とりあえず週2ペースくらいで更新しようかなぁと考えています銀紬です。
今回はちょっとネタがなかったので繋ぎ程度の幕間編ですが、まぁなにとぞよろしくお願いします。
――――――見滝原大南キャンパス出口
「……と、言う訳だったね」
上条がキュゥべぇに切り出す。
「そうだね。僕もあのリボンを可能な限り解析しようと試みたが、暁美ほむらは僕のあのリボンへの接触を一切許容することはなかった」
「そっか……暁美さん、意外と強情なんだね」
「そうなんだよ。君も何か言ってくれないかな。中学校時代の同級生だろう?」
「え、そうなのかい?」
「そういえば、君は中学校にはほとんど行っていなかったんだっけね。別にだから何だというつもりは毛頭ないけどね」
「仕方ないだろ?学校に通えるようになった時にはすでに進級でクラス替えになってしまったんだから」
内心ではキュゥべぇの言い方に影を感じないこともなかったが、表面には出さないでおく。
「いいや、君はともかくとして彼女が君のことを覚えていないはずはないんだよ」
「……そうなのかい?」
「あぁ、話は長くなるけどね。彼女は確かに君のことを知っていたが、何らかの手法で綺麗さっぱり忘れてしまったみたいだ」
「ふぅん……まぁ、機会があったら話しかけてみるよ」
「よろしく頼むよ」
そういうと、キュゥべぇはどこかへと立ち去ってしまった。
暁美との遭遇以来、上条はキュゥベぇから一通りの情報は得ていた。
魔法少女が存在するということ、魔法少女とはどのような存在なのか、どのような条件下で魔法少女となるのか。
そして暁美ほむらが何者であるのかということと、彼女の語る「まどか」という少女の存在。
そして何より不可解なのが…
「……僕が魔法少女……いや、魔法少年か」
上条恭介自身に、魔法少女の素質があるということであった。
そのことを知ったのは、2日前のことであった。
上条とキュゥべぇは人気のないキャンパス裏で密談をしていた。
「――――つまり、僕が見えるということは君にも”素質”は存在する、ということになるんだ。わかったかい?」
「理屈はわかったよ。でも、それって君の言っている条件と殆ど矛盾していないか?
つまるところ思春期の女の子が一番適しているんだろう?僕は性別も真逆だしもう思春期なんて言える年は過ぎたし」
「だから言っているだろう、これは僕たちにも不可解なことなんだ。
君は暁美ほむら以来のとびっきりのイレギュラーなんだよ」
「何か原因とかはわからないのか? たとえば、僕になんらかの因果? があったとかなんとか」
「うーん……因果があるかは現状では分からないけど、仮説なら幾らでも立てられるね。
例えば、暁美ほむらが常に身に着けているあのリボンは、当人曰く「まどか」のものであったらしい。
君はあのリボンを拾い上げた瞬間に僕が見えるようになったんだろう?
仮にそれが真実であるならば、本来存在しえない「概念」と君は接触したことになりうる。
それは充分イレギュラーたりうる事実だ。
それこそ、下手をすれば魔法少女としての素質を持つくらい造作もないほどのイレギュラーといえるね」
「……なるほど」
少々難しい単語が混じり理解が遅れかけるが、なんとかついていく上条。
「もう一つ考えられる仮説として、君と美樹さやかの接触だ。
夢の中とはいえ連日で美樹さやかと出会うだなんて、偶然にしては少々できすぎているのではないかな」
「……あれが夢ではない、と言いたいのかい?」
「それは分からないよ。僕自身がその夢に入り込めるなら幾らでも研究は出来るのだけど、そもそも入り込めないからね」
「それもそうだね。君たちインキュベーターには相当な科学力があるようだし、それでも僕の夢に君は出てこない」
キュゥべえは、本来魔法少女になりうる少女には語らない自らの正体も上条に話していた。
暁美ほむらと接触すればいずれ判明することだ、ということで先に話しておこうという魂胆だったらしいが、真意はまったくもって不明であった。
インキュベーターはふと話題を変えてみることにした。
「ところで、君の話ぶりからして君の夢の最後に登場するという「怪物」が存在する確率は極めて高いといえるよ」
「……なぜだい?」
突然の話題の転換に一瞬戸惑いつつも返答する上条。
「……そうだ、恭介にはまだ話していなかったね。
君が暁美ほむらと遭遇したあの日、君はきっと演奏を聴いたはずだ」
「そうだけど……どうして分かったんだ? そもそも、あれは僕の空耳――」
「いいや、空耳ではなかったよ。君がやってくる数秒前までは確かに存在した演奏だ。
そしてあの空間の中で、僕たちは君のいう「怪物」の特徴を見事に捉えている、僕たちも未確認の生命体を確認した」
「……!」
恭介は驚愕した。
あの悍ましい化け物が、この世に存在するだなんて。
この世のすべての憎悪という憎悪の発現ともいえるあの「人魚」が。
上条はとてもではなかったがそれを信じたくはなかった……が、一方でこんな感情もあった。
あの人魚があの演奏を……?
という驚愕の感情。
これもまた別の方向に信じがたいことであったが、それが真実であるとすれば―――
「まぁ、実際のところは君にも見てもらわないと分からないだろうね。
けれど、あの生命体があの演奏をしていたのは紛れもない事実だよ。君はあの演奏に興味があるんだろう?
とはいえ今は結界も見つからないし、今のところは行くことを無理強いしないけどね」
「……そうして貰えると助かるよ。あんな化け物にいきなりお目見えなんてごめんだからな。
でも、どうしていきなりその話題を?」
「どうしてか、知りたいかい?」
「……いや、やめておくよ。いずれ分かりそうな気もするし」
「そうかい」
キュゥべぇの返事を最後に会話は途切れ、やがて付近は物音ひとつしなくなっていった。
「それじゃあ僕はそろそろ失礼させて頂くよ」
「わかった。また会おう、上条恭介」
キュゥべぇに帰る旨を伝え、帰路へつく上条。
時計の針は4時を指していた。上条にはこの日、志筑との予定が入っていたのだ。
やがて上条が居なくなると、キュゥべぇは一人呟いた。
「……君はもしかすると、あの生命体の謎を暴くキーの一つになりそうだ。上条恭介」
「そして暁美ほむらが彼を微塵も覚えていなかった理由……まさか、「感情」の研究がここで成果を上げるとは思いもしなかったよ」
「(次に会う時が楽しみだよ、恭介)」
呟いてはいても、普通の存在では見ることすらかなわないキュゥべぇの独り言に気付く者は居ない。
居るとすれば、それは魔法使いか、あるいは尋常ではない何者かである。
「…………成るほど、それじゃあ僕もひとまず退散するとしよう」
白い体躯は初夏の日光に照らされ、街の喧騒へと消えていった。
はい、これにて第4話終了です。
ここ最近は課題が多かったりしてちょっと更新が遅れた上に中身もスカスカですね、すみません。
少しずつまた書いていけたらな、と思っております。
一日3000字くらいをめどにやっていけたらいいなぁとか。
さて、次回のサブタイトルは「なぁにマガラムシンフォジウムクラーク」です。
嘘です。銀紬は何も考えていません。