万象の半精霊 作:宇宙豆
第1話
『この世界は複数の種族が共存している世界』
『天使、悪魔、吸血鬼、竜人、精霊、幻人、鬼人、エルフ、ドワーフ、獣人、妖精、人族』
『今より約700年前に十二種族間で結ばれた、"十二神不戦条約"により、長い間続いた争いが幕を閉じた』
『締結した直後も何度か争いがあったが、とある事件がきっかけで種族間の
『十二種族の他に新たな種が生まれたからだ』
『十三番目の種族にして、世界から嫌悪されただ欲望のままに動くだけの化け物、醜人』
『
『この事態に、当時の十二種族の長達は互いに各種族の実力者を選出し、彼らを筆頭に醜人達に決戦を仕掛けた』
『選ばれた12人は、各種族の神にあたる存在から加護を受けた者達で、その絶大な力を振るって醜人達を大陸の中央へと追い詰めた』
『追い詰められた醜人達は最後の抵抗を見せるが、力及ばず大陸の中央深部に封印される』
『そして、大陸に平和がもたらされた』
『全種族を率いた12人は十二聖天と呼ばれ、その武勇と伝説は今でも人々の希望の象徴として語り継がれ、その称号は現代でも残っている』
「熱い....」
動くことの出来ない俺は、周りが火の海に包まれている中一人部屋の真ん中で倒れていた。
熱を感じているのは主に顔面付近であり、それ以外の全身至る所は焼け爛れほぼ感覚が無くなっている。
何故自分がこんな所で倒れているのか、記憶が曖昧になっている。
しかし、ハッキリと覚えていることもある。
母さんが目の前で殺された....
殺した奴の姿をハッキリ見る事が出来なかったが、全身を布みたいなものですっぽり隠していた。
奴は一体誰だ、何で母さんと俺を殺しに来た.......
いや...今はそんな事考えるな、意識が戻ったのなら早くここから脱出しなければ...
痺れて動かなくなっていた体は、少しだけだが感覚が戻り始め、動くようになっていた。
それに伴い痛みもあったが、今はそれが良い気付け薬になっている為、途中で意識が飛ぶことは無いだろう。
「クッ....ぅうう....」
痛みに顔を歪めながら、何とか四つん這いの体勢まで起こす事ができた。
そこから外まで這いながら脱出を試みる。
そんな中、ふと母さんが居たであろう辺を振り返る。
そこには母さんの面影が何一つ残っていなかった。
「母さん.......クソが...」
俺は犯人に対して意味のない悪態をつくが、その言葉は何の抵抗もなく周囲に溶けて消えた.....
「................」
俺は再び出口へと向かった。
そうして俺は何とか玄関の前までたどり着き、既に焼け落ちて消えた扉を潜り外に脱出した。
倒壊した家の物で潰されては堪らないので、出来るだけ家から離れた場所まで頑張って移動した。
離れる事だけに集中して動いていると、運の良い事に井戸の近くまで来ていた。
多分無意識の内に水がある場所に向かったのだろう、つくづく生き物の生存本能は凄いと思う。
しかし、身体中が焼け爛れている今は一気に水を飲んではいけない、それに井戸の水を汲むにもこの状態じゃ多分桶を引っ張れないだろう。
幸いにも井戸の側面はしっとり濡れていて冷たいので身体を冷やす事はできる。
「ある程度、治るまで少しの辛抱だな...」
ひどい大火傷だが、俺は自然治癒力が高く暫く安静にしていれば治るのだ。
井戸に背をもたれ、焼け落ちていく家を茫然と眺めながら心の中である事を誓った。
(必ず....復讐してやる!)
この先、まだガキな俺が1人で生きて行くには厳しいだろう。
けど、どんな屈辱を味わっても、どんなに卑しくとも、他人からどれ程見下され、虐げられたとしても!
絶対に生きてやる!生きて復讐してやる!
どんな手を使っても!あらゆる手段を用いて奴を殺すっ!
この日の事を俺は一生忘れる事は無いだろう.....大丈夫だ.....
だから今は、この悪夢から目覚める事にしよう.....
読んでいただきありがとうございました。