ファミリアに入って2日目、僕は借りた地図をギルドに返しに行った際、冒険者登録をした。
その時、僕の担当アドバイザーになったのが、地図を借りるときに対応してくれたエイナ・チュールさんだった。
「ではベル・クラネル氏、ダンジョンに潜る際の注意事項やモンスターの特徴、などみっちりお教えしますね」
「あの、一応それなりに知ってるのでもうダンジョンに潜りたいんですけど…」
「では、テストをしましょう。それで満点を取れたら今日からダンジョンに潜る事を許可しましょう」
「分かりました」
そんなこんなでテストをする事になり、チュールさんにペンとテスト用紙を渡された。
「では、試験時間は1時間としますので、終わり次第声をかけてください」
「あ、はい。わかりました」
そして、テスト用紙を見ると
「……ん?」
あまりにも簡単な内容ばかりであった
「……んんんん!?」
こんな内容では10分もかからないと思い、早速解答を用紙に書き始める。
そして、見直しを含め15分だった頃に僕は声をかけることにした。
「あのー、チュールさん終わりました」
「えっ!?もうですか?」
「はい、見直しもして空欄もないので、採点お願いします」
「わ、わかりました」
そう言うとチュールさんは引きつった笑顔をしながら採点をし始めた。
5分後採点が終わったらしく、驚いた様な顔でこちらに話しかけてきた。
「クラネル氏凄いですね、満点です」
そう言われて内心少しホッとする、簡単と分かっていても少し緊張してしまうものだ。
「いえ、それもこれも祖父が僕にみっちり教えてくれたからですよ」
「そうなんですね、クラネル氏の祖父様は素晴らしいお方なのですね」
「はい、とてもいい祖父でした…あ、あと僕の呼び方なんですけど、クラネル氏っていうのはちょっとこそばゆいんで、名前の方で読んでもらえたら…」
「あ、それでしたら私のこともエイナと呼んでもらっていいですか?」
「分かりましたエイナさん、よろしくお願いします」
「はい、こちらそよろしくお願いします、ベルくん」
「はい!」
それからエイナさんと今日は第1階層までしか潜らないと決め、大まかなギルドの機能などを聞き僕はダンジョンに向かった。
そして僕はダンジョンのに足を踏み入れた。
「ここがダンジョン第1階層…」
流石に入り口近くだからか、あたりを回すがモンスターが見当たらない
「少し歩き回るかな」
そう呟き警戒しつつ歩き始める、しばらくするとルームと言われる少し
広い場所に出た、そこにコボルトが1体いた
「コボルトか、よし…」
僕は剣を抜かず腰に付けているバックパックからナイフを取り出し、構えた。
腕を引き絞りコボルトの頭に向けてナイフを投擲する。
すると吸い込まれる様にコボルトの頭に直撃し、そのままコボルトは灰になってしまった。
「え?」
弱い、そう思ってしまった。
外のコボルトはナイフを投げた時点で音に気付くか頭に当たっても数十秒は生きているのだが…
「即死って…」
ダンジョンのモンスターの方が地上いにるモンスターより強いと聞いていたのだがこれでは何とも言えないと思ってしまった。
「次のモンスターを探すか…」
次は剣で倒してみようと思い、ナイフと魔石を回収してルームを後にした。
「ん?これって…」
しばらく歩いていると2階層に降りる階段を見つけた。
「この先に行きたいけど、エイナさんと約束したからマッピングだけして反対側の通路を行ってみるか…」
素早くバックパックから1階層をマッピングしていた紙を出し書き足していく。
書き足し終わり、奥の通路に進むとゴブリンが3体いた。
「ゴブリンか…奥にいる一体は剣でいいとして、手前の二体はナイフでいいか」
そう呟きナイフを構えて投擲する、ナイフは手前の2匹の頭に命中し灰になる。そして奥のゴブリンに抜剣し近づき袈裟斬りにする。
「ふっ!」
「グギャア!!」
そう短い断末魔を挙げて灰になった。
「うん、やっぱり手応えがないなぁ…」
少し物足りなさを感じながら投げたナイフと魔石を回収する。
「あれ?魔石2個しか…あっ、さっき魔石ごと切っちゃったか…ん?」
よく見るとゴブリンの角が落ちていた
「これ、ドロップアイテムか、稼ぎが減ったかと思ったけどそこまでじゃないか」
気を取り直しさらに探索を続ける為に進んでいくが
「モンスターに遭遇しない…もう今日は上がるか…」
1階層だけという約束もあるので今日はここまでにして切り上げることにした。
ギルドに戻るとエイナさんがこちらに声をかけてきた
「ベルくん、お帰りどうだった?」
「ただいまです、いやぁモンスターと戦ったんですけど手応えがなさ過ぎて…明日からは2階層に潜りたいと思ってるんですけど…」
「手応えがなかったって…ちなみに今日は何体モンスターを倒したのか教えてくれる?」
「えっと、あんまりモンスターに遭遇しなかったんでコボルト1匹とゴブリンが3体ですね」
「初日に4体かぁ、まあ1階層だし、それだけ遭遇すれば良い方だね、でも初日に4体も凄いね」
「そうでもないですよ、オラリオに来る前は村でモンスターを狩ってたんでちょっと物足りないぐらいです」
「へ、へぇーちなみに今までどんなモンスターを狩ったか教えてもらえる?」
「えーと、一番大きいモンスターならオークでしたね。と言っても年に1〜3体見かけるか見かけないかだったんでそうでもないですよ?」
「それでも恩恵なしでオークを狩れるってベルくんどれだけ凄いの…」
「いやぁ、おじいちゃんに鍛えてもらいましたから」
「へ、へぇー」
そんな話をしながら、明日から2階層探索の許可を貰いつつ換金所に向かう。
「お願いします」
袋から出したのはゴブリンの魔石2個とコボルトの魔石1個、ゴブリンの角1本
「はいよ、全部で4350ヴァリスな」
「ありがとうございます」
「初日に4350ヴァリスって、ベルくんすごいね」
「ドロップアイテムがあったからですよ」
4350ヴァリス、それなりの額になったと思い晩ご飯のメニューを考えながら、エイナさんに別れを告げ帰路に着く。
「えーと卵が25ヴァリス、肉が60ヴァリス、じゃが丸くんが4つで120ヴァリス、パンが50ヴァリス…うん、こんなものかな」
今日は卵と肉を焼いてパンに乗せて食べる事にした、じゃが丸くんはそのままで美味しいので副菜になると思いプレーン味を買った。
「神様待ってるだろうなぁ」
そう呟き今朝教えてもらったホームへ急ぐ、5分ほど走るとホームが見えてきた。
ホームの中に入り声をかける。
「神様、ただいま戻りました」
「おっかえり!ベルくん!」
そう言いながら神様は突撃してきた、だか僕の手には今晩の食事の材料がある為片手で神様を受け止める。
「神様危ないですから、ちょっと待ってください!」
「あぁ、済まないねベルくん、あまりにも帰ってくるのが遅いから心配してたんだよ」
「ダンジョンの帰りに今日の晩ご飯の材料を買ってたんで遅くなったんですよ」
「え?ベルくん料理できるのかい?」
「えぇ、まあ人並みですけど」
そう言い家を出る際にバックに入れて持ってきた料理道具と調味料を出していく
「ほぇーなかなかにいろんな種類があるんだね」
「えぇ、でもこれでもまだ少ない方なんですよ?」
そう話しつつ卵を火にかけたフライパンの上に落としていく、その後少し水を加えて蓋をして1分待つ、その間に買った肉とパンを切り分け、切り分けた肉はフライパンに乗せ、塩胡椒を振りかけ焼く。
パンは軽く焼き、表面にマヨネーズと粒マスタードを混ぜたソースを塗り、焼けた目玉焼きを乗せる。
焼いた肉とじゃが丸くんを皿に乗せて完成。
「おぉーベルくん美味しそうだね!」
「ありがとうございます。取り敢えず食べましょう」
「そうだね!いただきます!」
「いただきます」
こうして細やかながら僕たちは晩ご飯を平らげて行った。
「美味しかったぜベルくん!」
「それは良かったです。それじゃあステイタス更新お願いします神様」
「わかったよ、ベルくん。じゃあベットにうつ伏せになってくれ」
そう言われベットにうつ伏せになる。
それから神様がステイタスの更新をしていく。
かれこれ2分近く経ったところで声をかけられた
「終わったよ、ベルくん」
「ありがとうございます」
ベル・クラネル
Lv. 1
力: I 0 → I 68
耐久: I 0 → I 0
器用: I 0 → I 68
敏捷: I 0 → I 30
魔力: I 0 → I 0
NT : I
《魔法》
《スキル》
【NT-D】
・特定条件時強制発動
・全ステイタス上昇
・擬似ランクアップ
【
・NT-D発動時強制発動
「力と器用が結構上がりましたね、敏捷はそこそこで」
「だけど耐久が上がってないね」
「攻撃もらってないですから」
そんな話をしながら僕は明日のダンジョン探索に想いを馳せていた。
今回も読んでいただきありがとうございます。今回は初めてダンジョン探索をする所を書きました。とはいえ、あまり戦闘シーンもないのでそこまでダンジョン探索してるとはいえないですね。前書きにもあるように最近日常生活の方が忙しくあまり時間を取れなくなっていますが、それでも時間がある時に書いていきますのでよろしくお願いします。