デッドマンズN・A:『取り戻した』者の転生録   作:enigma

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第十四話

『なのはとフェイトの戦いを見届けようとしてたら何時の間にか管理局や界統、なのは達と協力する羽目になった。な、何を言ってるか分からねーと思うが俺も何が起こったのかわからなかった・・・頭がどうにかなりそうだった・・・O☆HA☆NA☆SHIだとか、ナノハサンの笑顔だとか、そんなチャチナもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしい、魔王の片鱗を味わったぜ・・・』

 

「お、おう・・・よく分からんがお疲れさん。家でアップルパイ焼いたから今度持っていこうか?」

 

ジュエルシードの暴走体を倒した日の夜、矢島から管理局となのはに魔導師であることがばれたという知らせが届いた。

どうやら向こうも向こうで大変だったらしい。

 

『1ダース寄越せ、話はそれからだ。』

「一センチ×二センチで1ダースですね分かりました。今度持っていくぜ。」

『ちょwwさすがにそれは小さすぎでしょ常考w』

「HAHAHA☆冗談だ。改めてご苦労様。」

『ああ、お前もな。ジュエルシード二つ分の暴走体とやり合ったんだったか?』

「ん?まあパイが焼けるまでに倒せるくらいだったし、そこまで大したことはなかったけどな。」

 

面倒だったのは確かだが、あのころの苦労に比べれば造作もないことだ。

 

『チッ、てっきり手足の1,2本持ってかれてると思ったのに(そうか、まあ無事で何よりだ。)』

「オイテメー、多分だけど今本音と建前が逆転してただろ。」

「まあそんなことより梶原、お前気が付いてるか?』

「そんなことっておま・・・何が?」

『もうすぐ竜巻のイベントだってこと。』

「・・・マジで?」

『マジ。』

 

・・・そっか、もうそんなとこまで来たんだな・・・

なんだかんだで結構速いもんだ。あれだけ注意していた事件がもう佳境に入っているのだから。

まあ油断はまだまだできんがね、完全に終わったわけではないし。

 

「OK。これからは海の方を中心に動いてみるよ。」

『大丈夫か?言っとくがここからは時間がかかるぞ。』

「大丈夫だ、問題ない。」

『おk、把握。』

「それじゃあ俺もう寝るから、また明日な。」

『おう、また明日。』

 

通話を切り、洗面所に向かう。

(さて、俺はどう立ち回るか・・・出来れば正体を隠しながら動きたいけどそれだと最終局面に立ち会えない可能性もあるからな~というかテスタロッサ達にはもうほとんどばれてるからな~)

 

 

 

 

 

 

 

 

---数日後・・・

学校から帰った後すぐに支度し、俺はここ最近の日課としてキックボードに乗って海側の公園を目指す。

ちなみにこの日課が始まってからはできるだけ早くたどり着くため、わりと人通りの多い所も走っている。

そのため、走っているのが俺だとばれないよう服装は極めて地味な長袖のシャツと一般的な綿パン、そしていつぞや被っていたフルフェイスマスクをつけている。

 

・・・・・・こんな格好の奴が自動車顔負けのスピードで走ってたら確実に新手の都市伝説になりそうだよな。

【怪奇!海鳴市を走る骸骨ライダーッ!!】ってな感じで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

---ギュォオオ―――――――――ッ

 

ま、そんなの関係なく走りますけどねwww

 

 

「きゃあああああっ!?」

 

「うわ!?な、なんだいまの!?」

 

---ビィ――!ビィ――!ビィ――!

 

当然スピードは最速、道行く人々も走る車もスタンドを併用した超反応で躱しながら一気に駆け抜けていく。

 

(ハハハハハハハ!いいぞ!実に良い眺めだ!)

 

自分以外の何もかもが矢の如く自分の背後に流れていく。

 

「ハハハハハハ!ア――ッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ・・・・・・・・・」

 

声をあげて大笑いながら、俺はひたすらに公園までの最短距離を最速で走っていった・・・

 

 

 

 

 

「・・・・・・ん?なんだか急に天気が悪くなってきたな。」

 

公園に到着まであと少しの所で、海側から急速に暗雲が広がってきた。

 

(妙だな、今日は確か市内全域が快晴だって聞いてたのに・・・まさか!?)

 

そうこうしているうちに公園の入り口が見えてきた。

 

取り敢えずスピードをそのままにして入り込み、一気に海側まで走る。

 

すると・・・

 

 

---ドドォォ―――――――――ンッ

 

海の向こうで広範囲に雷が走り、そのせいで起こった衝撃が音となって俺のいるところまで届く。

 

「{ギャギャギャギャギャッ!!}・・・オイオイマジかよ?」

 

柵のあるギリギリの場所で急停止し、光が放たれた場所をアライブの目でよく見る。

 

「・・・・・・・・・・いた。テスタロッサとアルフだ。」

 

数百メートル離れた沖合に、かなり疲労した様子のテスタロッサとそれを心配そうに見ているアルフを確認する。

 

そして・・・

 

---ドンドンドンッ

 

「・・・!やれやれ、あの馬鹿まさか本当にやっちまうとはな。」

 

テスタロッサのいる近くで、轟音を立てながら空に向かって6本の光の柱が立ち上る。

今まで何度か体験してきた、暴走したジュエルシードの放つ異様な雰囲気。

 

それがあの光から色濃く伝わってくる。

 

---ゴォォォ―――――――――――――ッ

 

光の柱はすぐに形を歪め、下の海水を渦状に巻き上げながら徐々にその姿を変えていく。

 

その後数秒としないうちに、光の柱だった物は6本の巨大な竜巻へと変貌した。

 

「・・・やれやれ、どうせやるならもうちょっと考えてからやれってんだ。」

 

竜巻が放つ雷や水の鞭を防ぎながら近寄ろうとするテスタロッサ達を見て、誰に言うでもなく呟く。

 

一先ず念のため、必要のないものは一通り倉庫の中にしまい・・・

 

「さぁ~て、実戦投入はいつ以来だったっけな?」

 

一枚だけ残した紙を広げ、内側から二振りの刀を取り出す。

 

一本は俺が、もう一本は俺の分身が持つ。

 

回転の技術を発揮しきれない海上・・・こいつらの舞台にはもってこいだ。

 

「・・・平和のため、居場所のため、今日も今日とて戦地に臨む。ほんと、難儀なもんだ。」

 

柵を思いっきり踏みつけ、あそこで戦ってる馬鹿二人の元へ俺も飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:高町 なのは

「どうした嫁よ!恥ずかしがらずに俺に抱き着けばよいだろうに!」

「だから!抱きつかないし私は嫁じゃないって言ってるの!」

 

こんにちわ、高町なのはです。

私立聖祥大付属小学校に通う平凡な小学三年生だった私は、ある日起きた出来事に巻き込まれ、いろいろあって魔法少女をすることになりました。

ここ最近はクロノ君や時空管理局の皆さん、ユーノ君、クラスメイトのケイイチ君や界統君と一緒にアースラという次元航空船?に乗っていて、ジュエルシードやフェイトちゃんたちが見つかるまで船内で待機しています。

界統君はどうでもいいですが、矢島君が私と同じ魔導師だと知ったことと、ユーノ君が実は同い年くらいの男の子だったことは、あの日の事件に巻き込まれた時と同じくらいのショックでした。

こう何度もびっくりするようなことを経験すると、大抵の事では驚けなくなるのでは?と思い、自分でもちょっとだけ怖くなっちゃったりしまいます。

 

今はアースラの食堂でユーノ君やケイイチ君たちと座り、みんなとご飯を食べながらゆっくりお話しをしていた・・・はずでした。

 

「いい加減にしなよ界統!なのはが困っているだろう!」

「というかお前も飽きないな。こんなところまで来てまだそんなこといってんのかよ。」

 

けど案の定、私の居場所を突き止めた界統君がここを見つけていつもの嫌がらせのようなことをしてきたのを皮切りに、あっという間に嫌な雰囲気になってしまいました。

 

「身をわきまえろモブキャラどもが!なのはは俺の嫁であり、俺を愛するために存在するのだ!貴様らごときが気安く触れていいと思っているのか!」

 

まず私の好きな人は別にいるとか、界統君のことは台所の黒いアレよりも嫌いだとか、界統君の言葉に、ようやく落ち着いてきたはずの怒りがみるみる蘇ってくるの。

 

「ッ、いい加減にしろッ!!さっきから聞いていればなのはの気持ちも考えるどころか理解しようともせずに勝手なことばかり言って・・・お前こそなのはをこれ以上苦しめるな!」

「まったくだ。というか界統、俺は指一本すら動かないくらいバインドをかけた上でゼロ距離から全力のディバイン・バスターを叩き込むような愛なんて聞いたこともないんだが・・・」

 

ユーノ君が私のために今までにないくらいに怒ってくれて、ケイイチ君はなぜかおでこに汗をかきながら震えているの。

ユーノ君、ありがとうなの。

ケイイチ君、私も他の人ならあれはやり過ぎかな~とは思うの。

けどね、いいの。だって相手は界統君だから・・・

 

「愚か者が!それが照れ隠しだと何故わからん!?」

「「いやいやいやいやいやいやいやそれはおかしいだろ(よ)!」」

 

・・・・・・・・・・はあ、もう我慢の限界なの。

 

「ケイイチ君、ユーノ君・・・」

 

「「{ビクゥッ}は、はい!なんでしょうかなのは様!!」」

 

「少し・・・どいててくれるかな?」

 

「「Yes,ma’am!」」

 

 

「ん?ククク、ようやくその気になったかなのh{ガキィンッ}な!?」

 

なんか喚いてる界統君をとりあえずバインドで縛って、レイジングハートを起動するの。

 

「おい!これはなんの真似・・・で・・・」

 

フフフ、何で驚いてるのかな?いっつもいっつも私の言うこと聞かないで言いたいこと言って・・・私やアリサちゃんたちが散々迷惑してるのに・・・まさかこの期に及んでなにもされないって思ってたりするのかな?

 

大丈夫だよ、少し・・・お話しするだけだからね・・・・

 

「{ボソボソ}おいユーノ!お前あれどうにかしてくれよ!いくら非殺傷設定とは言えこれじゃアースラも俺達も絶対にヤバいぞ!というかあれは本当に非殺傷設定なのか!?」

「{ボソボソ}無茶言わないでよ!僕じゃ魔力的にも精神的にも呼びかけた時点で終わっちゃうよ!ケイイチこそどうにかしてよ!」

「{ボソボソ}お前は鬼か!確かに魔力量や経験は俺の方が上かもしれんがあれは絶対そういう問題じゃない!関わるだけでも致命的だ!」

「{ボソボソ}じゃあなおさら僕に言わないでよ!」

「{ボソボソ}しょうがないだろ!俺だってな、逃げ出したい時もあるんだよ!投げ出したい時もあるんだよ!くそぉ~、こんな時あいつがいたら迷わず生贄に出来るのに・・・」

 

なんだか向こうで失礼なことを言われてる気がするけどそれは今は置いておくの。今は・・・

 

「レイジングハート。」

『s,sir・・・』

 

魔力をレイジングハートに集中させて、それを界統君の胸に押し当てる。

 

「少し・・・お話ししようか・・・」

「ま!待て!」

「待たない。ディバイン・・・」

 

 

 

---ビィ―――!ビィ―――!ビィ―――!

 

『皆!急いでブリッジまで来て!大変なことが起こってるの!』

 

界統君とお話ししようとしたその時、突然警報とエイミィさんの慌てた声が響き渡ったの。

 

「(!これはチャンス!)待てなのは!お話はいったん中断だ!」

「そうだよ!ひょっとしたらあの子が見つかったのかもしれないよ!」

 

!フェイトちゃんが!?

 

「・・・しょうがないの、お話は後に回すの。」

 

「(エイミィさんナイスタイミング!)よし、それじゃあ急いで向かおう!」

「(ホッ、何とかなってホントに良かった・・・)ああ、こんなところで遊んでる場合じゃないもんな!」

 

なんだかほっとした様子の二人に疑問を抱きながら、私たちは急いでブリッジに向かいました。

 

 

 

「・・・・・・お、おい待て!これを解いていけ貴様らぁ―――――――――!!」

 

バインドでぐるぐる巻きにした界統君を置いて・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「{ウィ――ン}フェイトちゃん!」

 

「状況はどうなって・・・なるほど、こりゃ明らかにやばいわ。」

 

ブリッジに入った私たちが見たものは、海の上で竜巻に苦戦しているフェイトちゃんの姿でした。

 

(早く助けに行かなくちゃ、フェイトちゃんが危ない!)

 

私はそう思い、急いでクロノ君たちがいるところまで行きます。

 

「あの、私急いで現場に・・・」

「その必要はないよ、放っておけばあの子は自滅する。」

「え・・・」

「仮に自滅しなかったとしても、力を使い果たしたところで叩けばいい。」

「でも・・・」

「正気かクロノ?」

「当たり前だ。今の内に捕獲の用意を!」

「了解。」

 

(そんな・・・ここで黙って見てるだけなんて・・・)

 

映像の向こうで、フェイトちゃんが戦っている姿を見ながら、私はただその場に立ち尽くす。

 

 

「私達は常に最善の選択をしなくてはならないわ。残酷だけど・・・これが真実。」

 

「で、でも「・・・フフフフフ、アッハハハハハハハハハハ!」ケ、ケイイチ君・・・?」

 

リンディさんの言葉の後、矢島君が突然笑い始めたの。

 

「?なにがおかしい。」

 

 

 

「なにが?なにがおかしいだって?ハハハハハ!高々少女一人を取り押さえるために、解決すべき最も重大な問題を放置する。それも、仮にもこういう事態専門の連中が、俺達よりもよっぽどそれをすべき連中がそれを行っているんだぞ!本末転倒とはまさしくこのこと!これが笑い種にならなくていったいなんになるってんだ!!ハッハハハハハハハハハハハ!どいつもこいつもバカばっかりだ!」

 

ケイイチ君の発言に、クロノ君たちが唖然としてしまい、かく言う私も開いた口が塞がらない状態です。

 

 

「ハハハハハ・・・あ――腹がいてぇ――・・・」

 

「・・・聞き捨てならないな。何が言いたいんだ!」

 

「何が?まだわからないのか?あの現場で今、最も恐れなくてはならない事態が起こっているのに?本当に呆れた奴だな。いや、それは全員同じか・・・」

 

えっと・・・どういうこと?

 

「・・・!そうか、今あの場ではジュエルシードが複数暴走している・・・」

 

「そう言うことだユーノ。前にそこで眉を潜めてるマヌケが言ったことだが、ジュエルシードは一個でも発動すれば小規模とは言え次元震を引き起こす。そんなものが一か所で六個も同時に発動してんだぞ?たかが一人の少女の確保と何時ピークを迎えるかわからない暴走中の世界を崩壊させる因子、事情が分かっていればどっちをより素早く解決すべきかなんてよっぽどの馬鹿でもないと・・・ああいたよww 俺の目の前に大多数ww」

 

そう言われて私はようやくそれを思い出す。確かにクロノ君やリンディさんが言ってたことだ。

今の状況がまさにそれに当てはまってるの。

・・・同時に今まで忘れていたことを恥ずかしくなってしまい、思わず目を逸らしてしまう。

 

「皆!あの子が!」

「え・・・!フェイトちゃん!」

そんな時、エイミィさんの慌てた声が響き、思わず画面を見た。

するとそこに水に捕まって竜巻に吸い寄せられていくフェイトちゃんの姿がありました。

 

「なのは!」

「!うん!」

 

「!待って!陸の方から凄まじいエネルギー反応が!」

 

エイミィさんが言い終わらないうちに、画面の向こうで信じられないことが起きました。

 

「なんだいまのは?!」

「竜巻が消えた!?」

 

そう、フェイトちゃんを捕まえていた竜巻の一つが一瞬大きくずれた後、あっという間に消えてしまったんです。

その後少しと絶たないうちに竜巻はまた出来ましたが、その隙をついてフェイトちゃんは脱出していました。

 

(よ、よかったぁ~~~)

 

 

「二人とも!ボォ~っと突っ立ってないで今の内に現場に行くぞ!」

 

「うん!」

「分かった!」

 

皆が驚いている中いち早くケイイチ君が声をかけてくれ、私たちはブリッジの転送装置に乗ります。

 

「なっ、おい待て三人とも「クロノ、行かせてあげなさい。」か、艦長!」

「ユーノ!」

「{シュッシュッシュッ}あの子の結界内へ、転送!」

 

すみません!高町なのは、指示を無視して勝手な行動をとります!

 

Side out

 

 

 

 

 

 

「クロノ執務官、あなたもただちに現場に向かってください。あの子の言った通り、このまま放っておけば最悪の事態になりかねません。」

 

「艦長・・・分かりました、直ちに現場に向かいます。」

 

「頼みましたよ・・・・・・まったく、クロノよりも小さな子に二度も指摘されるなんて、私もまだまだ未熟だわ。」

 

「艦長!さっきの原因が分かりました!モニターに出します!」

 

「ええ、解ったわ・・・・・・・どういうこと?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:梶原 泰寛

「貴様ら見ているなッ!!」

 

---ビシィッ!!

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふう。

 

「・・・・まあ冗談はさて置き、これであいつはしばらく大丈夫だな。」

 

アライブに白柄の刀・・・閻魔刀を納刀させながら呟く。

あらゆるものを空間ごと切り裂くことのできる閻魔刀の斬撃は竜巻を少しの間だけかき消したものの、やはり核となるジュエルシードが健在な為かあっという間に元通りになってしまった。

 

(まあそれは別にいい。一応目的の一つは果たしたからな。)

 

竜巻が消えた隙に脱出したテスタロッサを見て、取り敢えず一安心する。

 

---バチバチバチバチバチバチッ

 

「それじゃあ次は{ザンッ}これ全部をどうするか{ズバッ}だな!」

 

向かってくる電気の鞭のようなものを、閻魔刀とムラサマで切り払う。

 

(まったく、あいつらいつになったら駆けつけてくれるんだ?俺達だけで持たせるにしても俺はともかくテスタロッサとアルフがそろそろ限界近くなってきてるんだが・・・なんだ?空が一部だけ明るく・・・)

 

視界の端の方がかすかに明るくなったのを感じ、ふとその方向を見ると、雲の隙間から光が差し込んでその中から三人分の人影が下りてくる。

ちなみにジュエルシードの攻撃を切り払うのはやめていない。

 

「{ザンッ}・・・やれやれ、ようやく来たかあいつら{ズババッ}えっと、なのはと矢島と・・・あと誰だ?」

 

見知った2人とよく分からない服装をした一人がテスタロッサ達と何か言い合っており、その後よくわからない服装の少年が魔方陣のようなものから光の鎖を出して(言い方はおかしいかもしれんが)竜巻に巻き付ける。

その後少ししてからアルフも加わり、二人で竜巻を抑えようとしていた。

矢島は他の連中を守るため、竜巻から繰り出される電流や水の鞭をいつものストフリ装備で撃ち落としている。

 

時折ヒャッハーという声がかすかに聞こえるのは気のせいだと思いたい。

「ん?」

ふと視線を移すと、なのははその間にフェイトの持っている黒いハルバードのようなものにピンク色の光を注ぎ、何やら準備をしていた。

 

(やれやれ、この分だと俺の出番はもうなさそう・・・!いや、そうでもなさそうだな。)

 

なのはたちが砲撃の準備をし始めたその時、アルフと少年が放った鎖が一気に引きちぎられ、六本の竜巻が集まっていく。

 

「・・・やっぱりそう簡単にはやられてくれないよなぁ。」

 

 

やがて六本の竜巻は一本の巨大な竜巻へと変貌した。

なのはたちは急いでジュエルシードを封印しようとするも、先ほどよりも明らかに数や威力が増しているであろう水や電気の鞭が連中に襲い掛かる。

 

その追手は当然俺の方にも来るわけで・・・

 

「チッ、面倒事ばっか増えてんじゃねえよ。」

 

先ほどよりもさらに勢いを増した攻撃が俺の方に殺到してくる。

一先ず事態の収拾を図るため、ムラサマで攻撃を切り払いながらアライブに閻魔刀を納めさせ、居合の態勢で数秒ほど間を置く。

 

 

 

 

 

 

そして・・・

 

 

 

 

「何事をも・・・・・切り伏せる!」

『ギルァァッ!!』

 

---シパァンッ!!

 

目の前の鞭を斬ることで視界が開けた瞬間、スタンドパワーを全開にして閻魔刀を抜き放つ!

 

『ギルァラララララララララララララララララララララララララララ・・・』

 

---ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュ・・・・・・

 

一秒にも満たない時間の中、閻魔刀の刃が十回、二十回と文字通り残像すら残さない速さで振りぬかれていく・・・・・・・

 

 

感覚が極限まで研ぎ澄まされ、まるで時間が止まったかのように遅くなっている世界の中、刀の軌道上にあった雨粒は刀が通り抜けた後もしばらく形を残し、やがて少しずつ形がずれていった・・・

 

 

「・・・・・・・はいお終い。」

 

そろそろ頃合いだろうと考え、最後に一振りして水気を落とし・・・

 

---スゥ―――――――――・・・・・タンッ

 

残心を心掛けつつ静かに刀を納めた。

 

 

 

---・・・・・・・ズルゥッ 

 

刀が完全に鞘に納められた直後、ようやく時が動き出したように竜巻や水の鞭も形が崩れ始め・・・・・・

 

 

---バシャアアア―――――――――

 

 

最後に元の海へと帰っていった。

 

残っているのは未だ暴走状態にあるジュエルシードのみだ。

 

「さあ、これで少しは余裕ができたろ。今の俺はこんな事しかできないから・・・せいぜい頑張ってくれよ魔導師諸君。」

 

自分たちを襲っていた竜巻が消えるという突然のことに驚いたなのは達は、徐々に元の竜巻に戻りつつあるジュエルシードを見て急いでそれぞれのデバイスを構え、魔力を溜めはじめる。

 

 

そして竜巻が元の状態に戻った次の瞬間・・・

 

 

「「「――――――――――――!!」」」

 

---ドォォ――――――――――――――――ンッ!!

 

矢島、なのは、フェイトの三人から巨大な魔法が放たれ、ジュエルシードは六個全てが完全に封印された。

最早竜巻が発生し始めることはなくなり、周囲に降っていた雨も次第に収まっていく。

 

 

「・・・・・・晴れたな。」

 

気が付けばあいつ等の魔法の余波で周囲に雲が散り、そこから見える青い空が海面を明るく照らす。

 

「本日の任務・・・これにて終了だな。」

 

いつも以上にすがすがしさを感じさせる青空を見ながら、誰に聞かせるでもなく呟いた・・・・・・

 

 

 

 

 


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