デッドマンズN・A:『取り戻した』者の転生録   作:enigma

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第七話:I can't give this for you・・・

 

 

 

本日は祝日!学生の大半の皆様がヒャッホイする日!それぞれが思い思いの暮らし方のもと、自分だけの時間を満喫する日!

 

「{ガラッ}フィ~~~~~~~~さっぱりした!」

 

そして俺も、自分だけの時間を無駄なく使い、今日も今日とて自らの修行を終えて帰還していた。ちなみに風呂上りである。

「やっぱあれだな、修行から帰った後の風呂は最高だと言わざるを得ない。」

さ~てフルーツ牛乳フルーツ牛乳・・・お、あった。

「{ゴク・・・ゴク・・・ゴク・・・}ハァアア――ッ!うまかぁ―――ッ!!」

 

 

・・・・・・・・・あれ?俺今おっさんぽくね?・・・orz

 

「・・・ま、まあいいや。それより午後から何するか。」

時間は既に一時を過ぎている。親は仕事に出ているため心配をかけるようなことはないが・・・

「ムラサマブレードも閻魔刀も手入れは一通り終わっていて、射出用の爆薬も矢島に頼んで補充済み。・・・後はハーヴェストに収穫させるかゲームしてるくらいか。」

 

・・・・・・よし、決まった。

 

「散歩しながら拾い物を行うってことでおk。確か今日は夕方あたりから雨だったから・・・あれとあれと、あとあれがあればいいか。」

 

ハーヴェストとその他三枚のディスクを差し込み、DSとPSP、それ用のソフトを鞄につめ込む。勿論PCも忘れはしない。

 

「後は家の鍵をかけて・・・これでよし!フゥ――――――――・・・」

 

 

「キックボード点検OK!右!左!A!B!このコマンドにより、ここから先の俺は爆走するッ!!ヒャッハ―――――――ッ!全速前進DA!!!!」

---ドンッ!! ギュォオオオオオオオオオオオオオオ――――――――・・・・・・

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「フゥ―――――疲れた。」

家を出て約二時間。勢いに任せ過ぎてキックボードで町中どころか海鳴市中を走り回った。

今はたまたま見つけた公園のベンチに座り、キックボードを折り畳んで休憩している。

『結構走リ回リマシタカラネ、今回ハイツモヨリ期待デキルンジャアナイデスカ?』

「ははは、確かに。えっとハーヴェストの状況は・・・よし、全員がそれぞれ何か見つけてきているな。」

フッフッフ、これは今日も収穫が期待できそうだ( ̄ー ̄)ニヤリ

おっと思わず顔がにやけてwwwヒッヒヒヒヒヒヒヒヒヒ

 

「しっかしこれからまた何すっかな~・・・・・・・・・そういやデザートが残り少なかったな。モンブランはまだ栗が時季じゃないから作ろうにもそんなに出回ってないだろうし、思い切って旬の果物でフルーツサンドって手も{ガリンッ}・・・What?」

考え事をしながら足をブラブラとさせていると、何か硬い物を踏みつけたような感触を覚える。

『・・・石デモフンズケタンデスカ?』

「多分な。」

 

アライブの言うとおり、石でも踏みつけたのかとちょっとした好奇心で踏んだものをベンチの下から蹴り出す。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」

 

 

 

確かに・・・俺が蹴り出したのは『石』だった。そう・・・・・

 

『ジュエルシード』という名の『石』だった。

 

 

『思イッキリ巻キ込マレソウナ展開デスネコレハ。』

 

「・・・・・・えっと・・・・・・(ど、どうする。一応矢島にこの事を知らせて・・・いや待てよ?)」

確か矢島の話だと、もともとジュエルシードはここに落ちる前に封印処理をしていたということだ。

そして今、その封印処理はここに落ちた時に『壊れて』しまっている。

そう、『壊れて』いるのだ。

「(今こそコイツの出番か。むしろこういう時こそのこいつだ!)アライブ、あれを出せ。」

『カシコマリマシタ。』

倉庫から一枚のディスクを取り出し、元からさしてたディスクと取り換える。出ろ・・・

「クレイジー・ダイヤモンド。」

俺の体の中から、身長2メートル近くの筋骨隆々な巨人が現れる。

 

配色はピンクと白色。

肩当てや膝当て、鳩尾やベルトの中心などにハートマークの意匠が施されていて、首の後ろの付け根からヘルメットのような頭にかけては何本ものパイプのようなものが取り付けられている。その見た目は、こいつのことを見えるものすべてを圧倒しかねない迫力を持ち合わせていた。

 

そいつの名はクレイジー・ダイヤモンド。

とてつもないスピードと破壊力、そしてあらゆる物質やエネルギーを治す(もしくは直す、元通りにするなどの)能力を持ち合わせた非常に強力なスタンドだ。

こいつには、冒険の後半でワムウの罠やアナスイの分解癖の被害にあった際に何度もお世話になったものだ。

 

(今回も頼んだぞ。クレイジーダイヤモンド、そいつを『封印が掛けられていた時の状態まで治して戻せ!』)

『ドラァッ!』

俺の命令とともに、クレイジー・ダイヤモンドはその青い石に自らの拳を叩き込む。

 

---シュゥゥ――――――――――・・・・・・

 

拳を叩き込まれたジュエルシードからそんな音が聞こえてくる。

クレイジー・ダイヤモンドの拳を引いて側に待機させる。

(上手くいくか?)

それから数秒後、石から音が聞こえなくなる。

「・・・・・・・・・・大丈夫か?」

 

そっと、足元のジュエルシードを拾い上げる。

 

・・・触れても何もなし。特に問題はなさそうだが・・・

 

「・・・・・・・・・・一応確認もかねて矢島に報告するか。えっとここからあいつの家は・・・」

ジュエルシードをポケットに入れて、続いてPCと鍵を取り出す。

ハーヴェストは・・・・・・・・・・・・・よし、帰ってきたか。

『シシシッ!隠シタゾッ!!』

「よくやった。これで十分だ。」

帰ってきたハーヴェストを戻し、ディスクを全部取り出して倉庫にしまう。これでOKだ。

「ピッポッパッポッと・・・・・・・・・あっれ繋がらねえ。何か別の用事でもあんのか?」

しゃあねえ、留守録残してあいつの家に行ってみるか。いなかったらいなかったで別にかまわねえし。

ひとまず折り畳んだキックボードを組みなおし、それに乗る。

 

「さて・・・張り切っていきま「見つけた・・・・・・『ジュエルシード』」・・・・・・ああん?」

 

突如として聞こえた声に勢いを削がれ、思わず首を聞こえた方に向ける。

「・・・金髪少女に犬耳の女?」

そこには黒いマントを翻すレオタードの様な衣装を着込んだ金髪の女の子が居た。

更にその隣には、額に赤い宝石の様なモノが付いたオレンジ頭の女性もいる。

それにあのハルバードみたいな杖みたいなもの・・・・・・まさかこいつがフェイト・テスタロッサ?

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・さて。」

 

俺はそいつらを無視し、キックボードを道路に向けて走る。

 

---ヒュヒュンッ

 

・・・が、回り込まれてしまった。

「・・・・・・{ポリポリ}なにか俺にようでもございますかぁ?」

「あなたが今拾った宝石・・・それを渡して。」

「なんであんたに渡さなきゃならねえんだ?別にあんたのもんってわけでもねえだろうに。なあ・・・魔法少女さんや。」

「それは・・・え?魔法を知ってる?」

腰の鉄球は・・・よし、あるな。場合によっちゃあムラサマか閻魔刀を抜かなきゃならねえがまずは様子見か。

 

「バルディッシュ・・・・・・結界を」

 

『Yes,Sir.』

 

 

そんな事を考えていると、周りの空間が時を止めた時の様にモノクロの景色へと変わっていく。

これが結界ってやつか?そういや矢島を助けた時も似たようなことがあったな。

 

「・・・・・・そのジュエルシードを渡して下さい」

 

「生憎これは本人から捜索願が出されてるんでね。渡すわけにはいかないのよ。もっとも、アンタが俺の納得できる用途と理由が言えるってんなら考えてもいいがね。」

『嘘乙www』

捜索願の部分は嘘だけどな。ま、場合によっては渡すってだけだ。

 

「ゴチャゴチャ言ってないでコッチに渡せってんだよ、このガキんちょッ!!」

「ッ!?アルフッ!?」

 

俺の言葉を聞いたアルフとかいう女は、フェイトと思われる少女の言葉を無視して俺に向かってズカズカと歩いてくる。

どうにも思い通りにならねーから強行手段に出た様だが・・・・・・読みが甘すぎるな。

俺が突っ立ってる間にもアルフは俺に近づき、遂には俺の目の前に立って手を伸ばしてきた。

面倒だから掻っ攫おうってことなのだろう。

 

「アタシャ面倒事が嫌いなんだ!痛い目に遭いたくなきゃおとなしく寄越し(ガシィッ)が、グええええ・・・・・・・!?」

「なっ?!アルフ!」

女が俺に触る前に女の胸ぐらをアライブに掴み上げさせる。

そして・・・

『ヤレヤレ、チッタアソノ面倒事ヲコナス努力ヲシテホシイモノデスネ。』

「{ドンッ}う・・・{パッ ドサァッ}」

当身をさせてその女を気絶させる。

 

「アルフ?!あなた・・・一体何を・・・・・・」

「それをあんたに言う必要があるのか?あんたの理由次第でこれはあんたに渡してもいい。俺から言うことはそれだけさ。」

「・・・・・・理由は・・・言えない。ジュエルシードを渡して。」

「渡せねえな。お前がいったい何にこれを使うか分かったもんじゃねえんだ。俺を『納得』させられないようじゃあこんなあぶねえ物を渡すわけにはいかねえ。」

「なら・・・・・・力尽くでいただきます。バルディッシュ。」

 

『Scythe Form set up.』

 

手に持っていた真っ黒い機械的な杖が変形して金色の光の刃を展開しまるで大きな鎌のような形をとる。

「交渉決裂。ま、やるだけやってみますかねぇ。」

 

---ビュォッ

 

少女がまっすぐに飛んできて、その武器をこちらに振りかざす。

 

「ハッ!」

 

『ギルァッ!』

 

振り下ろされた鎌をアライブに弾かせる。

相手はそれを想定してか、ひるむことなく攻撃を続行してくる。

 

「セィッ!!ハァアアッ!!」

 

少女の剣戟は止まらず、それどころか更に加速していく。

 

 

・・・遅え、スタープラチナよりも、ザ・ワールドよりもはるかに遅えよ。

止まって見える。接近戦で俺を倒したきゃ・・・せめて切り返しから何まで銃弾と同じ速さで同じ動きをしてもらいたいもんだ。

 

 

「オイオイまさかこんなもんかぁッ!!眠っちまいそうなくらい遅いじゃあねえか!!」

 

---ガキィンッ 

 

振るわれた相手の武器をかちあげるように弾き・・・

 

「ッ!?」

 

---ドボォッ!

 

「ぐぅッ!!?」

 

それと同時に怯んだ少女に鉄球を叩き込む。

「{ギャルギャルギャル・・・}グ、カハッ?!{ドシャァアアアンッ}・・・ぐううううう!?」

鉄球の回転が伝わったレオタードは、当たったところがそのまま回転し続けて少女を締め付ける。

そしてそれに耐えきれなくなった少女は地面に落ちて唸る。俺はこちらに戻った鉄球を掴んでホルスターにしまい込む。

「ドジャァアアアアア~~~~~~~ン。それは後二、三時間は回り続けてお前の動きを封じる。もう勝ったも同然だァッ!!」

「く・・・{グググ・・・}バ、バルディッシュ・・・」

『Photon Lancer Full autofire.』

「ん~?なんの真似だ?」

杖の光刃が消え、少女の周りに放電音とともに光の玉が多数現れる。

(さすがにこの距離はちとまずいか。)

そう判断して、キックボードに乗りながら落ち着いて距離を取る。

 

「・・・ファイアッ!!」

 

光弾は槍状の形となり、俺に向けて発射される。

 

「あまっちょろい、『アライブ』」

 

『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ』

 

アライブが地獄の底から響くような声をあげて・・・

 

『アアァァアアアアァアアアッ!!!』

 

拳を頭上から下に振り下ろす。

 

---ズドドドドド

 

次の瞬間、俺に向かって飛来した光弾が急激にその進路を変え、地面に向かって垂直に落ちて爆発した。

「そ、そんな・・・・・・」

「フム・・・まあこんな物か。で、どうするね?俺としてはそこで攻撃の機会をうかがってる犬っころを返り討ちにしたら、とっとと帰って漫画を読むなりなんなりしてくつろぎたいんだが?」

「ッ!?」

「なんだ、分からないとでも思ったのか?一つアドバイスをしておくがな・・・不意打ちの鉄則は『相手にばれないようにすること』ともう一つ、『既にばれてると想定しておくこと』だ。そうすれば当てが外れても精神的に隙が出来にくいし持ち直しやすいからな。」

「く、いったいなんなんだいアンタ!」

「ただのガキさ。ただし・・・お前らと俺じゃあ潜り抜けた死線が違い過ぎるがな。どうする?集めてる理由次第ではこれを渡すこともできる。嘘はもちろんNGだ。」

立ち上がって身構える犬耳女に向きなおり、鉄球に手をかける。

「・・・・・・まだやるつもりなのか?今度は当身程度じゃすまないぞ。」

「・・・だったらなんだってんだい。あたしは・・・フェイトの!あの子の為なら命だって懸けられるんだよ!今更・・・こんなところで止まるわけにはいかないんだ!」

「ッ!!やめてアルフ!私の事ならいいから!あなただけでも逃げて!」

「何言ってるんだいフェイト!そんなことできる訳ないだろう!」

「・・・・・・はあ・・・やだ、何この展開。」

別に如何こうするつもりはねえんだけど。なんつうか考えなしというか勘違いがひどすぎるというか。俺が提案した時もほとんど考える間もなく拒否したし・・・・・・

「いくらあったばかりで信頼もヘッタクレもないとはいえ・・・・・・面倒くせえ、妥協案をのっけから蹴っ飛ばした癖してなんでまあこんなアホらしいコントができるんだか、もうちょっと冷静な判断が出来ねえのか?・・・それじゃあ俺帰るから。さすがに付き合いきれねえわ。」

「「え?!」」

キックボードを道路の方向に向けて、あっけにとられているテスタロッサ達を他所に進んで行く。

「さて、ハーヴェストに隠させた今日の収穫分を取りにいかないと{トゥルルルルルルルッ ピッ}やっと出てくれたか・・・矢島。」

公園からある程度離れたところで、ようやく矢島が電話に出てくれた。

やれやれだ。

『すまんすまん、ジュエルシードを見つけたんだってな。機嫌が悪そうだけどひょっとして暴走体と戦ったのか?それとも・・・フェイトにでも絡まれたか?』

「・・・大正解だ。真っ当に話す余裕がねえのかどうかは知らねえが話が通じなさすぎる。」

『なるほど、感じからして言いたいことはよくわかる。』

「ところでジュエルシードはこっちで預かった方がいいか?」

『俺より安全に管理できるなら・・・あれ?そういやお前封印処理は?』

「今さらだなおいwwとりあえずどうにか手札(スタンド)で封印はできたよ。」

『ま、マジか・・・そうだな、とりあえずそっちで管理しといてもらえるか?俺もそれなりにやることあるからよ。』

「あい分かった、今度なんか差し入れ持っていくわ。」

『サンキュー。それじゃあ切るぞ。』

「ああ、またな。」

 

---ピッ

 

「さて・・・ここからまた一段と忙しくなるのか。」

なるようにするしかないな・・・とまあその前に収穫の回収に向かうが。今日はどんだけ集まったかなぁ~♪

 

 

 

「・・・何・・・だと・・・!?」

収穫の中にジュエルシードが三つほど紛れていたでござるwwナンテコッタイ/(^o^)\

 


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