年代を感じさせる調度品と、この年代の女の子らしい小物がが置かれた部屋ですずかは机に伏しながら物思いにふけっていた。
部屋の照明は机のスタンドライトのみ、今日は月齢的には満月なのだが厚い雲が空覆い隠し月明かりすら入ってはこない。
「あの人は誰なんだろう」
すずかは思う。
三日前、私が誘拐されたとき現れた紅い目をした青年。
お礼を言いたかったが、結局言わずじまいで消えてしまった。
「はぁ~~」
このため息も何回目だろう。
顔を上げ目の前置かれた鳥籠を見つめる。鳥籠にはカラスが一羽、自分の羽を丹念に毛繕いしている
ふと、カラスはすずかの視線に気づいたのか、首をかしげながらどうしたのという表情を見でこっちを見てきた。
「はぁ~~」
ため息をつくたびに幸せは逃げるというが、いったいどれらい私から幸せは逃げて行ったのだろう。
カラスはただただ、すずかを見つめていた。
「さてと…。とりあえず考えられるかぎり準備はしたけれど、どうしたのものかしらね~」
この家の主・月村忍が一同に振り向き言う。ここは月村家の応接室、大きな長机の両脇には前回の事件の関係者全員が座っていた。
メイド長のノエル、なぜかところどころ傷だらけ高町恭也、その父親、高町士郎そして眼鏡をかけた娘の高町美由紀。
座っている全員は神妙な面持ちだ。
「万が一のためにありったけのトラップもこの部屋に仕掛けたし~~センサー共々もこれ以上ないくらい完璧よ!どんな相手が来てもスイッチ一つで確実に殺れるわ!」
忍が自身満々に全員に言う。しかし、外野はそうは思っていないようだ。
「俺はやはり反対だ。実力もわからない奴をこの家に呼ぶのは!」
「でも、今回のトラップは自信作よ!恭也だって身に染みてわかってるでしょ」
「ああ……」
恭也は今回、忍の仕掛けたトラップの実験台にされた。相手の実力が未知数であるため、手始めにこの中で一番実力のある恭也が実験台にかり出された。
結果は見事に恭也をズタボロして忍は満足している。
「恭ちゃん大丈夫」
「ああ、怪我はないから大丈夫だ」
「怪我がないと言うことは非殺傷設定も完璧ね!」
美由希なねぎらいに恭也はよわよわしく答えつつも忍は非常に自慢げだ。
すると、応接室のドアが開き、すずかが鳥籠ろ抱えて同い年くらいのメイドと一緒に入ってきた。
「ファリンありがとう」
ファリンと呼ばれたメイドは一礼をして出ていく。
すずかは長机に鳥籠置き空いている席に着いた。
鳥籠のカラスは周囲を気にせずにのんきに毛づくろいをしている。なかなか神経が図太いカラスだ。
「それにしてもカラスか。ハトならわかるんが」
「確かに珍しいよね!某妖怪漫画みたい。伝書カラスなんて」
恭也と美由希はカラスを見ながらい言う。
「カラスは意外と頭がいいんだぞ」
「そうなの、父さん?確かにテレビで都会のカラスはいろいろと学習するって見たけど」
「まあ、確かに知能は高いが伝書バトの代わりにする話は聞かないけどね。僕も伝書ガラスは今まで見たことはないかな」
「ゴホン。では皆さん、もう一度状況を説明したいと思いますがよろしいでしょうか」
「ああ。話がそれたね。すまい」
「いえ」
ノエルが士郎の話を静止し状況の説明に入る。
「昨日、預かっていたカラスが外へと飛び立ち、戻ると手紙を持ってまいりました。
内容は簡潔にこちらに来る時間のみ。手紙の素材も何処にでも紙で指紋等は付着してはおりませんでした。
ああ、このカラス自体もこの国に普通に自生している物で、CT等を取りましたが体内に不審な物はありませんでした。
こちらも同じように了解のむねつげ、カラスを送り返したというわけです」
「気になったんだけど?用が済んだのに、このカラス戻ってきたのかい?」
「はい。たぶんですが何かこちらからの追加用件があった時用でしょうか。期日がわかった以上、こちらもおもてなしをしなければなりません。
皆様には作戦どうり所定の位置について、対象が不穏な動きをした場合即座に対処をお願い致します。
この部屋に仕掛けられたトラップの位置は間違わない様にお願い致します。
皆様が引っかかられたら洒落になりません」
「ああ、その点は大丈夫だろう。しっかりと確認したしね」
ノエルの説明を聞き、士郎は息子達に視線を向ける。
「では、皆様宜しくお願い致します」
「お願いね~~」
この後高町家の面々は所定の位置へと向かう。残ったのは、忍とすずかとノエル。
時間はこくこくと過ぎ、そうすぐ相手の指定した時刻になる。すずかは隠れていなさい、とさんざん恭也達に言われたが本人が直接お礼を言いたいと言い、頑としてその場を動かなかった。
時間になると突然カラスが鳴き出した。カラスはここまで訓練出来る物なのかと関心する。
「来たようね」
「来たようですね」
忍とノエルは互いを視線を合わせた。
(みんな、お願いね)
夜道を一人の青年が歩いていた。
黒い外套を身にまとい、顔はフードでよく見えない。
変化の術で姿を変えたイタチだ。
イタチが立ち止まると、眼前には数メートルはある鉄柵の門が城門のようにそびえ立っていた。
(さて、何が飛び出してくるか)
門が静かに開くと、奥から一つランプの明かりが近づいてくる。
案内役の月村家のメイドのノエルだった。
「こんな時間にすまないな」
「いえ、それよりも」
ノエルはイタチの全身をくまなく見回す。
その視線に気づいたイタチは
「武器になるものもってきてはいないが、信頼は出来ないか」
「はい。すいませんが一応確認させていただいてもよろしいでしょうか?」
「構わない」
ノエルはイタチを警戒しつつランプを地面に置き、念入りにボディーチェックを行う。
フリルの付いたスカート裏から金属探知機まで持ち出し入念に調べている。
「ん?」
「どうした?」
「こちらは?」
ノエルがイタチの外套を探っていると、片手に収まるぐらいの小さな黒い巾着と一枚の写真が出てきた。
ノエルは巾着が気になったようだ。
「単なるお守りだが」
「そうですか?一応、中を拝見しても」
「お守り中身を空けると、効力がなくなるというのだがな」
「万が一といこともありますので。こうなるとわかっていたのならば持ってこなければよかったのでは?」
「大事なものなのでな」
中を開けると四つ折りの紙が入っていた。
紙には墨でミミズが這ったような文字が書かれ、中心に円と円の中に刃という漢字が書いてあった。
これといった怪しいものもないので、確かにただのお守りなのだろうとノエルは考えた。
「満足か?」
「はい、失礼いたしました」
お守りをイタチに返すとノエルは屋敷の中へと案内をする。
お互い無言のまま広い中庭を屋敷へと進んでいく。
「昨日はありがとうございます。あなたがいなければお嬢様達はどうなっていた事か」
青年の前を歩くファリンは静かに礼を言った。
「こちらの目的が偶然おまえ達の事件と重なっただけだ。礼を言われる筋合いはない」
「そうですか……ですが、言わせてください。すずかお嬢様を助けていただきありがとうございました」
ノエルの礼を聞きつつイタチは別のことを考えていた。
(このメイド、やはり人形か。一瞬写輪眼で確認したが、チャクラの類は見えなかった。最近映画でみたアンドロイドか?いや、遠隔操作の人形ということもありえるな。
やれやれ、電子的なものはこの目では見れなからな。文明の違いを感じるな。チャクラによる忍術が発展しなければ俺たちの世界もこうなっていたのだろうか)
中庭をしばらく歩くと、眼前に豪邸が姿を現した。
建物は煉瓦造りの西洋風建築でよくテレビで紹介される北欧の豪邸のようだった。屋敷に入りイタチは応接室に通された。
そこには、すずかが椅子に座りその横に忍が立っていた。
長机にはイタチがすずかに与えたカラスが入った鳥かごが置かれている。カラスは主が現れたというのに特に気にせず、毛繕いをしている。
ノエルはイタチに忍と対面する席に案内すると、自らは忍の横に立つ。
ここでイタチはかぶっていたフードを脱ぐ。黒髪、黒目の青年が姿を表した。
「ん?」
「あれ?」
「なんだ?」
ノエルとすずかは不思議に思った。
あの時、瞳の色は特徴的な紅い色だったはずだ。
(あの時、瞳の色は紅かったはず。カラーコンタクトの類でもつけていたのでしょうか?)
ノエルはイタチの瞳を気にしつつ相手の出方を伺う。
イタチは対面する形で前に立つ人物が、この館の主なのだろうと察した。
「私はこの家の主、月村忍よ」
「月村すずかです」
「さて、私達が名乗ったのだからあなたも名乗るべきじゃないかしら」
忍がイタチに視線を向ける。
「シスイだ」
イタチはかつての親友の名を言う。
今の姿もかつての友人の姿に変化している。
「まずお礼言わせたもらうわ。すずかを助けてくれて本当にありがとう」
「あ、あの、危ないところを助けてい、いただきありがとうございます」
忍の礼とともにすずかが少しかみつつ小さく頭を下げた。
うまく話せなかったことが恥ずかしかったのか、すずかの頬は赤く染まっていた。
「礼を言われる所以はない。たまたま俺の目的と重なっただけだ」
「目的?もしよければ私たちに教えてくれないかしら」
忍はいぶかしげにイタチを見つめた。イタチは押し黙ったままだ。
忍の問いにイタチは答えず、壁に掛かった時計の進む微かな音が空気を重くする。
1分ほど経ったのだろうか?当事者達にはそれ以上に感じられていた。
沈黙を破りイタチが静かに口を開いた。
「俺はとある男を探している」
イタチは懐から一枚の写真を取りだした。
そこには、一人の男が映っていた。
まるで、蛇を思わせる人相の男だ。彼は前世だイタチに因縁のある男だった。
「先ほども見ましたが、蛇みたいな人相ですね」
「そうね。それよりなんだかオカマぽい」
ノエルと忍がなにやら酷いことを行っているがイタチかまわずに話し続ける。
オカマという部分に懐かしみを覚えたが、今はこちらが優先だ。
「この男は『大蛇丸』と呼ばれているらしい。実際の名前はわからない。俺が確認した情報によると夜の一族が何らかの形で繋がっているということだ」
「だから、私たちの一族の事件に首を突っ込んでいたのね。もしかして、一年前の事件も?」
「ああ…そうだ。それでだが」
「残念ながらこの男については何も知らないわ」
「同じ一族のおまえ達なら何か知っている考えたか無駄足だったか」
イタチは写真をしまうと目を瞑り手で顔を覆った。
(まあ、知っている訳もないのだがな。むしろ、知っていたら面倒だったな。さてと、ここからか…)
何せこの世界には存在しないのだから。
「それより、あなたが何者か話してはくれないかしら?」
「こちらの目的は話した。そこまで話すいわれはないな」
「残念ながら、はいそうですかで返すわけにはいかないよ」
イタチは目を静かに開け忍に目線を合わせた。
空気が重くなった。すずかの顔色がだんだんと青くなるのが見える。
「私たち夜の一族には掟があって、私たちの存在を知ったものをそのままにしておく訳にはいかないのよ」
「ではどうする?この場で俺を殺すか?」
「いいえ。そこまではしないわ。あなたには忘れて貰う。私たちのことを。でも、あなたが自分の正体を言うというのなら…」
「くだらないな。丸腰で来たと言うことは、逃げる算段がついているということだ。どうせ、昨日の男もどこかに隠れているんだろう?」
忍の言葉を遮ぎりイタチは言う。
「どうかしら?そう、残念ね。でもあなたはわかっているでしょ?自分が罠の中に飛び込んで来たことくらい」
「さあな?どれだけの罠を仕掛けようと俺には意味はない」
「そう…じゃあ思い知るがいいわ。私の自慢のトラップ達を!」
忍は何かのリモコンのような物を取りだしイタチへ向ける。すずかは驚き籠を抱え机の下にもぐる。
イタチはだからどうしたいう。冷静な表情で忍を見つめている。
「そういえば。最後に質問をいいか?」
「て、ちょっと。タイミングが悪いわね。で、何かしら?」
「いや、記憶を消すと言ったがどうやるのかと思ってな?SF映画見たいに銀色の記憶を消す機械でもあるのかと思ってな」
「映画の見すぎよ。いいえ。単に私と目を合わせるだけよ……このようにね」
忍の瞳が一瞬で赤く染まる。
イタチは突然意識が飛びそうになり、長机に勢いよく手をついた。
「視線を合わせておいてくれてありがとう。手間が省けたわ。ノエル申し訳ないけれど…「興ざめだな」え…?」
イタチが静かに立ち上がった。
顔はうつむいたまま
「あなた、私の力が効いて…」
言い終わる前に忍は身体に違和感を覚えた。身体が金縛りに遭ったように動かないのだ。
顔を上げたイタチに全員が目を見張った。瞳の色が変わっていた。
赤い瞳にそして、特徴的な勾玉模様が一つ
「く、何をしたの。それに…あなた私達と同じ…」
「残念だがおまえ達とは違う。それに、この程度の瞳術では俺には通用しない。」
「お嬢様に何をした!」
痺れを切らしたのか、ノエルはメイド服のスカート裏に隠していた投擲用のナイフを瞬時に取り出すとイタチに投げつける。
空気を切り裂いて一本のナイフが飛翔する。が、イタチは椅子から瞬時に飛びのき壁際に寄った。
(交渉はこれで終いか……まぁこうなることは分かっていたが……
それにしても夜の一族、うちはと同じく紅い目を持ち瞳術を使うか…まぁ、写輪眼ほどではなっ!)
イタチは瞬時に天井を向く。
二本の小太刀を構えた恭也が天井を破り、それをイタチへと振るうがすでに姿はない。
「な!」
「意表を突いたと思っているだろうが、気配を消すのがまだあまいな。部屋に入ったときからバレバレだ」
恭也は後頭部をつかまれたと思った刹那、高級な絨毯にキスをする。
衝撃で恭也の手元から離れた小太刀を手に取り、イタチは身をひるがえす。
「恭ちゃん!」
今度は、美由希が勢いよく床からせり出し、恭也からイタチを離すために刀を振るった。
イタチは奪った小太刀を振るう。
「へ?」
軽い金属音がしたと思ったら、美由希の持つ刀は柄から20センチ先がなくなっていた。
美由希もまさか刀が切られるとは思いもよらなかったようだ。その非常事態に一瞬隙を作ってしまった。
その隙をイタチは見逃すはずもなく。美由希の後ろに回り込むと、のど元に小太刀を突き付け拘束した。
「動くな!そのリモコンもしまってもらおう。壁の後ろにいるものも出てきたらどうだ?」
「く!」
「やれやれ、やっぱり気づいていたのかい」
動かない忍からリモコンを奪い取ったノエルは動きを止め、壁の裏側に隠れていたのか。
壁が回転すると士郎が現れた。
「確かにこいつらよりはましだがまだまだだな」
「手厳しいね」
「さて、では帰らせてもらおうか」
美由希を拘束したままイタチは部屋のドアに目線を送った。
「まって!」
「?」
忍の叫び声にイタチは目線を向ける。
忍はまだイタチの術にかかり、リモコンを向けた体勢で止まっていた。
「ああ…忘れていたな」
「え?」
そういうと、突然術が解け忍が盛大にしりもちを付いた。
「いた!」
「じゃあな」
「ま、待ちなさい…」
「なんだ?」
忍がおしりを摩りながら立ち上がる。
「あなた、私たちと手を組まないかしら」
「なに?」
「忍!何を言っている!」
床に倒れていた恭也は忍の話を聞き立ち上がった。
「恭也は黙ってて。あなた聞いた感じだと今まで一人で行動してきたのでしょう。もし私たち以外に一族を知っているのかしら?
言うのもなんだけれど、私たち月村家は一族の中でも高位に属するの。だから他の一族の情報を得ることも容易いわよ」
「……」
「あなたは私たちに戦力を提供する代わりに、こちらは情報を提供する。悪くない相談じゃないかしら?」
静寂の中時が進む音だけが聞こえる。
イタチは目を瞑ると呟いた。
「わかった」
イタチは美由奇ののど元から小太刀を離し解放した。
美由希は大きくため息をつくと恭也のそばによって行った。
イタチは倒れた椅子を起こすと、もう一度席へとつく。
「では、契約内容を決めようか」
「ええ」
忍はイタチの対応にほくそ笑んだ。
契約内容は解決に言うと以下になった。
1・イタチの素性については詮索はしない
2・武器、情報等の提供を月村が行う
3・イタチの戦力の提供
この他に、細かな補足事項が付いたが特に気にすることでもなかった。
「こんなとこかしらね」
「妥当だろうな」
「連絡の方法はどうしましょうか」
「そいつに、頼む」
籠の中のカラスを指差した。
カラスは一同の視線を浴び、首をかしげている。
「いや、あのね。さすがにそれはないでしょう。確かに賢いというのはわかるけれど。手間がかかるでしょ。連絡先の番号とかないの?」
「素性が知られるものは。持たない主義だ」
「いまどき、それはちょっとないんじゃないかしら」
忍はイタチの言葉にため息を吐いた。
「いいわ。こちらで連絡用の携帯を貸し出すわ」
「必要ない」
「GPS等の発信機なんてつけないわよ。もう、約束は守るわ」
「……わかった」
「ノエル今すぐ準備して」
「はい、忍お嬢様」
携帯を受け取り全て終えた時にはすでに丑三つ時を過ぎていた。
イタチは来た時を同じくノエルに案内され屋敷を後にする。
「では、またいずれ」
「ああ、あの男にはあやまっておいてくれ」
「はい」
そう言うとイタチは歩き出した。
その、後ろ姿をノエルは見えなくなるまで見つめていた。
ある程度屋敷から遠ざかると、イタチの姿は何羽ものカラスとなって飛散に彼方へと飛んでいく。
それぞれがルートを変えつつ飛んでいく先はいつもの森。
森に生える杉の天辺にイタチはいた。
先ほどまでの月村家にいたイタチは鳥分身。保身に保身を選んだ結果。
イタチにはすでに分身を解除したことによる経験の伝達が来ていた。
カラス達はイタチの周りを旋回する。
ぐるぐるとぐるぐると
「想定内か……これで情報と武器を得ることが出来るか……」
イタチは手を前に出すと、一羽のカラスが携帯を手に置いた。
一同はイタチがノエルに案内され去っていくのを窓から眺めていた
「忍何を考えてるんだ」
「あら恭也元気ね。顔大丈夫?」
「ああ、骨にまでは達してはいない」
「僕も恭也と同意見だよ。今回のことはさすがにまずいと僕は思うね」
士郎は恭也の意見同意した。
「彼、まだ実力を隠してるね。はっきり言って。僕の全盛期以上かもしれないなぁ~」
「父さん以上!」
士郎の戦力分析に恭也驚いた。
「それより、美由希大丈夫かい」
「は~~」
士郎は悲しそうにため息を吐く美由奇に振り向いた。
「大丈夫か?美由希」
「う~~恭ちゃん。私の刀が~~」
「まさかよね。私も驚いたわ」
「僕も見てなかったけど驚きだね」
美由希は負けたショックより、自分の刀を切られたことに悲しんでいた。
「でも、彼は信用できると思うわ」
「その根拠はなんだ?」
「女のカンよ!」
親指を立てた手を二人に向け忍は言い切った。
二人はお互いに顔見合わせ、は~~とため息を吐いた。
(ノエル、私たちの一族所在をできる限り探して)
(わかりました)
高町家の呆れた様子を見つつ、忍はノエルに指示を出した
一方すずかは
「この子忘れられてる」
自室で眠るイタチのカラスを見つつ呟いた。
すずかは再び話し合いが始まるお緊張の糸が切れ眠ってしまっていた。
しかも、鳥籠を抱きかかえたままだったことからそのまま放置されたのだ。
「またシスイさん来るからその時でいいよね。赤い瞳シスイさんも私たちと一緒なのかな……」
すずかの言葉にカラスは首を捻った。
それぞれの思想の中夜は過ぎてゆく。