アナザー・シャングリラ(って呼ばれるようになりたい)   作:マクバ

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久々の投稿なので元々からさらにクオリティなし。
オチもなし。ストーリーもなし。


秋といえば(楽鉛)

「楽郎くん! 秋といえば?」

 

 土曜日の朝、目が覚めてからの永遠からの第一声がこれだ。また瑠美を使って家に侵入したらしい。俺のプライベートはいつの間にか消し飛んでいる。起きて、リビングに行ったら永遠がいる。この状況に慣れすぎて何も驚かなくなってきた。

 

「なんだよいきなり。ゲームだろ?」

 

 俺がそういうと、チッチッチッと指を横に振りながら舌を鳴らした。無駄に様になっているのに腹が立つ。寝起きだからか? いや関係ないな。付き合ってようが昔から腹立つ動作には腹立つ。可愛いと思う感情があることは否定しないが。

 

「分かってないなぁ。楽郎くんは。てか楽郎くんに関していえばそれはオールシーズンじゃん」

 

 そこで永遠は一呼吸置いてから言った。

 

「秋といえばスポーツの秋。スポーツといえば『友情』『努力』『勝利』でしょ?」

 

「俺らマガジンなんでぇその3ヶ条はちょっと。つかスポーツこそオールシーズンじゃねぇか!」

 

「そんな言い方したらそもそも○○の秋って言うもの大体オールシーズンできるよね」

 

「それは確かに。あ、でも食欲はあれじゃね? 秋が旬のもの多いじゃん」

 

「でもどのシーズンも旬のものってある訳じゃん?」

 

「まぉ確かに」

 

「やっぱ秋といえば紅葉だよね!」

 

「さっきスポーツって言ってなかったっか?」

 

「そんなこと言ったっけ?」

 

 寝起きから殴り合いの会話をするのは中々しんどい。寝癖だらけの頭を永遠に見られてるのも中々辛い。向こうはきっちりメイクまでしてきてるっつうのに。

 

「シャワー浴びてきていいか?」

 

「なに? まだ朝だよ?」

 

 ニヤつきながら永遠が言う。わかってるくせによぅ! 

 

「寝癖直しと目覚ましのためにだよ! 何考えてやがる!」

 

「そりゃあ大学生になって欲求が高まってる楽郎くんのことだよ」

 

「高まってねぇわ!」

 

「それはそれでどうなのさ」

 

 じゃあなんて答えりゃいいんだよっ! 

 

 俺がシャワーを浴びてる間に永遠が乱入してくるなんてことはなく(前にあったがそれは夜だ)リビングに戻ると永遠の姿はなかった。

 俺は無言で自分の部屋に向かう。

 部屋に入ると俺のベッドの上には永遠が寝そべっていた。

 

「何してんだよ」

 

「んー昨日も夜遅かったから疲れた」

 

「ったくなら態々家に来なくてもいいのに」

 

 俺がそう言うと永遠はこちらに体を向けると

 

「それとはこれとは別じゃん。それにオフに楽郎くんに会うのが1番休まるからさ」

 

「……っ」

 

 こいつはホントに真顔でこういうこと言うからズルい。腐れ縁でゲーム友達をやってたころには全く思わなかったが、やはり永遠はトップモデルを突っ走ってるくらいには綺麗なのだ。いたいけな少年の心(もう大学生だし青年か)にグサグサとくる言葉を的確にチョイスする。中身に外道がインストールされていようが関係ない。

 

「あ、でも楽郎くんにスイッチが入ったら休まらないかもね」

 

 あぁ、外道の掌の上だと分かってて転がされてもいいかもなんて思ってしまう。付き合う前の自分が今の自分の心境を聞かされたらどう思うだろうか。

 

「何言ってんだ。朝から盛るわけないだろ。瑠美もいるんだぞ」

 

 俺がそういうと永遠はニヤニヤと笑みを浮かべた。

 

「お義父さんは朝から釣り、お義母さんは今日は多摩の方まで虫取り。瑠美ちゃんはあと1時間もしないでバイトでしょ? 瑠美ちゃん以外は今日帰ってくるかも怪しい」

 

「なんでウチの家族の予定全員把握してんだよ?」

 

「そりゃあ楽郎くんの家族だからねぇ」

 

「やかましい! ヤんねぇぞ」

 

 俺が頑なに拒否すれば永遠は嗜虐的な笑みを浮かべながら

 

「ヘタレ」

 

 そういった。なんて言われようとヤらん。

 

「うっせ」

 

 俺は永遠を巻き込むようにベッドに倒れ込む。ちょうど永遠を両手で包むようにだ。

 

「あら結局その気になっちゃった?」

 

「このまま寝る。二度寝だ」

 

 俺は朝までギャラトラの新イベで疲れてんだ。ただのマラソンイベだが無駄にマップが広大なアステロイドベルト帯を駆け抜けるというもので、廃課金の艦隊持ちとも、小型船でも張り合える可能性を持った数少ないイベントだったから頑張ったのだ。結局課金勢はアステロイドベルト帯を全て消滅させてひたすら直進してたから負けたけど。

 

「ホントに寝るの? 嘘でしょ? 私動けないんだけど」

 

 離れないように思いっきり抱きしめて眠る。お互い顔を向けた、というか額と額をくっつけるように寝るのは気恥しい気もするが今更だ。

 

「お前も寝とけ。疲れてんだろ。何がするにしてもその後でいいや」

 

 飯もいらない。さっきシャワー浴びたけどまぁいいや。永遠の柔らかい感触を全身に感じながら俺は眠りについた。まぁこんな土曜日もいいだろう。睡眠の秋だ。

 

 

 

 

 

「ホントに寝ちゃったよ」

 

 全くこいつは。曜日がほとんど関係ない仕事とはいえ、休みの朝からホントにシようと思うほど飢えてないんだけど。流石に

 

「この体勢起きるまではヤバいよ」

 

 まず、楽郎くんに包まれてる感じがすごい。感じというか文字通り包まれてるんだけどすごいね。ドキドキが止まらない。

 

 あと匂い。シャワー浴びてきたからか男の子の癖に無駄にいい香りがする。もしかしたら瑠美ちゃんがなんかしてるかも……。って彼氏の実の妹にちょっとジェラシーを抱くのは流石に痛すぎる。

 

「ちょっと楽郎くん起きて。ガッシリ掴まれてるから出れないし。なんなら腕も動かせないんだけど」

 

「こんな状況で寝れるわけないじゃん」

 

 もがきにもがいて抜け出せた右手で、仕方なく楽郎の頭を抱き締めるように撫でる。

 

「土曜の朝からこんなことしてるのも大概甘々すぎるけど」

 

 果たして付き合う前の自分がこの状況を見たらどう思うか。自分は慣れすぎて当たり前と思うが、指を指して笑うだろうか? それとも案外乙女な行動に走るかも。

 

「ま、そんなifに意味は無いけど」

 

 リアルで会うまではゲーム友達で悪友だったんだけどなぁ。いつの間にか本気になってたな。

 

「ま、いっか。毎日楽しいし」

 

 柔らかく笑みを浮かべると頭を撫でていた手をそのまま楽郎の頭を抱えるような形に変えて永遠も眠ることにした。

 

「おやすみ」

 

 この後、永遠がまだ家にいる可能性を信じて、昼過ぎにバイトが終わり直帰した瑠美に見つかって、騒動が起きるのはまた別の話。

 

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