ログ・ホライズン-『現実の生産者』   作:サブ職業:小説家 lv.1

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「…それで?何時まで覗いている心算?」

 

ギルドメンバーが各自で先程の戦いの反省をしている中、私は後ろの茂みに問いかける。

…それを聞いて少しだけ諦めた様な表情を浮かべた一人の男性が現れ…

 

「嫌ですね。私は覗いているとは思っていませんよ」

「そうなんだ?じゃあ私がストーカーの疑いで高山三佐に言っても良いと?」

「おやおや。折角貴女方のギルドが困ってそうだから力を貸そうとしていたんですけれどね」

 

そう言いながら私の方にやって来たD.D.Dの団長を見ながら、私は小さくため息を吐いた。

…つまりは暇になったのだろう。

本来なら暇潰しにレイドにでも行くのだろうが、私がシロエに協力させる為にこのアキバに留めているのだ。

私達だけがレイドに行ける事に大いに不満を抱いているに違いない。

私が警戒するのと同時に、D.D.Dの精鋭がため息交じりにクラスティの近くに歩き…そしてクラスティが凶悪の笑みを浮かべたのを見て…私はため息を吐きながらもゆっくりと刀に手を置いた。

 

「…何の心算」

「分かっているでしょう?」

「……分かった。パーティの編成はどうするの?」

「そんなの決まってるじゃないですか」

-タイマンですよ。

 

その言葉と同時に斧が振るわれ、私はその斧に足を付けて踏みつけながら宙に移動して考える。

…成程、タイマンバトルとは考えた。

仮に私が高山三佐に言っても何時もの事と処理される可能性も高いし、何なら…

 

『これからも定期的にミロードのガス抜きに付き合ってください。もし死んだら経験値集め位は手伝いますから』

 

とか言われそうだ。

流石にそれはご免だし、私はそもそもサブ職業の方を集中してやりたいのだ。

取り敢えずそんな事を考えつつ、私はクラスティの頭を踏みつけながら後ろの方に着地をした。

 

「こいーん」

 

それと同時に私の背中側から今までとは違う速度で振り下ろされる。

流石にふざけた状態で避ける訳にはいかないので、今回は真面目に振り下ろされた斧を片方の刀で抑え付ける。

 

「…っ?!マス…」

「大丈夫、ちょっとこいつのガス抜きをしてるだけ。適当に相手をしたら返すから」

「ですが…」

「それよりももっと戦闘訓練!今ならD.D.Dが相手をしてくれるってよ!」

「「「「「えっ」」」」」

 

私の無茶振りにD.D.Dのメンバーが思わずと言った様な声を出し、それを聞いたクラスティが面白そうに微笑みながら私の刀を弾き飛ばし…そしてもう一度斧を振り下ろした。

それを避けようとするが思ったよりも速く振り下ろされた為、弾き飛ばされた刀とはまた別の刀を使ってスキルを発動させる。

 

「受け流し」

 

小さく呟くのと同時に、私はもう片方の刀を使って居合の構えを取り…そのまま斧の先端に合わせる様に刀を振るう。

今までより一際大きい金属音が鳴り響き、私のステータスに防御力低下のデバフが書き込まれた。

 

「アーマークラッシュ!?」

 

私が驚きながら木霊返しで攻撃を返すと、クラスティの片手に大量の切り傷が走り出す。

それを見て面白そうに笑うのと同時にクラスティが新しくスキルを使おうとして……

 

「私達のマスターに何してるんだ!この狂戦士馬鹿元ミロードがぁぁぁ!」

 

突然叫ばれた一言を聞いて目の前のクラスティの顔に冷や汗が吹き上がる。

それを見て私が警戒するのと同時に…

 

「アンカーハウル!」

「ワイバーンキック!」

 

二人の叫び声が聞こえ、クラスティの身体が私の反対側に向き…そのままクラスティの背中にキックが叩きこまれた。

クラスティがアンカーハウルを使った守護戦士に攻撃を入れようとするが、その前に守護戦士の少女がシールドスマッシュを放って技をキャンセルさせる。

それを見て私が弾かれた武器を仕舞いつつ、後ろの方で回復をしたそうにしている少女の方に近寄り…

 

「ヒーリングライト」

「ありがとう…と言うか、割り込みさせちゃったけど良いのかな?」

「……まぁ、良いんじゃないんでしょうか。旧知の仲ですから」

「…それに元ミロードは唯暴れたいだけだしね。私達でも良いし何なら…」

 

その言葉と同時に、D.D.Dの人達が吹っ飛んでいき……それを見ていた少女達がゆっくりと笑いながら武器を仕舞っていった。

…全員集合したなぁ…なんて考えながらも、私は全員を見てから……小さく頷いた。

 

「ハヅキを入れて48人か……」

「…マスター、まさかとは思いますが…ダブルレイドに行こうとか考えてませんよね?」

「そのまさかだったらどうする?」

「私達が躍起になってしていたことが無駄になりましたね…本当にどうするんですか」

 

その言葉を聞きながら、私は一対一で戦っている守護戦士の少女を見て…少しだけ笑みを浮かべた。

 

「タンクが8人でヒーラーが14人でしょ?火力リソースは足りる筈だけど?」

「……シロエさんに報告しますからね。後安全なレイドにして下さい」

「私が全員守るよ。絶対にね」

 

そう言いながら私が微笑めば、エリナの顔が少しだけ朱く染まった。

それを見て私は首を傾げるが…

 

「…それだったら、私は貴女の傍に居ますからね。絶対、守って下さいね…」

 

その言葉を聞いて私は小さく頷いた後に、優しく頭を撫でようとして……昔の身長より今の身長が低い事を思い出して思わず手を引っ込めた。

…それを見たエリナが何かに耐える様に口を結んだ後に…私の手が届く範囲に頭を下げてくれて…私は微笑みながらエリナの頭を撫でた。

 

「えりなー」

「…ぅ…」

「鬼畜エリナが頬赤らめてるの、久々に見た」

「黒お姉様言っちゃ駄目。本人は恥ずかしいんだから」

「其処に居なさい白黒!逃げたら次のレイドバフ最低限しか付けませんからね!」

「「はーい」」

 

エリナが怒った様に言うのと同時に、白黒姉妹が私を優しく抱きしめてから私の身体を触り始める。

…それを見て私は首を傾げるが、白黒姉妹は特に気にせずに隅々まで私の身体を触り続ける。

 

「白灰姫?黒灰姫?」

「…私達は飼い猫。マスターの思い通りにしていいよ」

「可愛い黒耳に可愛い黒尻尾。マスターは猫好きだよね?」

 

その言葉と同時に私の両腕に尻尾が絡まり、それを見たミントが小さくため息を吐いてから…私に小さく頷いた後にギルドハウスに戻り始めた。

それを見て苦笑するのと同時に…

 

「ほほう?私の相手を止めた後は両手に花ですか?」

「両手に花と言うよりは猫のお世話かな」

 

私がそう言いながら二人の絡まった尻尾を見れば、二人は少しだけ頬を緩ませながら私の身体を抱きしめ続ける。

 

「そう。私達は飼い猫、寂しがり屋だからお世話しないと駄目」

「寂しいならD.D.Dの高山三佐に構ってもらったら?」

「味無しを食べて空しそうにしている彼女で遊ぶ程、私も鬼じゃありませんよ」

「遊ぶのを止めるべきじゃない?」

 

私が呆れた様にそういえば、それだけは無理ですねと言いながら立ち上がったクラスティの後ろを……

 

「ほう?私に新入りを任せたのはそういう理由だったんですねミロード」

 

鬼の様な笑顔を浮かべていた高山三佐が立っていたのを見て、クラスティ以外の全員が吟遊詩人から支援を貰いながら全力で逃げ出した。

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