オラリオに不動卿がいるのは間違っているだろうか   作:荊軻

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原生生物→深生生物



オーゼンという冒険者

 転生。それは一度死んだものが新たなる命を得て、次なる世界へ誕生すること。

 かく言う私自身も一度死に生まれ変わった。ただし少しだけ特殊な事情にあるがな。

 私が生まれ変わった世界は「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」という作品の世界だ。オラリオという都市の中心にバベルと呼ばれる塔が建ち、その地下に存在する迷宮(ダンジョン)が存在する。

 その迷宮へと地上に降りた神々の眷属たる冒険者達が夢とロマンと宝を求め迷宮へと潜る。

 

 私は生前この作品を読んで思った。

 メイドインアビスに似てる。

 

 正確に言えば0から似ているのではなく、所々似ている部分が多いのである。作品の概要、キャラクター達の目的や生い立ち、各所の細々とした設定の類似点について考えている間に何かしらの事故で死んだ。

 気がついたら農村の夫婦の娘として生まれた。そこまでは普通なのだが、私自身の名前と容姿が普通ではなかった。

 子供ながらに他人より高い身長、白と黒のストライプのような髪、捻れた髪型、常人より強い力。そして何より私の名前はオーゼンだ。

 そう、メイドインアビスのキャラクターのオーゼンだ。白笛、不動卿、動かざるオーゼンと呼ばれる存在で主人公リコの母親殲滅のライザの師匠。五十年以上もアビスに潜り続ける正に不動の探掘家である。

 生まれて自身の名前と容姿を知ったときは少しばかり驚いた。最初はアビスの世界かと思ったが、村の外れにゴブリンが現れたので違う世界だと確信した。アビスの外には深生生物はいないのだから違う世界だとわかった。

 最初ゴブリンが現れた時は一緒に遊んでいた他の子供が恐怖していたが、私だけ酷く冷静でいられた。度胸が座っているのか、オーゼンという存在だからかなのか分からなかったが、とにかく冷静に此方(こちら)へ向かってくるゴブリンの頭を掴み、両手で握り潰した。

 

 握り潰した時にゴブリンが灰となり消えたのでダンまちの世界だと分かった。

 

 十五歳になると身長は2mを越えて力は子供の頃よりも強くなり、村の人達全員と比べても断然私の方が強い。そして私はかねてより望んでいたオラリオへ旅に出ることにした。両親、友人、村の人達は快く送り出してくれた。

 オラリオに着いた私はオーディンと言う女神の眷属となり冒険者となった。なぜかノラガミのエビス小福にそっくりだった。

 その頃はまだゼウスやヘラが二大ファミリアでロキやフレイヤはまだ目立っておらず、オーディンとロキが飲んでいる所をたまに見る程度だった。

 

 迷宮(ダンジョン)へは基本的にソロで潜っており、私自身元々人と絡むのが好きでは無いのと私の見た目に気圧される者が多く、パーティーを組むことが非常に少なかった。そのため当時のアドバイザーに何度もネチネチとパーティーを組めと言われた。

 何年もオラリオで生活し、迷宮に潜れば当然レベルも上がり、神々から二つ名を授かった。最初に貰った名はかなりふざけたものだったので思い出したくない。

 その後も幾度かレベルが上がりまた新たに名を授かった。運命の悪戯か必然としたものか分からなかったが、私の二つ名は《不動卿》となった。他の冒険者からは二つ名以外にも《動かざるオーゼン》とも呼ばれた。本当は何かしら狙っているのではと疑っていた。

 私の名前がオラリオで広がると、あるファミリアからクエストに協力してくれとの依頼がきた。あるファミリアとはオラリオ二大派閥のゼウスとヘラだった。この二つのファミリアが関係するクエストと言えば三大クエストである。

 迷宮から出てきた三つの厄災、リヴァイアサン、ベヒモス、黒龍の三体のモンスターの討伐。これこそが人類の悲願とも呼ばれるものだった。私はこれに同行しゼウス、ヘラの冒険者達と共に戦った。

 クエストは二つまでは上手く進んだ。けれども三つ目がダメだった。黒龍は強かった。私達は一度黒龍を倒すことに成功したが、黒龍(やつ)は自身の魔石を従えている他の竜種モンスターに食わせて復活した。

 復活した黒龍は最初ほどの力が無いのか直ぐに遠くへ逃げ去った。普通なら追いかけて討伐する所だが、私を除く討伐隊は壊滅状態だったため追うことができなかった。

 

 さらにもっと最悪なことがあった。

 ゼウスの眷属には子供がいた。

 ゼウスの眷属(こども)ではなく、文字通りの子供。それにある程度育ってしまっていたのでとても厄介だった。生前なら邪魔くさいとは思わなかっただろうが、今では生きるか死ぬかの世界故にそこにいた子供が邪魔で邪魔で仕方なかった。

 

 両親が死んだことを知った子供は泣き、とても五月蝿(うるさ)(わずら)わしかった。思わず少し殴って気絶させてしまった。悪かったと思っているが、あのまま泣き続けられるよりはましだ。

 私はその子供を連れてオラリオに戻った。子供を交流のあったロキファミリアに預け、ギルドにリヴァイアサン、ベヒモスの討伐成功と黒龍討伐失敗及びゼウス、ヘラの両ファミリアの壊滅を報告した。

 その後は私の預かり知らぬ所でかなりのゴタゴタがあったようだが詳しくは知らん。なぜならあの後は私と主神のオーディンはオラリオを出て少しばかり旅に出ることにしたからだ。

 別に討伐に関して責任を感じている訳でも罪悪感を覚えている訳でもない。ただ、暫くはオラリオは余り面白いことは無いと感じて主神共々都市の外へと長い長い旅行のようなものをしに行ったまでだ。

 

 まあそれも今日で終わりだ。

 オラリオを出てから十年位がたった今、私とオーディンは迷宮都市へと戻ってきた。理由は単純、ただ見て回れる範囲は見て来たから戻る事にした。

 さて、この都市はどれ程変わったのか年甲斐にもなく楽しみで、少しワクワクするね。

「ねぇねぇオーゼン、オラリオについたらジャガ丸くんの小豆クリーム味食べていい?」

「ああ、都市にある本拠地(ホーム)の掃除が終わったら食べていいぞ」

「えぇ!掃除が終わってから~!?やだやだ直ぐに食べたい!」

 ただし、うちの主神は少し大人になり静かに成ってくれるととても助かる。主神(こいつ)の相手をすると疲れるのさ。




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