ログ・ホライズン-『現実の生産者』 作:サブ職業:小説家 lv.1
「本当にええんか?」
うとうとしながら、私はマリエールの話を聞く。
まさか本当に明朝に行くとは…調べものをした後ミノリと念話でお話し、私は少しだけ温泉に入った後に寝ようと思ったら、アカツキに起こされて準備をする事になった。
シロエ達に合わせて、私達の人数も3人にした。
ハヅキは今回眠っていた事と、ススキノの治安が悪く、更には向こうに居た姉妹に毒されない様に置いていく。
ミントは食事の楽しみの為に連れていきたいが…置いて行った側の反乱が怖いのでミントも置いて行くことにする。
代わりに片道分のお弁当は皆…シロエ達は貰ってないけど…貰っているので良いとしよう。
という訳で今回の編成は…フェーレースと何時ものメルだ。
「森呪遣いと召喚術師ですか。今回は結構マシな編成ですけどどうしたんですか?」
「あー…今回はマスター…サミダレさんが凄く眠そうで、それでも一人で行きそうだったので私が独断で決めたんです」
その言葉と同時に、私は少しだけ頬を膨らませる。
…しかし私を背中に乗っけたユニコーンの声が聞こえ、私は思わず頬を緩ませた。
「私が運びますので皆さんは心配しないでください。マスター、色々調べていましたから」
「…成程、分かりました。フェーレースさんの事は知ってますので信頼してます…確か四神レイドをクリアした召喚術師だとか」
「そうですね」
直継とアカツキは三日月同盟から色んな物を受け取っているのを見ながら、私は小さくユニコーンの頭を撫でた。
嬉しそうに嘶くユニコーンを見ながら、私はゆっくりと口を緩ませる。
「…優」
それと同時にマリエールが現れ、私はゆっくりと目を逸らした。
…あんな風に心を折った手前、ちゃんと話すのはちょっとだけ気不味い。
「…この世界でも本名で呼ぶのはご法度だよ、マリ」
「…なんで、今回の遠征受けてくれたん?優言ってたやんか。旨みの無い事はしとうないって」
「そうだね…」
私は目を瞑って考える。
…何で受けたかなんて、沢山理由はある。
ススキノに行って情報が合っていたか、向こうに居る姉妹をさっさと拾っておきたい。にゃん太とミントのご飯を食べ比べたい。
…まぁ、でも一番分かりやすい理由は…
「…マリがギルドマスターとしての重圧に圧し潰されそう…だったからかな」
「えっ?」
「マリが偶に、私に連絡を入れる理由はそれでしょ?“同じ中小ギルドマスター”として話し合いたいなんてね」
私もマリもギルドマスターだから、きっと二人で話したかった。
…だけど私の姿を見て何処か不安になったんじゃないか…?私はそう考えていた。
「…それは…」
「勿論それもある事も理解してるけどさ…一度本心から言ってくれれば良かったのに」
「……それは、今やないとあかんか?」
周りを見渡したマリが、恥ずかしそうに聞いてくる。
…前に私と二人きりになった時と同じ様に、少しだけ周囲を見た後に……私の姿を見て目を逸らした。
「…勿論」
「ぅぅ…優の阿保…」
そう言って顔を下に向けて…決心したのか私の方を向いて恥ずかしそうに笑いかけた。
「…寂しかった。それに、逃げ出したくなるくらいに怖かった。梅子と一緒に、何処かに逃げてしまいたいくらい」
「私もだよマリ。ギルドがギルドなら、さっさと抜けて宿屋で腐ってた」
「…それが出来ないのが、マスターの辛い所やな」
「うん」
私とマリが笑顔を見せあい、二人で拳をぶつけ合う。
マリがまさかするとは思わなかったのかシロエがビックリしていたのがとても面白い。
「行ってきますマリ。お土産期待して?」
「勿論や。サミダレの凄い所は知ってるんだから、失敗談の一つでも持ってき?」
「ふふ、もしアキバで情報を集められたら失敗談でも語ってあげる」
その言葉を聞いて、少しだけ目をぱちくりとさせた後に…私に対してはにかんだ。
それを見て私が苦笑するのと同時に、マリが嬉しそうに私の頭を撫でる。
「それは楽しみや。特大の情報持って来るから覚悟しとき?」
「私達の情報に勝てるといいね?」
二人でそう言い合いながら笑い合う。
気付けば彼女の笑顔は、昔見たような太陽のような笑顔になっていて。
そして…
「直継や~ん!」
向こうに居る直継に突撃しに行ったのを見て、私とシロエは顔を見合わせて苦笑した。