デッドマンズN・A:『取り戻した』者の転生録   作:enigma

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や、やっと書けた--;;

それでは来て下さった皆様、どうか楽しんでいただけると幸いです。

どうぞ。


第十三話

side:梶原 泰寛

 

 

---コォォオオオ――――――――・・・・・・

 

呼吸を整え、全身にくまなく波紋のエネルギーが伝わるのを把握しつつこれからの方針について再確認する。

 

(さて、とりあえず張り切ったのは良いが・・・さすがにここで暴れられるのはまずいよな。)

 

改めて周囲を見渡すとわかるが、今俺がいるのは町中の大通りだ。

こんなところであんなデカブツが暴れまわれば、それこそ被害はとんでもないことになる。

最悪ここら一帯が廃墟になりかねないだろう。

現に、ついさっきの咆哮+αであいつの周りが瓦礫の山になったわけだし。

 

(それと・・・さっき戻ってきた鉄球の事も気がかりがある。)

 

俺は先ほどホルスターに戻した鉄球の状態を改めて確認する。

 

一見問題ないかのように見えるそれは・・・“表面の大部分に食い千切られた様な歪な凸凹が見られる”のだ。

 

(いくら手本のない状態で回転させたとは言えアライブのパワーで回した上に能力で強化した鉄球が、ただ罅が入ったり砕けるだけならまだしもこんなふうになるものなのか?・・・いや、それはありえない。きっとこの鉄球の状態に、奴の秘められた特異性が顕れているに違いない!)

 

とりあえずこの二つは・・・一応持っておくか。何かに使えるかもしれんし。

 

(さて、奴の力に関してはこれからきっちり確かめていくとして・・・取り敢えずは奴を人気のない所に何とか移動させるか。たしかここからそう遠くない所に・・・)

 

《アアアアア――――――――!!》

(ッ!来るか!)

 

怪物の咆哮が再び周囲に響き渡り、俺は怪物を鋭く睨めつける。

すると今度は、遠く離れた位置にいる怪物の女体の部分が両手を激しく放電させ、それを自らの腰から下・・・あの骸骨のようなものがある部分に押し当てた。

 

---バリバリバリバリバリバリバリバリバリッ!!

 

放電は瞬く間に全身に広がり、奴の前方部分にあった黄色く光る二つの突起物が、巨大で鋭利な牙の様に鋭く伸びる。

 

《オォオオオ――――――――!!》

 

そして放電を行ったまま、奴は俺のいるところまで一気に駆け抜けてきた。

 

「(今思ったけどおびき寄せるにしてもこんな馬鹿でかいのにずっと走らせるわけにはいかないよな。)・・・チッ、こりゃ普通におびき寄せるのは下策か。とりあえず・・・」

 

俺はコートの裏側から折り畳まれた紙を取り出し、それを広げることでファイリングされた鉄球をいくつか取り出す。

次に通りの脇に植えられている一番近い銀杏の木を『視て』・・・

 

「動きが読み易くて非常に助かるよ・・・・・・ジャアアアッ!!」

『ギルァラァッ!!』

 

敵がちょうどいい位置まで近づいてきたと同時に、新たに取り出した鉄球をアライブとともに敵目掛けて次々と投げつける。

 

俺が投げたものは女体にかなりの速度で、アライブが投げたものはややスローペースで、両方の前足に向けてそれぞれ飛んでいく。

 

《!!{ドガドガッ}グッ!?》

 

女体部分は俺の投げた鉄球を防ごうと手を前に出すが、奴にとって予想外の威力だったのか両手をはじかれて大きくのけぞる・・・・・・

 

《{グググ・・・ガバッ!}ガアア――――――!!》

 

が、やはり相手もジュエルシードの力を使っているだけあるのか持ち前の力で無理やり体勢を立て直し、そのまま進んで俺を轢き殺すために右の前足で地面を踏みしめようとしていた。

 

《{ドドドッ ギャルンッ!!}オオォォオッ?!?》

 

だが怪物が地面に右前脚をつける寸前、足の下腿部に当たる部分にアライブの投げた鉄球が当たる。

すると、怪物の体表がまるで雑巾を絞ったように螺旋を描き、そのまま大工道具の差金のように足が中央部で90度ほど外側に折れ曲がる。

 

(黄金長方形の回転・・・やはり本物を見た時の威力は段違いだな。そして・・・)

 

《グ・・・オオオオ!!》

 

怪物は突然のことに驚きながらも、何とかスピードだけでも落とそうと左前脚を前方に突き出す。

 

・・・・・・・・・・・・・・・が・・・・・・

 

《{ドドドドッ グニュウ――ッ}オアアアッ??!》

 

今度はその踏ん張った足にアライブの投げていた鉄球がいくつかぶつかり、怪物の左前脚は熱を持った飴の様にぐにゃりと後ろに曲がる。

その結果・・・・・・

 

---ズギャギャギャギャギャ―z___________ッ

 

《ギィアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!》

 

前足が両方とも使い物にならず、ブレーキを掛けることすらままならなくなった怪物は自らの出したスピードで地面を滑走することとなった。

 

「Very good!完璧だ!」

俺はアライブとともに地を蹴り、放電しながら地面を滑ってくる怪物を横に跳んで避ける。

 

 

《グ、グググ・・・》

 

俺が立っていた位置からある程度進んだ所で、ようやく怪物は動き・・・というよりもスライディング?が止まった。

放電は今のところ弱まっており、近寄っても問題はなさそうだと判断した俺は出来るだけ怪物の近くに走り寄る。

 

「(さぁ~て、これだけでかいのを移動させるのは結構久しぶりだな。)やるぞ、アライブ。」

『ヤレヤレ、コレハナカナカ苦労シソウナさいずデスネェ・・・アアァァァアァアァアアア』

 

アライブの呻き声とともに、化け物の腹の下に俺の使ったどす黒い円・・・ワープゲートが急速に開かれていく。

 

《!?グオオオ・・・アアアアアアアアア――――――――ッ!!》

 

怪物は足をばたつかせて逃れようとするも前脚の修復が間に合わず、そのまま黒い円に飲み込まれていった。

 

 

 

---ツゥ―・・・

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・ハァ――――――――!!」

 

開いていたゲートを閉じながら、今ので一気にたまった疲労を絞り出すように盛大に息を吐き出す。

気が付けば、体のいたるところに冷汗をかいてしまっている

 

「いや、やっぱあれだけでかいのは結構疲れるわ!けどこれで『マダダ!』なんだと?」

 

---シュボッ

 

アライブが叫んだ瞬間、閉じかけていた穴からかろうじで何かが飛び出す。

 

「・・・・・・なるほど、そうみたいだな・・・というか・・・」

 

 

---ゴオオオオオオオ――――――――ッ

 

 

形状は羽根のようなものが均等に生えた円筒形、色は鉄黒色、下の部分からは火を噴いており、それが推進力となって空を飛ぶ。

 

 

見紛う筈もない、その形状はまさしく・・・・・・

 

 

「『・・・・・・・野郎どっからあんなもん出したんだ?』」

 

 

完全にミサイルだった。

 

 

思わずアライブとセリフがかぶってしまうほどに・・・それはミサイルだった。

 

 

「・・・オイオイオイオイ、こんなとこでシャレにならねえもの使いやがって!何としてでも撃ち落とすぞッ!」

『了解!ギルァアッ!』

 

俺いるところに向きを変えようとしているミサイルに向けてアライブにレッキングボールを投げさせ、同時にミサイルに三十倍の重力を掛ける。

 

---ボゴォッ ドゴォォオオ――――――ンッ!!!

 

鉄球はミサイルの弾頭、もしくはシーカーがあると思われる部分に見事に当たり、数瞬後にミサイルは落下しながら爆発する。

 

ミサイルの破片は若干飛び散るものの、周囲の建物や俺に当たる前に全部道路のコンクリートに叩きつけられる結果となった。

 

「フゥ――――、これで後はあいつを追いかけるだけか。アライブ、道を繋げ。」

『ワカリマシタ。アアァアァアァァ・・・』

 

---グニュゥウ~~・・・ズズズズズ・・・

 

怪物を送った場所の空間座標を引き寄せて繋ぎ、門となるどす黒い円が目の前に出来上がる。

 

さあ、とっとと始末しに行こう・・・の前に、

 

「アライブ、倉庫を開く用意だけしておいてくれ。ディスクの選択は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だ。」

『ナルホド、確カニソレナラ短時間デ済ミソウデスネ。』

「パイが焼けるまであまり時間がないからな。済ませるなら早い方がいい・・・行くぞ!」

『ケケケケケ、アイアイサー!!』

 

改めて気合を入れ直し、俺はゲートに足を踏み入れて行った。

 

 

 

 

 

「{シュンッ}どこだ?奴はどこに・・・いた!」

 

ゲートを抜けた先にあったものは、明らかに怪物が暴れたような惨状になっている森林と、両前脚を完全に修復させて環境破壊を現在進行形で進めているあの怪物の姿だった。

俺が奴を送った場所は、ここからそう遠くない場所にある森だ。

ここならばあの大きさでも俺の力で送れるし、何より人の住んでいる地域での被害が大きく違ってくる。

そして、どうやらその判断はどうやら間違いではなかったようで、近隣の生物に大きな被害は出ているものの、これで心置きなく戦える状況になったと言えるだろう。

 

《・・・!!アアアアアアアアアアアアッ!!》

 

怪物が双眸がこちらを捉え、咆哮が大気を大きく震わせる。どうやら向こうも俺に気が付いたようだ。

 

《ウゥゥ――・・・・・・》

 

とは言えさっきのやり取りでようやく警戒すべき相手と判断したのか、向こうも下手に突っ込んでくる様子はなさそうだ。

 

「(これもある意味チャンスか。)アライブ、ディスクの用意だ。」

『了解シマシタ。』

 

アライブが取り出した4枚のディスクを受け取り、頭にそれを突き刺す。

うん、長年使い慣れただけあっていい具合に馴染むな。

 

 

「フゥ―――――・・・・・・『化け物を倒す』、『パイが焼ける時間に帰りつく』」

「お前如きに両方やり遂げることはそう難しいことじゃあない。」

「それとお前に覚悟なんてものを考える思考があるか・・・宇宙の果てを知る訳が無いようにそんなことは知ったこっちゃない。」

「俺がお前を始末することには全く関係ないからな・・・」

「・・・前口上が長くなったな。まあ要するに・・・俺は敵を逃さない。逃せば何時か俺自身を確実に蝕むからな。だから俺は・・・」

「テメーを始末する。それだけだ。」

 

さあ、ここからが本番だ。気合入れていくぜ。

 

 

《ウウウ・・・オオオオオオオ!!》

 

---グニュグニュミチミチッ

 

怪物の叫びとともに、でかい方の背中にある黄色いゼリー状の部分が大きく震え・・・

 

---ズボォッ! ガチャンッ!!

その中から黒い箱型のものが飛び出し、その前の部分が大きく開く。

 

(あれは・・・まさかミサイルポッド!?さっき街に出てきたミサイルはあそこから出したのか!)

 

---バシュシュシュウ――――――――ッ!!

 

六発のミサイルが発射され、それらが緩い放射線を描いて俺に向かってくる。

 

「上等・・・これくらい凌ぎ切ってやるよ。」

 

俺は迫りくるミサイルを前に・・・

 

---ダンッ!!

 

避けるのではなく、撃ち落とすのでもなく、思いっきり前に走り出す。

 

---シュゴォオオ――――――

 

ミサイルは当然のごとく俺に襲い掛かってくる。

そして数瞬もしないうちに、俺の眼前数十センチまで迫る。

このままいけば、どんな対処をしても木っ端微塵になるだろう。

 

 

 

 

 

 

ああそうさ、『このまま』行けばな・・・

 

---ズドン ボゴンッボゴンッ ドバァァ―z_______ン

 

崩壊していく大地を、消えていく景色を、実体無き残像の連続になっていくミサイルを見ながらそんなことを考える。

 

「キング・クリムゾン、俺以外のすべての時間は消し飛んだ。」

 

時間を消し飛ばすことによって、ただの残像となったミサイル群を素通りしてまっすぐ怪物を目指す。

 

「お前がどんな力を持っていようが、時間の消し飛んだ世界でお前はその軌跡を知ることはできない。何一つとしてな。」

 

怪物のいるところに着き、街中で広げたのとはまた違う紙を取り出す。

そして今度もそれを広げて中から替えの鉄球を取り出し・・・

 

『ドララァッ!!』

『ウゥリィヤアアッ!!』

 

それらを俺の傍に出したクレイジー・ダイヤモンドとキング・クリムゾンに持たせて投げさせる。

鉄球はそれぞれが怪物の四肢の近くに一つずつ着弾し、その場で回転し続ける。

 

「残り時間はまだまだ余裕があるが・・・あと一発投げれば今は十分か。」

 

取り出した最後の鉄球は自分で持ち・・・

 

「時よッ!再始動しろおおおおおッ!!」

 

時間の消滅を解除しながら鉄球を投げつける。

 

《ナッ?!{ドゴォッ}ガァッ!!》

 

鉄球が敵の女体部分に着弾したのを確認し、俺は一度怪物から距離を取る。

 

「さあ、お前の中身を見せてもらうぞ。『スキャン』」

 

クレイジー・ダイヤモンドとキング・クリムゾンを側に出し、意識を右目に集中させる。

 

T・U・R~~~~・・・・・B・Oッ(タァ~~~~・・・・・ボッ)

 

俺の背後に砂色のビジョンが現れると同時に、右目に通常とは違う映像が見え始める。

 

---シルシルシルシルシル・・・・・

 

5つの方向・・・位置的には俺が先ほど投げた5つの鉄球があるあたり。

 

そこから放たれる規則的な波紋が、外装から骨格、内臓の隅々に至るまで・・・届く範囲すべてを外側から内側まで見抜き、右目にそれらを投影していく。

 

(・・・・・・なるほど、鉄球がああいう風になったのはこういう訳だったのか。そして・・・見つけたぞ!)

 

《グググ・・・ガアアアアアアアアアアアッ》

 

---バチバチバチ・・・ドォォ―z___ンッ

 

怪物が放電で無理やり払い飛ばすことで、スキャンが一時中断される。

 

「チッ、まあいいや、欲しい情報はもう手に入ったし・・・!!」

 

怪物の左足のゼリー体が蠢き、中から某カードゲームの生贄を名前として冠するモンスターのような目玉が出てくる。

 

---カッ!!

 

怪物の目玉が俺を見ながら強く輝く。

 

「時よ消し飛べ!キング・クリムゾンッ!!」

 

俺はその輝きと同時に時間を消し飛ばす。

 

---ズドドドドドドドドドドドッ

 

時間が消し飛んだその次の一瞬、俺のいた場所を含めた10メートル四方が目玉から放たれたビームで薙ぎ払われる。

 

「あっぶねえ・・・あと一瞬遅れていたら・・・」

 

数秒前、キング・クリムゾンの第二の顔・・・エピタフ(墓碑銘)が俺に見せた未来の映像に思わず身を震わせる。

 

ちなみに消し飛ばすのが少しでも遅れていた場合、俺がまたあの神様の厄介になっていたであろうことは言うまでもない。

 

「まあいい、どっちにしろこれが最後の時間消滅だ。」

 

ここからが正念場だと自分に言い聞かせ、俺は消し飛んだ時間の中で目玉を仕舞っている怪物・・・の女体部分に一気に近寄る。

・・・別にやましい考えはない。

こいつを倒すにはこの女体部分を攻撃する方が一番手っ取り早いから近寄っただけだ。

断言しよう!決して他意はないとッ!!

 

「スティッキー・フィンガーズ、いよいよお前の出番だぜ。」

 

体の内から現れた最後のスタンド、スティッキー・フィンガーズを側に出す。

 

 

 

「さっきのスキャニングで知りたかったこと・・・一つは鉄球をあんな状態にしたプロセスだ。不完全な回転とは言え回転している鉄球があんなふうになるのは不自然過ぎた。」

 

「だがさっき投げた鉄球でそれがわかった。コイツは・・・喰っていたんだ。俺の投げた鉄球を、回転速度を上回るスピードで・・・あの究極生物どもの様に細胞単位で食らっていたんだ。」

 

「それだけじゃない。パッと見ではあまりわからなかったが、踏みつけている折れた樹や地面の土、空気に至るまで、こいつは自分が触れるもの全てを物凄い勢いで喰うことでより強靭になろうとしていた。」

 

「もしこれに気が付かずに近接戦闘を行っていたらと思うと・・・ゾッとする話だ。」

 

「・・・そしてもう一つ、俺が知りたかったことは・・・・・・」

 

 

「ジュエルシードの場所だッ!!ここまで強力なら、体のどこかに必ずあるはず!そして、それも既に見つかった!」

 

「今度こそ終わりだッ!時は再び刻み始めるッ!!」

 

《ッ!!?》

 

いきなり目の前に現れたと認識したのだろう、驚愕している怪物に向けて・・・

 

 

 

「『スティッキィィ―――――・フィンガァァ―――――――――ズッ!!!』」

 

戸惑うことなく全力のラッシュを叩き込む。

 

『アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ・・・』

 

---ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴッ

 

スティッキー・フィンガーズの拳が当たる度に、怪物の体に本来ないはずのジッパーがどんどん増えていく。そして・・・

 

「『アリーヴェ・デルチッ!!』」

 

怪物に最後の一撃を打ち込み・・・

 

 

---ジジジ・・・

 

---ジ―z__

 

---ジ――――――

 

---ジジィ―――z__

 

---ジ―z______

 

 

怪物に取り付けたすべてのジッパーを開く。

 

「・・・見つけたぞ!クレイジー・ダイヤモンドッ!!」

『ドララァッ!!』

 

怪物だった物の断片の中から出てきた、暴走している二つのジュエルシードにクレイジーダイヤモンドの拳を叩き込む。

 

(これで・・・ッ!)

《――――ッッッッッ?!?》

 

---シュゥゥ―――――――――・・・・・・・

 

ジュエルシードの力が弱まっていくにつれて怪物の動きが目に見えて悪くなっていく。

 

(よし!!後はこいつを引っ掴んで・・・)

 

封印されつつあるジュエルシードをクレイジー・ダイヤモンドで掴み取り、急いでその場から離れる。

「・・・スティッキーフィンガーズの拳は問題なし、か。こんな奴相手でもスタンドのルールは適応されるんだな。」

本当は拳が喰われて無くなるのも視野に入れてたんだけど・・・ま、結果オーライか。

 

 

 

 

《・・・・・・・・・・!!》

 

---バチバチバチバチバチッ

 

(・・・なんだあれ?)

 

15メートルほど離れたあたりで、徐々に崩れていく怪物の体が突然放電し始める。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

・・・・・・・・何故だろうか、あれを見てると「コッチヲ見ロ~」と言っている状態のシアーハートアタックが無性に頭に思い浮かぶんだが・・・

 

「・・・なんか嫌な予感がするな。もう少しペースを上げるか・・・」

 

長年の経験が放っているであろうアラートに素直に従うことにし、エピタフの予知を使いながら全力を出してその場から離れる。

 

---バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチッ

 

(放電の音が大きくなってる!)

 

---バチバチ・・・バチ・・・・・・

 

(・・・あれ?急に落ち着いて・・・ゲェ―――ッ??!)

 

エピタフの予知が数秒先に恐ろしいものを見出し、全力どころか死ぬ気になって逃げる。

 

その直後だった・・・

 

 

 

---・・・・・・ドグォォォ――z_____________ンッ!!!!

 

ほとんど消えかけていた怪物の体が大爆発を起こしたのは・・・

 

---ゴォォォ―――――――――ッ

 

「ギャァアアアアアアアアアア時よ消し飛べェ―――ッ!!」

 

既に70メートルほど離れていたにもかかわらず、爆発によって発生した熱風が一瞬で追いつく。

(・・・あ、これやばi・・・・・・・・・・)

 

 

 

 

その後のことは・・・あまり覚えていない。

精々が爆風が到達する直前に時間を消し飛ばせたことと、なりふり構わず必死に走り続けたことくらいだった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つ、疲れた・・・はぁ~あ~~~・・・・」

 

ようやく爆風から逃げ遂せた時には、いつの間にかどこかの路地裏に隠れていた。

よっぽど走るのに集中してたんだろうなぁ~~~~~・・・

 

「スゥ―――――――――――・・・ハァ―――――――――――――・・・・・・・ジュエルシードは・・・よし、忘れていないな。」

 

右手を広げると、手汗でびっしょりと濡れたジュエルシードが二つ見られる。

改めて任務が終わったことに安堵し、改めて大きく息を吐き出す。

 

「とりあえず仕事は終わりか。まったく、つくづく厄介なもんだ・・・・・・・あれ?何か大事なことを忘れてるような・・・」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ・・・

 

「そうだ、確かアップルパイが・・・・・・よし!いける!今ならまだ間に合うぞ!」

 

ていうか一先ず現在地を知らないと!

まったく、本当に・・・・・・

 

 

「やれやれってヤツだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『君!しっかりしなさい!君ッ!!』

『・・・・・・・・・・え・・・ここ・・・は・・・・・・』

『良かった、気が付いたんだね。』

『・・・あ、あの・・・私、何で・・・・・・』

『覚えていないのかい?私もついさっき気が付いたんだけど、ずっとこの交番の前で寝ていたんだよ?』

『え?でも私・・・・・・・・・』

『・・・とりあえず中に入ると良い。お名前は言えるかな?』

『は、はい。私は・・・アリサ・ローウェルです。』

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、アリサ・ローウェルを交番の前に置いてきてしまったことを思い出して少しばかり罪悪感を覚えたのはまあご愛嬌ということで・・・あ、ダメ?

 

 


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