俺はこの世界の人間ではない。
俺の居た世界はここまで科学が発展してはいなかった。俺の世界の中心は忍で回っていた。。
この世界で忍者と呼ばれるものだ。
こちらとは違い、チャクラという力を使い超常的な術を使えた。血統が重要視される術もあった。
俺は忍五大国の一つ、木の葉隠れの里のうちは一族の出身だった。うちは里を作った一族の一つで里の主な警備を任されていた。
俺の仕事は木の葉の暗部。暗部は里の秘密警察のような組織で諜報や裏切り者を消すことを主な仕事にしていた。
俺の一族、うちはは里を作った一族なのだが年々扱いが悪くなっているのを俺は感じていた。
そして、ある日を境にそれは如実になった。
里に、九尾の妖狐といわれる化け物が襲来したのだ。それにより里は甚大な被害を受けた。
九尾を手なずけられるのは写輪眼を持つうちはだけ、そのためあらぬ疑いをかけられていた。
暗部による監視が強まり、一族も里の辺境に居場所を移された。
ついには、そんな立場に耐えかね。
父さんが…うちはの当主が里にクーデターを計画した。
俺が暗部に入ったのは父さんの命令だった。父さんが里中央の情報を知るために……スパイだった。
だが、俺は父さんに従う振りをして、里に一族の情報を流した。
俺にはこれから起こる惨劇がわかっていた。血で、血を洗う内戦だ。下手をすれば共倒れ。里自体がなくなってしまうかもしれない。
幼い頃にあった大戦の光景が目に浮かんだ。
俺は友人とあらゆる手を尽くしクーデターは止めようとした。その中で、この事件には黒幕がいることをつかんだ。
だが、全てが遅かった。そして、上層部から俺にある極秘命令が言い渡された。
うちは一族の抹殺
俺が命令に難色を示しすことを知り、上層部は一つの条件を付けた。
弟は助けてやろう。
向こうでは、俺には幼い弟がいた。なかなか素直じゃないところもあったがかけがえのない弟だった。
苦渋の決断だった。さまざまな手を尽くしたが、クーデターはもう止められない。だが、命令に従えば弟だけは助かる。
考えた末。俺は命令に従った。そして、あるシナリオを書いた。
里を作った一族うちはを滅ぼした大罪人うちはイタチを、弟のサスケが討つ。
弟は英雄になるだろう。一族の汚名も晴れる。
だが、結局俺は自分を過信しすぎていただけだった。
俺を倒した弟は、俺の予想を裏切り黒幕…マダラに感化され里に牙を向いた。俺はマダラの配下、カブトの術により生ける屍として戦争の道具にされた。
だが、最後の最後にサスケに俺の思いは伝えられた。サスケは里を許さないと言っていたが大丈夫だろう。
あちらにはあの少年がいる。
俺に仲間の大切さを教えてくれたナルトという少年が、彼ならきっとサスケを正しい方向へ導いてくれるだろう。
「ふ~~思い返してみればなかなか波乱に満ちた人生だったな」
イタチはいつもの草原で赤い月を見げる。手を空に掲げると一羽のカラスが泊まった。
カラスの頭をそっとなで、誰もいない草原の先に視線を移す。
「姿を現したらどうだ」
イタチの声にいつもの男がどこからともなく現れる。笠はかぶっていなかった。顔もはっきりとわかる。
「もう俺の姿はいいだろう。元の姿に戻ったらどうだ、長門」
「ふふ、そうだな。これ以上この姿をとる必要はないか」
男が微笑むとボンっという音と煙が男を包んだ。煙が晴れるとそこには赤髪で螺旋模様が浮かんだ薄紫色の瞳を持つ優男……長門 が姿を現した。
長門とは一族を抹殺し、里を抜けたあとに出会った。
彼は「暁」というテロ組織を率いていた。構成員のほとんどが里を追放された者や、莫大な懸賞金がかけられた犯罪者だった。
おかげで十人程度の小規模組織であったが、大国が恐るほどの戦力を保持していた。
イタチは長門の思想に感化されたところもあるが、うちは抹殺の黒幕の存在を感じ組織に入った。
性格破綻者が多い組織のため構成員とはなかなか折り合いがつかなかったが、長門とだけは唯一馬があった。
「久しぶりだな長門。聞きたいことは山ほどあるが、まず確認するがこの状況はおまえの仕業だな」
「ああ、俺もいろいろと予想外だったがな」
「予想外?」
何が予想外だったのだろうと考えつつもイタチは話を聞き続ける。
腕に留まっていたカラスはいつの間にかイタチの肩に移っていた。
「輪廻転生の術を覚えているか?」
「輪廻眼を持つおまえだけが使える術で、死者を生き返す転生忍術だったか」
長門はイタチ同様、特殊な目を持っていた・・・「輪廻眼」イタチの世界の忍の開祖「六道仙人」が唯一持っていたとされる目だ。
これを持つ物は創造神とも破壊神とも言われるほどの絶大な力を得るらしい。
「ああ、そうだ。」
「聞いた当初は大蛇丸の術を知らなかったから眉唾物としか思っていなかったがな。いったい何時使った?そんな時間はなかったと思うが」
「俺が封印される時だ。」
イタチと長門の死後始まった大戦の戦力として二人は生ける屍として蘇生されていた。
「穢土転生の術」…生者を寄り代として死者の個人情報物質を使い現世に死者を蘇生させる。
蘇生させると言っても生き返すわけではなく、ゾンビ状態で蘇生される。そのため、致命傷を受けても即座に再生する。
さらに、対象の頭に札を埋め込むことで精神と身体を制御することもできる禁術だ。
二人はこの術で操られ、ナルトという大戦の目標確保のために動かされていた。だが、イタチはとある術により身体のコントロールを取り戻し長門を封印した。
封印されるとき長門は意識を取り戻していたが、身動きが取れない状況だった。
「だが、印を結んでいる様子はなかったが?印を結ばなければその術は発動しないだろう」
「輪廻眼のなせる技だ。前にいっただろう。俺とお前の目があればできないことはないと」
長門は自身の輪廻眼を指さした。
「確かにそんなことを言っていたな。だが疑問がある。おまえの話した術は対象を生前も姿で生き返すはずだ。俺は見てのとおりこの姿、さらにここは俺たちのいた世界じゃない。どういうことだ?」
今いる世界がイタチがいた世界ではないことはわかっていた。
記憶が戻ったからと言っても、それまでの記憶がなくなったわけではない。これまで生まれて知った知識を総動員しても元の世界の痕跡すら出てこない。
故に、この世界はイタチのいた世界ではないのだろうと考えていた。
「俺は術の別の可能性に至っていた。元の姿ではなく、新たな命として再び生を受ける。そのような事が出来るのではないかと。まあ、まさか別世界でおまえが生まれるとは俺も思わなかったが。それに記憶まで失っているとはな。俺の思念がおまえの中に残っていた事が今回は幸いしたな」
「輪廻眼にそんな事が出来たのか……だが、なぜ俺に」
「イタチ、おまえ……長くなかったのだろう?」
「知っていたのか!」
その答えにイタチは驚いた。
生前、イタチは病にかかっていた。どんな医者に見せても首を横に振るだけ、投薬による多少の延命としか言われなかった。
弟に殺されるまで生きなければならないイタチは投、薬によりなんとか命をつないでいる状態だった。
そのことは長門しかり、誰にも悟られていないと考えていた。
「通常の輪廻転生では生前の状態で蘇生される。よって、おまえの病は治らない。だからこの可能性にかけたのだ。
俺も予想な面もあったが、この結果は良かったのかもしれない。この世界は俺たちの世界に比べれば平和だ。」
長門は空を見上げた。月はいつもと同じく赤く輝いていた。
すると、突然長門の身体が光り始めた。
「長門!」
「どうやら時間のようだ」
「何を言って」
「言っただろう。俺は所詮おまえの中に残る残留思念に過ぎない。今までおまえの中に入れたこと自体が奇跡みたいなことだ」
腕が、足が、光の粒子となって次第に消えていく。
「待て長門!まだ、全てを答えてもらっていない!なぜ俺を生き返した!」
イタチの叫びに、長門は静かに答える。
「ふふ、単なる俺の気まぐれだ。暁の中で俺の理想を本当に理解してくれたのはおまえと小南だけだった。それに、俺にはおまえが何か心残りがありそうに思えていた。ただそれだけの理由だ」
「長門……」
「イタチ、生きろ……」
その言葉最後に長門は光の粒子となって空に消えていった。
残ったのは誰もいな草原。イタチはただ、空を見上げて立ち尽くしていた。
イタチが静かに目を開けると、見知らぬ天井が広がっていた。消毒薬のにおいが鼻につく。
ベッドから起きると、胸の傷がひどく傷んだ。
(く……そういえば肋が折れていたな。長門……おまえを封印した後、俺はサスケに全てを伝え俺はもう想い残すことはなかったというのに……)
窓の外に目を向けるとは、朝日が差し始めていた。
イタチの心には長門の最後の言葉か響いていた。
「生きろ……か」