきた。

 

「お帰りビート。......言われた通りオレンジたちを連れてきたんだね。よくやったよ」

「やっぱりポプラさん師匠のこと知ってるみたいですよ。知り合いですか?」

「ふむ......」

 

 オレンジは考え込む。そこで一つ記憶を思い起こした。

 

「ああ、たしかナックルシティでスイーツ店を教えてくれたお婆さんですよね」

「お婆さんじゃないよ、ポプラさんと呼びな」

「おっと、これは失礼しましたポプラさん」

 

 どすが効いた声で言われたが、オレンジは臆せずに笑顔で返す。

 

「まあいい。来な」

 

 ポプラについて行くと、カントーで言うリビングのような広い空間に案内された。

 真ん中に置いてあるテーブルの上にはカラフルなお菓子が用意されていた。

 

「自由に座りな。あたしはお茶を持ってくるから」

「ああ、ポプラさん。手伝いますよ」

 

 自然に給仕を手伝おうとするビートの行動に、オレンジとユウリは目を見開いた。

 

「師匠! あのビートが人の手伝いをしてるですよ!」

「これはゆゆしき事態ですね。明日にもガラル地方が破滅するかもしれません」

「喧嘩売ってるんですか......」

 

 失礼な二人にビートは青筋をたてる。続けて。

 

「これくらい、ここに来てから日課ですよ」

「ビート......成長しましたね」

「涙ぐむようなことじゃないでしょ!」

「わ、私だって給仕の手伝いくらいするですよ!」

「何を対抗しているんですか!?」

「ビート、手伝うなら早くしな!」

「ああもう、みんなして何なんですか!? ......まったく」

 

 ぶつぶついいながら、ビートはキッチンの方に歩いて行った。

 オレンジは楽しそうなビートの様子を見て、頬を緩める。

 こうばしい香りにオレンジは机に菓子が用意されていることを思い出す。

 スイーツにかなり詳しいポプラが用意した菓子だ。それはおいしいのだろうと、オレンジは期待値をあげて菓子を手に取る。

 一口かじる。

 

「これはうまい!」

 

 予想以上のおいしさについ声に出してしまう。

 

「ユウリもいただいたらどうですか? ......ユウリ?」

「......」

 

 ユウリは菓子に目もくれずにしかめっ面で何かを考えこんでいた。

 ようやくオレンジが呼んでいることに気が付いたのか、ユウリははっとして。

 

「な、何か言ったですか師匠?」

「いえ、お菓子がおいしいのでどうですか? と言ったのですが......何か考え事ですか? 先ほどからおかしいですよ?」

「......いや大したことじゃねえです」

「ほう、大したないですか」

 

 オレンジは菓子を一口かじり。

 

「あなたが考え込むようになったのはビートと再会してからですね。ビートに何か思うところがあるのですか?」

「うっ、なぜわかるです」

「今ので確信になりましたよ」

 

 呆れたようにため息をつく。

 

「あまり人の事情に深入りするのは主義に反しますが、時には意思を伝えることも大事ですよ。たとえそれが無理なことだとしてもね」

「意思を伝えることも大事......」

 

 ユウリがつぶやく。

 そんな時、ビートが紅茶を持ってきた。置かれたカップからはレモンの酸味のある上品な香りが漂ってくる。

 そして奥からポプラが出てくるが。

 

「オレンジ、お茶をする前に少し話があるんだ。ちょっとこっちに来てくれるかい?」

「はい、分かりました」

 

 その言葉にオレンジはちょうどいいとばかりに応じる。

 そして去り際に有利に耳打ちする。

 

「言いたいことがあるのなら、今のうちですよ」

「......です」

 

 小さく頷く。

 そんなユウリにオレンジはニコリと笑い、部屋から去って行った。

 

 

 □

 

 

 他の部屋に移動中。

 ビートとユウリに声が聞こえないくらいの距離まで来たところで、

 

「ポプラさん。もしかして、私たちの会話聞こえていましたか?」

 

 あまりにタイミングが良すぎる。そう思っていたオレンジは、ポプラに問う。

 

「まあね。ただ、あんたに話があるってところは本当だよ」

「でしょうね。じゃなければ、私たちを家に招待したりしませんから」

「察しがいいじゃないか。頭がいいやつはこういう時楽だよ」

「お褒めにあずかり光栄です」

 

 本当は少しくつろいでから話すつもりだったのだろう。

 そしてそこまで改めるよな話とは、あまり大ぴらに話す内容ではないということだ。

 

「あまり厄介ごとには首を突っ込みたくないのですが......」

「心配しなくていいよ。そんな大したことじゃないから」

 

 本当かよ。オレンジは訝しんだ表情をしながら、ポプラについて行った。

 

 




 
 Q.ゲームはしますか?

橙「パーティーゲームを近所の子供たちに誘われた時に何回かしたくらいですかね。あとはグリーンにレースゲームをやらされたのですが、少しむかつい......事故があってコントローラーを粉砕してしまったので、得意ではないと思います」」

 

見たいのは?

  • オレンジがアニメ世界に迷い込んだら
  • オレンジがポケスペ世界に迷い込んだら
  • オレンジが女の子だったら
  • オレンジの日常
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