ログ・ホライズン-『現実の生産者』   作:サブ職業:小説家 lv.1

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「…まーすたー…もっとあまえていいですかー?」

 

エレナが私の膝に頭を乗せて、ゆっくりと目を細める。

…それを見て私が小さく頭を撫でて微笑めば…エレナは嬉しそうに杖を構えながらオリジンにバフを飛ばし始めた。

それを見て私は少しだけため息を吐きながら、ゆっくりと第三階層のボスを見つめる。

 

「…第二階層は二匹しかいなかったから何とかなったけど、三層はやっぱりきつそうだね」

「……んー?ますたーいればむてきでーす」

「そうなの?エリナが助けてくれなかったら死んでたよ?」

「じゃあわたしたちふたりでむてき!」

 

その言葉を聞いて私が思わず苦笑すると、エリナが少しだけ怒った様な表情で私の頬を突いてきた。

それと同時に私の方に敵が向かおうとしてくるが、反対側の守護戦士の少女がアンカーハウルを使って敵の方向を移し……

 

「ッグルゥ!?」

「Giaaaaaaaaa!!!!」

 

反対側の敵にスキルが当たり、それに当たった反対の敵が怒った様に攻撃を繰り出す。

…それを見た月影が少しだけ口に指を当てて微笑んだのを機に、モンスター同士が争い始めた。

 

「…どうしようかな?」

「ますたー?どうしたのー?」

「……んーっとね。これからどうしようかなって思って」

 

私のその一言を聞いて、エリナが小さく首を傾げた。

それを見て私は少しだけ目を逸らした後に考え込み…小さく溜め息を吐いた。

エリナがそれを見て更に首を傾げて私のお腹に頭をくっ付けた。

 

「敵同士を戦わせてどうなるか…なんて、普通なら考えないよね」

 

私の言葉を聞いてエリナが少しだけ目を逸らし、そのままゆっくりと私の手を握って微笑んだ。

 

「…んー。私は考えていましたけど、それを決め打って新しい戦術を考えるのは流石だと思いますよ」

 

先程の甘えた声とは打って変わって真剣な言葉で喋ったのを聞いて、私は少しだけ口を緩めた。

 

「決め打って…というよりは、この階層で見極めようかなってね」

「…?どういうことですか?」

 

エリナの質問を聞いて、私は少しだけ考える様に視線を移動させてから…エリナの視線をボスの方に移動させた。

 

「73、74、75。はい此処」

 

二匹のレイドボス“龍虎の守護者(ガーディアン・オブ・ツインズ)”の片方、“虎たる守護者(ガーディアン・オブ・タイガー)”がスキルを使いだす。

確か名前は“怨望の速撃”で、効果は強力な二連撃と呪いのバッドステータス付与だ。

 

「…?えっと、単純なスキル使用ですよね?」

「今回のスキルはそうだね。75秒間隔の“怨望の速撃”、次の使用は何時?」

「150秒、225秒、300秒、375秒…倒す時間を含めれば300秒までで良かったですかね?」

「そうだね。じゃあ次。“龍たる守護者(ガーディアン・オブ・ドラゴン)”のスキル、“封監の鉄槌”のリキャストは?」

「…えっと、100秒間隔ですね。100、200、300秒ですよね?」

 

その言葉と同時に頷き、私は次の攻撃を待つ。

速撃(75秒)”“鉄槌(100秒)”“速撃(150秒)”“鉄槌(200秒)”“速撃(225秒)”“鉄槌(300秒)”“速撃(300秒)”。

 

「…そして最後、龍虎の守護者(ガーディアン・オブ・ツインズ)のリキャストは?」

「……?そんなの300秒に決まってるじゃないですか。スキル名も“龍虎の双撃槌”…ですし……あれ?」

 

エリナが自分が言った内容を考え…そして何か分かったのか目を瞬かせた。

…そう、“龍虎の双撃槌”は“龍たる守護者(ガーディアン・オブ・ドラゴン)”と“虎たる守護者(ガーディアン・オブ・タイガー)”の合体技。

二匹が武器を打ちつけ合って攻撃をし、更には呪いとスキル封印まで付いてくるというお得な技(即死技)だ。

如何に300秒までに片方を倒せなければ時間切れ、但しスキル封印をする“封監の鉄槌”を使う“龍たる守護者(ガーディアン・オブ・ドラゴン)”の体力は18億6370万。

逆に“怨望の速撃”を使う“虎たる守護者(ガーディアン・オブ・タイガー)”の体力は13億2000万。

だから最初は“虎たる守護者(ガーディアン・オブ・タイガー)”を倒してスキル封印を受けた瞬間に他の守護戦士(メインタンク)にスイッチをするというのが主流の戦法だ。

どっかの茶会ではこれを同時に倒すぞとか訳分からない事に挑戦していたが…今では懐かしい思い出だ。

 

「……」

 

考える事は二つ。

最初の違いは“パーティ”と“ギルド”の違い。

最後は人間達の“パーティ”とレイドボスやモンスターといった“パーティ”の違い。

 

「エリナはパーティを説明をする時、どうやって説明する?」

「…パーティの説明ですか?…えっと、パーティは6名までで、フレンドリーファイアは無し。…これで良いんですか?」

「うん。じゃあ次はギルドを説明してみて?」

「……えっと、所属限界数は殆ど無限。その代わりフレンドリーファイアはありです」

 

その言葉を聞いて私は少しだけ苦笑する。

…それを見たエリナは小さく首を傾げるのを見て、私は少しだけ微笑みながらエリナの頭を撫でる。

 

「まぁ、大体はあってるよ」

「…?他に何か必要な情報がありました?」

 

その言葉を聞いて、私は少しだけ考える。

…まぁ、確かに必要な情報は全部言ってくれたのだが…私からすればまだ足りない。

 

「…パーティとギルドに入れるのは?」

「……?プレイヤーですよ?」

「プレイヤーのみ?……クエストNPCは?」

「…え?あっ!?まさか…!」

 

西欧鯖で追加されたクエスト“Knights of the Round Table”。

このクエストはパーティ時にクエストNPCを、更にはギルドがクエストと同じだとクエストNPCの一人をギルドに入れられるという謎の特典があったのだ。

…勿論、そのクエストはアタルヴァ社の監督の下削除され…それに議論が盛り上がったのも良い思い出だったりする。

 

「…NPCをギルドに入れたりパーティに入れたり…結構面白かったんですけどね」

「……其処じゃないよ。分かってるでしょ?」

 

私の一言と同時に、300秒が経過する。

お互いの武器がぶつかり合い(・・・・・・)、体力が減らずに攻撃を繰り出す。

 

「…パーティはフレンドリーファイア無し。ギルドはフレンドリーファイアあり。

パーティは6人制限。ギルドは制限なし」

「……っ!?同時ボス(パーティ)レイド(ギルド)って事ですか!?」

 

エリナの一言と同時に、ヘイトを持っていた守護戦士がキャッスル・オブ・ストーンを使って無傷で耐える。

それと同時にお互いで争い合っていたレイドボスの片方が倒れ……レイドボスの強化された咆哮を聞いて思わず苦笑した。

 

「…成程、レベルね」

「……どうしますか?スキルはまだ余り回復してないですけど…」

「必中無いから私が出るよ。スキル無くても戦えるボスだし…ねっ!」

 

エリナを優しく撫でてから私は一騎掛けを使用する。

…それと同時に全員が微笑みながら私の為に道を空け…それを見たボスが私の方を恨む様な視線を向けてから…スキルを使用する。

 

「…っうっそ!?」

 

スキル“悪しき獄炎と極光”。

一個でも当たれば体力の半分が削れる大量の炎と光の矢を、私は全て躱しながら近づいていく。

それを見た全員がドン引きした様な表情を浮かべるが、私は気にせずに武士の挑戦を撃ち込んでから全員に指示を出す。

 

「全員何となくこの世界の事しれたから火力上げて!まず180秒で龍の守護者を倒すよ!」

【了解!】

 

全員が笑いながら攻撃を守護者に撃ち込むのを見て、私は少しだけ苦笑しながら相手の攻撃を引き付ける。

…今までよりも格段に速く鋭くなった一撃を見つつ、私は両刀を構えて相手のステータスを見た。

 

レイドボス“光の龍”レベル93

 

元々のレイドボスは“光の龍の化身”であり、レベルは86だった筈だが…どうやら先の戦闘でレベルアップしたらしい。

…全力で守護者達から離して範囲攻撃を当てない様にしつつ…私は思わず苦笑した。

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