トラブルホイホイな男が、ガラル地方に行くようですよ   作:サンダー@雷

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時間かかった。春死んでくれ。時間なさ過ぎて、少し荒くなりました。すいません。


ヒスイ編 終

 朝陽の気配。もう朝かとオレンジはむくりと体を起こすと腕の重量感に気が付いた。

 目を向けるとヒカリが腕にしがみついていた。

 そこでオレンジは、昨日自分がヒカリの部屋に泊まったことを思い出した。

 

「やってしまった......」

 

 オレンジは顔を覆う。シンオウを旅していた頃、同じ部屋に泊まることはあったが、今はヒカリも15歳。思春期を迎えている少女と寝床を同じにするのは申し訳なくなってしまう。

 

「う、うん......オレンジ......」

 

 そんな後悔も気の抜けた寝言を聞かされ馬鹿らしくなってしまう。

 ふっと笑みが漏れる。そういえば再開してから頭をなでていなかった。ふと思い出し、乱れた髪を整えわしわしと撫でる。

 

「ショウー! もう朝よ! 起きないと......」

 

 入ってきたカイはいるはずのないオレンジの姿に一瞬思考が停止する。そして思考を再開させる。一つしかない布団(ヒカリが一緒に寝たいから一つしか用意しなかった)、乱れた服と髪(というか寝てたら普通乱れるよね)、オレンジの腕に抱きつくヒカリ......カイはすべて理解した。

 

「お、お邪魔しましたあああああああ!」

「ちょっと待てええええい!」

 

 扉を荒々しく閉め逃げるように去っていったカイを追おうとするがヒカリが抱き着いているせいでそれもかなわなかった。

 その後、ヒカリとオレンジが情事に及んでいたという噂が村を駆け巡り、二人は顔を赤くした。そしてたくさんのヒカリファンが血涙を流したのだった。

 

 

 □

 

 

 その後、私は誤解を解くことに奔走することになった。なんせ、ヒカリに相応しい男か試させろなど私より強ければヒカリが振り向くなど、最後にはデンボクが出てきて私の屍を超えてみろと勝負を挑んできたりと大騒ぎだった。

 まあ、みなヒカリを心配してのこと(一部は違いそうだが)だろうから、いろんな人に愛されヒカリは楽しく暮らしていたのだと理解できた。

 そんなお祭り騒ぎの次の日、私とヒカリは身支度をしていた。元の世界に帰るためだ。

 

「ねえ、オレンジ。本当にアルセウスのことみんなに伝えなくていいの?」

 

 計画はアルセウスをボコボコにして帰ることだが、この世界の住人には帰る方法が見つかったとしか伝えていない。ヒカリの問いかけはアルセウスの本性を伝えなくていいのか?という意味だろう。

 

「ええ。彼らにとってシンオウ様という存在はとても大きなものです。それこそシンオウ様を中心に彼らは成り立っている。そこに我々が何か吹き込めば、途端に混乱を引き起こす。立つ鳥跡を濁さずということです」

「そっか......」

 

 優しいヒカリとしては友達を騙しているようで後ろめたいのだろう。

 しかし、シンオウ様の本性を伝えたとなれば混乱が生じるのは必然。下手をすれば、信じるものと信じないもので対立が起き、争いが起こる可能性すらある。

 それならば、何も知らない方が幸せだ。

 

「そんなことよりも、お別れは大丈夫ですか? 二度と会えなくなるのですから、後悔しても遅いですから」

「うん。昨日のお祭り騒ぎのおかげで会いたい人みんなコトブキ村に来てくれてたから、その時にお別れは伝えたよ」

「それはよかったですねー」

 

 私が大変なことになっているときにどこにいるかと思ったらそんなことをしていたのか。まあ、結果いい方向に寄与したなら少しは報われたと思おう。

 溜息をつきながら、最後の荷物をカバンに詰める。

 

「では、行きますか。神殺しです」

「こ、殺しちゃだめだよ!?」

「冗談ですよ。しかし、容赦はしません」

 

 ここまで好き勝手してくれた報いは受けてもらいますよ?

 

 

 □

 

 

 場面変わって、やりのはしら。この時代では別の言い方をするのだろうが、分かりにくいのでやりのはしらで通させてもらう。

 現代のやりのはしらに比べて岩が新しいように感じる。すでに面影が見えるな。

 と、オレンジの研究者の性なのか余計なことにまで注目してしまう。

 

「ここが神殿なのですね。何と言いましょうか空気が違うというか......」

 

 ノボリがいう。

 

「まあ、山頂ですからね。そりゃ空気も違いますよ」

「そうじゃないと思うけどなー」

 

 呆れた様子でつっこまれた。

 オレンジはこほんと咳をして気を取り直す。

 

「それではヒカリあれを呼び出してください。私は神殿の中央にいますので」

「はいはい、分かってるよ」

 

 まるで頼まれたから連絡するかのような軽いノリでアルセウスフォン(アルセウスから授けられたものらしい)を操作する。

 それを見てオレンジも神殿の奥に歩を進めた。

 

「あの、今から神と対峙するのですよね? 心配などはないのですか?」

 

 ノボリはヒカリの軽い対応に違和感を覚えたようだ。

 しかし、ヒカリはぽかんとした様子で。

 

「だってオレンジですから。たしかにアルセウスは強いけど、オレンジならどうにかしちゃうかなって」

「信頼しているのですね......」

「はい。私の師匠ですから」

 

 ついでに想い人でもあるが、それは照れ臭いので言わないでいた。

 といいつつバックからてんかいのふえをとりだす。そして主ポケモンたちを呼び出してきた時と同じ要領で奏でた。

 幻想的な音色があたりに響くと、地面が揺れる。地面が輝いたかと思うと、光の階段が生えてきた。

 ヒカリとノボリが圧倒されている傍ら、オレンジは表情を変えずにいた。

 

「この先にいるということですかね」

 

 腐っても創造神。この程度のこと驚くほどではないとオレンジは考えていた。

 様々な伝説のポケモンと対峙してきたオレンジだからできることである。

 オレンジは天まで続く階段をゆっくりと登っていく。そして最後の段を上ると、ガラスのような地面の平野にたどり着いた。そしてその中央にはオーラを放つポケモンらしき姿があった。

 オレンジは確信した、あれがアルセウスだと。

 

「ショウ......ではないのですね。わたしは彼女にてんかいのふえを与えたと思うのですが」

 

 流暢に人の言葉を話始めたアルセウスにオレンジは面を食らう。が、神だし人の言葉くらい話すかと自己完結した。

 

「ええ、それであってますよ。私が()()()に頼んであなたへの道を作ってもらいました」

「......何のためにでしょう?」

「ヒカリを返してもらうためです」

「......意味が分かりませんね。ショウはこの世界の人間です。返すも何もありませんよ」

「なるほど。創造神がここまで愚かだとは、恐れ入りました。私は何人も自己都合で人を脅かそうとする愚かな人間に出会ってきましたが、あなたはその中でも最たるものだ」

「......神であるわたしを人間ごときと比べて語るとは、あなたの方が愚かです。少し懲らしめてあげましょう」

 

 明確に敵意を向けてきたアルセウスに、オレンジは内心ニヤリとする。

 伝説のポケモンと戦うに向けて一番のハードルは敵として認識されるかどうかだ。そうでなければ、戦いにすらならず、ただ下に見られ無視されて終わりだ。

 よって相手をうまく煽って敵意を向けさせる作戦だったが、うまくいった。

 

「行きますよ。出てきなさい、ガブリアス!」

「ガバァ!」

 

 ガブリアスが元気よく出てくるが、アルセウスは意に介さずにオレンジに向けて攻撃してくる。

 

「っと」

 

 不意な攻撃だったが、オレンジは持ち前の身体能力であっさりと躱した。

 

「まったく人に直接攻撃とは、あなたは創造神ではなくワタルと呼んだ方がよさそうですね」

「なぜでしょう、その人間のことは全く知りませんが侮辱されている気分です」

 

 実際侮辱だ。ワタルを知っている人が言われれば発狂必須である。

 

「そういえばこちらの世界ではポケモンは直接トレーナーに攻撃してくるのでしたね。それでは私もこちらの流儀に乗ってみましょうか。ガブリアス、ドラゴンクロー!」

「ガバァ!」

 

 ガブリアスは光らせた爪をアルセウスに叩き込む。

 

「ぐぅ......なかなか効きますね。人間のポケモンごときが」

「ふむ、意外と効きが悪いですね。腐っても神のポケモンといったところですか」

 

 わざわざアルセウスに皮肉の賛辞を贈る。

 アルセウスの表情がわずかに強張った。そして怒りに任せてりゅうせいぐんのような隕石を空から降らせてくる。

 

「ガブリアス、ドラゴンクローですべて叩き落しなさい」

「がバァ!」

 

 ガブリアスは空中に舞うと、降り落ちてくる隕石をすべて叩き落とした。

 

「そのまま落下しながらドラゴンクロー!」

「がバァ!」

「ぐぅ!!」

 

 落下の重力と合わさって大きなダメージだ。

 

「さらにギガインパクト!」

「がバァァァ!」

「ぐうあああ!」

 

 畳み掛けるような攻撃についにアルセウスは地に伏せた。しかし、すぐに立ち上がる。

 

「ギガインパクトは反動がある技。今ならばあなたのガブリアスは動けない......!? なんだこれは!?」

 

 身体中にモゾゾと紫色の液体がにじみ出てくる。それはいわゆる毒状態。しかも、時間が経てば経つほどダメージが増える猛毒状態だ。

 猛毒状態は一般的にどくどくという技と一部の技でしかないものだ。しかし、アルセウスはそんな技を受けた覚えはない。

 その時、アルセウスは足元の違和感に気が付く。

 

「これはどくびし!? いつの間に!?」

「おや? あなたはあそこにいるドラピオンが見えませんか?」

 

 オレンジが指さす先にはドラピオンが鎮座していた。

 

「こちらの世界ではポケモンバトルは2対1になることもあるようで。初めに言いましたよね? こちらの流儀でやらせてもらうと」

「貴様ぁ!」

「そんな怒らないでください。けっこう苦労したんですよ? あなたにどくびしの存在を気がつかれないように、わざと挑発して怒らせたり、ガブリアスを使って目線を上げたりね」

 

 要するにここまですべてオレンジの手のひらの上だったのだ。

 

「さて、ドラピオンよくやってくれました。ゆっくり休んでください」

 

 モンスターボールにドラピオンを戻した。

 そして次のボールを取り出す。

 

「出てきなさい、エーフィ」

「フィーア!」

 

 次に出したのは、一番付き合いの長い相棒エーフィだ。

 

「エーフィ、ガブリアス。相手はダメージを受けている上、猛毒状態です。おそらくここで大技を仕掛けてくる可能性が高い。私たちもここで決めますよ」

「フィーア!」

「ガバァ!」

「舐めるなぁ!」

 

 アルセウスが叫ぶと、紫色の球が浮かび広がり続ける。

 

「死ねぇ!」

 

 そして弾けたと思えば辺り一帯を覆う波状攻撃がオレンジ達を襲った。だが、

 

「ふぅ。少し危なかったですね」

 

 オレンジは無傷だった。

 さすがの創造神も渾身の一撃を無傷で済まされたことに驚愕を隠せない。

 

「なぜだ! なぜ無傷でいられる! 今の技を避け切れるわけが……!」

「全範囲攻撃と言っても、要はエネルギー破でしょう? ならば、同等の攻撃で相殺させればいいんですよ」

 

 そういってエーフィとガブリアスに目配せする。

 

「ただのポケモンがわたしの攻撃を相殺させただと!? そんなわけ!」

「あるんですねー、それが。私のポケモン達は世界一強いので。それこそ、神をも凌ぐほどにね」

「ガバァ!」

「フィー」

 

 オレンジの賛辞にガブリアスはドヤ顔し、エーフィは当然とばかりに澄ました様子だった。

 

「決めますよ。エーフィはサイコキネシス。ガブリアスはげきりんです!」

「フィーアァァ!」

「ガハァァァァ!」

「ぐうぁぁぁ!?」

 

 2匹の攻撃を受けたアルセウスは叫びと共に地面に伏した。そして、先程とは違い立ち上がることはせず息を切らしていた。

 そんなアルセウスにオレンジはにこりとした顔で近づき。

 

「はぁはぁ……」

「さて、交渉ですアルセウスさん。ヒカリを諦めると約束しといただければ、このげんきのかたまりを差し上げます」

「ふざけ……」

「ちなみに断ると言うならば、今すぐにエーフィのサイコキネシス、ガブリアスのげきりん、ドラピオンのベノムショック、ピチューのボルテッカーを叩き込まさせていただきます。懸命なご判断を是非お願いします」

 

 要約すると、断るならぶっ殺しちゃうよーんと言うことだ。

 さすがの神も弱った身体にそんな攻撃を追加されたらただでは済まない。

 

「く……分かりました。ショウは諦めます」

「それと彼女の名前はショウではなくヒカリです。間違えないでいただけますか?」

 

 憎々しげに顔を歪めるが、何も言い返せない。

 そんなアルセウスにオレンジは渾身の得意顔を見せた。色々と迷惑かけられたが、溜飲が下がった瞬間だった。

 

 

 

 

 エピローグというか今回の落ち。

 私たちはディアルガとパルキアの力を借りて、元の世界に帰還した。

 行方不明になった説明は世界の危機を救うために戦っていましたと報告しておいた。嘘ではない。それに二度ほど世界の危機を救ってるヒカリならあり得る話だ。そのせいか、ポケモン協会も納得して見せた。

 まあ、しなかったら武力行使もじさない覚悟だったので、問題ないが。

 

 ノボリさんは無事にサブウェイマスターに戻ったようだ。

 弟のクダリさんからも大変感謝されて、今度ヒカリと一緒に挑戦に来てくれと言われた。ヒカリも乗り気だったのでそのうち行くだろう。

 

 シロナに関しては、戻って来た瞬間抱きつかれた。そして騒動がひと段落した後、約束通りデートに行った。とはいっても、特に何もない。ただ、買い物してたわいもない話をした程度だ。なぜかヒカリは不機嫌だったが。

 

 そうそう、ヒカリと言えば最近ヒカリの父から研究についてよく相談される。何でも伝説ポケモンについての調査に最近はまっているらしく、伝説との関わりが多い私はいい相談相手なのだと。そのせいか最近シンオウに行く頻度が上がっている。まあ、有意義な時間なので私もやぶさかではないが。

 しかも、毎回家に招待して奥さんのおいしい食事をごちそうになるので楽しみにしているぐらいだ。

 しかし、行く度にヒカリがいるのはなぜなのだろう。彼女はチャンピオンで多忙のはずなのだが。

 

 ......まあ、何となく察せられるが、ヒカリが成人するまでは大人しくしておきますかね。

 

 

 




 ヒスイ編後の関係。


ヒカリ父→娘の気持ちに気が付いて、オレンジをシンオウに呼ぶ口実つくりに協力する。しかし、娘とオレンジの距離が縮まるたびに複雑な気持ちになる。

ヒカリ母→娘の恋路を全力応援中。料理上手。

ヒカリ→オレンジに全力アタック中。チャンピオンの仕事がいそがしいが、四天王のみんなも応援しているのでなんとかして帰ってる。前チャンピオンがあれだったからね。

シロナ→あれだった前チャンピオン。やばいライバルが現れて焦りまくってる。こうなったら既成事実作ってやろうかと画策中。なお、オレンジには速攻で看破されて終わる。

オレンジ→ヒカリの気持ちには何となく勘づいてる。まだ子供なので流しているが、そのうち???


 本編は生活に余裕ができれば再開を考えています。ただ、現状は少し難しいかもです。


見たいのは?

  • オレンジがアニメ世界に迷い込んだら
  • オレンジがポケスペ世界に迷い込んだら
  • オレンジが女の子だったら
  • オレンジの日常
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