デッドマンズN・A:『取り戻した』者の転生録   作:enigma

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だんだんと更新ペースが落ちてきている・・・イカン、ナントカセネバ( ̄皿 ̄;;)
とりあえず第一話と第二話を若干修正いたしましたので、よければそちらもどうぞ。
それと、水曜日から実家に帰るのでさらに更新ペースが落ちるかもしれません。
それではお待たせしました。どうぞ!









第十二話

「~~~♪~~~♪~~♪」

『S○○○'d out』の『Ali○e』・・・何時聞いてもいい曲だ。

この曲だけに限らず、『S○○○'d out』の曲はどれもいい。

歌詞、ノリ、ラップ調、どれもが俺の心の中で勇気を湧き上がらせ、俺の心を奮い立たせる。

「{ガタンッ ガチャンッ}よし!これであとは焼き上がるまで待つだけだ。フンフフン~~♪」

そしてこんないい曲を聴きながら、こうして平和にお菓子作りに励める。

何と素晴らしい日々だろうか。

未だに目先の事件を解決できていない、こんな油断ならない状況だが・・・断言できる。

俺は今、間違いなく幸福(プラス)だ。

・・・たとえ相手が神だろうと悪魔だろうと関係ない。

仮にこの幸福を壊すものがいるとしたら、それが何者だろうと打ち砕くだろうよ。

・・・・・・・・ま、今はそんなもん気にしてもしょうがないがね。今はただ、この確かにある幸福を存分に満喫するだけだ。

 

そんなことを考えながら、俺はオーブンレンジから漂ってくるアップルパイ(カスタードクリーム入り)の匂いとイヤホンから流れる曲を楽しんでいた。

 

 

「~~~♪~~♪・・・曲が終わったな。次は何を聞こうか・・・」

そういえばデジモンのアニソンも結構熱くなるものが多かったな。

どれどれ、確か初代から一番最近までのオープニングも入れていたはず・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

---・・・・ドクンッ・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?(アライブ!)」

音楽プレイヤーをいじっていたその時、外から突如として強い気配を感じ、思わず自分のスタンドを出す。

(今の脈動するような力強い感じ・・・なのはたちと食事に行った日に戦った、荒ぶった大樹の放っていた物に似ている。まさか・・・)

『・・・ドウヤラ御主人ノ予想通リノヨウデスヨ。ココカラ海鳴公園ノ方角ニ・・・一ツ、我々ノ住ム地域デ・・・二ツ、覚醒シテイルジュエルシードノパワーガ放タレテイマス。』

「なんで俺の所だけ一個多いんだよ・・・OK、海鳴公園の方向は矢島達に任せて俺たちは近隣のジュエルシードを対処するぞ!」

イヤホンを耳から外し、胸ポケットから折り畳まれた紙を取り出す。

 

---トンッ パラパラパラパラ・・・

 

それを机の上において広げると、広げた中からそれぞれ、骸骨を模したフルフェイスマスク(素顔を見られないようにするため。ちなみに自作)、真っ黒いコート、小さな鉄球がいくつもついた鉄球と普通の鉄球が二つずつ入ったホルスターが出てくる。

ムラサマや閻魔刀は場所によっては反って戦いづらくなるから、使えると踏まない限りは今のところは出さない。

それに大抵は鉄球があれば何とかなるしな。

「{カチャカチャ・・・スポッ・・・カチンカチン・・・バサァッ}・・・よし!準備完了!」

ホルスターを腰につけ、コートをきっちり着用し、スカルマスクを被って留金をきっちりつけて準備完了。

後は・・・

「パイが焼けるまでは・・・あと30分くらいか。とっとと済ませないと・・・」

 

家を出て、周りに誰もいないか確認をする。

・・・よし、誰もいないな。

「(さて、せっかくだしあれを使って移動するか。)アライブ!」

『カシコマリマシタ。ァアアァァアァアアア・・・・・・』

アライブが片腕を前に出し、呻き声を上げ始める。

すると一メートルほど前の空間が渦を描くように捻じれ歪んでいき、やがて歪みが中心部から、光も何もかも飲み込む様に黒く染まっていく。

その様子は、まるで紙の上に落とされた黒いインクが徐々に広がっていくようでもあった。

「・・・よし、こんなもんか。」

数秒後、目の前には俺の身長よりも少し大きいくらいの、真上から見た台風のような感じで動くどす黒い円ができた。

一応説明しておくと、このどす黒い円は俺が普段使っている倉庫を呼び出す工程を応用して考えたもので、スタンドパワーがある程度届く範囲ならばどこでも行くことができるという代物だ。

・・・この技、なんでか知らんけど異様なくらい習得が早かったんだよなぁ~。

能力が変質するよりもよっぽど早い段階で使えてたし。

今更だけど俺の能力って本来こっちの方が向いてたんじゃなかろうか・・・まあいいけどね!今の状態の方が断然強いしかっこいい感じするし!

ちなみに前世では多少のデメリットこそあったものの、今はほとんど問題ないと言えるほどに改善されたからそれは伏せさせていただく。

 

 

 

 

 

 

円の中からは、おそらく俺が処理を行うジュエルシードが放っているであろう凄まじいパワーが、より強く、より近くに感じられる。

「{コキコキ}よし・・・行くぞ!」

『O・K!』

そして俺はその黒円の中に飛び込んだ。

黒円は飛び込んだ俺とアライブの体を難なく飲み込み・・・

---・・・シュゥウウ――――・・・・・・

俺を完全に呑み込んだ後、あっという間に小さくなって消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然な話ですけど、私は誘拐されたことがあります。

二年前・・・自分の住んでいる孤児院に帰宅している途中で、いきなり一台のワゴン車が止まり、その中から出てきた男たちによって私は無理やり車の中に連れ込まれました。

男たちはどうやら強姦目的で私を誘拐しようとしたらしく、車の中で抵抗らしい抵抗もできず、ただじっとしているほかありませんでした。

・・・・・・正直すごく悔しかったのです。今までだって、家族も友達もいない、頼れる人もごくわずかで、どうしようもなく寂しい人生を送ってきていました。

けどあの時は、そんなことすら問題にならない状況でした。

男たちの下卑た笑い声を聞きながら自分の無力と運命を呪い、ただ震えることしかできませんでした。

けど・・・私は結果的に助かった、いえ、助けられたんです。とある子供の手によって・・・

廃ビルに到着し、拳銃を突きつけられながらビルの中に連れ込まれそうになった時、近くにあったビルの柱が突然音を立てて破裂し、男たちの視線が私から外れた次の瞬間、私は見えない何かに引っ張られるように他の柱の影まで連れていかれました。

そこで私は見ました。おそらく私と同じくらいか、年下と思われる少年によって・・・あの白いビニール袋を被った子によって・・・

その少年は、困惑する私を見ながら感情らしい感情を感じさせない口調でいくつかの確認と注意をした後、逃げ去ろうとする誘拐犯たちの元へ向かい、銃声と誘拐犯たちの悲鳴が聞こえた後、彼は再び私の元へと帰ってきました。

どうやら私が安心できるように、あの誘拐犯たちが動けないことを伝えにわざわざ来てくれたそうです。

可笑しな話かもしれませんが、その少年が思いのほか律儀だったことに私は心の中で少し笑ってしまいました。

多分この感想は墓の下まで持っていくんじゃないかと思っています。

その後、私は少しだけ彼と話しました。

最初は彼のことについて聞き・・・そしてその返答を拒否され、気が付けば自分の境遇を、攫われた時の気持ちを、あの子に救われたことの嬉しさを堰が切れた様に語っていました。

彼は自分のことについては結局何も答えてくれなかったけれど、私を助けた理由を聞いた時だけ垣間見せた優しさは、これ以上ないくらいに私の心を震わせました。

その後私は、その少年に友達になって欲しいと思い、その場から去ろうとする彼に言いました。

けどやはり、自分の素性を明かせないと断られ、それでもと食い下がった結果、彼は自分を見つけ出せたらその申し出を受けると約束してくれました。

そして景色の中に消えていく彼の後姿を見て、私は改めて決心しました。

何が何でも彼と一緒にいたいと、いつの日か必ず彼を見つけてみせると・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・ハア、今日もだめか。」

人の通らない道を歩きながら、私はそんなことをぼやく。

あの日からもう二年がたつ。今日もあの人は見つからなかった。

「あの時の時間帯や地理的な条件からして、間違いなく彼はこのあたりに住んでいるはず・・・なのになぁ~~~~~~~」

 

最初の頃こそ自信はあった。顔も名前も確認できず、服装に大した特徴はなかったが、あの日、あの時間帯は海鳴第ニ小学校の生徒の下校時間だった。

全学年の時間割や下校時間まで入念に確認したのだから間違いない。

そして、あの時間に私が誘拐された場所まで来れる可能性のある生徒をピックアップし、(関係ない子には悪いとは思ったが)それぞれの主な帰宅ルートを隠しカメラを使って徹底的に割り出し、最終的に数人まで絞り込むことができた。

・・・・・・・・・・・・・・けど、そこから先がどうしてもうまくいかなかったのだ。

最初の内こそ、監視の目を張り巡らせておけば自然とボロが出るだろうと思っていた。

けど彼もそんなことは承知しているのか、今の今まで、どの子もごくごく普通の生活を送っていたのだ。

絞り込みを間違えたのかと、何度かやり直すこともあった。

けど結局、どの子があの彼なのか結局はっきりと分からず、今日までずっと隠しカメラの映像とにらめっこする日々を送っていたのだ。

(長丁場になることは想定していたけど・・・まさかここまで時間をかけてしっぽを掴むどころか影さえ掴めないだなんて、少し用心が過ぎるんじゃないかしら。)

彼の言っていたことは私もよくわかる。

彼の持つ力は、おそらく念力のような超能力、それも、破棄されたものとはいえビルの柱を容易く破壊するほどのパワーだ。

そんなものが世間にばれてしまったら、彼はほぼ間違いなく追われる身となり、最悪実験体としてその一生を終えてしまうこととなるだろう。

理屈では分かる。私だってそんな人生、まっぴらごめんだ。

でも、理屈と感情が必ずしも一致するのなら世の中苦労はない。

ただひたすら立ちはだかる現実に、私は再度嘆息する。

「・・・・・・・・今日はもう帰ろう。隠しカメラの映像も回収したし。」

もし彼に出逢えたら、今までの苦労をネチネチと語ってやろう、そんなことを考えながら、私は自分の住んでいる孤児院に向けて歩く。

 

 

 

 

・・・・・・・・その時だった・・・・・・

---キィ――――ンッ

「ッ?!何今の・・・・・・・え?・・・」

空が、突如としてありえない色に変わったのは・・・・・・

 

 

 

 

「な、なにこれ・・・」

一瞬自分の目がおかしくなったのかと思い、あまりにもありえない現象に唖然としてしまう。

「・・・・・・・・・・・・{ゴシゴシ グニィィ―――}イタタタタタタ!!」

眼をこすっても、ほっぺたを抓っても、極彩色の世界は何一つ変わらない。

「・・・・・・・・・夢じゃない。いったい何が起こっているの?」

理解不能の事態に陥り、私は呆然と立ち尽くす。

 

 

 

 

---ドォ―――――ンッ!!

「きゃあああ!?こ、今度は何?!」

そして今度は、自分の後方から聞こえた大きな破壊音と体に当たる砂塵に思わず悲鳴を上げてしまう。

(何?さっきから何が起こっているの?)

訳の分からないことが立て続けに起こり、頭の中での処理が追い付かなくなっているのが自分でもわかる。

---アアアァァ――――――・・・・・・・

「(今のは・・・声?)だ、誰か其処にいるの・・・?」

宙を舞う砂塵せいでまともに目が開けられず、半分混乱している私の耳に何かの叫び声のようなものが聞こえてきた。

それはこの状況にはとても似合わないような美しい女性を思わせるもので、こんな状況でなければ私も聞き惚れてしまいそうなものだった。

だが・・・

(な、何?この感じ・・・体の震えが、止まらない・・・)

その声を聞いた時私が感じたのは、言い様もない恐怖と不安感だった。

一刻も早く立ち去らなければならないそんな考えが頭に浮かぶ。

(逃げなきゃ・・・早く・・・逃げないと・・・)

しかし、逃げろ!逃げろ!と意識は叫ぶのに、体が言うとおりに動こうとしてくれない。

漫画や小説などでよく表現される、一種の恐慌状態に私はなってしまっていた。

 

 

 

---ヒュゥオオ―――・・・・・・

そしてそんなふうにもたついている間に、砂塵がある程度落ち着き、晴れてきてしまう。

私はかろうじで首を動かし、つい、音がした方向を見ようとした。

 

 

・・・・・・・・・見てしまった・・・

 

「・・・・・・え?・・・ヒィッ?!?」

 

未だ砂塵の舞う視界の中でとらえたその姿は・・・文字通りの異形だった・・・

 

 

最初に見えたのは、女性の裸体だった。

一般的な悪魔のような感じの角をはやし、神秘的な雰囲気を持った裸の女性の上半身。

この部分を見た時だけ、私はその異形の持つ美しさに思わず見惚れてしまった。

 

 

だが・・・それも一瞬だけのことだった。

 

そう、その女体の腰から下にある、形容のしがたいものを見るまでは・・・

 

「・・・・・・・・・・・・な・・・なに、あれ・・・」

 

無数の骸骨が埋め込まれたどす黒い外皮、黄色く光るゲル状の液体を滴らせた二つの突起物、いたるところにある黄色いゼリー状の組織、暗青色に輝く四肢と身体。

通常の一軒屋なんて比較にならない大きさを持つその巨体について、かろうじで言い表せることがあるとすれば・・・それは醜悪の一言に尽きる。

 

(・・・・・・・・・・・は、ハハハ・・・なんだ、私まだ寝てたんだ。早く・・・起きなくちゃ・・・・・・)

 

異常に次ぐ異常・・・最早私の思考は、この世のものとは思えない状態に対してほぼ完全と言っていいくらいに止まってしまっていた。

 

 

《・・・・・・・!》

「ッ!!」

怪物と視線が合い、私の体はより一層強張る。

おまけに極度の恐怖と緊張で視界が揺らぎ、吐き気まで感じるようになってきている。

 

---ズシンッ ズシンッ ズシンッ・・・・・・

 

怪物は私の姿を確認すると、その巨体にふさわしい地響きを立てながら4本の足を使って徐々に近寄ってくる。

 

「いや・・・来ないで・・・来ないでよぉ!!」

 

そんな声が思わず漏れ、ようやく少しずつ後ずさりができるくらいになったが、怪物は関係ないと言わんばかりにスピードを緩めずこちらに向かってくる。

 

 

「あ・・・あああ・・・」

ついに私と怪物の距離は、残り1メートルにまで縮まった。

 

怪物の瞳が、震える私をじっと見つめる。

 

そんな中、視界の揺らぎはより一層激しくなり、平衡感覚が麻痺して最早自分が立てているのかも怪しくなる。

 

そして・・・

 

《アアア―――――・・・》

 

怪物の女性の部分が、聞き惚れそうになる声を出しながら後ろに下がっていく私を捕まえようと手を伸ばす。

 

(いや・・・こんなの・・・いや・・・誰か・・・・・・・・)

 

生物の自己防衛本能だったか、おそらくそれが働いたのだろう。

 

私は迫りくる脅威を見ながら、徐々に自分の意識が遠くなるのを感じる。

 

視界がだんだんと暗くなり怪物の声もだんだんと小さくなる。

 

 

 

(・・・・・たす・・・け・・・・て・・・・・)

 

意識が闇に沈んでいく中で私は勝手な期待をした・・・

 

遠い昔に出逢ったあの謎の少年が、今度も駆けつけてくれることを・・・

 

私の危機を救ってくれた、あのヒーローのような存在がまた私を守ってくれることを・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《フフフフ・・・・・・》

その日、海鳴市に起きた二つの異変、そのうちの一つである美と醜を無理やりくっつけたような存在は微笑む。

自らの器になりえる存在、それがようやく我がものになることに歓喜しながら・・・・今まさに、気を失って倒れようとしている少女を取り込もうと、夢中になってその手を伸ばしていた。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・ゆえに、この存在は気が付くことができなかった。

---ヒュンヒュンッ

 

《フフh{ドドンッ!!!}ギィアッ!???!》

 

自らを終わらせんとするその存在のことも、その存在が放った二つの脅威のことも・・・

 

---ズドドドドドドドドドドドド・・・・・・・・

《―――――――――――ッ!??!!!!!》

 

少女を捕まえようとした怪物は、何かが衝突する音とともに真後ろに今まで進んでいた方向と全く逆方向に弾き飛ばされる。

 

怪物は突然のことに踏ん張ることも悲鳴を上げることもできず、コンクリートや周囲の電柱を巻き込みながら、少女との距離をざっと数十メートルは離される結果となった。

 

 

「・・・やれやれ、せめて二度目の再会くらいは問題なく行うつもりだったんだけどなぁ・・・まあこうなってしまっては致し方ないか。」

 

そして肝心の少女は・・・何時の間に現れたのか、骸骨を模したマスクに黒いロングコート姿という、一般的に見れば明らかに通報物の姿をした人物によって抱えられていた。

 

そう、かつて抱えている少女を危機から救い、今もなお町の平和のため、己の平穏のために危機へと立ち向かう、海鳴市のスタンド使い・・・梶原 泰寛その本人が・・・

 

---シルシルシルシル・・・・・・

 

「・・・帰ってきたか。」

 

泰寛は、怪物が吹き飛ばされた方向を向く。

 

その方向は怪物が飛んで行った過程で土煙が宙を舞っており・・・

 

---シュンシュンッ

 

その土煙の中から、何かが二つほど飛び出した。

 

それは鉄球だった。彼の数ある手札の一つ・・・なんの変哲もない、強いて言うならば、ものすごい勢いで回転しているだけのただの鉄球。

 

泰寛は、その二つを事も無げに掴み取る。

 

「(?なんだこの感触・・・)・・・まあ今はどうでもいい。さて、まずはこいつの安全確保から執り行うか。」

 

彼がそう言った直後、彼の周囲の景色が大きく歪み・・・

 

---ブゥンッ

 

何かが震える音が鳴ったと同時に抱えている少女とともにその場から姿を消した。

 

 

そして・・・・・・・・・

 

---ブゥンッ

 

その数秒後、今度は抱えていたはずの少女がいない状態で先ほどいた場所に姿を現した。

 

---ドォ――――――ンッ!!!

 

 

《アアアアアアアア――――――――――――――ッ!!!》

彼がいる地点から数十メートル先、怪物が飛んでいった方向から破砕音と怒号のような声が響き渡る。

 

「ふん、見本を見てない状態での回転だとやっぱりそこまで足止めはできないか。」

『デスガ決シテ勝テナイ相手デハゴザイマセンヨ。今マデ相手ニシテキタモノニ比ベレバネ。』

「当然だ。あの程度に負けるような鍛え方をしていた覚えはねえよ。」

 

 

《アアアアアアアア――――――――――――――ッ!!!》

 

---ズドォ――――――――――――ンッ!!

 

怪物の咆哮とともに全身から荒れ狂うような雷光が放たれる。

 

ただの威嚇に過ぎないその行動は、ただそれだけで周囲の大気を激しく揺らし、建造物を次々とただの瓦礫にしていく。

 

「・・・ハッ、その雄叫びはなんだ?恐怖も知らねえ木偶が俺に敵うとでも思ってんじゃねえだろうな?」

 

そんな圧倒的な情景を前に・・・・・・梶原泰寛(取り戻した者)はただ力強く向き合う。

 

「かかってこいよ、今までと何ら変わりねえ・・・俺は俺の明日を切り開くだけだッ!!」

 

何物をも超えんとする不屈の闘志を胸に秘め、彼は立ちふさがる障害を迎え撃った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回の暴走体…実はとある狩りゲーの敵がモチーフです。
分かる人にはわかったでしょうか?
それでは次回、お会いしましょう!
Arrivederci!(さようなら!)

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