デッドマンズN・A:『取り戻した』者の転生録   作:enigma

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第九話

---ズギューンッ ザシュザシュッ

「すまん!このことをすっかり忘れてた!」

眼前に迫る巨大な根っこをアライブに切らせていると、背後で奮闘している矢島が謝罪してくる。

---シュパパパッ ドンドンッ

「気にするな!俺もすっぽり頭から抜け落ちてたことだ!というかこれはいつまで続くんだ!?」

俺は返答しながら、高速再生してまた襲ってきた根っこを辟易しながら切り裂いていく。ええい、鬱陶しい!!いい加減辟易してきたぞ・・・!!

「わからん!ちょ、ま、うお!?」

「矢島!?そらよ!」

---ズバンッ

ビームライフルとスラスターを向かってくる根っこの一部にひっかけたことで体勢を崩した矢島、その隙をついて殺到しようとする根っこに俺は次元斬を放って救援する。

「助かった!ありがとよ!」

「礼は後で聞く!それよりも今の内に本体を割り出してくれ!そういうこともできるんだろ?」

「広域探知の事か!アイアイサー!」

まったく、どうしてこうなったんだか・・・

 

 

 

三、四十分ほど前・・・・・・・・

 

 

「ふう、このあたりでいいかな。」

なのはの親父さんの手から逃れて、翠屋のある道路の隣の少し離れた交差点に俺は来ていた。

 

「やれやれ、あれ振り切らなかったら間違いなく戦う羽目になってたかもしれんな。」

 

まったく冗談じゃない。少なくとも今は俺の手札をばらすわけにはいかないのだ。

 

波紋の方は・・・後であった時にスタンガンを仕込んでいたとでも言っておけば強引ではあるが押し切れるだろう。

まあ少なくともこれでもうしばらくは会えないしあそこにも近寄ることはできないだろうが・・・

 

「はあ、マジでこれからどうするか。」

 

時間的にはまだ一時前、小学生の身としては、ゆったりする時間は十分すぎるほどに有り余っている。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・帰ってジョジョでも読んでるか。」

 

思ったよりもずっと早く予定が決まり、さっそく家のある方向に足を向ける。

 

「しっかしなんだろう、何かすごく大事なことを忘れている気がする・・・・・・・・・・・・・・何だったっけ?」

 

何か・・・何か近日中に大きな事あったような・・・はて、何だったか・・・

首をひねりながら、とりあえず自宅に向かって歩いていく・・・

 

 

---ドォォォォンッ!!!

「!?なんだ!?」

 

考え事をしながら歩いていると、少し離れたあたりから何かが勢いよく地面を突き破るような大きな音が響いた。

 

「な、なんだあれは!?」

「きゃああああああああああ!!」

 

周りの人間が俺の進行方向に向かって悲鳴をあげながら逃げる中、嫌な予感がしながらも俺は音のした方を振り返った・・・

 

(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・見ても見なくても同じ・・・ではないよなこれ・・・・・)

 

・・・・・・・これが俺の見ている幻覚でなければ、俺の目の前には、少なくとも地球上での自然界ではありえない大きさとありえない速度で成長しながらこちらに向かってくる、謎の巨大樹とその根っこの姿があった・・・

 

「・・・・・・・・・ふっざけんじゃねえええええええええええええええええッ!!アライブ!」

 

『{ドギュンッ!!}ギルァラララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララァッ!!!』

 

---ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・

 

こちらに向かって急成長してくる根っこなどをアライブのラッシュで徹底的に殴り飛ばしていく。

 

拳の当たった部分はその耐久力を遥かに超えたパワーによって破壊され、消し飛ぶように粉々になり、俺には一切の危害を加えることなくモーゼの前で割れる大海の如く割れた地面にばらまかれることとなった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・が、

 

---メキメキメキメキメキメキメキメキメキメキメキメキ・・・

 

(この大樹、破壊されたところが高速で再生している!?)

 

破壊した木の部分は、確認しただけでも破壊されてから数秒ほどで破壊される前とほとんど変わらないくらいの見た目になり、こいつを攻撃した俺を押しつぶしてしまおうと再度襲い掛かってくる。俺はアライブでそれを再度迎撃しにかかる。

 

『ギルァラララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララァッ!!!』

 

---ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・

 

再生し、再度襲い掛かってきた樹木をまた殴り壊す。

 

---メキメキメキメキメキメキメキメキメキメキメキメキ・・・

 

が、またしても樹木は再生して俺を攻撃しに来る。

 

「(駄目だな、これじゃあいずれ回りを全て囲まれた挙句物量で押し切られてしまう。あの二つはまだ制御に難があるし・・・仕方がない、あんまり使いたくはないが・・・)アライブ、能力解禁だ。徹底的に破壊しろ。」

 

『{ドゴゴゴォォォ――ンッ ヒュッ}カシコマリマシタ!オオォオォォォオオオォォォオォオオオッ!』

 

目下の樹木を一通り砕き飛ばした後、アライブは目の前に立って脇を締め、気を溜めるような構えを取る。

 

 

---ドヒュドヒュッ

 

樹の蔓が押し寄せてくる。

 

「やれ!」

 

『ギルァアッ!!』

 

---ドゴォォッ!!

 

アライブの拳が、俺を襲おうとしたその樹木に渾身の力で叩きつけられる。

その次だった。

 

---ドシャアアアアアアアアアアアアアアアアア・・・・・・・・

 

俺を襲ってきていた樹木の根っこが、まるで水か流砂にでもなったかのように当たった所から崩壊していき、その崩壊は崩れた所からパンチの衝撃が明らかに届かなそうな部分へと急速に広がっていく。さっきまでの唯力任せに破壊していた時とは明らかにレベルの違う壊れ方である。

樹木は再生しようともがくが、そんなことも全くお構いなしと言わんばかりに崩壊はただひたすら加速していく。

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・よし、今はざっとこんなもんかな。」

 

数秒後、アライブの移動可能範囲内は黄色い粉で溢れかえり、視界に入る範囲だけでも二度と使い物にならないであろう流砂のような細かい木の破片やらが一面に広がっていた・・・

 

 

 

少しだけ、簡単すぎるが物理学の話をしよう。

皆さんは『万有引力』というものをご存じだろうか?

アリストテレス、ガリレオ・ガリレイ、ニュートン、フック、ハリー、アインシュタインなど、少し学のある人なら誰もが聞いたことのある有名な学者たちが探究し続け、今も物理学の基礎概念のひとつとして存在する引力、重力の考え方である。

ざっくらばんに言えば、この世のあらゆる質量をもった物質にはその物質同士の間にお互いを引き寄せあう力、すなわち引力が存在するというものである。

空を舞う鳥にも、天に輝くあの太陽にも、そこら辺をはい回る虫にも、極大から極小まで、この世の万物には引力が存在する。

人が地上にちゃんと立っていられるのだって地球が俺達を自分の方に引っ張ってくれているからだし、その地球を含めた惑星が太陽からつかず離れずの距離を保っていられるのだって、太陽と惑星の間に働く引力が離れようとする力と拮抗しているからだ。

プリンや豆腐が柔らかいのは、中で働いている引力が弱いからであり、ダイヤモンドが地球上の何よりも硬いと言われる所以は(結合の仕方もあるが)炭素の原子同士が地球上の何よりも互いに強く結びついているからだ。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・なら、仮にその引力がなくなった場合はどうなるのだろう?

 

答えは簡単。引力となる力以外の残ったすべてのエネルギーが解き放たれ、その物質は形を維持できなくなり崩壊する。それこそ、さっき俺が壊した樹木のように、もしくは、完全になくしてしまえば内包している運動、熱エネルギーなどのせいで破裂するかのように弾けていってしまうだろう・・・

 

ま、最低でも飛び散らないような加減はしたからそこまで飛び散ったりはしないけどな。

 

「・・・・・・・・しっかしあれだな、さすがの威力というかなんというか。」

 

・・・相変わらずこれはひどい。

少なくとも視界の範囲にあった樹木はすべて、原形をとどめることなく崩れてなくなってしまった。

細胞から分子レベルでの破壊をこの規模で行うとなると、さすがに直接スタンドの拳を叩き込まないと今はまだできないが・・・使いどころは十分心得ておかないと絶対にヤバい使い方の一つだ。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

・・・・・・・・・・・・・自分の能力を把握してまもないあの頃、この使い方を思いついてダンジョンで試した時はそれはもう悲惨なものだった。

 

最初はただ単純に引力を0にしたために殴った敵があっという間に弾け飛び、それが顔面にかかってセルフ目潰し的なことになって殺されかけた。今思い出してもあれは間抜けすぎる。

その後はそれを反省し、色々と改良を加えながら細かい使い方を定着させていったが・・・・・・敵を殴った瞬間に、生まれるのが早すぎた巨神兵の末路の如くあっという間に崩れ落ちていったあの光景と、それを見たショックは今でも忘れられそうにない。

 

「・・・さて、この騒ぎは間違いなくジュエルシードのせいだ。まずは大本となっている本体を探さないと「お――――い梶原!お前まだ生きてるか!?」・・・とりあえずそこはあいつに任せるか。」

 

ジュエルシ―ドの影響から離断された為か、急速に消えていってる茶色の絨毯と遠くから低空飛行で駆けつけてきた矢島を見ながら、俺は今後の方針を固めていくのであった・・・・・・

 

 

 

 

---そして物語は冒頭に続く・・・

 

 

 

 

「見つけたぞ!ここから200メートルほど離れた所の交差点だ!」

「よし!一端きり上げてからそこに向かうぞ!」

「アイサー!」

 

目の前に立ちはだかっていた他の大樹を一通りぶちのめしてから、俺と矢島は空に離脱する。

ちなみに今は、スタンドの具体的な部分は秘密にしておきたいからムラサマを手にして樹木の処理をしている。

それと今日の矢島の装備は、今日の事態を見越しての物かフリーダムガンダムの様な装備にしてきている。

あの時の敗北をちゃんと活かせているようで何よりだ。

 

「確かあの方角だったか?・・・・・・たしかに、大樹の一部に光る何かが見えるな。」

 

アライブと視覚を共有し、遠く離れたところにある大樹の一部に光り輝く何かを捉える。

 

「よく見えるなおい。まあそれはともかく急いで駆け付けよう。・・・今日の俺はすごぶる速いぜ?ついてこれるか?」

「ハッ!誰に向かって言ってると思う?」

「なのはの片思い。」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・e?

 

「・・・は?なんでそこであいつが出てくるんだよ。というか俺もあいつもまだ小学生だぞ?そんなこと・・・」

 

そもそも俺はロリコンではない。将来的にはまだどうかは知らんが少なくとも今はありえないな。

 

「そう思うのならそうなんだろうな・・・お前の中では。」

「・・・・・・馬鹿言ってないで先を急ぐぞ。これ以上被害が広がるのはいただけない。」

「{ニヤニヤ}ヘイヘイ、それじゃあかっとばすぜ!{ギュオンッ}」

「妙に納得いかないがその意見は同感だ!{ドゥンッ}」

 

矢島が背中のバーニアを吹かして加速し、俺も引力を操作して後を追う。

 

 

 

 

 

数秒足らずで目的の場所に移動しきると、大本となっているであろう光っている部分に到着する。

 

「あれは・・・」

「知っているのか雷電!?」

「誰が雷電だww『翠屋JFC』のキーパーだよ。あいつの隣に彼女らしき人がいるだろ?結構知られているんだぞ?」

「お前のところでは、だろ?けど・・・そうか、確かあいつら、翠屋の前を通った二人組だ。」

 

なのはがなんか反応してたから何かとは思ったけど・・・そういうことだったんだな。

 

「とりあえずこいつを止めるぞ。俺が魔力を溜めている間の防御は任せる。」

「あいよ。」

 

矢島が両翼のビーム砲を光っている部分に向けて充填し始める。

 

「さて、ここから先は通行止め「見つけたぜジュエルシ――ドォォッ!!」・・・は?」

 

気合を入れる意味で某一方通行のセリフを言おうとした時、近くで響いてきた声に中断させられてしまう。

 

そして響き渡る声とともに、樹木の背後から金ぴかに光る人型が飛び出してきた。

 

「ククク、この俺が自ら出向いてやったのだ。有無を言わず、早々に封印されるがいい!」

「「ゲェエッ!?DQN?!?」」

 

現れたのはなんと、この間ぶっ飛ばしたDQN野郎だった。

 

「ん?なんだ貴様ら、この俺を前にして跪かぬとは無礼であろう!今すぐ俺の目の前から消え失せろ!」

「「・・・・・・・・・・・・・・」」

 

・・・・・・・・・・ま、まあそれはおいといてだ・・・

 

「矢島、魔力の充填は?」

「この距離なら今すぐにでも封印でき・・・待て、後ろから何か反応が!」

「何?・・・・・・・・・はい?」

 

矢島の警告に従い、後ろを振り向いてみる。

よく見ると、かなり離れた位置のマンションらしき建築物、その屋上からピンク色の光が立ち上っていた。

 

「ほげぇ~~~、ありゃなのはの魔力光だ。今の内に離れておいた方がいい。絶対巻き込まれそう。」

「なるほど、噂に聞く砲撃魔法ってやつか。」

 

そういうことなら離れておいた方がいいな。

 

「こ、このモブ風情が・・・よほど死に「そう言えばお前の処理がまだだったな。」な!?」

 

DQNはまるで俺があっという間に傍に近寄ったと思うだろう。

それは実際には違う。俺がこいつを目の前まで一息もない間に引き寄せただけだ。俺自身は一歩たりとも動いちゃいない。まあ空中でそもそも一歩もヘッタクレもないとは思うが・・・

 

---ドンッ

 

「う・・・きさ・・・ま・・・・・・」

 

今度はスタンドに背後から首筋目掛けて手刀を打たせ、DQN君を気絶させる。

バリアジャケット?スタンドにそんなもの通用しないよ?

 

「よし、早いとこ退散するぜ・・・てもういねえ!!」

 

遥か彼方に見えるトリコロールカラーの人型を見ながら思わずそう叫んだ。

野郎、俺もつれてってくれたっていいじゃねえか・・・早いとこ行こう、巻き添えはごめんだ。

俺が立ち退いた後10秒後くらいに、ジュエルシードに向けてピンク色の光の奔流がぶつかった。

 

「・・・・・・・・・・・おっかないもんだな、あれじゃあ『魔法』少女というより『魔砲』少女だ。」

 

・・・俺も身の振り方次第ではあれを受けそうになる日が来るのだろうか・・・ゾッとしなくもないな。

 

 

sideout

 

梶原たちがピンク色の奔流を見る少し前・・・

 

『Area search.』

「リリカルマジカル・・・探して!災厄の根源を!」

それを撃った張本人、高町なのははユーノの助言のもと、レイジングハートの力を借りて力の元を探していた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・見つけた!」

 

自分のいる場所からかなり離れた方向に、彼女の探す災厄の根源、ジュエルシードを見事見つけ出したようだ。

 

「ホント!?」

「うん、すぐ封印するから!」

「ここからじゃ無理だよ!近くに行かなきゃ!」

 

なのはの方に乗っているユーノの言葉ももっともである。

普通なら、封印はもっと近い位置で行うものだ。それを一キロ近く離れた所から行うなど、通常ならありえないことである。

 

「できるよ!大丈夫!・・・そうだよね、レイジングハート。」

 

しかしなのははその言葉に大丈夫と返し、手に持っているレイジングハートを掲げてそう言う。

 

『Shooting mode,set up.』

 

レイジングハートは主の期待の応えるかのように自らを変形させた。

 

「いって!捕まえ・・・え?」

 

杖を構えたなのはが自らの魔力を撃ちだそうとした時、彼女はいつの間にか起きていた異変に気付く。

 

「どうしたの、なのは?」

「なんだかジュエルシードのあるあたりに、ほかに誰かいるみたいなの。片方の人はわからないけど、後の一人からはなんだかわたしと似たような何かを感じるし、あ、後からもう一人・・・」

「なんだって?・・・まさか・・・」

「あ、皆離れちゃった。」

「え?」

 

訳の分からない事態に、二人とも混乱せざるを得なかった。

 

「な、なのは、今はとにかくジュエルシードを封印しよう。」

「う、うん。解ったの。」

 

一先ずの所は、ユーノの指示のもとになのはは遠距離魔法をジュエルシードに放つ。

 

『Stand by ready.』

「リリカルマジカル・・・ジュエルシードシリアルⅩ!封印!」

『searing.』

 

 

 

 

 

「結局あの人たちは誰だったんだろう?」

 

なのはは自分の失態を戒めた後、自分が砲撃を行う前に現れた謎の人物たちのことを考えてそう言う。

 

「・・・これはあくまでも憶測だけど、たぶんなのはと同じ魔導師だと思う。」

ユーノはそれに対し、自分の考えを言う。

 

「え?私以外にも同じような人たちがいるの?」

「うん、信じられない話ではあるけど、なのはのように高い魔力を持った人間はごくまれに存在するからね。そういった人たちが何らかの理由で自分のデバイスを手に入れていたとしたらありえない話じゃないんだ。」

「・・・その人たちは、ひょっとしてジュエルシードを集めてたのかな?」

「わからない。ただ偶然あの場にいて、ジュエルシードを見つけただけかもしれないし、けどもし意図的にジュエルシードを探していたとしたら注意しなくちゃならないかも・・・」

「そっか・・・」

 

いったい何者なのか、どんな理由で集めているのか。そんなことを考えながら家路につくなのはだった・・・

 

 

 

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