さあ始まりました、みんな大好き肝試し(嫌いな人だっている)
「きっもだっめし、きっもだっめし」
「ちょっとは緊張しろよ」
「ゆきちゃんは怖くないの?」
「うーん、本物のお化けに会ったら怖いかな」
ゆきちゃん、隣見てみ?
と、そんな感じで、緊張気味な他のメンバーと対照的にご機嫌なゆきちゃんの声を背景に二階まで降りてくると、偵察に出ていためぐねえの姿が。
「みんな揃ってるわね」
「は~い……」
「肝試しもいいけど無茶しないでね」
原作の幻影めぐねえと同じ事言ってますね。そしてこれまた原作通りに全員で行こうという流れになるかと思いきや、人数が多いせいか二組に分かれることに。
まあ確かにあまり多人数でぞろぞろ行くのは目立ちまくってよろしくないけど、別行動はゲーム的にもっとよろしくない。片方しか守れんやんけ!
「じゃあ私とめぐねえ、
という感じで、このイベントは例えめぐねえが居てもりーさんが仕切ってしまう様子。見えてないスタンドちゃんの割り振りもちゃんとする部長の鑑。めぐねえの頭上に”↓顧問”の文字が見える見える……
さて、分かれてしまったものはしょうがないので、守れない組は噛まれないことを祈りましょう。守れる組ですが、購買部は特にいうことは無いです。原作と違うのはりーさんが居ないのでレジに代金おいて行くのがくるみちゃんになったくらいでしょうか。
問題は図書室です。原作で”居残り生徒”が出てきてますからね。到着してすぐ警備の体勢に入ったくるみちゃんと別れ、残ったゆきちゃんとみーくんが本棚の探索を始めるのを眺めながらこちらも周辺警戒に努めましょう。
【キャラ視点】
「みーくんは何の本もっていくの?」
「そうですね……心理学とか、英語の本とか、もしあればサバイバルの本とか……」
美紀は周囲を警戒しながらも懐中電灯を使ってプレートを照らし、目的の本棚を探っていく。
「おお、たくさん……本好きなんだ」
「まあ、どちらかといえば。ゆき先輩はどんな本を?」
「うーん、マンガかな!」
「そうですか……」
そういえば生徒のリクエストに応じて蔵書を増やす制度がある関係で、娯楽用のマンガで埋め尽くされることになった棚もどこかにあったな、という情報を思い出す。確かあのあたりだっただろうかと視線を漂わせていると
「あやちゃんは何の本にするの?」
美紀が学園生活部に来る前には”あやちゃん”という生徒が居たらしい。顔は知っている。ショッピングモールから学校へ向かう道中、立ち寄った家から胡桃が写真を持ちだしたのを見せてもらったからだ。人となりというか、学園生活部の面々からどう見られていたかも聞いた。皆がその死を受け入れられずに打ちのめされたという。
それから由紀がこんな風になってしまったらしい。
既にいないはずの”あやちゃん”との会話を続ける由紀の方をもう一度見る。
「あ、かばん忘れたんだっけ? うん、一緒に入れとくね」
「……!?」
美紀は思わず自分の目をこすった。見間違いでなければ、由紀が何者かから本を
(え、いま本が宙に浮いて……!?)
「どしたのみーくん、目に埃とか入っちゃった?」
「い、いえ。なんでもないです」
慌てて手をひらひら振って取り繕う。
(気のせい……だよね)
由紀に”あやちゃん”が見えているという話の時、オカルト的な意味かと問うてみたのを思い出す。その時は否定されたが。
そういうことを考え出すと、次はあのショッピングモールを抜け出す際、スプリンクラーが誤作動した時に胡桃が呟いた”またかよ”という言葉が頭をよぎる。その場では濁されたが、後で訊いてみればあんな都合のいい”偶然”が何度も起こったということらしい。
(心霊現象を科学的に解説した本とか置いてるかな……)
ここ数日でいろんなことが立て続けに起こって疲れているのか、はたまた肝試しという特殊な状況でそういう思考になりやすいのか、美紀は普段ならあまり読もうとは思わないであろう本を探し始めた。
みーくん、SANチェックです(満面の笑み)