デッドマンズN・A:『取り戻した』者の転生録   作:enigma

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第二十話

「皆さん今回はお疲れ様でした。そして、ご協力感謝いたします。」

「「はい!こちらこそありがとうございました!」」

 

牢屋にいたプレシア達を訪ねた日の翌日、俺達はいよいよそれぞれの家にお帰りすることとなった。

ようやく自宅のベッドに寝られるようでこちらとしては嬉しい限りだ。

やっぱり寝床は寝慣れたものじゃないと落ち着かない。

 

「皆!気が向いたらいつでも来ていいからね!・・・・・・{ボソッ}界統君以外は。」

「ははは、エイミィは相変わらずツンデレだな!」

「「「「(こいつ本当に人の話を聞いていないんだな・・・)」」」」

「・・・ンン!皆、一応言っておくがここは仕事場なんだ。間違ってもそれを間違えないでくれよ。」

「煩いぞ雑種が。この我(オレ)に指図をするな!」

「もう、分かってるってば♪クロノ君はお硬いなぁ~。」

 

俺達よりも若干年上と思われる女性・・・エイミィと言われた人がクロノから叱咤を受ける。

安心しろクロノ、俺は二度とこれに乗るつもりはない。戦艦に乗っているなんて落ち着かないからな。

 

「それじゃあ早いとこ送って下さい。」

「わかっているわ。それじゃあ皆さん、お元気で。」

 

リンディさんのその言葉とともに転送ポートが強く光り・・・

 

 

「・・・・・本当にあっという間だな。」

 

魔方陣に乗っていた俺達は数瞬後には海沿いの公園に立っていた。

 

「さあ嫁よ!折角だから俺が家まで「ねえ泰寛君、ケイイチ君!折角だから一緒に帰ろうよ!」な!?」

「ん?まあ俺は構わねえけど。」

「おい!モブの分際で何を・・・」

 

---バシュンッ ドサッ

 

「・・・・・・え?」

 

矢島に突っかかろうとしていた界統を、指先に魔力弾を出したなのはがそれで顎のあたりを打ち抜く。

ダメージの感じからして脳震盪は確実に起こっているだろう。

昨日にしてもそうだが・・・なのはの奴やけに手馴れてないか?動作がかなり洗練されているんだが・・・

 

「・・・{チラッ}」

「「{フルフル}」」

 

矢島やユーノはそのことに俺が視線を向けると、意図を理解したのか唯々首を横に振る。

ひょっとしてわりと前からこんな感じなのか?・・・・・・だとしたら色んな意味で恐ろしい話だな。

 

「泰寛君はどうかな?」

「え?あ、うん・・・右に同じ・・・と言いたいところだけどこれから学校に行くから急いで帰らないといけないんだわ。」

 

いったんその出来事を思考から除外し、なのはにそう返す。

ただでさえ昨日は帰宅できてないし、今日はちゃんと学校に行けるはずだと伝えてあるんだ。

お説教と言及はあるだろうが時間的には今からとばせばちゃんと間に合うだろう。逆に言うと、帰り道を同じにしてしまうと絶対に間に合わなくなる。

有言実行、これ大事ね。

 

「{シュン}・・・そっか、じゃあ今日はここでお別れだね・・・」

 

だからなのはさんや、そんな明らかにガッカリしないでよ。

何で結んでる髪が動いてんの?ラブ・デラックスなの?

 

「悪いね・・・それじゃあ三人とも、また機会があったら会おう。」

「うん!またね、泰寛君!」

「今回はいろいろとありがとうございました。」

 

なのはとユーノは元気良く返事を返してくれた。

 

・・・さて、

 

(それじゃあ梶原、打ち合わせ通り来週の金曜日に待ってるぞ・・・)

(ああ、理由が個人的すぎてホントに悪いがマジで頑張ってくれ。)

(気にすんな。なんだかんだで納得しちまったし、ちょうど俺もこういうのがあったらいいなとは思ってたし。だが食費等は全部お前持ちだ。)

(・・・まあいいさ、町中に落ちてるお金とスクラッチくじがあれば使った分くらいすぐに回収できる。)

(ホント能力の無駄遣いだな。)

(俺のは無駄じゃねぇ!!有効活用だ!!)

 

昔からこまめに使い続けてたおかげであと少しで貯金が三千万に届きそうなんだぞ!

これを無駄遣いと言われるのはさすがに心外だ!

 

(・・・・・・にしても改めて思うが凄まじい作戦だよな。主に俺の負担が・・・)

(ああ、なんせ・・・

 

 

 

 

 

 

『ぐ・・・なぜだ、なぜ一度も勝てない・・・おい!何かイカサマしてないよな!』

『おいおい言いがかりや止めてほしいな。それよりほら、次で最後だぞ。』

『分かってる・・・やってやる、やってやるぞ・・・!』

『・・・・・・・・・・・・・』

『・・・・・・・・・・・・・』

『『うおおおおおおおおお!!最初はグー!ジャンケンポンッ!!』』

 

俺→パー 矢島→グー

 

『うおおおおおおお負けたぁ―――――ッ!!』

『シャアッ!!それじゃあ約束通り移動手段は用意してもらうぞ!』

『クソ、何故あそこでチョキを出さなかったんだ・・・おかげでコイツを巻き込んで管理局に入る計画が・・・』

『そんな傍迷惑なもん建ててんじゃねえよ。』

 

昨日の夜、俺はハーミット・パープルやレッド・ホット・チリペッパーを駆使して引き出せるだけの情報をアースラから引き出した後、プレシアから聞き出したことを矢島に話してこれからの予定を話し合っていた。

まあやはりというかなんというか、アースラからアクセスできる範囲内はどれもプレシアに責任が行くように書かれており、ハーミット・パープルで念写しようにもミッドチルダという世界がそれなりに遠いせいなのか具体的なものはほとんど写すことができなかった。

本気を出せば多分出来るのだろうが、おそらくやってる間に先に俺のスタンドパワーが限界に来ると思う。

そして・・・・肝心のどうやって証拠を集めるかで揉めた。

というのも、途中で俺はなるべく管理局に関わらずに俺達だけで集めたいといったのに対し、矢島はどうも能力を有効活用できる場所を求めて今後管理局に入る予定があったらしく、事情をクロノ達に話して管理局に連れて行ってもらおうと言い出したのだった。

だがよく考えてみよう。俺達が事情を話して管理局に行き、そこで情報収集をしたとしよう。

俺達が集めるそれは、本来ごく一部の物しか持ちえない言わば管理局の黒歴史の一つ。

当然手段も思いっきりアウトなものになるし、ばれる可能性云々はさて置き形はどうあれ公共の場にそれが出された場合、まず間違いなく関係者の俺達は上の人間に疑いの目を持たれる。勿論情報等はクロノ達を通じて直接渡るわけだから情報提供者の情報も調べられたらほぼ確実に知られることになる。

ただの観光客という意味で、一般用の航路で行くならまだいい。管理外世界?の住人とはいえまだ許容できる範囲に収まる。

だが目をつけられたくない連中の戦艦に乗っていて、尚且つその総本山に乗り込むなんて疑ってくださいと言ってるようなものだ。

矢島はもともと入る意志があるからどうでもいいが、俺はなるべく自由な選択肢を持っておきたい。万が一入るにしても入らないにしても、だ。

だが変に目をつけられると最悪そこらの悪質セールスなんか比にならないくらいの何かがあるかもしれない。

というかクロノ達のようなどう考えても労働者として働けるような年じゃない奴までこんな命懸けの任務に当たらせるところなんだ。表向きはまだ真っ当なんだろうが絶対碌なもんじゃないのは明白!

ならどうやって情報をリークするのか。どっちにしろ表沙汰にするのなら、どうやったら俺が目立たないようなやり方をとればいいのか・・・

・・・・・・・・・・・・そうだ、プレシアが最初から持っていたことにしよう。アースラの航路が安定するこれから先一か月以内にケリをつけられれば・・・あいつに直に情報を渡して後は終わり!俺は納得のいく形で自由を謳歌できるということになる!

無論策はある。移動手段を矢島に委ねなければできないが、逆に言うとそれさえ出来てしまえば何の問題もなく達成できる策が。

という訳で、結局その考えのもとに説得に説得を重ね続けた挙句、現地に直接いく足を矢島が用意するか俺が諦めておとなしくアースラに乗せてもらうかを賭けたジャンケン勝負でケリをつけるということになった。

ただこの勝負、矢島にかかる負担が尋常じゃないということから、最大ニ十回行ってその中で一回でも矢島が勝てばいいというルールだったのだが・・・・・・勝負は俺の勝ちである。

複数のスター・プラチナやザ・ワールドによるラッシュなど、幾多の強敵たちの猛攻を一人で捌いていた俺の動体視力と判断力、そしてジャンケン小僧のコピー三十体と連戦を繰り返して勝ち続けたこともある勝負運を侮らないでいただきたい。

まあ無論それが出来るまでに死んだり負けたりした回数も伊達では・・・アババババッバババ?!?

 

『ちくせう!シミュレーション使ってまで勝ちに行ったのになぜ勝てない!?』

『ははは、経験が違うのだよ、経験が!まあがんばってくれ。足以外の必要なものは俺が用意しておくから。』

『まったく・・・まあ確かに無難さでいえばお前の策が一番だし効率も帰ってくる際の自由度も高いけどさ~~。折角だからミッド行きたかったなぁ~~。』

『逆に考えるんだ。「作っちゃってもいいのさ」と考えるんだ。今作っておけば何時でも行けるから問題ないだろう?』

『・・・・・・・・でもそれ結局俺ばっかりが苦労しますよね?』

『まあ確かに。それにそう何度も乗るもんではないよな、少なくとも俺は。』

『・・・・・・・・・・オ・ノォォレェェエッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・だったもんな~~~~)

 

二人で思わずうんうんと頷いてしまう。

移動手段以外は俺が用意するといったが、肝心の移動手段の用意こそが最も難しいのだ。こんなもん本来受けたところで何の得もないだろう。

でもあれは勝負だったんだし、決まったものはしょうがないってもんでしょ。

 

「ねえ、二人とも何話してるの?」

「「気にするな、ただの世間話だ。」」

 

内緒話に割って入ってきたなのはに対し、俺達は笑顔でそう切り返す。

 

「・・・なんだか怪しいの。」

「大丈夫だ、問題ない。」

「何がだwwそれじゃあ俺達はここで失礼するぜ。」

「サラダバー!」

「あ!ちょっと・・・」

 

怪しむなのはの制止を振り切り、矢島と俺は全速力でその場を離脱した。

あっという間にさっきまでいた公園も見えなくなり、俺達はその後それぞれの家路につくために分かれた・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・さて、問題はここからなんだよな・・・」

 

なのはたちと別れた後の俺は、人気の少ない所を波紋エネルギーとスタンドの脚力を駆使して通り、現状での最短時間で家の前まで帰ってきた。

 

「・・・ただいま~~」

 

なるべく音が響かない様に、ゆっくりと扉を開けて玄関に入る。

そして物音をできるだけたてないように廊下に上がり、忍び足でこそこそとリビングに向かう。

 

(・・・ここにはいない、か。)

 

リビングを覗き込むが、キッチンも含めてだれもいない。

 

(この時間だから多分まだ自室で寝てるんだろうなぁ・・・時間ももったいないだろうし朝ご飯の料理でも・・・)

 

---・・・・キシ・・・

 

「・・・・・!?」バッ

 

忍び足のままキッチンへ行こうとした時、ふいに背後から聞こえた音と感じられた気迫に反応して思わず前に飛び出す。

そして受け身をきっちり取り、俺がいた位置に素早く視線を向ける。

 

「・・・父さん、帰りが遅くなったのは謝るけど急に驚かさないでよ・・・」

 

そこにいたのは、俺の肩があったであろう位置にその大きな手を出している俺の父・・・梶原黒杜(かじはらこくと)の姿だった。

ちなみにこの人、容姿は【DARKER THAN BLACK】の黒(ヘイ)と実にそっくりだ。

記憶が確かなら寸分違わないといってもいい。

 

「ははは、それは悪かったな。それじゃあ泰寛、今までどこに行ってたのか、何をやってたのか・・・」

「お母さんたちに・・・教えてくれるよね?」

 

父さんの後ろから、俺の母さんこと梶原銀音(かじはらしろね)が顔を出す。

容姿は【DARKER THAN BLACK】の銀(イン)の大人バージョンだ。

あのロリッ子の将来がこれなのかと思うと・・・胸が熱くなったな。まあ別人だけど。契約者は知らないが少なくともこの世界に地獄門(ヘルズ・ゲート)はねえし。

 

「・・・・・・・」

「「{ニコニコ}」」

 

一瞬誤魔化そうとも考えたが、スタンド使いでもないはずの微笑む二人の背後に般若のような顔を幻視した時点でその考えは消し飛んだ。

おそらく本当のことを言う以外ではあの二人は納得してくれないだろう。

 

「・・・・・・分かった、話すよ。」

 

興参のジェスチャーをしながらそう言うと、父さんがリビングの椅子に座るよう促す。

俺達は何も話さず、向かい合うようにそれぞれ椅子に座った。

 

「・・・・・・それじゃあ、驚くかもしれないけど聞いてもらうよ。始まりは四月の初め辺りからだったんだけど・・・」

 

俺は真剣な顔をする二人に、今までの事件について自分が関わったことをぽつぽつと話し始めた・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・以上が僕の関わっていた事件の顛末だよ。」

 

約三十分ぶっ通しで話し続け、俺は二人にアリシアが生き返った事、閻魔刀のこと、俺の能力の詳細以外を大体話し尽くした。

・・・正直話し過ぎて喉が渇いているくらいだ。水が欲しい・・・

 

「「・・・・・・・・・・・・」」

 

そんな場違いでしかないを考えている間も、二人は何とも言えない表情をしたまま押し黙っていた。

実は俺が話を始めてから一言も声を出していなかったりもする。

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

実際にどれほどの時間だったかは定かではない、けど体感的にはそこそこ経ったのではないか・・・そう思い始めた時、父さんが不意に口を開いた。

 

「・・・・・ひとついいか?」

「何を?」

「お前はその事件に・・・自分の意志で関わり続けたのか?」

 

・・・ハッ、そんなこと・・・

 

「そうだよ。」

 

俺は父さんに迷うことなくそう答える。

 

「・・・そうか、なら良いんだ。」

 

すると父さんは席を立ち・・・

 

「全部終わったら改めて聞かせてくれ。それから隠し事があるのは別にいいが・・・閻魔刀のことはちゃんと義父さんにも話すんだぞ。」

 

俺にそう言って廊下の方に行ってしまった。

 

(・・・やっぱりあれはばれていたか。もともと俺用に用意されていたとはいえ勝手に持ち出したのは事実だし、爺さんたち慌ててたかなぁ~・・・)

 

そんなことを考えながら、ふと母さんの方を見る。

 

「フフフ、それじゃあ私からも一つ・・・次はいつ行くの?」

「あ、やっぱりそれもわかる?」

「まあね、けどちゃんと帰ってくるって約束できるなら止めないよ。どうせ止めても行くんでしょうけど。」

 

その眼差しは、言外に俺が無事に帰ってくることを信じていると言っている気がした。

ただの勘だし正確には分からないが。

 

「・・・・・次の金曜日、学校から帰った後から少し家を空けることになる。多分月曜日までには帰ってこれると思うよ。」

「うん、わかった。無茶だけはしちゃダメだよ。」

「了解・・・というか二人とも結局驚かないんだね。」

「う~ん、ジュエルシードとか次元世界ってのは確かに驚いたんだけど能力云々はお母さんたちもいろいろとあったから・・・正直『あ、やっぱりか~』って感じなんだよね。」

 

「血筋なのかもね。」と、いい笑顔で語る母さんの発言に思わず俺は苦笑いしてしまう。

二人も何かしらの奇妙な体験をしていたのだろうか、よっぽどのことがない限り踏み込むつもりはないが思わずそう考えてしまう。

 

「それじゃあ少し遅くなっちゃったけど、一緒にご飯の支度をしようか。今お父さんが学校に事情説明してるから遅刻の方は気にしなくてもいいと思うよ。」

「・・・なるほど、それじゃあいつも以上に気合を入れないとね。・・・・・あれ?母さんたち仕事は?」

「ふふふ、だぁ~いじょうぶ。これくらいじゃ遅れたりしないから。」

「なにそれすごい。」

 

廊下の方で聞こえた電話のコール音を皮切りに、そんなことを話しながら俺と母さんは台所に向かった。

さて、今日は何を作るか・・・

 

 

 

 

 

「それじゃあ二人とも、仕事頑張ってね。」

「ええ、泰寛も頑張ってね。」

「気を付けて行けよ。」

「うん、じゃあ行ってくる。」

 

---ガチャッ バタンッ

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

---ギュッ

 

「・・・銀音・・・」

「泰寛なら大丈夫。あの子は私達とは違うし・・・ちゃんと見えてるから。」

「・・・ああ、そうだな。あの子なら・・・きっとあんなことは繰り返さないだろう。」

「うん・・・それじゃあ私達も行こっか♪」

「ああ、あんまり遅くなると間に合わなくなるしな。」

 

 

---ガチャッ バタンッ

 

 

 

 

 




なんだか変なフラグを立ててしまった気がするな~。
気のせいだと良いな~(棒)
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