デッドマンズN・A:『取り戻した』者の転生録   作:enigma

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第三十二話

Side:梶原泰寛

 

---ミシミシミシミシミシ・・・

 

『ウガ、ギギイ、ギ・・・』

『コ、コンナ・・・馬鹿ナ・・・私ノ、自慢ノ愛車ガ・・・私ノ愛シイ愛車ガ・・・』

「・・・やれやれ、やはり出始めの頃はこの程度か。まあまだ規模が小さいことを考えればまだ余裕がない訳じゃあないということでよしとしよう。」

 

家から出て大体四十分ほど経過した頃だろうか・・・俺は今日の目的の一部である口裂け女と殺人タクシーの出現ポイントをハーミット・パープルで割り出し、矢島たちと集合するまでにワープを使って集合場所である公園にこいつらをおびき寄せてからぶちのめした。

 

ちなみにうち三十八分くらいはこいつらの捜索時間で残り二分はこいつらの討伐時間だったりする。

 

『グギ・・・マハム{バギバギバギ}ガアアア!?』

「おっと危ない。それはさせる訳にはいかないな。」

 

力を振り絞って唱えようとした口裂けの呪殺魔法を重力をさらに倍増して中断させる。

さっきは気力で跳ね飛ばしたがさすがに何度も唱えられるとどうなるかわからないからな。

 

「・・・さて、もうそろそろ矢島達も来るはずなんだが・・・{キィ―――ンッ}ん?これは・・・」

 

頃合いだと思ってキョロキョロと辺りを見渡してみると、突然公園の中央で蒼く光る魔方陣が展開される。

 

「{シュバッ}うお!?なんだこの状況・・・ってそのメットは梶原か。もしかしてもうやっちゃってたのか?」

 

魔方陣が展開されて数瞬後、強いフラッシュとともに矢島が姿を現し、目の前で押し潰されているタクシーと口裂け女を見て驚いた。

 

「ああ、ちょっとそこらへん(隣町)で出会っちまったからな、しょうがなく撃退したわけだ。というかチンクはさすがに来ないか?」

「ああ、何があるか分からない以上あいつに何かあったら博士たちに顔向けできんし。本人にはかなり食い下がられたけど。」

「左様か・・・それじゃあ矢島、早いところこいつらにも封印を掛けてくれ。」

「ああ、わかった。GUNDAM、封時結界の準備を。」

『かしこまりました。』

 

矢島が腕輪になっている待機中のデバイスにそう言ってデバイスが起動すると同時に能力を解除する。

 

『『!』』バッ ドゥルルルッ

「おっと逃がさねえよ、バインド!」

 

矢島は隙を見て逃げようとする二体に何十ものバインドを掛けて動きを止め、そこから追撃で何重にも結界を張る。

 

「これでOK、封時結界作動。」

 

矢島がそう言うと結界は見る見るうちに収縮していき・・・この前のテケテケの時のように手のひらサイズの青い箱に変化した。

矢島は作業が終わると、箱に近づいてそれをデバイスの中に収納する。

 

『二体のサンプル、無事に収納致しました。』

「これで良しっと・・・梶原、これから例のビルに行くんだよな?」

「ああ、それと・・・新たに分かったことがある。内容は移動しながら話していくからよく聞いといてくれよ。」

「「わかった。」」

 

俺は二人を連れて公園を出て、二人にアンダー・ワールドで調べた内容を説明しながら目的の廃ビルへと移動し始めた。

 

 

スタンド使い&魔導師移動中・・・

 

 

「・・・・・・以上が新たに分かった事だ。」

「・・・・・・・・・・・・・・」

例の廃ビルが遠目からかすかに見えるようになった辺りで矢島に報告を終える。

矢島は明らかに驚いた様子で、話から犯人の特典を理解したのか目を見開いて動揺している。

 

「おいおい・・・たかが噂騒ぎが随分とでかい話になってきたな。それに随分と危ない奴が暗躍してるようだし・・・こりゃマジで本腰入れないとまずいな。梶原、一応確認のために聞くけどその転生者の特典ってもしかしなくても・・・」

矢島は何時になく真剣な表情をしながら聞いてくる。

「ああそうだ。予想が正しければあれはおそらく・・・・・・女神転生シリーズだ。」

 

 

 

女神転生シリーズ・・・これはかつてデジタルデビル物語(サーガ)という小説を元に、主人公が悪魔と呼ばれる人知を超えた超常の存在を使って世紀末状態となった世界を生き抜くというコンセプトで開発、発売されたゲームである。

古今東西から抜粋された様々な宗教の神や悪魔たち、それを用いた悪魔合体の奥深さ、雑魚敵からの初見殺しやハメ殺しが平然と罷り通る鬼畜仕様、色んな意味で危ない橋を渡ることに定評のあるゲーム開発陣や開発会社の度胸、様々な理由からこのシリーズとその派生となったゲームは俺が死ぬ前までかなりの人気と知名度を誇っていた。

・・・思えば俺も昔はかなりやったな・・・確かスタンド繋がりで女神異聞録ペルソナと罪・罰をひたすらやりこんだ後旧約Ⅰ・Ⅱから真Ⅳまで悪魔全書もコンプしたり・・・あ、ライドウとアバチュは積みゲーになってたっけ・・・まあ今はどうでもいいか。

 

「・・・やっべえなぁ、本当に。俺たちの動向一つで世界の終りまっしぐらとかマジで洒落になってねえ・・・それ、もし実現したらジュエルシードなんて比にならないことになるじゃねえか・・・」

「そこはいまさらウダウダ言ったってしょうがないさ。俺たちは俺たちに出来るコトをやるだけだ・・・さあ、そろそろ目的地が見えてきたぞ。」

「・・・そうだな・・・」

 

なんだかんだと言っている間に、いよいよ廃ビルの間近まで近づいてきていた。

俺達は周囲に注意を払いながら、静かに廃ビルの敷地へと入っていく・・・

 

「おうおう、また一段とこええなこりゃ・・・」

「この物々しい気配・・・マジ震えてきやがる・・・」

・・・この前の架橋を上っていった時とは桁外れの不気味な気配が・・・まるで全く違う世界が目の前にある様な感じさえある気配が感じられる。

これは間違いないな・・・

「・・・矢島、これに入ることはできるか?」

「ちょっと待ってろ・・・・・・・・・・・・・・・・うわぁ・・・」

「どうした?」

「・・・・・・・・・とりあえず出入りは出来るみたいだな。ただ・・・」

「ただ?」

「出入りは問題ないけど・・・これ、外からの破壊は相当難しいぞ。単純に言うと外から見えているビルは実体のある蜃気楼みたいなもので、これ自体を攻撃したところで意味は全くない。解決策が中にあるかもしれないけど中の空間が歪んでて迷宮みたいになってる。これは思ってたより・・・」

 

 

「なるほど、問題はないな。」

 

「ああ、思ってたよりもきつい状況・・・ゑ?」

「内部が全面暗黒空間だとか、入ったら即死とか、そんなところに突っ込んでく訳じゃなければどうとでもなる。」

「なにそれこわい。」

元凶であるあの女がいないことは至極残念だが・・・・・・今宵、百戦錬磨のダンジョンエクスプローラーは伊達ではないということを中の悪魔どもに思い知らせて見せよう。

 

「矢島、確認だが行動方針は?」

「1.敵は残さずサンプル回収。2.穏便にこの結界を消す手立てを探す。3.行動は11時まで。」

「グッド。それじゃあ行くか。」

「おうよ。」

 

俺は閻魔刀に手を掛け、矢島は全身にバリアジャケットを纏って入口の両側に張り付く。

 

「・・・レーダーに反応なし、トラップらしきものもなさそうだ。」

「よし・・・{スススッ}進路クリアー。」

 

通路を確認し、二人で入口から入っていく。

さあ、鬼が出るか蛇が出るか・・・

 

 

 

 

 

 

 

「・・・クスクス、ねえみんな、またあたらしい人がはいってきたよ。」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・うん、そうだよね!みんなもあたらしいおともだちがほしいよね!・・・え?銃をもってるお兄ちゃんはこわい?だいじょうぶだよ、こわいのはあの銃だから・・タブン・・・」

「おちこまないでよ、だいじょうぶだってば!・・・・・・うん、そうだよ!ふたりともみんなでおねがいすればわかってくれるよ!」

「・・・うん!それじゃあまずはおもてなしのよういをしなくちゃね!フフフ、たのしみだな~~♪お兄ちゃんたちよろこんでくれるかな~~♪」

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 

---ザッ・・・ザッ・・・ザッ・・・ザッ・・・ザッ・・・ザッ・・・ザッ・・・

 

ビルに入ってから約五分・・・矢島が発光魔法で辺りを照らし、俺が外敵や罠に対応出来るよう動く形で、延々と続く廊下を歩いている。

・・・罠や何かが近寄ってくるような気配は今のところまだない。

 

「・・・さっきから粘っこい感じばっかりで更にこのどこまでも続くようなくっそ長い廊下・・・嫌になるねぇ・・・」

「おいおい、まだまだ始まったばっかりだろ?これくらいで参ってたら夏休みの時に迷い込んだあれなんか・・・あれ?変だな。天井から水漏れでもしてるのかな・・・」

「俺の知らん間になにがあったしwww いや、大したことじゃないかもしれないけど・・・なんというかここの空気、重いんだよなぁ。なんかこう、常時泥沼を歩いてる感じっていうか・・・」

「・・・まあ言いたいことは分かるがな。」

 

矢島の言う通り、このビル内の空間はあの夏休みに入った塔の様な不気味さと息苦しさを感じさせる。

幸いにもスタンドが出しずらくなるということはないが、この雰囲気にビルの持つ外観以上の広さを踏まえると、この手の探索を百回転生してもまだあり余るほどやってる俺はまだしも、根が一般人の矢島にはわりと堪えるかもしれない。

 

「それでも今抜けてもらうのは困るぞ。俺だと辺りを照らし続けられないから探索が難しいんだよ。」

「デスヨネー、火曜日だから休みの日に全部ってわけにもいかないし・・・てか今更だけど俺ら、昼間にここに来れば光の心配とかいらないんじゃ・・・」

「周りを見てもの言え。仮に昼間に来たとしてもこんな電灯も窓もないようなところで外からの光が期待できるかよ。」

「アッハイ。」

「まあ無理はしなくていい、通った道は全部覚えてるから・・・{ジャキッ}待て矢島、何か物音がする。」

「なに・・・」

 

---キュムキュムキュム・・・

 

さっき来た道の曲がり角と前の通路から足音が聞こえ・・・

 

「「「オォオオォオォオ」」」

「ヒーホー!いい加減しつこいホ!ランターン!一体どこにいるんだホ―!」

 

不気味な声と甲高い声が廊下に響いてくる。

 

「・・・何だ?」

「・・・さあ?」

 

何かやばい状況だってのは分かるが・・・『ヒーホー』?どっかで聞いたことがあるような・・・

 

「ヒホ、ヒホ、ヒホ、ヒホ、ヒホ、ヒホ{ズルッ}ヒホォ!?」

 

聞き覚えのある口癖?に頭を悩ませていると、廊下の奥から驚く声と何かが倒れ込む音が聞こえ・・・

 

「ヒホォォォ―――!?!{ゴロゴロゴロゴロ ベチン}ヒホ!?」

 

「「・・・は?」」

 

曲がり角の陰から突如、真っ青なピエロ帽子と靴を身に着けた雪ダルマが転がり出てきてそのまま顔から壁にぶつかった。

・・・・・・・何故に雪ダルマ?というかどっかで見覚えがあるような・・・

 

「イタタタ・・・やってしまったホ・・・」

 

雪ダルマは俺たちのことに気が付いていないようで、俺達に反応することなく顔をさすりながら立ち上がる。

 

「「「オオォォオオォオオォ、ヤァァァアットオイィツイィィタゾォォオオォォ」」」

「「モゥゥォオオオニィガサネェエエエエ!」」

「「!!」」

 

雪ダルマに注意が向いていると、それに追いつくようにまた廊下の角から・・・顔のついた火の玉と真緑の粘液のようなもの、腐臭を放つ人型たちが通路を塞ぐように姿を現した。

どう見てもDARK悪魔です本当に有り難うございます。

自然と手が閻魔刀の柄に伸びるレベルのグロさだよこれは・・・

 

「うう、サイアクだホ。ピンチだホ・・・というかいい加減許してほしいホ!ぶつかったことはあやまった筈だホ~!」

 

「ゥゥウルセェェエ!ソォオノォアトテメェェヲォレタチニ、ニニ、ニィ!マホォオツカッテ、キタジャァアアアネェェェカァアアアア!」

 

「それはお前らがヒドイ事しようとしたから仕方なくやっただけだホ!さかうらみもはなはだしいホ!おとなげないホ!」

 

なるほど、ようはちょっとしたいざこざか。しかし雪ダルマの方も不憫な、相手があれじゃあ会話の流れ的に間違いなく逆切れしてそのままリンチ確定になるだろうなぁ・・・

・・・何だろう、中学入りたての頃の思い出がグラグラと湧き上がってきたぞ・・・自分のことじゃないのにこの手の状況はやっぱり腹立ってくるな・・・!

 

(矢島、封印のスタンバイよろしく。)

(ん、おk。)

 

ちょうどいい、本当にその流れになったらあのホラーの代名詞どもは残らず刻んでサンプルにしよう。

決して昔の嫌な思い出の憂さを晴らすとかそんなことは断じてない。

断 じ て な い !

 

「(今だホ!)もうこっちくんなホ{ベチン}ヒホ!?」

「ニィィガサァネエゾォォ!」

 

隙をついて逃げようとした雪ダルマの足にスライムが絡み付き、雪ダルマがまたスッ転んでしまう。

そろそろ手を出すか・・・

 

「「カクゴォォ、シヤガルゥエエエエエ!!」」

「ヒ、ヒ―ホ――!?」

 

 

 

---ダッ ズバァァアンッ

「「「「「!?!」」」」」

「ヒ、ヒホ?」

 

雪ダルマに異形が襲い掛かろうとした直前に、両者の間に踏み込みながらゾンビたちを死なない程度に斬り伏せる。

 

「えっと、まだ奥に何体かいやがるな・・・矢島、とりあえず封印頼むわ。」

「おう、頼まれた。」キィィン

 

矢島は俺の合図を受け、斬り伏せた悪魔たちを手早く封印する。

 

「やれやれ、寄りにもよってこんな大所帯で妖精一匹を攻めたてるたぁ・・・情けないと思わんのかね?なあ明智君?」

「誰が明智君だ。ま、確かにな。そもそも発端からしてしょうもない理由だし・・・なあ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・え?そこでオイラに振るのかホ・・・というかなんでニンゲンが・・・ヒ、ヒホー?」

 

突然起こったことに思わず呆けているみたいだな・・・まあいきなりな展開だし、当然っちゃ当然か。

 

「アア!?ニィンゲェン!?」

「ニィンゲェン・・・ニィンゲェンガイルゾォォ!」

「ニィンゲンガァイルゥゥ?ナァアゼェエエ?」

 

はっはっは、向こうもいい具合に混乱してらっしゃるな~。まあすぐにでも変わる状況だろうけど。

 

「・・・ウマソナニンゲェン・・・」

「ウマソウナまぐねたいと・・・」

「コイツラァ・・・スゴクウマソウ・・・」

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

---チラッ

 

「・・・な、何だホ?」

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

---ゾロゾロ・・・

 

俺達とジャックフロストを見比べた悪魔たちは俺達を食料と判断したようで、殺気を向け始める。

常人が見たら卒倒する光景だな・・・

 

「・・・ウマソナニンゲン・・・ウマソウナまぐねたいと・・・」

「ゥオレタチィ・・・ツイテルゥゥ・・・」

「クワセロ・・・」

「クワセロ・・・」

「クワセロ・・・」

「オマエルァ・・・ゼンイィン・・・」

「「「「「クゥワセルォォオオオオオオオオ!!」」」」」

「ヒ、ヒホー!?」

「喧しい・・・アライブ。」

『アイアイ、サー。』

 

---チンッ ドバァァアアンッ

 

アライブの腕を出し、襲い掛かってきた悪魔たちに空間斬りで死なない程度のダメージを負わせる。

 

「ホイ、封印。」

 

そしてそこに間髪入れず矢島の結界が張られ、悪魔たちは悲鳴を上げる間もなく手のひらサイズの青い箱に早変わりして矢島のデバイスに収納された。

 

「作業終了。今日だけで結構捕まえられたな。」

「いやいや、確かに数だけは十分そろったけど種類的にはそんなにないだろ。」

 

それに今捕まえたのは幽霊のような奴を除いてほとんど魔法も使えない奴ばかりだったはずだ。

そんなレベルのはいない方が遥かにいいが、それだとあの博士が釣れるかどうか分からん。

 

「とにかく探索はまだまだ始まったばかりだ。行ってない所もたくさんあるし手当たり次第あたってみよう。」

「だな。」

 

結論が出たところで、俺達は今まで進んでいた道を再び歩き始めた。

 

 

 

 

 

「・・・ヒホ―、よくわからないうちにゼンブおわっちゃったホ―・・・」

「・・・それにしてもあの二人・・・ニンゲンなのにとっても強いホ。特にガイコツアタマの方はなにしたのかサッパリわからなかったホ・・・」

「おまけに二人とも・・・よくみたらマグネタイトがすごく多かったホ。あの二人とイッショならオイラ、もっと強くなれるかも・・・

「そしたらいつか、あのめちゃくちゃ怖い悪魔たちやヒドイニンゲンにだって・・・・・・」

「・・・・・・・決めたホ!あの二人についていってオイラ、もっと強くなってみせるホ!」

「待つヒホー!おいらもつれて行ってほしいホ―!」

 

 

 

 

 

 

 

「待ってほしいホ―――!!」

「「ん?」」

 

聞き覚えのある声が後ろの廊下から響いてきて後ろを振り向いてみると、さっき(結果的に)助けた悪魔・・・ジャックフロストが俺達を追いかけてきていた(ちなみに名前は今思い出した)

なんだ?見たところ敵意はなさそうだが・・・

 

「ヒホ―、ヒホ―・・・やっと追いついたホ。二人とも足が速いホ・・・」

「・・・何か用か?俺達はあまり時間を掛けられない身なんだが・・・」

 

思っていたよりだいぶ広いせいかまだ最初の階層さえマッピングが終わっていないんだ。

急がないとあっという間に予定の時間が来てしまう。

 

「そ、そんなつれないこと言わないでほしいホ。オイラはただ、二人についていって強くなりたいんだホ。ぶっちゃけると仲魔にしてほしいんだホ。」

「「・・・・・・・・・・・・はい?」」

 

なんでまたそんな話に・・・確かに悪魔は自分より強いものに従う習性があるしジャックフロストはニュートラル属性だから思想の面でもそこまで問題はないけど・・・

 

「オイラ、もっと強くなりたいんだホ!上の階にいる悪魔たちやさっきみたいにすぐ追い回されるだけなのはもう御免なんだホ!」

「「・・・・・・」」

「二人と一緒に行けば・・・オイラももっと強くなれると思うんだホ!お願いだホ!オイラも一緒に戦わせてほしいホ!」

「「・・・・・・・・・・」」

(・・・・・・だってよ、どうする梶原。)

(どうするって、むしろ俺が聞きたいよ。別に連れて行く分には問題ないけど俺ら悪魔召喚プログラムも封魔管も持ってないんだぞ。)

(デスヨネー。)

 

仲魔契約しようにもやり方なんてさっぱりわからんし・・・ていうか俺らの目的にはここみたいな悪魔発生スポットの消滅も含まれてんだぞ。

完っ全に駄目じゃん。初っ端から関係亀裂まっしぐらじゃん。

 

「ヒホ――。」ジィ―

(・・・なあ、とりあえず腹割って話してみるってのはどうだ?このままだと埒が明かねえだろ。)

(確かに、コイツを試す意味でもそっちの方がいいかもしれん。)

 

俺らの目的を聞いて、退くならばそれで良し、聞いてなおついてくるというのならばそれはそれで構わない・・・問題はどうやって仲魔契約をするかだが・・・

「ジャックフロスト、ちょっといいか?」

「ヒホ?なんだホ?」

「・・・えっと、非常に言いにくい話なんだけどな・・・」

 

俺はジャックフロストに、これまでの探索の経緯とここに来た目的について話していく。

 

「( ゜Д゜)」

 

やはりというかなんというか、話し終わる頃にはジャックフロストは呆気にとられた表情をしていた。

まあ当然だろう、何背俺たちの目的が結果的に市内から悪魔を消し去ることになるのだから・・・

 

「で、どうする?確かに俺達について来れば強くなれるだろうし、マグネタイトもそこまで不自由はさせない、いくら目的が目的とはいえ仲魔まで手討ちにするような真似は出来る限りしないつもりだが・・・」

「ヒ、ヒホ―・・・で、でも大丈夫だホ!ここにはランタンしかトモダチがいないし、よく考えたらここの悪魔は話が通じないのばっかりだからそんなに困らないホ!」

「そうなのか?」

「そうなんだホ。それにさっき二人は倒せるはずのオイラを見逃してくれてたホ!オイラはそのあたりに賭けてみたいホ!」

 

・・・まあ、確かに余計な事をしなければ見逃すくらいはするけどな。

それにしても今の話・・・つまりここは心置きなく狩り放題できるという訳かそうなのか

 

・・・(^∀)ニヤリ まあそれはさておき・・・

 

「そうか・・・なら俺達も断る理由はないな。なあ矢島?」

「ああ、戦力が増えるのは願ったり叶ったりだ!よろしく、ジャックフロスト!」

「良いのかホ!?後で嫌だって言っても絶対についていくホ!」

「むしろお前さんがしっかりついてこれるかどうかがこっちの心配なんだがね、まあよろしくジャックフロスト。」

「分かってるホ!オイラは妖精 ジャックフロスト、コンゴトモヨロシク だホ!」

 

廃ビル探索1日目・・・こうして俺達は最初の仲魔を見つけた。

 

 

 

 

 

 

 

「ところでジャックフロスト、仲魔契約ってどうすればいいんだ?」

「え?」

「「えっ」」

 


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