ログ・ホライズン-『現実の生産者』 作:サブ職業:小説家 lv.1
「降りて食事にしようか」
…私が目を覚ますと、シロエ達がゆっくりと馬から降りていた。
私もゆっくりとユニコーンから降りつつ、ありがとうとユニコーンを撫でながらお礼を言った。
それが嬉しかったのか私に対して頬擦りをしてくれるユニコーンを見て、私の頬が思わず引き攣った。
…ちょっと角が怖い。
「マスター出発してからぐっすりでしたからね。ユニコーンも回復呪文とか使ってましたし、やっぱり動物には好かれたりするんですか?」
その言葉を聞いて、私は少しだけ考える様に視線を空中に動かした。
…まぁ、“体質”の事を考えると好かれては居るのだろうが…どうだろう?
「…うーん。あんまりかな?昔は朝、野良猫と一緒に登校したりとかしたけど…」
「それは好かれているのではないか?」
「そうなのかな?」
フェーレースからカーバンクルを召喚して貰ってモフモフとしていると…それを羨ましそうにアカツキが見ている。
ご飯を片手に持ちながらゆっくりと近づくアカツキをじっと見つめるカーバンクルを撫でながらも、ミントから貰ったご飯を食べる。
「…ん、美味しい」
「そうですね。そういえばマスターは、ススキノの二人はどうするんですか?」
「黒と白ちゃん達の話ですか?」
アカツキが来るより早く私の方に近づいたフェーレースが、私に対して話しかけてくる。
それを見て私は少しだけ微笑みながら小さく頷くのを見て、メルが嬉しそうに微笑みながら口を開く。
「そうそう。どうするんですか?それにハウスも有りますし…」
「二人の意思次第?一応連れて帰りたいけど二人が凄く嫌なら流石に置いてくかな。それに、あそこはクエストで手に入れたからお金も掛かってないし」
飯に苦労するとは思うから流石に来るとは思うけどね…なんて考えつつも、優しく二人の頭を撫で続ける。
そのままゆっくりとご飯を食べているのと同時に、シロエがじろっとこちらを見ながら
「味付き…良いなぁ…」
そう呟いたシロエが、こちらに対して羨ましそうに視線を寄越す。
…その言葉を聞いた直継とアカツキさんが立ち上がってこちらを見つめてくる。
「ほー?俺達は味無し弁当祭りだってのに、まさか其処の御三方はあの最高に美味しいご飯を食べてるってのか?」
「主君、味付きとはどういう事だ?!私達はこの無味の食料を食べてる間に、彼女達は美味しいご飯を!あの見た目の味のまま食べているのか?」
「そうだよアカツキさん。しかもあのお弁当は、現実でも最高級のレストランでしか食べられない物が作っているんだ」
シロエが一々食欲をそそらせる様な言い方をするのを聞きながら、私は苦笑しつつご飯を食べ進める。
それを見て本当だと分かったのか、アカツキさんがゆっくりと私達に指を差しながら口を開く。
「何だと!?しかし一体どうやって…」
「簡単だよ。この子の幼馴染がプロの料理人なんだよ」
一つ一つ大げさに言うシロエに対して、私は頬が引き攣るのを感じた。
それと同時に向こう側で味無しのご飯を食べている三人がゆっくりと視線を私達に向けて来る。
「そうか…そうなのか」
「ああ、そうだぞちみっこ」
「「「じー……」」」
この流れは不味い。
いやまぁ確かに私達が美味しそうに食べている所をみれば分かるけど、まさかこんなに早く気付かれるとは思われなかった。
そんな事を考えながらゆっくりとご飯を食べていると、後ろから紙を広げる様な音が聞こえて振り返る。
「これはどうしたんだ?主君。ずいぶん立派な地図じゃないか」
位置を確認する為に地図を広げていたシロエに、アカツキが問いを投げかけていた。
「僕はこれでも筆写師だからね。アキバの文書館にある地図を写してきた」
「なるほど。主君、やるな」
「で、俺達はどの辺なんだ?」
その言葉を聞いて、私は立ち上がって地図の方を覗いた。
…眠っていたが余り時間は覚えていないが、影の方角と最初の時間を考えると場所は…
「おそらく、この辺じゃないかな」
私が考えていた場所と殆ど同じ位置に指を差したシロエを見て、私は小さく頷いた。
それを見て思わず口を歪ませた直継を見て、私は苦笑してしまう。
「全然さっぱりだな」
「仕方ないよ。まだ半日だもの。……午後は飛ばすことになるけど」
「了解」
そう言って私の方を見てきたので、私も了承の意味を籠めて頷く。
…私達が食べ終わり、立ち上がってアカツキが笛を吹こうとしたのを、シロエ達が止めた。
そしてそのまま私達が新しい笛を取り出したのを見て、アカツキさんが目を瞬かせる。
「それは何なのだ? 主君」
アカツキさんの言葉に微笑みながら、私達は一斉に笛を吹く。
それは風を切り割く様な音で空を駆け巡り、その音は暴風の音によって掻き消された。
「それって、もしかして……」
アカツキの問いかけは、鋭い咆哮によって中断させ…五匹のグリフォンが二度私達の頭上を廻り力強く降り立った。
そして私達のグリフォンが目の前に降りて来るのと同時に…私の姿を確認すると、嬉しそうに一鳴きした後に…
「ご飯をあげ…わぷっ!」
ご飯には目もくれずに私に突っ込んできたグリフォンを撫でつつ、私は他のグリフォン達を見る。
彼らはどうやら普通らしく、各自でご飯を上げていたり、頭を撫でていたり。
…何で私だけ?
「きゅ?!」
私が他のグリフォンを見ていた事がバレたのか、私の服を引っ張って背中に乗せた。
それを見てこの子に頬擦りをし、私はグリフォンの頭を優しく撫でる。
「ごめんね。私の為に羽ばたいてくれないかな?」
優しく頭を撫でてそういえば、グリフォンが翼を大きくはためかせる。
私はその様子に満足しつつ、ゆっくりとグリフォンの毛を堪能し始めた。
ふわふわで気持ちいい…ずっとこうしてたいな…。
「…マスターが今あんな事になっているので、アカツキさんを後ろに乗せる役目はシロエさんに」
「え、でも流石に男女でやるのは…」
「良いです…私達が乗せると馬に…いえ、鷲獅子に蹴られそうなので」
その言葉を聞いて、シロエと直継が目を瞬かせながら首を傾げる。
「「?」」
そんな会話を聞きつつも、全員を乗せたグリフォンは空を飛び始めた。
北に向かって、唯真っ直ぐに。