ログ・ホライズン-『現実の生産者』 作:サブ職業:小説家 lv.1
シロエ達と一旦別れ、私達は姉妹とセララを回収しに…シロエ達は班長に会いに行った。
私達はゆっくりと歩いてギルドハウスに辿り着いて、中に入る。
それと同時に私は背後から誰かに抱きつかれ、更に正面からも抱きつかれた。
「…マスター。お久…こっちでも良い匂い」
「黒お姉ちゃん離れて、きっとマスターが苦しんでる」
「じゃあ白お姉ちゃんが離れて。私は妹だから甘える」
「私が妹だもん。私が甘えるのが道理」
白と黒の猫耳…勿論装備でしかも幻想級…の二人が私を抱きしめて匂いを嗅ぎ始める。
…それを見て私は頬を緩ませて優しく二人を撫でると、二人の尻尾が私の腕に絡みついてきた。
「…あの、白灰さん?黒灰さん?」
奥の部屋から一人の少女が出てくる。
私は彼女に対して自己紹介をしようとするが、その前にメルが私の口を塞ぐのと同時に…
「…ぅ…」
黒灰姫と白灰姫によって腹を絞められて、私は一切声を出す事が出来なかった。
それを見てフェーレースがため息を吐いてから、後ろの方を警戒するべく睨み付ける。
「あー…貴女がセララさんですね。私はメル。後ろに居るのがフェーレースで抱きつかれてるのがマスターのサミダレさん。あ、マスターは喋っちゃ駄目ですよ。ついでに近づくのも禁止です」
「…」
分かっているが、この世界でもこれは悲しいと思う。
そう思いながら私はむすっとした顔でメルを睨み付けるとメルが顔を背けた。
…そのままゆっくりと頬を膨らませるのと同時に、白黒姉妹が私の耳元で甘く優しく囁き始める。
「メルちゃんと白お姉ちゃんは置いておいて、私達で楽しもう」
「黒お姉ちゃんは黙ってて。私達でご飯でも一緒に…あ、新妻のエプロン着けて一緒にご飯作りましょう?」
二人の言葉に少しだけ揺さぶられていると、メルが青筋を立てながら喋り始める。
「二人共、私達はセララさんをアキバに戻す為に来たんです。二人共置いてっても良いんですよ?」
「「えー」」
二人が我儘を言っている間に拘束を潜り抜けて私は外に出た。
念話で二人を拾った事をシロエに報告をしておきつつ、お互いに合流地点に話し合う。
…そして。それを聞いている人物についても警戒をし続ける。
「…という事で、西門から出れば良いの?」
「…どうし…?…ああ、成程。そうですね。その通りです」
私の言葉を聞いて少しだけ訝しんだ後に、納得をしたのか肯定の返事を返した。
…それを聞いて少しだけ安堵の息を吐きながら伸びをした後に…小さく返事をした。
「じゃあまた後で」
「はい」
そう言って念話を切れば、路地裏から走り出す音が聞こえる。
…正直言って潜伏も下手な彼が聞いた所で何をと思うが、それでも警戒しておく事に越したことはない。
そんな事を考えながら、私はそっと雪に手を伸ばそうとして…
「…マスター」
後ろの扉が開いた音が聞こえ、それと同時に私の背中から腕が伸びる。
…そして、ゆっくりと私の耳元でフェーレースが囁いた。
「フェーレース?」
「…カーバンクルが会いたいって言ってます。ユニコーンも、頑張れって言ってます」
「…ありがとう」
私を励ましてくれたフェーレースに、私は優しく頭を撫でた。
…嬉しそうにしてる彼女を見て頬を緩ませつつ、私は伸びをしながらフェーレースに聞いた。
「二人はどうするって言ってた?」
「一緒に帰るって言ってました。二人共、マスターと一緒に居たいらしいです」
「…ミントのご飯食べたいだけじゃない?」
「…ふふ、そうかもしれないですね」
私がお道化た様にそういえば、フェーレースも嬉しそうに返事を返してくれた。
それを聞きながらも、私は届いた念話を聞いて嬉しそうに喋り始める。
「私、帰ったらミントにお願いをしてるの。黒白姫達のお帰りなさいパーティ!」
「そうなんですか?楽しみですね、マスター」
私が言った事を、優しく嬉しそうに聞いてくれるフェーレース。
ドワーフの彼女は身長が低いけど、この世界であんまり違和感が無いって事はリアルと殆ど同じなのかな?
…同じなんだろうな、オフ会でも似たような身長だった。
「…ねぇフェーレース。フェーレースはアキバに帰ったらどうするの?」
「符術師を試しますかね。自分の手で作れるかどうかも試したい所です」
その言葉に小さく頷きながらも、フェーレースに前々から聞きたかった事を聞くべく口を開いた。
「そう言えば、どうしてフェーレースは此処に入ったの?一度は断ったのに」
四人が出てくるまで暇だった私は、フェーレースに対して質問をする。
どうしてと聞かれて悩んでだ彼女を見つつ、私は嫌なら答えなくて良いよと微笑みながら言った。
暫く黙ってたので空から降ってくる雪を眺めていたが…
「…マスターが…すぎるから…」
ぼーっとしてたから要所要所を聞き逃し、私は首を傾げる。
その様子を見て聞かれてなかった事に対して呆れたのか溜息を吐かれた。
「あー…マ、マスターが無防備すぎるんですよ。現実でも抱きついて来たりとか、一杯笑顔見せてくれたりとか…じゃなくて、ゲームの事簡単に教えたりとかしたり…マスター騙されやすいんですから気を付けてくださいよ?」
「…えー。私、騙された事無いよ?」
そう言いながら首を傾げれば、少しだけ疑わし気に見ていたフェーレースが私の口元に指を当てた。
…そのままゆっくりと微笑みながら、フェーレースが私の頬にキスしてから耳元で囁き始める。
「先週そう言って合コンに参加したら襲われそうになった事忘れたんですか?」
「あれはミントが悪い。ご飯食べれるって聞いたのに、ミントのご飯じゃなかった」
「…騙されてるじゃないですか」
その事が面白かったのかフェーレースが笑ったのを見て、私も微笑んだ。
その後メルから念話が来て、皆が来るからお口にチャックと口に指を当てられる。
そして私達は東門に向かう前に、シロエ達と合流する為に廃墟のビルに向かって歩き始めた。