ログ・ホライズン-『現実の生産者』 作:サブ職業:小説家 lv.1
「…レ…ダレ……」
誰かの声が聞こえ、私はゆっくりと目を開くと…其処には、シロエがいた。
「…シロエ?どうしたの」
「それはこっちの台詞だよ。どうやって誰も居ない家なんかに…」
「……そっか、もう、誰も居ないんだね」
シロエからの言葉に、私は絶望した様な声音で喋る。
…あれは全て幻影だったのだろうか?
そんな事を考えながらも私は立ち上がり…
「……?」
「…サミダレ?」
私は本を仕舞おうとして…既に無くなっている事に首を傾げた。
クエスト報酬だったからもう仕舞われたのだろうか?そんな事を考えながら私はメニューを開いてインベントリを開こうとして…
「…うわ」
大量の念話が届いているのを見て…私は思わず視線を逸らした。
…取り敢えず誰から出ようかなと思いながらシロエの方を見つめると…シロエは少しだけ困った様な表情を浮かべる。
それを見て私は少しだけ頭の中にはてなマークを浮かべる。
「…」
「どうしたの?シロエ」
「…いや、なんでもない。それよりサミダレ。これからどうする心算?」
「これからって?」
私が少しだけ首を傾げながら言うと、シロエは小さくため息を吐いてから喋りだす。
「…そっちのメンバーの二人組を捕まえたんだけど、どうしようって悩んでて」
「……二人組…いっぱい要るんだけど?」
「ほら、ミストルティンとシャーマンの…」
その言葉を聞いて、私はゆっくりと頷いた。
…あの姉妹達と此処で合流できたのはかなり良い流れだ。
最終的に合流できない可能性も考えていたし、何なら初期リスポーンはミナミだった筈だ。
一応警戒をしないと…なんて考えながらも、私はシロエの方を見て小さく首を傾げながら口を開く。
「ああ。あの二人の姉妹…此処にいたんだ」
「此処に居たって…知らなかったの?」
その言葉を聞いて私は小さく頷いた。
森呪遣いの二人は方向音痴なのだ。なので常にマップを見て迷い続け…その結果此処に流れ着いたのだろう。
というか地図を描いているあの子が実は方向音痴だったとか、学会に発表したら盗作とか言われそうだ。
「…二人は今何処に居るの?」
「ああ。今は黒灰姫と白灰姫の二人が説明してるけど…」
「ありがとう、すぐに行くね」
そう言いながら私は立ち上がって部屋から出ていく。
その前にお母さんが居た筈のキッチンの方を見に行くが…其処には放置されたご飯があった。
少しだけ食べて見れば…味のない食事であって…私は思わず苦笑してしまった。
「…さて、行きますか」
小さく目を閉じて…そしてゆっくりと開いてから私は扉を開ける。
…そして一歩目を踏み出そうとした瞬間…
「ますたぁ!私達の方が好きですよね!?」
「私達の方が好き。レズビアンでロリコン。間違いない」
二人の姉妹から同時に詰め寄られて、思わず今の決意を取り消したくなってしまった。
…どうして私はこうなってしまったのかという考えを頭の中で考えつつも…少しだけ言葉に気を付けながら喋りだす。
「二人共好きって意見は…駄目?」
「駄目!私達が好きって言ってますたぁ!」
「…うーん…この貪欲さ…流石はカナタ。私が認めたライバルなだけある」
黒灰姫が喋るのと同時に、カナタが私の身体を抱きしめながら黒灰姫に向かって一気に喋り始める。
「寧ろ黒灰姫様は普通に引きすぎです!もっとガンガン攻めないと駄目なんです!」
「他人相手だと無口なカナタが言うと説得力がある」
その言葉を聞いて私は少しだけ面白そうに微笑んだ。
そしてそれから少しだけ考えて首を傾げる。二人の妹は何処に行ったのだろうか?
それを見ていた黒灰姫が小さく頬を緩ませながら、私の頭を優しく撫でた。
「マスターは知らなくても良い。妹達はマスターの前で話せないくらい汚い言葉で会話してる」
「…私の前で話せないくらい?ネット用語は知ってるよ?」
「いや。それよりももっと汚い言葉ですから…」
私は二人の言葉を聞いて小さく首を傾げた。
それを見た二人は小さく微笑んだ後に…ゆっくりとアカツキさんが歩いてくるのを見て口を噤んだ。
「…おはようサミダレ。今までどこに居たんだ?」
「おはようアカツキさん、ちょっとね」
「そうなのか?ああ、そうそう…」
私の耳元にアカツキさんが近づいてくる。
そして少しだけ疲れた様な表情を浮かべ…ゆっくりと私の耳元で囁いた。
「…ハヅキが、凄く連絡をしてきた」
「……ごめん」
私が小さく謝った事に満足したのか、嬉しそうに微笑み…後ろに乗せてくれたら許してやると言っていた。
…今日は特にグリフォンに乗らないが、取り敢えず頷いておいた。
◆
「おかえりなさいマスター。先ず初めに正座ね」
「…いや、此処は周囲の視線が…」
「関係ない。後弟子も正座」
「……わ、分かりましたにゃ…」
帰ってきてすぐに、私達は正座をしていた。
ミントが笑顔で怒りながら私達に説教をしつつ…それでも私は目を伏せた。
それを見てにゃん太班長が諦めた様な表情で正座をしたのを見て、セララさんが困った様な表情でこちらを見る。
「…どうやらマスターはわかっているようですね」
「…はい。にゃん太班長の事を教えなかった事です…」
「大方私に言わなければバレないって思っていたんだろうけど…分かってる?フレンドリストから場所を知れるんだよ?」
「……あー」
「我が輩は別に其処まで…」
諦めが悪いにゃん太班長が自分だけ逃げようとするが、そんな事お見通しだろう。
ミントが勘の悪い弟子を冷たい表情で見つめるのを見て、私は小さく頭を手で抑えた。
「あらそう?それなら今から一緒にご飯を作りましょうか。腕、鈍ってるでしょ?」
「……」
苦笑したにゃん太班長を見て、私は諦めた様な表情で微笑んだ。
…説教が終わった後に私は立ち上がり…後ろに居たハヅキの頭を優しく撫でた。
「…ただいま。ハヅキ」
私の言葉を聞いてハヅキが私の身体をしっかりと抱きしめ…それを見た白黒姉妹が少しだけ冷たい目で見つめる。
それと同時に私の耳元でハヅキが囁き始めた。
「急にいなくならないでください。急に念話に出ないのはやめて下さい…怖かったんです」
「……うん。ごめんね」
そういって小さく微笑んだ私を見て、ハヅキは小さく抱きしめる力を強くした。
…それと同時にハヅキの後ろから黒と蒼の鎧が視界の端から見えて私は警戒を露わにする。
「なんの用だ?此処は大手のギルドのマスターが来る場所じゃない」
私の声音と口調が変わった事にハヅキがびっくりするが、私は気にせずに後ろの二人を睨み付けた。
それを見た二人が小さく手をあげるのを見て、私は警戒をし続ける。
「…おやおや。随分嫌われた者ですね。ああ、初日の君のギルドメンバーが原因じゃないんですか?」
「あいつらは速攻で抜けさせた」
その言葉と同時に、ミントが小さく眉を潜めた。
それを見て少しだけ申し訳なさそうな表情を浮かべたアイザックだが…小さく咳払いをしてからゆっくりとこっちを見つめた。
「…内容は分かっているんだろう?」
「EXPポットの件ですか?貴方達が買っているという噂の」
「マスター。話くらいは聞いてあげて下さい」
その言葉を聞いて、私はミントを睨み付けた。
私の表情を見たミントは小さく驚いた後にゆっくりと頭を下げ…けれど小さく首を横に振る。
…それを見て私がゆっくりとため息を吐いた後に…二人に対して口調を変えたまま喋り始める。
「アイザック。私は何時も言っている筈です。ああ、其処で聞いてない振りをしているクラスティも聞け」
小さく威圧をする様に喋った後に、私はハヅキを優しく身体から話してから視線を鋭くさせた後に口を開く。
「私達
「…おや。それは初耳ですね」
しれっというクラスティを見ながら、私はそのまま睨み続ける。
それを見たアイザックが小さくため息を吐くが、どうやらクラスティは気にしていないらしい。
それは自分に非の打ち所が無いという自信からか、それとも唯の虚勢か。
「“
そう言いながら小さく睨み付ければ、彼は少しだけ困った様な表情を浮かべ…そして一気にため息を吐いた。
どうやら心当たりがあったらしい。
「…そしてアイザックの方では…ああ、性的な言葉を掛けられたと聞きますね。ね?ミント」
「そうですね」
「……ほほう?成程なぁ…?」
小さく何かを考え込む様に顔を伏せたのを見て、ミントは小さく息を吐いた。
…この世界ではセクシャル・ハラスメントでアカBANは出来ない。
「…成程ね。それで先回りして引き抜きと脅しをするな…と言った訳だ」
「えぇ。泣いている女の子を無視しておきながら、私達のメンバーを引き抜きに掛かる…そんな奴らを見たら…」
私は無手で構える。けれど武器は使っていないから衛兵は出ない。
…ただし、私のビルドを知っている二人は警戒の表情を浮かべ…ゆっくりと柄に手を伸ばそうとしている。
「…私は、貴方達が人間であろうとも斬り殺す。仮に死亡したデメリットがあったとしても、関係ない」
「……肝に銘じておく。そして、他のギルメンにも伝えておくわ」
「私もメンバー達に伝えておこう」
その言葉を聞いたアイザックが鼻で笑うのと同時に、クラスティが眼鏡をゆっくりと上げた。
「はっ。“D.D.D”のメンバー全員に伝わるのかよ?」
「私から言えば大丈夫でしょう」
「…では、話は終わりです。……ハヅキ、ミントと一緒に帰って」
その言葉と同時に、ハヅキが嫌そうに首を横に振る。
それを見て私は小さく頭を撫でた後に優しく耳元に近づいてから…
「後で何かしてあげるから」
そういって優しく微笑めば、ハヅキが嬉しそうに微笑んだ後に…小さく離れてからミントと一緒に帰っていく。
「…最後に一つ。これはお願い事になるんだけど…」
「おや?かの有名な
「そう。もしシロエから何か提案があれば、協力してあげて」
そういって小さく微笑んだ後に…私はこちらを見ていたトウヤに手を振る。
…それを見たトウヤが嬉しそうに微笑んだのを見てから私は自分達のギルドに戻る…道とはまた別の道を歩き続け…
「……何か用?クラスティ」
小さく後ろを振り向き…私は小さく睨み付けた。
…睨み付けた所からクラスティが両手を挙げながら出てくる。
「おや。バレてしまいましたか」
「貴方が尾行なんて向いてない」
その言葉と同時に、彼が嬉しそうに微笑みながら出てきた。
…それを見て私は小さく右腕を上げた後に話をし始める。
「生殺与奪の権利はこっちが握っている。話があるならどうぞ?」
「…何処まで君は考えているのですか?」
その言葉を聞いて、私はゆっくりと首を傾げる。
「何処までだと思いますか?」
「…そうですね。……私にはとても思いつきませんが」
小さくお道化た様な表情を浮かべたクラスティを見て、私は少しだけ諦めた様な表情でクラスティを見つめた。
…何処までヒントを出すかを考えつつも、スパイの可能性を考えて無難な情報を与える事にすした。
「それならそうですね。……ま、大地人との共存…までくらいかな」
「……共存?」
その言葉と同時に私は小さく微笑む。
それを見て彼が嬉しそうに微笑んだ後に、ゆっくりと眼鏡を押し上げた。
「成程。やっぱり、そういう事なんですね」
「……本当に、思考を回した化物程…怖い者はないね」
「近々レイドをする事になっているのだが…それは止めておこう」
その言葉を聞いて私は右手を下げた後にゆっくりと微笑む。
それを見て小さく息を吐いた彼を見つつ、私は苦笑した。
「それではこれで。なるべく私についてこない事をお勧めしますよ」
「…そうしておこう。気付けば此処は街の外だ」
「えぇ。そしてもう一歩貴方が近づけば…」
その言葉と同時に、弾痕と大量の矢が彼の足元に現れた。
…そのまま私が上を見つめれば、其処には隠れていた
「死んでいましたね」
「…本当に…油断も隙も無い考える化物は恐ろしい」
「おや、自己紹介?」
小さく私が笑いながら言ったのを、彼は少しだけ困った様に微笑んだ。